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東京宝塚劇場開場八十周年記念特別展 「日比谷に咲いたタカラヅカの華」 [展覧会]

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2014年4月23日(水)~6月22日(日) 日比谷図書文化館 1F特別展示室

公式サイト→http://hibiyal.jp/hibiya/museum/exhibision2014.html


創立100周年で沸き立つ宝塚歌劇。実は東京公演のホームグラウンドである東京宝塚劇場も、開場80周年という記念の年に当たります。

日比谷図書文化館(旧・千代田区立日比谷図書館)では、東京宝塚劇場80周年記念特別展「日比谷に咲いたタカラヅカの華」を開催中です。これまでの東京宝塚劇場の歴史を、貴重な公演資料と共に振り返ります。


1914年、宝塚歌劇(当時は宝塚少女歌劇)を創設した小林一三(逸翁)の次なる目的は、東京に常打ち公演の宝塚歌劇団専用の劇場を建てることでした。それまで、東京公演は帝国劇場や歌舞伎座、新橋演舞場で実施されていました。

少女歌劇が誕生してちょうど20年後の1934年1月1日、ついに東京宝塚劇場が開場します。この日の喜びを、逸翁は次のように書き残しています。


* * *


昭和九年一月一日!大東京市の中央 日比谷公園に相対して 新しく生れるべき名所――それは 日比谷アミューヅメント、センター、これが、私の初夢である。(中略)我等の初舞台 清く 正しく 美しく 我等の宝塚こそ 大衆芸術の陣営 家庭共楽の殿堂 おゝ、我東京宝塚劇場!日本一 宏壮美麗なるこの劇場こそ 国民劇創成の揺籃地(ようらんち・・・出生地、物事が発生した始まりの地)として 高尚なるアミューヅメントの楽園の序幕が 一月一日このよき日を以て、開かれるのである。私は実に嬉しい!只だ嬉しいのである。

小林一三
『宝塚少女歌劇二十年史』
「初夢有楽町(ハツユメアミューヅメントセンター)」
(1934年1月1日東京宝塚劇場開場記念として本書を再版するに当って)


* * * 


こけら落とし公演のプログラムは『花詩集』、『寶三番曳』、『巴里のアパッシュ』、『紅梅殿』の4本立て。当時は歌舞伎の興行に倣って番組が組まれていたのでしょうね。

展示では、以下の章に分かれ、ゆかりの品々が展示されています。


第一章 宝塚少女歌劇、東京の本舞台へ 
~東京初公演は帝国劇場で
1918~1933年


当時の公演写真や、公演プログラム(当時は番組と言われていました)などが展示されています。

驚いたのが、プログラムの小ささ!ちゃんと確認していないのですが、掌に載るくらいのサイズなのですよ!おそらく、今でいうB5サイズをさらに4つ折りしたくらいのミニマムサイズ。それでも、ちゃんと香盤(配役表)が掲載されていました。

そしてちょっと興味深かったのが、当時からすでにスポンサー広告が存在していたということ。例えば、プログラムのコラムとして紹介されているのは、「二分間早化粧の仕方」。それによりますと・・・(以下、要約)


クラヴ乳液をふくませた脱脂綿で、肌にまんべんなく拭います。その上から、クラヴ化粧水で溶いたクラヴ白粉を塗り、さらにクラヴ白粉を刷き付けます。上からクラヴ頬紅を乗せると、健康的なメイクの完了です。


・・・これ、完全に「クラヴ化粧品」の宣伝ですよね?!(笑)

いやぁ、80年も前から、こういう企業広告みたいのはあったんですね~。少女歌劇のこのような試みは、劇場ビジネスでも先駆的だったのではないでしょうか。

また、天津乙女先生の特別展示もありました。天津さんが獅子を舞われた際の押隈(おしぐま:隈取りをした役者が役を終えた後、ヌメという襦子織りの絹布の一種で取る顔拓)や、直筆の色紙、舞台で使用された扇などが展示されていました。

獅子を舞う天津先生のパネル写真もあったのですが、写真なのに、腰がしっかりと決まって、寸分も揺らぐことのない強靭さと勇壮さがまざまざと伝わってきます。今、獅子を舞っている龍真咲にもぜひこの写真を見て欲しいなぁ。


