映画 「日本列島 いきものたちの物語」 [映画]
2012年2月4日(土)公開
ナビゲーター:相葉雅紀、長澤まさみ、ゴリ(ガレッジセール)、黒木瞳
製作:市川南、服部洋、濱名一哉、佐藤寿美、町田智子、髙橋誠、喜多埜裕明、辰巳隆一、加藤直次、森越隆文、松本哲也
エグゼクティブ・プロデューサー:吉田立、山内章弘
プロデューサー:一瀬隆重
共同プロデューサー:遠藤学、小野泰洋
撮影:岩合光昭、嶋田忠、中村征夫、渕上拳
石井英二、倉沢栄一、新山敏彦、前川貴行、松岡史朗、新井和也、飯島正広、石井輝章、伊藤浩美、大沢成二、小原玲、高橋真澄、多胡光純、塚越賢、津田堅之介、中川達夫、中川西宏之、中村卓哉、野口克也、野沢耕治、林田恒夫、平野伸明、柳瀬雅史
編集:澤村宣人
音響効果:飯村佳之
整音:矢野正人
監督補:久保嶋江実
音楽:服部隆之(オリジナル・サウンドトラック/ユニバーサルJ)
音楽プロデューサー:北原京子
監督:出田恵三
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嵐の相葉雅紀くんがナビゲーターの一人を勤める映画「日本列島 いきものたちの物語」。諸事情あって(?)、公開初日に見てきました。
豊かな気候風土から、四季の移り変わりを通じて自然の恵みを受けている日本列島。この小さな島国では、9万種という世界でも例を見ない程の多様ないきものが暮らしています。そのいきものたちの「生」の姿を、日本を代表する27名のカメラマンたちが2年半の歳月をかけて撮影に挑んだ作品。
物語は、「生」の根源―「いのち」の誕生から始まります。
知床半島で生まれたヒグマの兄弟。
釧路湿原で誕生したキタキツネの子どもたち。
下北半島で過酷な自然と対峙する、ニホンザルの親子。
六甲山地でにぎやかに冒険を繰り広げるウリボウたち。
「洋上のアルプス」と称される厳しく豊かな自然に包まれた屋久島の森で暮らす、サルとシカの交流。
襟裳岬の岩場で生まれる、ゼニガタアザラシの赤ちゃん。
世界一美しいと言われる日本の海、南西諸島・西表島の珊瑚礁で子育てをするカクレクマノミのお母さん。(そんなお母さんには、実は衝撃の秘密が…!?)
小笠原諸島沖で子育てをするザトウクジラ。
若葉が芽生え、花が開き、いきものが誕生し…ありとあらゆる「いのち」が息づき始める春からスタートする物語は、そのまま移りゆく季節とともに展開していきます。
その物語の間に垣間見える、日本の美しい風景。
若葉を移動するカタツムリ、雪原で官能的に繰り広げられるタンチョウヅルの舞、鮮やかに色付いていく紅葉、屋久島を覆っていく分厚い雲と激しい雨、やがてその雲の分け目から降り注ぐ、太陽の光。ひとつひとつのショットが、息をのむほどに美しくて深いです。
昨冬、旅の途中で機上から見つめた屋久島。この時も雲がかかっていました。
これだけの映像を、気が遠くなるような長い長い時間をかけて撮影を続けたカメラマンの皆さん…本当に、脱帽です…!本当にね、映像の一瞬たりとも隙がなく、言葉では表現できない程の気魄にみなぎっています。
季節が移り変わるにつれて、その美しさは厳しさへと変化していきます。その中で、「いのち」の物語もまた過酷さを増していきます。
ナビゲーターを勤めた長澤まさみさんが、取材で「動物たちは生きるのを止めない」という発言をされていたのですが(→MovieWalker)、本当にその通りだと思います。
どんな過酷な状況に追い込まれても、厳しい事態を突き付けられても、ひたすらに「生きる」ことだけを貫こうとするいきものたち。自然と生きる彼らにとっては当たり前のことかもしれないけれども、自然と生きることを忘れてしまいつつある人間たちから見れば、それは何とシンプルで尊い姿なのでしょう。
印象に残った物語はいくつもあるのですが、特にヒグマの兄弟には胸を打たれました。
活発な性格の「ポロ」と、のんびり屋さんで不器用な「ポン」と名付けられた兄弟。性格はまるで正反対だけれど、ずっと一緒に寄り添って暮らしてきました。やがて、それぞれオスのヒグマとして独り立ちする時が訪れます。
本能の定めに逆らうことなく、別々の道を歩み始めながらも途中で振り返り、後ろ足で立ちあがってお互いの姿を確認し合う「ポロ」と「ポン」。特に、これまで頼りなかった「ポン」が案外思い切りよく山奥へ去っていったのと対照的に、何をするにも積極的でしっかりものだった「ポロ」の方が、「ポン」の姿をいつまでも見送っていたのが意外で、何とも言えず胸がいっぱいになりました。
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物語の世界へ私たちを導くのが、4人のナビゲーター。
長澤まさみさんは、最初に登場したナレーションではちょっと語尾の発音が滑りがちな印象を受けましたが、カクレクマノミの声をアテレコした風のナレーションは自然体で、とってもキュートでした。女優さんだから、役になりきって言葉を発する方が性に合うのかな?
