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東京宝塚劇場開場八十周年記念特別展 「日比谷に咲いたタカラヅカの華」 [展覧会]

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2014年4月23日(水)~6月22日(日) 日比谷図書文化館 1F特別展示室

公式サイト→http://hibiyal.jp/hibiya/museum/exhibision2014.html


創立100周年で沸き立つ宝塚歌劇。実は東京公演のホームグラウンドである東京宝塚劇場も、開場80周年という記念の年に当たります。

日比谷図書文化館(旧・千代田区立日比谷図書館)では、東京宝塚劇場80周年記念特別展「日比谷に咲いたタカラヅカの華」を開催中です。これまでの東京宝塚劇場の歴史を、貴重な公演資料と共に振り返ります。


1914年、宝塚歌劇(当時は宝塚少女歌劇)を創設した小林一三(逸翁)の次なる目的は、東京に常打ち公演の宝塚歌劇団専用の劇場を建てることでした。それまで、東京公演は帝国劇場や歌舞伎座、新橋演舞場で実施されていました。

少女歌劇が誕生してちょうど20年後の1934年1月1日、ついに東京宝塚劇場が開場します。この日の喜びを、逸翁は次のように書き残しています。


* * *


昭和九年一月一日!大東京市の中央 日比谷公園に相対して 新しく生れるべき名所――それは 日比谷アミューヅメント、センター、これが、私の初夢である。(中略)我等の初舞台 清く 正しく 美しく 我等の宝塚こそ 大衆芸術の陣営 家庭共楽の殿堂 おゝ、我東京宝塚劇場!日本一 宏壮美麗なるこの劇場こそ 国民劇創成の揺籃地(ようらんち・・・出生地、物事が発生した始まりの地)として 高尚なるアミューヅメントの楽園の序幕が 一月一日このよき日を以て、開かれるのである。私は実に嬉しい!只だ嬉しいのである。

小林一三
『宝塚少女歌劇二十年史』
「初夢有楽町(ハツユメアミューヅメントセンター)」
(1934年1月1日東京宝塚劇場開場記念として本書を再版するに当って)


* * * 


こけら落とし公演のプログラムは『花詩集』、『寶三番曳』、『巴里のアパッシュ』、『紅梅殿』の4本立て。当時は歌舞伎の興行に倣って番組が組まれていたのでしょうね。

展示では、以下の章に分かれ、ゆかりの品々が展示されています。


第一章 宝塚少女歌劇、東京の本舞台へ 
~東京初公演は帝国劇場で
1918~1933年


当時の公演写真や、公演プログラム(当時は番組と言われていました)などが展示されています。

驚いたのが、プログラムの小ささ!ちゃんと確認していないのですが、掌に載るくらいのサイズなのですよ!おそらく、今でいうB5サイズをさらに4つ折りしたくらいのミニマムサイズ。それでも、ちゃんと香盤(配役表)が掲載されていました。

そしてちょっと興味深かったのが、当時からすでにスポンサー広告が存在していたということ。例えば、プログラムのコラムとして紹介されているのは、「二分間早化粧の仕方」。それによりますと・・・(以下、要約)


クラヴ乳液をふくませた脱脂綿で、肌にまんべんなく拭います。その上から、クラヴ化粧水で溶いたクラヴ白粉を塗り、さらにクラヴ白粉を刷き付けます。上からクラヴ頬紅を乗せると、健康的なメイクの完了です。


・・・これ、完全に「クラヴ化粧品」の宣伝ですよね?!(笑)

いやぁ、80年も前から、こういう企業広告みたいのはあったんですね~。少女歌劇のこのような試みは、劇場ビジネスでも先駆的だったのではないでしょうか。

また、天津乙女先生の特別展示もありました。天津さんが獅子を舞われた際の押隈(おしぐま:隈取りをした役者が役を終えた後、ヌメという襦子織りの絹布の一種で取る顔拓)や、直筆の色紙、舞台で使用された扇などが展示されていました。

獅子を舞う天津先生のパネル写真もあったのですが、写真なのに、腰がしっかりと決まって、寸分も揺らぐことのない強靭さと勇壮さがまざまざと伝わってきます。今、獅子を舞っている龍真咲にもぜひこの写真を見て欲しいなぁ。


第二章 東京宝塚劇場開場 
~アーニー・パイル劇場と名を変えて

1934~1954年

戦時中の公演時のプロマイドやポストカードなどが展示されています。男役は軍服、娘役はモンペ姿で、戦時色が濃くなっていますね。

終戦後は米軍により劇場は接収。「アーニー・パイル劇場」と名を変えられました。その間、宝塚の東京公演は日本劇場、江東劇場、帝国劇場などで実施されていました。


第三章 再び東宝の手に 
~ネオン輝き、美しい歌声のもれる劇場へ
1955~1997年


1955年1月に米軍接収が解除され、4月公演『虞美人』で東京宝塚劇場での公演が再開します。

この章では、『ベルサイユのばら』ブームを中心に、当時の公演ポスターやプログラム、LPカバー(だと思います・・・)などが展示されています。

先日の100周年イベントで私の心をわしづかみにした眞帆志ぶきさんのプログラムも発見。スータンさん、昔も今も変わらないオーラとカリスマ性で、驚いてしまいました。

麻実れいさんと遥くららさんによる『うたかたの恋』ポスターを発見して、ウハウハ♪(笑)

大浦みずきさんや紫苑ゆうさんがトップ時代の公演プログラムも展示されていて、懐かしかったですね~。


第四章 TAKARAZUKA1000days劇場を経て新東京宝塚劇場開場
1998~2013年

1997年、東京宝塚劇場は建て替えの為にいったん閉場します。4年の歳月を経て、現在の新・東京宝塚劇場が開場。工事中の約3年半の期間は、有楽町駅前に建てられた仮設劇場「TAKARAZUKA1000days劇場」で公演が実施されていました。