第二章 東京宝塚劇場開場 
~アーニー・パイル劇場と名を変えて

1934~1954年

戦時中の公演時のプロマイドやポストカードなどが展示されています。男役は軍服、娘役はモンペ姿で、戦時色が濃くなっていますね。

終戦後は米軍により劇場は接収。「アーニー・パイル劇場」と名を変えられました。その間、宝塚の東京公演は日本劇場、江東劇場、帝国劇場などで実施されていました。


第三章 再び東宝の手に 
~ネオン輝き、美しい歌声のもれる劇場へ
1955~1997年


1955年1月に米軍接収が解除され、4月公演『虞美人』で東京宝塚劇場での公演が再開します。

この章では、『ベルサイユのばら』ブームを中心に、当時の公演ポスターやプログラム、LPカバー(だと思います・・・)などが展示されています。

先日の100周年イベントで私の心をわしづかみにした眞帆志ぶきさんのプログラムも発見。スータンさん、昔も今も変わらないオーラとカリスマ性で、驚いてしまいました。

麻実れいさんと遥くららさんによる『うたかたの恋』ポスターを発見して、ウハウハ♪(笑)

大浦みずきさんや紫苑ゆうさんがトップ時代の公演プログラムも展示されていて、懐かしかったですね~。


第四章 TAKARAZUKA1000days劇場を経て新東京宝塚劇場開場
1998~2013年

1997年、東京宝塚劇場は建て替えの為にいったん閉場します。4年の歳月を経て、現在の新・東京宝塚劇場が開場。工事中の約3年半の期間は、有楽町駅前に建てられた仮設劇場「TAKARAZUKA1000days劇場」で公演が実施されていました。

このコーナーでは、旧東京宝塚劇場の最後を飾った公演『ザッツ・レビュー』の舞台衣装、そして新東京宝塚劇場のこけら落とし公演『愛のソナタ』の舞台衣装が展示されています。

『ザッツ・レビュー』は『花詩集』をオマージュした作品でもあった為(内容はだいぶ変わりますけど・・・)、お衣装には美しい花のモチーフが使われています。

舞台衣装は撮影可能でした。最近、携帯のカメラ機能の調子が本当に悪くて、あまり綺麗な写真ではありませんが・・・。

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『ザッツ・レビュー』で使用された衣装。

スパンコールに、蘭の刺繍がゴージャス~。娘役のドレスには、肩と裾に蘭の花の飾りがふんだんにあしらわれています。すみれのブーケをイメージしたシャンシャンも展示されています(持てませんがw)。


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『愛のソナタ』は、真琴つばささんのサヨナラ公演。

懐かしいなぁ・・・(遠い目)。

こちらのコーナーでは、1998年の宙組新設公演『エクスカリバー』で実際に小道具として使用された剣、小道具や衣装デザインを検討する際に使用される小道具帳なども展示されています。

また、1000days劇場のこけら落とし公演『WEST SIDE STORY』(月組)、最後の公演となった『ミレニアム・チャレンジャー!』のポスターも見ることが出来ます。

マミさん(真琴)、1000days劇場に新東京宝塚劇場と、2つの劇場のこけら落とし公演の主演を任されたのですね。凄いことです。


第五章 東京宝塚劇場八十周年 
~新たなる挑戦
2014年~


こちらでは、東京宝塚劇場80周年最初の公演『CONGRATULATION 宝塚!!』の映像が流れていました。

専用スクリーンではなく、白い壁に投影させているので、あまり鮮明ではありませんが、ベンチもわずかながら設置されていますし、この公演を見逃した方は、ぜひ鑑賞していきましょう(笑)。

そして、現在のトップスターを中心とした公演ポスターが展示されています。


第六章 宝塚歌劇と原作本
~シェイクスピアから人気漫画まで


最後は図書館らしい展示。これまで上演されてきた宝塚の公演とその原作本をピックアップして、それぞれの公演ポスターと実物の原作本が展示されています。原作本は手にとって読むこともできます。

以下、公演と原作本です。図書文化館が推薦している書籍を集めてみました。()内は、その公演を上演した組。すなわち、その時の公演ポスターが展示してあるということを意味しています。


