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OSK日本歌劇団 東京三越劇場公演 『桜NIPPON・踊るOSK!』 [講座・現代演劇]

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2011年9月15日(木) 三越劇場 16:00開演

名橋「日本橋」架橋100周年記念 
『桜NIPPON・踊るOSK!-Revue, the Classic-』

【出演】
OSK日本歌劇団

高世麻央、桐生麻耶、牧名ことり、平松沙理

恋羽みう、楊琳、悠浦あやと、愛瀬光、舞美りら、柑奈めい、妃那マリカ、城月れい、麗羅リコ、由萌ななほ

* * *

宝塚歌劇団と双璧をなす実力と歴史を持ちながら解散の憂き目に遭い、それでも不死鳥のようによみがえったOSK日本歌劇団。8年ぶりに東京公演があると聞き、このチャンスを逃してはなるまい!と駆けつけました。

OSK日本歌劇団は1922年、松竹楽劇部を前身として発足。宝塚歌劇団、松竹歌劇団(SKD)とならぶ日本の三大歌劇団として名をはせました。

大正~昭和初期にかけて、全国各地で少女歌劇の誕生が一大ブームを巻き起こしていたことは(書籍) 少女歌劇の光芒でもご紹介しましたが、戦後も長きにわたって活動したのはこの3つの劇団のみです。

宝塚ファミリーランドに隣接する宝塚大劇場と同じく、OSK歌劇団も奈良市内にあったあやめ池遊園地内の円形大劇場を本拠地として多くのレビュー作品を上演していました。しかし、2003年に親会社の近鉄グループから支援を打ち切られ、いったん解散。その後は市民劇団として再結成され、現在は株式会社OSK日本歌劇団として、大阪を中心に舞台活動を継続しています。

現在は、35名が在籍。トップスター桜花昇ぼるを中心に、高世麻央・桐生麻耶(あさや)・緋波亜紀ら男役スターが並び、朝香櫻子・牧名ことりが娘役トップ的な位置についています。公演やイベント内容で、座長(主演)やヒロインが柔軟に変わるようです。

OSKの存在は、高校生くらいの頃から知ってはいて、時々関西ローカルで放映されていた舞台中継は見ていたのですが、実家からあやめ池はかなり行きにくいところにあり、本物の舞台を観たことはなかったのですよ。けれど、宝塚と同じレビューの歴史を背負う劇団として、その変遷は気にかけておりました。

新しいOSK歌劇団としては、初めての東京公演。そしてワタシにとっても、初めてのOSKの舞台。宝塚とはまた違った、「味わい深いレビュー」でした!

構成は、日舞ショーが30分、休憩をはさんで洋物レビューが60分の、約2時間。横浜出身の高世麻央をトップに、関東出身者を中心としたメンバー14名での公演でした。

* * *

日舞ショーは、チョンパ(暗転中に幕が上がり、一気に照明が当たると出演者が板付でスタンバイしている演出)でスタート!華やかで綺麗~!!

プロローグは艶やかな元禄踊り風の若衆姿と娘姿。音楽は洋楽です。ここで面白かったのが、タンゴを使った場面で、タンゴそっくりの振りがあったこと。

洋楽で日舞を踊るのは、レビューの醍醐味のひとつでもあり、宝塚の日舞ショーでも定番ですが、振りは日舞の動きを基本にしたものなのですね。けれどOSKの舞台では、タンゴでよく見るような振りを、そのまま取り入れていました。美しい若衆と娘が和装で舞うタンゴ、新鮮でしたわ~。

OSKのステージは、とにかくスピード感がすごい!その中で粋でイナセな男たちのキビキビした踊りが素敵な「木遣りくずし」、しっとりとした秋風の風情が漂う「荒城の月」、桜をテーマにした、はんなりと晴れやかな空気に満たされる「桜NIPPON」、「戻り橋」を題材にしたストーリー性のある「橋幻想」など、盛りだくさん。

特に印象的だったのは、「橋幻想」でしょうか。最初は「戻り橋」っぽいイメージの始まりに、「日本橋架橋100周年だったら、日本橋をテーマにした場面にしたら良かったのに・・・」と思ってしまったのですが、公達を演じる高世の気品と、彼を翻弄する妖かしの美女(牧名)の妖艶さがとても印象的で、息をのんで見入ってしまいました。

特に牧名は、ひとりの女性として登場する時と、魔性のものとして姿を顕す時の、指先の使い方がとても特徴的で、かつとても美しかったです。本性を隠している時は、手の甲をひらめかせ、指先の動きもやわらかいのですが、魔性を顕した後は折り曲げた指先にまでに力がみなぎり、「爪」を表現しているようでした。

日舞ショーのエピローグは、二枚扇での群舞。これがまたスピーディーでキレがあって、とっても揃っていました!すごーい!!

