夢の名残 ~2014年3月17日の光景~ [宝塚歌劇]
もう、すっかり時が経ってしまいましたけれども、人生最良の、最幸(さいこう)の日であった、蘭寿とむ大劇場ラスト・デイ。
私が体験した1日の風景、光景をまとめておきたいと思います。
「蘭寿とむ」、「蘭寿さん」、「らんとむ」、「まゆさん」など、蘭寿に対する表記が統一されずに混在していますが、記事執筆中、その文を書いた時にパッと頭に思い浮かんだ呼称をそのまま記しています。
宝塚のトップスターのラスト・デイは、楽屋入りから始まります。
これまで、トップスターさんのサヨナラ公演終了後のお見送りは何度か経験したことがあるのですが、千秋楽の入り待ちはしたことがありません。最後の公演に挑むスターさんへエールを送るちょっとしたセレモニーがある千秋楽の入りは、一般ファンには縁遠いもの、スターと組子、そして支え続けてきたファンクラブ会員の間で交わされる交歓のひとつ・・・という認識があって、何となく遠慮していたのです。
しかし、今回ばかりはそれでも良い、大劇場千秋楽にまつわる光景をひとつでも多く目に焼き付けて、その空気に少しでもふれて、とにかく、この日の全てを心の中に思い出として刻みたい、と思い、楽屋入り見学に参加することにしました。
とは言え、楽屋入りの時間など、詳しいことは知るよしもなく・・・。開演時間から逆算し、おそらく9時半から10時半の間に入るんじゃないかな?と予測。当日の朝、滞在していた大阪空港ホテルを出発して、9:15大阪空港発のバスで宝塚大劇場に向かいました。
楽屋口に到着したのは10時前。すでに蘭寿とむFCの皆さんは楽屋口前の広場に整然と待機していらっしゃいます。私は楽屋口から道路を挟んで花の道に設営されたウッドデッキにて、これまた多くのファンの皆さんに埋もれながら待ちます。
月央和沙(よっち)の楽屋入りに間に合って、良かった!ショート丈の真っ白なミリタリーコートに真っ白なズボンにブーツ、すごくカッコよかったです。
10時過ぎに、楽屋口から花組生さんが出てきて、整列。全員、白のシャツやブラウスに黒パンツで統一されています。先頭は明日海りおと蘭乃はな。らんちゃん(蘭乃)は両手に白い布を持っています。マントか何かかな?
みりお君(明日海)、とても緊張していたのでしょう、やたら落ち着きがなくて、キョロキョロしたり、ちょっと身を乗り出してみたり、胸に手を当てていたりして、なんか小動物みたいにずっとちょこちょこ仕草をしていて、可愛かったです。
10:15過ぎ、我らが蘭寿さん、到着!!みりお君とらんちゃんが出迎えます。
埋もれながら、車の陰になりながらだったのでわかりにくかったのですが、いつものほんわかした柔らかい笑顔でした。
みりお君とらんちゃんがお手伝いして、らんとむに白い布を装着(笑)。やっぱりマントだったんですね~☆その間、らんとむはなされるがままの状態で、「え~、これ着けんの~?なになに~?」みたいにずっと笑顔でした。か、かわゆす・・・!!
その後は群衆に埋もれて何が何だかわからなくなったのですが、気がつくと、蘭寿さんがお輿、ならぬ馬車に乗せられていました。
そしてそのお輿(もとい馬車)を担ぐのは、路線男役たち(笑)。しかも全員、白馬の被り物に白い手袋、そして白馬の尻尾を付けた、いわゆる白馬コスプレ(笑)。花組男役の本気を見た・・・!
白馬隊の先頭は、瀬戸かずやと芹香斗亜。あとは・・・天真みちると鳳真由、大河凛はなんとなく目視確認できました。
めっちゃ満面の笑みでお輿(もとい以下略)に乗せられる蘭寿さん。もう、ずーっとくニコニコ☆ニコニコ☆していて、めーっちゃかわいかったー!!