このコーナーでは、旧東京宝塚劇場の最後を飾った公演『ザッツ・レビュー』の舞台衣装、そして新東京宝塚劇場のこけら落とし公演『愛のソナタ』の舞台衣装が展示されています。

『ザッツ・レビュー』は『花詩集』をオマージュした作品でもあった為(内容はだいぶ変わりますけど・・・)、お衣装には美しい花のモチーフが使われています。

舞台衣装は撮影可能でした。最近、携帯のカメラ機能の調子が本当に悪くて、あまり綺麗な写真ではありませんが・・・。

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『ザッツ・レビュー』で使用された衣装。

スパンコールに、蘭の刺繍がゴージャス~。娘役のドレスには、肩と裾に蘭の花の飾りがふんだんにあしらわれています。すみれのブーケをイメージしたシャンシャンも展示されています(持てませんがw)。


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『愛のソナタ』は、真琴つばささんのサヨナラ公演。

懐かしいなぁ・・・(遠い目)。

こちらのコーナーでは、1998年の宙組新設公演『エクスカリバー』で実際に小道具として使用された剣、小道具や衣装デザインを検討する際に使用される小道具帳なども展示されています。

また、1000days劇場のこけら落とし公演『WEST SIDE STORY』(月組)、最後の公演となった『ミレニアム・チャレンジャー!』のポスターも見ることが出来ます。

マミさん(真琴)、1000days劇場に新東京宝塚劇場と、2つの劇場のこけら落とし公演の主演を任されたのですね。凄いことです。


第五章 東京宝塚劇場八十周年 
~新たなる挑戦
2014年~


こちらでは、東京宝塚劇場80周年最初の公演『CONGRATULATION 宝塚!!』の映像が流れていました。

専用スクリーンではなく、白い壁に投影させているので、あまり鮮明ではありませんが、ベンチもわずかながら設置されていますし、この公演を見逃した方は、ぜひ鑑賞していきましょう(笑)。

そして、現在のトップスターを中心とした公演ポスターが展示されています。


第六章 宝塚歌劇と原作本
~シェイクスピアから人気漫画まで


最後は図書館らしい展示。これまで上演されてきた宝塚の公演とその原作本をピックアップして、それぞれの公演ポスターと実物の原作本が展示されています。原作本は手にとって読むこともできます。

以下、公演と原作本です。図書文化館が推薦している書籍を集めてみました。()内は、その公演を上演した組。すなわち、その時の公演ポスターが展示してあるということを意味しています。


(花組)『銀ちゃんの恋』=蒲田行進曲 (1982年) (角川文庫)

(雪組)『カラマーゾフの兄弟』=カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)

(花組)『虞美人』=項羽と劉邦 (岩波文庫)

(宙組)『誰がために鐘は鳴る』=誰がために鐘は鳴る〈上〉 (新潮文庫)

(月組)『バラの国の王子』=美女と野獣 (大型絵本)

(専科)『おかしな二人』=ニール・サイモン〈1〉おかしな二人 (ハヤカワ演劇文庫)

(月組)『アリスの恋人』=不思議の国のアリス (角川文庫)

(花組)『復活―恋が終わり、愛が残った―』=復活 (上巻) (新潮文庫)

(宙組)『仮面のロマネスク』=危険な関係 (エクス・リブリス・クラシックス)

(花組)『サン=テグジュペリ』=新訳 星の王子さま (宝島社文庫)

(月組)『ベルサイユのばら―オスカルとアンドレ編―』=ベルサイユのばら 全5巻セット (集英社文庫(コミック版))

(雪組)『ブラック・ジャック―許されざる者への挽歌―』=ブラック・ジャック (1) (少年チャンピオン・コミックス)

(星組)『ロミオとジュリエット』=ロミオとジュリエット (新潮文庫)

(宙組)『風と共に去りぬ』=風と共に去りぬ (1) (新潮文庫)

(雪組)『心中・恋の大和路』=雨月物語・冥途の飛脚・心中天の網島 (日本の古典をよむ)

(雪組)『一夢庵風流記 前田慶次』=一夢庵風流記 (集英社文庫)


* * * * *


特別展示室を出た廊下には、戦前戦時中のタカラジェンヌの貴重なオフショットも展示されています。原爆で命を落とされた園井恵子さんのお写真も。ファンとの交流の中で見せるこぼれるような笑顔が、心に染みました。

期間中に展示替えもあるそうですし、東宝はもちろん、近くの劇場にお越しの際は、ぜひとも足を伸ばしていただきたい特別展です。


日比谷文化図書館は初めて訪れましたが、モダンな建築とデザインの中に歴史の香りも残されていて、とても気に入りました。

無線LAN・コンセント完備でゆっくりできるカフェも2店舗入っていますし、静かですし、ダブルヘッダー観劇の合間に気分転換するのにはもってこいの場所だと思います(←あくまでも観劇目線w)。

また機会があれば、訪れたい場所のひとつになりました。


「日比谷に咲いたタカラヅカの華」

★開室時間★
平日:10:00~20:00
土曜日:10:00~19:00
日・祝日:10:00~17:00

★休館日★
毎月第3月曜日
(期間中は5月19日、6月16日)

★観覧料★
大人:300円
大学・高校生:200円
千代田区民、中学生以下、障害者手帳持参及び付添者1名は無料

日比谷図書文化館のホームページ
http://hibiyal.jp/hibiya/index.html

 


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