* * *

洋物ショーは、プロローグからスピーディーで軽快なダンスでスタート!黒燕尾の男役と、白いドレスの娘役がキビキビと踊る姿は本当に素敵。

かつては「歌の宝塚、ダンスのOSK」という言葉があったそうなのですが、確かにOSKのダンスは凄い!どんなダンスでもワンカウントの振りが細かいし多いし、しかも曲のテンポもかなり早いのですが、誰1人として振りがズレることもなく、難なく踊りこなしているんです。研修生の時代に基礎をみっちりたたき込まれているのでしょうね。

高世は客席から登場!高世の客席巡りは、3回くらいあったかな?2階席から羨ましく観ていました~。三越劇場は客席が千鳥配列ではないので、全体を観るには2階席の最前列がオススメですけれども、この時ばかりは良いな~って思っていました。

プロローグの後は、楊琳・悠浦あやと・愛瀬光の若手スター3名による場面「Pop&Beat」。

ここで、やや強い地震が起きました。ざわつき、ガヤガヤしはじめる客席の意識を舞台に戻そうと手拍子をかけてみましたが、2階席後方列からではたいしたエールにもならず・・・それでも最後まで満開の笑顔と軽快なダンスで場面を務めあげた3人、さすがでした!

続く「バーレスク」は、牧名ことりを中心に、娘役6名による色っぽい場面。

牧名さん、本当に素敵な娘役さんです。プロローグでは可憐で美しい高音を聴かせたと思うと、こういう大人っぽい場面では艶のある低音を響かせて、全然イメージを変えてきます。ダンスも歌も抜群の実力。

「スパニッシュ」では、まず桐生による切れ味鋭いダンスを堪能。そして高世が加わり、迫力あるダンスシーンへ。続いて牧名が「アルゼンチンよ泣かないで」を歌い、デュエットダンスへ。

いや~、牧名さん、ええわ~、ええ娘役さんやわ~・・・(←橋幻想あたりから牧名さんに釘付け)

中詰は、「ミュージカルメドレー」。「あなたと夜と音楽と」「ザッツ・エンターティメント」などなど、おなじみの名曲とともに華やかに軽やかに展開されるダンスシーンです。

「スウィングストリート」では、カッコいいスーツでのダンス!はあぁ、やっぱ男役のスーツって素敵だわ~(目がハート)。

ここで印象的だったのは、最後の場面。高世・桐生・牧名のいわゆるトップトリオが絡みながら、ちょっと気だるいジャズを歌うのですが、牧名が真ん中に、高世と桐生と並んで腕を組みながら歩く、という振りがありまして。トップスターがちょっと脇によけて、代わりに娘役トップがセンターに立つ場面って、なかなか最近の宝塚ではないから、ああ、OSKはこういう事もできるんだ、良いなぁと思いました。

フィナーレは、ラインダンスから始まります!これがまたまた、素晴らしかった!度肝抜かれました。

もう何度も言ってますけど、テンポが早くて細かい振付と、めまぐるしく展開される隊形移動。足を上げる角度もタイミングも完璧!!完成度の高い充実したラインダンス。見ごたえありました。

ブルーと白を基調とした、爽やかなフィナーレでも美しいダンスで魅せるOSK。日舞ショーも含めて約90分、皆さん出ずっぱりで踊りっぱなしです!それでも正確な振りとダンスのキレ、舞台の端々まで清々しいほどに揃った群舞は、最後になってもやはり乱れることはありませんでした。

アンコールは、OSK名物「さくらパラソル」を手にして劇団のテーマソングでもある「桜咲く国」を。ああ、この場面、絶対に生で観てみたい!って思っていたんですよ~!夢がかないました☆

今こそ白状しますが、実は当ブログの記事カテゴリーのひとつ「桜咲く国」は、ここから拝借したのです。てへ☆(←笑ってごまかす作戦)ということで、今回は特別にこちらのカテゴリーに入れてみました。

* * *

いや~、初めてのOSKでしたが、本当に面白かったです。カテゴリーとしては宝塚と一緒だよなぁと思っていたのですが、やっぱり個性やカラーは全く異なりますね。

いちばんに思ったのは、「OSKは少数精鋭主義、実力主義が徹底しているんだなぁ」ということ。

この公演でトップを張った高世、桐生、牧名はダンスも歌も抜群の安定感があります。ですから、観ているこちらも安心して、ゆったりとレビューの世界に浸れます。

他の出演者たちも、ベテランから若手まで、特にダンスに関しては高い技術力が備わっています。

どの場面か失念してしまいましたが、4組のカップルがデュエットダンスの中で一斉にリフトを行う場面がありました。それが、タイミングも回転も、全組きっちりとそろっているんですよ!!これには舌を巻きました。素晴らしき職人芸の世界です・・・。(←基本性格:職人芸に弱すぎ)

来年、創設90周年を迎えるOSK日本歌劇団。その節目の年にもぜひ、東京で公演してください。待っています!!


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はじめまして!

牧名ことりさんファンのkotaと申します。
OSKと牧名さんを気に入っていただいて嬉しいです。

牧名さんのファンサイトもやってるので、良かったら覗いてやってください。
by はじめまして! (2011-09-19 11:43) 

★とろりん★

kotaさま、

はじめまして!コメント、ありがとうございます!!

牧名さん、実力も美貌も兼ね備えた大変素晴らしい娘役さんですね。今後もぜひ、機会があればOSKの舞台を観劇したいと思います。
by ★とろりん★ (2011-09-19 20:34) 

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