(花組)『銀ちゃんの恋』=蒲田行進曲 (1982年) (角川文庫)

(雪組)『カラマーゾフの兄弟』=カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)

(花組)『虞美人』=項羽と劉邦 (岩波文庫)

(宙組)『誰がために鐘は鳴る』=誰がために鐘は鳴る〈上〉 (新潮文庫)

(月組)『バラの国の王子』=美女と野獣 (大型絵本)

(専科)『おかしな二人』=ニール・サイモン〈1〉おかしな二人 (ハヤカワ演劇文庫)

(月組)『アリスの恋人』=不思議の国のアリス (角川文庫)

(花組)『復活―恋が終わり、愛が残った―』=復活 (上巻) (新潮文庫)

(宙組)『仮面のロマネスク』=危険な関係 (エクス・リブリス・クラシックス)

(花組)『サン=テグジュペリ』=新訳 星の王子さま (宝島社文庫)

(月組)『ベルサイユのばら―オスカルとアンドレ編―』=ベルサイユのばら 全5巻セット (集英社文庫(コミック版))

(雪組)『ブラック・ジャック―許されざる者への挽歌―』=ブラック・ジャック (1) (少年チャンピオン・コミックス)

(星組)『ロミオとジュリエット』=ロミオとジュリエット (新潮文庫)

(宙組)『風と共に去りぬ』=風と共に去りぬ (1) (新潮文庫)

(雪組)『心中・恋の大和路』=雨月物語・冥途の飛脚・心中天の網島 (日本の古典をよむ)

(雪組)『一夢庵風流記 前田慶次』=一夢庵風流記 (集英社文庫)


* * * * *


特別展示室を出た廊下には、戦前戦時中のタカラジェンヌの貴重なオフショットも展示されています。原爆で命を落とされた園井恵子さんのお写真も。ファンとの交流の中で見せるこぼれるような笑顔が、心に染みました。

期間中に展示替えもあるそうですし、東宝はもちろん、近くの劇場にお越しの際は、ぜひとも足を伸ばしていただきたい特別展です。


日比谷文化図書館は初めて訪れましたが、モダンな建築とデザインの中に歴史の香りも残されていて、とても気に入りました。

無線LAN・コンセント完備でゆっくりできるカフェも2店舗入っていますし、静かですし、ダブルヘッダー観劇の合間に気分転換するのにはもってこいの場所だと思います(←あくまでも観劇目線w)。

また機会があれば、訪れたい場所のひとつになりました。


「日比谷に咲いたタカラヅカの華」

★開室時間★
平日:10:00~20:00
土曜日:10:00~19:00
日・祝日:10:00~17:00

★休館日★
毎月第3月曜日
(期間中は5月19日、6月16日)

★観覧料★
大人:300円
大学・高校生:200円
千代田区民、中学生以下、障害者手帳持参及び付添者1名は無料

日比谷図書文化館のホームページ
http://hibiyal.jp/hibiya/index.html

 


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岩合光昭写真展 「ネコライオン」 [展覧会]

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2013年8月10日(土)~10月20日(日) 東京都写真美術館 B1F展示室

詳細情報
http://syabi.com/contents/exhibition/index-1935.html


渋谷ヒカリエにて開催中の「ねこ」展に続いて、東京都写真美術館でも岩合さんの写真展が始まりました~。

「ねこ」展の記事はコチラから☆

「ネコは小さなライオンだ。ライオンは大きなネコだ」。 (チラシより)

最近では「ネコ写真家」として一躍名を馳せるようになった岩合さんですが、40年以上にわたって地球上のあらゆる大自然と野生動物を撮影し続けている動物写真家でもあります。

人間の生活と共に共存するネコ、人間の世界とは遠く離れた野生の世界で生きるライオン。本展では、これまでに岩合さんが撮影したネコとライオンの写真を対比させることによって、共通点と差異を浮かび上がらせるという、意欲的な写真展です。

館内には、同じようなアングルで捉えられたネコとライオンの写真を2枚1組で展示されています。

美術館のHPに掲載されている写真をご覧いただくと一目瞭然ですが、本当に、場所も時間もまったく異なるのに、ネコとライオンの写真がほとんど同じアングルで撮影されているのに驚きます。