白馬隊がお輿を担ぐと、(たぶん)みつる君の声で「せーの!」と掛け声がかかり、楽屋口前に整列した花組生全員で「だーから決めたのさー♪」と、ショーの挿入歌「無限の愛」のアカペラコーラスがスタート。
歌っている間中、組子たちは右手を左胸に当てていたのですが、コーラスが終わった後、「Your Infinity!!」の掛け声とともに、両手を蘭寿に向かって差し出す動き。そしてそのまま、ショーの主題歌「MUGEN DREAM」へ!ここはショーの「無限の愛」と同じ展開です。
軽快なメロディーと花組生一丸となったコーラスの中、FCの列をお輿(by白馬隊)で粛々と練り歩きながら拝謁式に臨む蘭寿さん(笑)。満面の笑顔でフリフリとお手振りしています。か、かわいい・・・☆そして楽しい・・・☆
楽屋口の前に設置されたお立ち台(←望海風斗くん自ら設置w)に立つ蘭寿さん。その間も「なに?なに?何されんの~?」みたいにワクワクした笑顔が止まらない蘭寿さん。かっ・・・かわいい・・・!!
すると、蘭寿と同じ公演で卒業する退団者が登場。よっちが蘭寿に剣を渡します。この剣も遠目から見てもわかるくらい、かなり本格仕様で・・・この一瞬にかける花組生の真剣(マジ)さが伝わってきます(笑)。
らんとむが剣を抜くと、再びみつる君(たぶん)が「せーの!」と号令をかけて、花組生による口上。
「まゆさん、おはようございます!!」
まさかのフツーの挨拶から始まった口上に、大爆笑する蘭寿さんとFCの皆さん、そして一般ファンの我々(笑)。
あとの口上は、ボーっとしていてよく覚えていないのですが(おい)、「私たちはまゆさんに守られて、夢いっぱいです!」みたいな言葉の後、蘭寿さんが剣を振り上げて、「何が結束だー!」と呼び掛けると、「まゆさんが結束だ―!!」と拳を振り上げながら答える花組生のやりとりがあって、じ~ん・・・。
この後は、蘭寿さんがマント着用、剣装備のままお立ち台に残り(笑)、楽屋口前で待っていてくれたFC会員さんへ挨拶。言葉は聞き取れなかったのですが、白いマントを翻し、剣を振りかざしつつ檄を飛ばす(?)蘭寿さんの後姿がカッコよくてカッコよくてカッコよくて仕方ありませんでした。
当たり前の事ですけれども、退団するご本人にとっては初めてのセレモニー。いろいろと段取りがあって、そのパタパタした様子(はあまり見えませんでしたけれども雰囲気)も楽しかったです。その間も「えーと、次どうすんの~?」みたいにほんわかした笑顔で次の指示を待っているらんとむが超絶可愛すぎて悔いなし・・・!!
ところで、宝塚大劇場の楽屋口は歌劇団事務所の玄関でもあり、お稽古場の入口でもあります。ということは、次回公演のお稽古中の他組の生徒さんも同じ場所から出入りをされているわけです。
千秋楽のセレモニーの時は、他組の生徒さんはどうするのかな?時間をずらして入るのかな?と以前から疑問に思っていたのですが、特に時間調整があるわけでもないようで、皆さん普段通りに入られている様子。ただ、セレモニーが実施されている最中は、気配を察して、決して邪魔にならない場所で待機されていました。長年の謎が解けて、スッキリ☆
* * * * *
蘭寿さんが無事に楽屋入りした後は、武庫川大橋を渡って宝塚ホテルへ。1階ロビーの宝塚歌劇関係の展示を見に行きました。
公演で使用されたシャンシャン。
懐かしい公演ポスターがいっぱい。
花組大劇場公演の舞台写真もありました!ラッキー☆
各組トップスター。
『愛と革命の詩』で蘭乃はなが演じたマッダレーナの衣装。
気品の中に愛らしさ、可憐さもあって、好きなドレスのひとつです。
かつての阪急電鉄の車両。なんとお菓子で出来ているんですよ~!