ゴリさんは、ウリボウの声をアテレコした感じのナレーション。ほぼそのキャラクターで全編のナレーションを務めていらっしゃいました。
黒木瞳さんも要所要所で登場。落ち着いた柔らかな美声でした。
そして、我らが(?)相葉ちゃん。バラエティなどで聞かれるテンション高い声とはうってかわって、穏やかで少しかすれた独特の低音が、とても心地よかったです。
「21人の輪~震災の中の6年生と先生の日々~」(Eテレ)でも語りを担当している相葉ちゃん。こういう言い方は語弊を招くかもしれませんが、ナレーターとしての彼の声は、「映像の邪魔にならない声」だと思います。変に感情を込めたり、過剰に思い入れをすることなく、ただ目の前で起こっている映像に合わせて、良い意味で淡々と、訥々とナレーションを進めていく。
ですから、目の前の映像に意識が入り込んでいる時に、甲高い声や視聴者の感情に添わないようなテンションのナレーションがいきなり耳に入ってきて集中が途切れたり、意識がそがれたりすることがないんですね。映像を見ながら湧き上がる感情は人それぞれでしょうが、彼の「声」は、どんな感情にも寄り添うように、映像と一緒にスゥッと耳に入り、するりと心に入ってきます。
プログラムに掲載されている相葉ちゃんのインタビューによると、監督から「いきものの気持ちになって喋って」という指示があったそうです。きっと変に感情を作り込まず、自分の感じたものを素直にナレーションに乗せたのでしょうね。天真爛漫な明るさとは正反対の、繊細で物静かな相葉ちゃんの別の一面がにじみ出るのが、このナレーションというお仕事だと思います。
相葉ちゃんの声について、チャミさまのブログで詳しい解説がされていました。彼の声がとても心地よくて癒されるのは、きちんとした理由があるようです。興味のある方は、ぜひご覧ください☆
とにかく、相葉ちゃんの「声」は本当に癒されます。これからもぜひ、ナレーターのお仕事をどんどんしてくださいね~!(←ファンレター化)
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エンドクレジットでは、南紀白浜や小値賀島や五島列島など、自分がかつて旅したことのある土地の名前も出てきて、懐かしく嬉しく思いました。
南紀白浜から見る夕陽、とても綺麗だったなぁ。
佐世保から小値賀島へ向かうフェリーが大しけに遭って、すごく船が揺れたなぁ(←「嵐を呼ぶ女」の実力をいかんなく発揮)。旅館でいただいたお魚が、ほっぺたが落ちるほど美味しかったっけ。
五島列島では、地元の人が驚くくらいの大しけに遭遇して、乗る予定の飛行機に乗れなかったんだよなぁ(←以下略)。…あれ、ワタシ、意外にも自然の厳しさを肌で感じている?(笑)。
なんだかんだと長くなってしまいましたが、観終わった後、「日本に生まれて良かった」「日本人で良かった」と素直に思える作品です。
「日本は、美しい」。
そう、強く思える作品です。
映画公式サイトはコチラから☆
- 作者: 映画「日本列島 いきものたちの物語」製作委員会
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2012/02/01
- メディア: 単行本
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