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ロリン・マゼール指揮 トスカニーニ交響楽団日本公演 [クラシック]


なかなか珍しいので、激写。

2007年9月6日(水) サントリーホール 19:00開演

【演奏曲目】

■コルサコフ シェエラザードOp.35
1.海とシンドバッドの物語
2.カランダル王子の物語
3.若い王子と王女
4.バグダッドの祭り。海。船は青銅の騎士のある岩で難破。
終曲

■ヴェルディ 運命の力

−***−

■ルーセル バレエ『バッカスとアリアーヌ』第2組曲 Op.43

■シュトラウス 歌劇『サロメ』より 最後の場面
 (ソプラノ:ナンシー・グスタフソン)

大好きなロリン・マゼール率いるトスカニーニ・フィルが、2年ぶりの来日!台風5号の関東上陸が時間の問題とされた中、突風に傘を破壊されつつもサントリーホールへ。どの曲もとても素晴らしくて、マゼールとその仲間達に再び出会えた喜びをかみしめたひとときでした。

ちなみに、サントリーホールは9月1日にリニューアルオープンしたばかり。座席シートが貼り替えられて、また床や壁も修復されたらしく、劇場全体が明るくなったような気がします。
 
相変わらずクラシックは初心者ですので、今回もイメージ的な感想に終始しますことをお許しください。
 
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2年前、初めて拝見したマゼール指揮トスカニーニフィル。当時75歳とは思えないほどのマゼールの若々しい指揮と、爽やかなオーケストラの演奏に感動し、一気にマゼール&トスカニーニの虜になってしまった私。

演奏がクライマックスに入った時に、一瞬指揮台の上で「ピョン!」と小さく飛んでみせる姿が本当に愛らしくてお茶目で、できることならもう1度会いたいな…でも、高齢だし、もう無理かも…と思っていたところに来日の情報。嬉しかったですね。

さて、この日の演奏曲目は、フィギュアスケートの安藤美姫選手が作シーズンのFSで使用した「シェエラザード」と、「バッカスとアリアーヌ」、ソプラノのグスタフソンを迎えて歌劇『サロメ』よりクライマックスの場面。ドラマチックな選曲です。

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この交響楽団の素敵なところは、何よりも団員みんなが仲良しなところ。チューニング中もずーっとにこやかに談笑していますし、終演後は惜し気もなく(?)ハグしあったり、キスしあったり。平均年齢が若いのもあるでしょうが、演奏前から非常に和やかなムード。それが本番にもすごく良い影響を与えていて、のびのびとした演奏でした。

「シェエラザード」と「運命の力」のコンサートミストレスは、前回来日時もコンミスを務めた方。若い女性で、スタイル抜群☆可愛い顔とは裏腹に、調弦するときの「みんな、あたしに合わせるがいいわ」みたいな強気な雰囲気がまた素敵です。

さて、ワクワクしているうちに、マゼール登場!ちょっと背中を丸めて、団員の間をトコトコ歩いてくる姿は本当に可愛い☆思わず、「おじいちゃ〜ん♪」と手を振りそうになってしまう親しみやすさ(笑)。しかし、指揮台に立った瞬間、その背中が何倍も大きく見えました。

そして始まった演奏。すごい!マゼールの背中に感じた大きさと同様に、このオーケストラも、何倍も何十倍もパワーアップしていました。

前回来日時はマゼールとの共演年数が浅く、演奏にもいくぶん、若さと軽さが感じられました。まるで、失礼ながら「おじいちゃんと遊ぶのが楽しくてたまらない孫」のような、みんな楽しそうだけど、重みとか深みがまだまだかな…というやんちゃな感じ。

ところが、今回はマゼールが音楽監督となっての来日公演(彼は前回来日後の2006年、トスカニーニフィルの音楽監督に就任しました)。若さは残しつつも、やる時はやる!という自覚と責任感が出て、それが演奏をよりダイナミックに、重厚にしていました。

何よりも、指揮者へ向けられた信頼感が、すごく伝わってくるんですね。マゼールの指揮に一分の隙も、一日の狂いもなく合わせ、演奏する姿は、それだけで感動的。またまた失礼ながら「大きくなったなぁ…」としみじみ(笑)。

世界を代表するテノール歌手、パヴァロッティ氏が亡くなったこの日。「シェエラザード」終了後、哀悼の意味を込めて、特別に「運命の力」を演奏してくださいました。音楽の神が慟哭しているかのような、迫力と重厚感あふれる演奏でした。

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今回の日本ツアーでは、ユンディ・リ(ピアノ)や五嶋龍(バイオリン)、今回出演のグスタフソン(ソプラノ)など、様々なジャンルの若手音楽家との共演も予定されています。外部とオーケストラの共演はよくあることでしょうが、人(若手音楽家)に合わせて演奏出来るようになったなんて…大人になった証拠やん…(笑)マゼールの指導のもと、結束力と団結力が自然と備わったのでしょうね。時々熱くなりすぎて、歌声をかき消しそうになっていましたけれど、若さゆえの勢いということで(苦笑)。

サロメを歌うグスタフソンは、黒いシックなドレスで登場。これが奥さん、叶姉妹かとみまごうほどに背中の部分が深く広く開いていて、客席の温度が若干上がったような(笑)。キレのあるまっすぐな美声でした。

そしてついに!この曲のクライマックスでついに、マゼールに「ぴょん!」が飛び出しました!ああ、嬉しい~~~~♪

『サロメ』では、歌詞の内容が電光掲示板に表示され、演奏前にその場面に到るまでのストーリーが日本語ナレーションで説明されるなど、非常に聴衆に配慮された演出でした。

終演後、一度引っ込んだマゼールとグスタフソンに両手を繋がれながら、ひとりの日本人男性が登場。ど、どなた…?戸惑いがちに会釈する男性と、同じく戸惑いがちに拍手する聴衆。後で考えると、どうやら『サロメ』でナレーションをされた方だったようです。前回のトライアングル奏者への賞賛と言い、今回のナレーターさんへの賞賛と言い、相変わらずお茶目なマゼールでした(笑)。

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前回以上に、たくさんのパワーとエネルギーを携えてやってきてくれたマゼールとトスカニーニフィル。1曲1曲が感動の連続で、幸せで胸がいっぱいでした。

ただ、77歳というマゼールの年齢を考えると、彼にとっては今回が最後の来日かも…という予感は否めません。今回は「運命の力」が追加された代わり、アンコールはありませんでしたし、指揮台に上がる前後の様子で、体力的に厳しいのかな…というのが伝わってきました。ひとたび指揮を始めると、まるで別人のように豪快なパフォーマンスを見せてくれるのですが…。

けれど今は、未来の予感を憂えるよりも、この夜、彼とその仲間達に再会できた喜びを胸に刻み、ひたすらその幸福感をかみしめたいと思っています。

帰宅後、台風による強い風と雨の音に眠れませんでしたので、2005年のお正月にNHKで放映された「ウィーンフィル ニューイヤーコンサート(マゼール指揮)」のビデオを引っ張り出してきて、見返してしまいました。実はこのビデオ、初めてマゼールの音楽に出会う前に偶然、彼の指揮とは知らずに録画していたのです(当時は、放映途中のVTRに登場するマラーホフ狙いでした)。今では、このビデオは私にとって宝物です。もちろん、このビデオにも「ぴょん!」がしっかり入っています(笑)。

オーケストラを聴く楽しさと幸せを教えてくれたマエストロに、心からの感謝と愛を込めて、そして彼の仲間達に、心からの賞賛を込めて、ありったけの拍手を送りました。

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サントリーホール


 


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