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劇団四季 ミュージカル『エビータ』 [劇団四季]

2010年2月27日(土) 自由劇場 17:30開演

4年前に初めて観劇した際、「もう1度観たい!」と叫んでいた作品の再演です(その時の記事は
コチラ)。この時、ヒロイン・エビータを務めていた井上智恵は、カンゲキ☆アワード2006で見事に主演女優賞に輝きました。

私にとっては、いつか必ずまた観たい・・・と思い続けていた作品の再演。特に今回は、劇団四季の看板女優としてトップに立ち続ける野村玲子が10年ぶりにエビータ役を演じると知り、これは観ておかなくては!と足を運びました。

なかなか時間が出来なくて申し訳ありませんが、思いだしたこと、印象に残った事などをメモ程度に書き留めておきます。

自由劇場は初めて足を運びましたが、ロンドンの劇場を思わせるような、落ち着いた外観にシックな内装で、「大人の劇場」といった感じ。客席と舞台の距離も近くて、一体感を存分に味わうことができます。

さて、舞台は、「サンタ・エビータ」として今もなお、アルゼンチン国民から深く思慕されている元アルゼンチン大統領夫人、エヴァ・ペロン(1919~1952)の短くも激しく燃え尽きた生涯を、アンドリュー・ロイド・ウェーバーの音楽に乗せてつづっていきます。

科白はほとんどなく(狂言回し的な存在であるチェが少し多めに説明的な科白を話す程度)、オペラのように歌で言葉が語られ、ダンスでうねりゆく民衆のパワーの爆発を表現する、非常にクラシカルな空気とエネルギッシュな空気を合わせ持つミュージカルです。

今回は、舞台全面が八百屋舞台(ホリゾントから前面に向かって傾斜がつけられている舞台)になっていました。舞台奥の一部分が八百屋になっていて、全面は平舞台になっている形状は何度か見たことがありますが、舞台奥から手前にかけて、全体が八百屋(斜め)になっている舞台を見るのは初めて。

2階席から観るには良いかと思うのですが、1階席で最初に舞台を見た時は、どうにも焦点が定まらないというか、ちょっと頭がクラクラして、視覚に異常をきたしたような感覚になりました。三半規管があまり丈夫でない人は、ちょっと大変だったのではないかしら。(個人的には、慣れるまではちょっと辛かったです)

***

劇団四季は「日本語の美しさ、大切さ」を強調する演出がされますが、今回、ちょっと違和感があったのが、労働者階級を見方につけたエビータと夫ペロンがアルゼンチンの政権を勝ち取る場面「ニュー・アルゼンチーナ」。

私の大好きなナンバーでもあるのですが、ここで労働者が手に持っていたプラカードに大きく書かれたデモのスローガンが、「国有化断行」「福祉増額」「公共支出拡大」「賃金倍増」と、日本語で書きつけられていました。それを観た時、思わず目が点に。一瞬にして現実に引き戻されたような感覚を受けました。

スペイン語を公用語としているアルゼンチンを舞台にしているのですから、スローガンの文字はスペイン語を使った方が臨場感があると思うのですが。歌(日本語)の中で、「賃金倍増!」と言いながらプラカードを見せるのですから、そこにスペイン語で書きつけてあっても観客は意味をつかめるはずです。

じゃあ、第2部「虹の歴訪」で、アルゼンチン国民が読んでいる新聞(小道具)も日本語で作ってあるのかな?と思ったら、こちらはスペイン語でした。・・・あえての日本語表記にこだわるなら、徹底的に統一しないと、ちぐはぐだよな~と思ってしまいました。(あくまでも個人的な感想です)



出演者について少しだけ。

エバを演じた野村玲子

ここ数年、ミュージカルの舞台に立つ機会が少なかっただけに、彼女が『エビータ』の世界に帰ってきたことは、とても嬉しい事です。

さすがに往年のように声は出ず、高音が伸びづらくて苦しそうでしたが、それを補ってあまりある存在感は、まさに劇団四季の「看板」という言葉が相応しいです。

エビータの、15歳の少女時代から33歳で亡くなるまでを演じきる野村。

前半の「ハロー!ブエノスアイレス」では、都会の喧騒に興奮ししながらも、溌剌とした輝きとそのイキイキとした瞳にきらめく野心を感じさせます。そしてクライマックス、死に抗うようにして床に這いつくばりながらも、ひたすら生へ、権力へ執着するエビータの姿は、20になるやならずで劇団四季に飛び込み、舞台一筋にかけてきた野村の半生と、これからもこの道一筋に生きていくのだろうという覚悟を思わせて、真に迫る名演でした。

ストレートプレイに打ち込んでいくかと思われた野村のミュージカルへの復活。できるならば、この人で『サンセット大通り』を観られると良いな、と、ふと思いました。

チェ(・ゲバラ)を演じた芝清道

…すんごい、すんごいカッコよかったです!!(笑)。ワイルドで、セクシーで、そしてダイナミックで。この人が舞台を回していたと言っても過言ではないほど。

「飛躍に向かって」という場面は最高!エビータの出世ぶりやアルゼンチンの国情、ペロンの台頭などを、激しいロックのメロディーに合わせてチェが歌い継いでいくのですが、これが本当にカッコよくて!!あのパンチの利いた歌声と軽やかにたくましい体躯で軽やかに舞台を駆け抜ける姿は、本当に惚れ惚れするほど。

本編ではチェはストーリーテラーの役どころに徹しているのですが、その突き抜けた存在感は、革命家としてのカリスマ性すら感じさせます。本当に、「この人にやったらついていって革命に参加するわ」と思ってしまいましたもの(笑)。



気になったことばかりを書きなぐってしまいましたが、全体的には躍動感があって、素敵なミュージカルです。エビータの行為には極端なものも目立ちますが、「自分が生きている意味」「自分の価値」を見出すために、燃えるような意思と信念を胸にがむしゃらに駆け抜ける姿には、現代を生きる女性には共感できる部分がたくさんあります。

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