運転士さんはもちろん、乗客の皆さんもしっかり作り込まれています。
宝塚ホテル内のレストランで早めのランチ。
上の写真は、そのレストランで用意されていたランチョンマット。1932(昭和7)年にかつての宝塚ファミリーランド~宝塚大劇場付近で開催された「婦人子供博覧会」の会場全体図が描かれています。大劇場の位置は昔からほとんど変わっていないのですね~。
* * * * *
ランチを済ませて、大劇場へ戻ります。
この蘭寿さん等身大(だと信じている)パネル、退団後はどうするのかなぁ・・・。貰えないのかなぁ・・・。
キャトレ前にて、前日あっという間のご縁でお会いすることができた魔法使いさまと、再びご挨拶。束の間の時間でしたが、お会い出来て本当に嬉しかったです。お互いの健闘を祈りつつお別れして、いよいよ大劇場の改札を通りました。
サヨナラショーについては、コチラとコチラで報告した通りです。とにかく蘭寿とむらしい思いやりと熱さに満ちた時間、空間でした。
終演後は、大劇場の正面エントランスへ。放心状態でフラフラしていた私はあれよあれよと群衆に押し出され、気がつけば花の道の人々の中に埋もれていました・・・。
この日は6,000人のファンが集まったそうですね。その中のひとりとして私もいたのですね~・・・。
このようなわけで、約2時間後に登場した蘭寿さんのお見送りは、なーんにも見えませんでした(涙)。けれど、FC会員の皆さんによる口上のあと、「Thank you!!(せーんきゅー!!)」と叫んだ蘭寿さんの声だけは、不思議なくらいはっきりと聞き取ることができました。
あんなにも朗らかで、爽やかで、充実感に満ちた、そして何よりも、あんなにも優しさと想いの込められた「Thank you」を、私は聞いたことがありません。今でもあの声が心によみがえると、幸せな気持ちがあふれて泣きそうになります。
後日、魔法使いさまをはじめ多くの方が、胡蝶蘭のブーケと共に、にこやかに手を振る袴姿の蘭寿さんの写真やニュース記事を送ってくださいました。スッキリと晴れやかな笑顔・・・。とても嬉しく幸せでした。
あっという間の1日でしたが、密度の濃い1日でした。
蘭寿さんをお見送りした後は、前日、不思議な巡り合わせであれよあれよという間にお会いすることになった青い鳥さまと、花の道の逸翁像の下で待ち合わせ。前日はお互い浮足立ったままお別れしてしまったので(笑)、あらためてきちんとご挨拶。
今回のツアーで初めてお目にかかった青い鳥さまは、とても思慮深くて上品な方。生来の早口に加えて、酔っ払って(←大劇場ラスト・デイの夜は一杯飲むと決めていましたw)呂律が回らず、頭の回転に口の回転が追いつかず「あれ、えっと何の話してたっけ・・?」となってしまう私の取りとめもないノンストップらんとむトークにも、優しく頷きながら聞いてくださる本当に素敵な女性。昔の宝塚のお話もたくさん伺うことができて、貴重な有り難いひとときでした。
私に幸せな夢を繋げてくださった青い鳥さま、実はもうひとつ、幸福の贈り物を私に分け与えてくださったのです!
昨年12月に開催された、蘭寿とむディナーショー『T-ROAD』のフライヤーとプログラムです!!
宝塚も東京もドンピシャで旅の予定と重なってしまい、涙ながらに断念したディナーショー。お母様と鑑賞なさったという青い鳥さま、会場で手に入れたフライヤーとプログラムを、なんと私にお譲りくださったのです。
う・・・嬉しい・・・このフライヤー、蘭寿さんが美しすぎて本当に欲しかったのです・・・。青い鳥さま(と、お母様)、心の底からありがとうございました!!
はわわ~・・・いつ見ても綺麗やな~・・・。このフライヤーとプログラム、一刻も早くパウチ加工しなくちゃ!!
この幸運な出逢いも、蘭寿とむに出逢い、応援してきたからこそ導かれ、引き寄せられたのですよね。らんとむが紡いでくれた縁に、あらためて感謝しています。
いつもと変わらない、宝塚大劇場の風景。
次に私がこの場所を訪れる時は、この日の限りなく幸せな記憶と甘酸っぱい切なさが綯い交ぜになって胸に広がるのでしょう。
最高の1日を共に過ごしてくれた全ての方に・・・
「Thank you!!」