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第九回 落語「東へ西へ」 [伝統芸能]

2013年9月27日(金) 赤坂区民センター 18:00開演

【番組】

開口一番 『牛ほめ』
(古今亭半輔)
『ガールトーク』(古今亭駒次)
『鶴瓶版 かんしゃく』(笑福亭鶴瓶) ※桂春團治の代演

-仲入り-

太神楽(ボンボンブラザーズ)
『居残り佐平次』(古今亭志ん輔)


笑福亭鶴瓶師匠のトーク番組「きらきらアフロ」を見ていると、「鶴瓶師匠の落語、聞きたいなぁ~」という思いがふつふつと沸いてきました。以前、一度拝見した時、バラエティーで魅せる姿とはうってかわったオトコマエな高座での姿を目の当たりにして受けた衝撃を、今でも鮮明に思い出します。

そんな時に今回の落語会を知り、せっかくの機会なので行ってきました。本来は桂春團治師匠がご出演の予定だったそうですが、体調不良のために鶴瓶師匠の代演が決まったのだそうです。


開口一番 半輔 『牛ほめ』

スタンダードな与太噺。覚えた噺を師匠の指導通りにきっちり演じているなぁという印象。師匠譲りのハキハキとした口調とキビキビとした動作で、とても気持ち良い高座でした。

上方落語では、見台(けんだい)・小拍子(こびょうし)・膝隠(ひざかくし)といった独特の小道具がありますが、その持ち運びや組み立ても前座である半輔がしていました。江戸落語では馴染みのない小道具セットですが、半輔はそれをとても丁寧に持ち運び、注意深く組み立てていて、とても好感が持てました。


駒次 『ガールトーク』

半輔とめっちゃ似ている駒次。本人も高座で「先に言っておきますけれども、兄弟じゃございません」と言っていましたが、本当に似ていました(笑)。

新作落語に取り組んでいる駒次は『ガールトーク』。陰口や噂話の大好きな奥様方の会話のボルテージがどんどん上がって・・・最後は小さな社会にも潜む「毒」をちくりと刺します。

駒次の高座は爽やかさの中にも程よい色気。めまぐるしく展開される奥さま方の会話の中にも、ちょっとした目線やしぐさに女の嫌な部分や媚びをかすかににじませて、惹き込まれました。あるある~!そういうの、絶対あるある~!!って、心の底から共感してしまいました(笑)。

そうそう、落語会に行く前に駒次さんのホームページを拝見したら、かなり本気で鉄道を愛しておられるご様子。鉄道好きの私はめっちゃテンション上がりました(笑)。


鶴瓶 『鶴瓶版かんしゃく』

鶴瓶師匠の落語を初めて目にしたのは、10年以上前に放映されていた深夜のバラエティー番組「ざこば・鶴瓶らくごのご」。番組内で、ゲストと観覧者からお題を募って即興で落語を演じる三題噺のコーナーがありました。

突拍子もないお題や、お茶の間で見ているこちらまで唖然とするお題が上がったりすることも多々あったのですが、鶴瓶師匠は毎回淡々と、さらりと三題噺に綺麗に仕立て上げ、その見事な手腕に「このヒトはほんまに頭がええんやなぁ」と感嘆した記憶があります。

師匠の高座を直に拝見するのは、2007年の「大銀座落語祭」以来、実に6年ぶり。(その時のレポはコチラから☆

今回演じられたのは、ご自身の師である松鶴師匠との思い出話をベースにした噺。師匠のかんしゃくっぷりに大笑いし、その影で時おり見せる弟子への愛情と思いやりにホロリと泣かされる噺でした。

鶴瓶師匠の高座は本当に久しぶりでしたが、いや~、シビレました!!

バラエティやテレビ番組で見る姿はお茶目でチャーミングですけれど、高座での鶴瓶師匠って、何とも言えない渋さと凄みがあるんですよ。そして声も落ち着いたハスキーボイスで、めちゃくちゃ良いんですよ~!!思わずドキドキしちゃいました(笑)。

また、最初からテンションを上げて見物を引っ張るというよりは、見物のボルテージに合わせて徐々にテンションを上げて、メリハリつけながらサゲに持って行く感じですね。最初から見物を引っ張っていくのではなく、見物の空気に添いながら乗せていく感じ。その感覚がまた心地よくて、惚れ惚れしちゃいました。

鶴瓶師匠の高座、一度はその目でご覧になることを強く強くオススメします!!


古今亭志ん輔 『居残り佐平次』

客席を巻き込んだボンボンブラザーズさんの楽しい太神楽の後は、トリの志ん輔師匠。廓噺のひとつである『居残り佐平治』を熱演。

貧乏長屋の連中が、佐平次の呼びかけで品川にある豪華な遊郭へ。さんざん飲んで遊んだ翌朝、佐平次は連中を帰すと、廓に「居残り」を始めて・・・?

志ん輔師匠の高座は、ザ・江戸落語という感じ。スッキリとした口跡でスピード感のある高座でした。その疾走感が、最後まで途切れずに持続できていたのはお見事。流石の実力派です。

この噺は、サゲ(落ち)が現在ではあまり使用しない言葉をかけている事から、噺家さんそれぞれにサゲを工夫されているそうなのです。今回の志ん輔師匠は、「先にサゲを説明しておきますねっ」と、あっさり解説。この思い切りの良さと潔さも、志ん輔師匠らしいなぁと思いました。


* * * * *


良い意味で、江戸落語と上方落語の違いを体感できる落語会でした。

最近、たて続けに落語会に行って感じるのは、「聴く」というのは本当にものすごい集中力と想像力を要するのだと言うこと。なおかつ健康に良いとされる「笑い」も提供してくれるのですから、脳にすごく良い刺激を与えてくれるものだなぁと実感しています。

春團治師匠の体調も、順調に快方に向かっているとのこと。上方落語四天王のおひとり、一日も早くお元気な姿を高座で拝見できますように!


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