嵐山 大河内山荘 [旅]
「丸ちゃんの心に触れる旅」の途中、嵯峨野の竹林の道で行きあたったのが、「大河内山荘」。
大正~昭和前半にかけて時代劇スターとして活躍した俳優、大河内傳次郎(1898-1962)が約30年の歳月をかけて造営した広大な日本庭園です。
入園料は茶席付で1000円。周辺の寺社や施設と比べると少し高いと感じられるのか、訪れる人はまばら。けれど入園してみると、丁寧に心をこめて整備され行き届いた庭園の美しさに深い感動を受けました。
小倉山の向かい、亀山の中腹に造営された庭園は約2万平方メートルという、とてつもない広さ。順路にしたがって歩くだけでも、かなりの歩数になります。
仏教への信仰が篤かった傳次郎の園内にはこのようなお地蔵様や石塔が、豊かな緑に包まれています。
大河内傳次郎が庭園造営初期に建設したという持仏堂。国の文化財に指定されています。
茶室「滴水庵」。
庭園の中でも奥のほうにあるので、本当に静かな空間が広がっています。
「滴水庵」の縁側から見える風景。
しっとりとした空気と緑の清々しい空気に、ふーっと心が軽くなるような感覚になりました。
滴水庵でしばし休息した後、紅葉を始めた自然の空気と香りを身体中に感じながら再び散策。
園内には、「大河内傳次郎資料館」もあります。
解放された自然の空間の中で楽しめる記念館というのは新鮮ですね。
館内には大河内傳次郎の写真は書き抜き(台本から自分のセリフの部分だけを書き抜いたもの)などが展示されています。
大河内の代表作『丹下作膳』のスチール写真。
ものすごい迫力の眼差し…。
散策を終えると、休憩所でお茶席のサービスをいただきました。
茶菓子は「大河内山荘」と刻印された最中。こちらのオリジナルのお菓子です。
少し日が傾いて肌寒くなってきた時間帯でしたので、温かい抹茶がお腹にぐーっと染みて、ホッと落ち着きました。
展望台「月香亭」から一望できる京都市街。遠くに比叡山が見えます。
丘陵の中腹にあるので、一回りするだけでも結構な距離と時間がかかります(アップダウンも激しいので、体調が悪い時などはしんどいかも…)が、観光客も少なく、ゆったりと落ち着いて「京都」を感じられる場所です。
無心で自然の中の道を歩き、ふと立ち止まって仰いだ時に目に入ってくる鮮やかな空の青や樹木の緑に心を奪われ、耳に入ってくる野鳥のさえずりに心を和ませ、土や木の香りを胸いっぱいに吸い込み…日常生活の中で硬く強張ってしまった心がやわらかくほぐれていくような感覚をおぼえます。こういう時間、本当に大事ですよね。
嵐山を訪れた際には、ぜひぜひ足を運んでいただきたいスポットです。