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ミュージカル 『シルバースプーンに映る月』 [講座・現代演劇]

2013年6月15日(土) 東京グローブ座 18:00開演
公式サイト

【キャスト】

坂本昌行
新妻聖子
鈴木綜馬
戸田恵子

内田亜希子
上口耕平
青山 明
園山晴子

【ミュージシャン】

ピアノ/荻野清子
アコーディオン/佐藤史朗

【スタッフ】

作・演出/G2
音楽/荻野清子
美術/松井るみ
照明/高見和義
音響/井上正弘
衣裳/十川ヒロコ
ヘアメイク/田中エミ
振付/前田清実
歌唱指導/満田恵子
演出助手/田村由佳
舞台監督/榎 太郎


V6の坂本昌行さん主演のミュージカル『シルバースプーンに映る月』を観劇しました。作・演出を手掛けたG2さんは、『NO WORDS, NO TIME ~空に落ちた涙~』(感想はコチラから)の手掛けた方でもあります。


【あらすじ】

広大な森の広がる、瀟洒な大邸宅。そこに住むのは、大会社の御曹司である敷島綾佑(坂本昌行)と義兄の雅也(鈴木綜馬)。コンシェルジュの鶴田彩月(戸田恵子)をはじめとして、2名の使用人(青山明、園山晴子)がお屋敷のお世話を見ています。使用人たちのもっぱらの噂話のタネは、嵐の夜に必ず聞こえてくると言う謎の歌声のこと。それは3年前のある夜から続いていると言うのですが・・・。

綾佑は会社の経営を義兄の雅也に任せきりで、酒に浸り遊びまわる毎日。3年前のある日から、2人の間には修復しがたい亀裂が生じていたのでした。

ある日、雅也は一計を案じて、その計画を彩月に打ち明けます。ひそかに雅也を愛している彩月は、これぞチャンスとばかりに、雅也の計画に便乗して自分の企ても成功させようと決意します。ところがその時、生まれてすぐに手放した実の娘・美珠希から電話がかかってきて・・・。

さて、ついに決行の日になりましたが・・・?

 


シルバースプーンは、お金持ちの象徴。
それに対して、裕福さでは推測ることのできない
大切なものを象徴するのが、月。
さみしく心細い夜、月は誰の上にも等しく輝きますよね。
だから、
"シルバースプーンそのものに価値があるのではなく、
そこに映る月の美しさや神秘にこそ本当の価値がある"
本作のタイトルには、そんな意味が込められています。


(公演プログラムより一部抜粋 G2氏によるコメント)


それぞれの思惑が絡み合い、勘違いが勘違いを呼び、もつれにもつれた状況を今度はほぐしていく過程を通じて、ひとりひとりが「大切なもの」、そしてそれを抱えてどう生きていくかを見つめる・・・。そんなお話です。

客席に入ると既に舞台は作られています。上手から下手奥にかけては居間。吹きぬけの大きな出窓。ヴィクトリア朝を思わせる豪奢なソファーとテーブル。2階のドアへつながる階段も設けられています。出窓の向こうは通路も兼ねたテラスになっていて、さらにその向こうには鮮やかな森の緑が生い茂っています。下手奥の壁にはステンドグラスがあります。

下手手前には庭園。薔薇のアーチが作られてあり、出演者はそこから出入りします。透かし模様の美しいガーデンテーブルとチェアの一式が置いてあります。さらに端に演奏席が設けてあり、そこでピアノとアコーディオンの生演奏が行われます。

ある部屋の設定の場面だけ、ビロードのカーテンが施されたアーチ状の吊物が下りてきますが、基本的にはこの居間と庭園だけで芝居は進行していきます。

演出家のG2氏が「日本人の、日本人による、日本人のためのミュージカル」とお話しされているように、設定も登場人物も日本。物語自体もある意味、日本的な・・・というか、日本人なら一度はドラマや小説で見聞きしたことのある展開です。

そこに「勘違い」というひとつのエッセンスを含ませるだけで、物語がどんどん動いていき、出演者もどんどん動き回り、最後はそれぞれが新しいスタート地点に立つところで、幕を下ろします。

ちょっとだけホラーで、ちょっとだけコメディで、ちょっとだけシリアスで、そしてちょっとだけファンタジー。それぞれの点を結ぶのは、そこに込められたちょっとずつの「愛」。

今日もがんばったな。明日もまたがんばろっかな。そんな風に思わせてくれる舞台でした。

まだ初日開けて2日目の舞台でしたので、舞台も客席も充分には温まっていないな~という印象は否めませんが、これから回数を重ねていくに従って、どんどんホットな舞台になっていくことでしょう!とにかく出演者たちがイキイキと躍動していたのが印象的でした。


* * * * *


メインキャストの感想をちょっとずつ。

主演の坂本君。

いやはや、言うまでもないことですけれども、


なんですか、あの黄金比スタイルは。


顔の小ささ、肩幅、身長、脚と腕の長さ、全てのラインが完璧かつ絶妙なバランス!いやん、超カッコイイ!!(←結局そこ)

もちろん、身体的な魅力だけでなく、歌にダンスに大活躍でした!

海外ミュージカルのように朗々と歌い上げるような場面はなく、日常会話の中でこみ上げてきた心情をさらりと歌に乗せる・・・という演出が多かったのですが(←これも、ある意味日本的な手法ですね)、その中で見せる濃やかな情感がきちんと歌に乗せられているのは凄いな~と感心しました。

踊る場面も少なかったのですが、美珠希とワルツを踊る場面では優雅に丁寧にエスコートし、男友達(上口耕平)とタンゴを踊る場面では戸惑いつつも(笑)情熱的に。上口にリフトされてポーズを決める瞬間は、拍手喝さいでした!

ショースターとしての華は充分、歌唱力とダンス力も抜群。坂本君にはこれからも、たくさんミュージカルに出て欲しいなぁと思いました。



美珠希を演じた新妻聖子。持ち前の豊かな美声を生かして、きちんとヒロインとして立っていました。



鈴木綜馬さんはさすがの存在感と実力です。真面目なのに、本人は気付いていないとぼけたキャラクターが素敵でした。甘く響く低音が素敵じゃった・・・☆



そして、この舞台の「キーウーマン」、彩月を演じた戸田恵子さん!

この方の多才ぶりには脱帽です!!この方だけは、キャラクターもパフォーマンスもすでにしっかり完成されていましたからね。これからどんどんヒートアップしていくこと間違いなし!ですよ。

登場人物の中で、公演タイトルでもある「月」の名を冠しているのは、実は戸田さん演じる彩月だけなのですね。そこから既に、彼女がこの物語を動かし、引っ掻きまわしていく「キーウーマン」であることがさりげなく示唆されています。全ては彼女の「勘違い」から始まっていきますからね。

彩月が物語を動かすきっかけを作ると同時に、この物語を集結させる役目も担っています。どんな役目なのかは、御覧になってのお楽しみに・・・☆

* * * * *

魅力的な出演者だけでなく、舞台上のインテリアも、とても凝っています。あと、照明も非常にこだわりのある演出がされていました。

これから観劇予定の方は、そういった舞台上の演出にもぜひ注目してみてくださいね。


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