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上:宮城県 石巻市
下:タンザニア ンゴロンゴロ自然保護区


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上:広島県 庄原市
下:タンザニア ンゴロンゴロ自然保護区

こういった、「どこか似ていて」ほっこりと和む写真がたくさん。下のあくびをしている写真は、本当に同じような表情をしているな~と感心しつつ、大きく開かれた口内に見える牙の鋭さに、ネコの内面に潜む、ライオンと同じ野性を感じることができます。犬歯が直角で長くて、ちゃんと獲物の頸椎に刺さるような構造になっているそうです。

一方で、両者の差異がはっきりと出ている写真もあります。そのいちばんの例が「食」の写真。この「食」こそが、ネコとライオンを隔てる最も大きな差異なのです。

基本的に、ネコは人間から餌を与えられて、それを食べて生きていきます。反対にライオンは、自分自身で獲物を狩らなくては食べることにありつけません。ここが人間との共生を選んだネコと、自然に生きることを宿命とされたライオンの、最も特徴的な違い。

中でも、展示室奥に展示されている1枚の写真に衝撃を受けました。

オスライオンがハイエナからヌーを奪って襲いかかる瞬間をとらえたショット。テレビの自然番組などでライオンが狩りをするシーンなどはこれまで何度も見たことがありますが、「自然の中で生きるというのは、こういうことか・・・」とまざまざと思い知らされる1枚です。

ヌ―の頸椎にライオンが牙をガッと突き刺す一瞬、カッと力強く見開かれた大きな眼。致命傷を受けたヌ―の、宙をさまよう何とも言えない眼。人間の世界では絶対に存在しえない、それぞれの「本能」がむき出しになった瞬間、「野生」の本当の姿を突き付けられて、写真の前で思わずたじろぎました。

おこがましい言い方で恐縮ですが、「動物写真家」としての岩合さんの真骨頂を感じる1枚です。


* * *


初日に観に行ったのですが、幸運にも、岩合さんによるアーティストトークも聴くことができました。

当初は展示されている写真を廻りながら、岩合さんによる説明を聞く・・・というスタイルで計画されていたそうなのですが、予想以上に人が集まったため、展示室の奥のスペースで写真パネルを掲げながら岩合さんのお話を聞くというスタイルに変更。

白地にオレンジと水色のストライプのシャツという爽やかな出で立ちで登場した岩合さん。第一印象は「うわぁ~、テレビで見るのと同じやぁ~☆」でした(笑)。

アーティストトークは20分前後で終了したのですが、撮影地や撮影したネコのウラ話も聞くことができて、とても楽しかったです。

広島県庄原市で撮影された、大きなアクビをするネコ(↑ 上記写真)の名前はガッチャン(オス)。ガッチャンはある日突然、裏山に「修行に行った」らしく、1年間戻ってこなかったそうです。そして1年後、戻ってきたガッチャン。何と、傍らに仔猫がいたそうです(笑)。お家に戻ってきたガッチャンは、それ以来、一歩も家から出なくなったんですって。

そう言うお話を聞いてからあらためてガッチャンの写真を見ると、より親しみがわきますよね。

写真撮影の方法についても少し言及されていたのですが、それも印象的でした。

「何か一点に自分の関心を集中させること。その写真で自分が何を伝えたいと思っているのかを、一点に絞ること。例えば、花畑を見て『わぁ、キレイだな』という気持ちだけで写真を撮ったのでは、それはその景色に呑まれたことになる。その花畑の何を撮りたいのか、何を伝えたいのか、一点絞って撮影するだけで、写真がぐっと引き締まります」。

上述の写真でもご覧の通り、アングルが本当に似ている作品が多くて、「時間軸も場所も全く違う場所で撮影しているのに、どうしてこんなに似たアングルが撮影できるのかなぁ・・・。」と不思議に思っていたのですが、このお話を聞いて納得。やはり、岩合さんの感性で、「こういう表情を撮りたい!」「この瞬間の動きを捉えたい!」と直感がはたらく瞬間は、いつどこにいても同じようなタイミングなのでしょうね。

岩合さんのようなプロのお話と一緒にするのもおこがましいことですが・・・。ある方に、「とろりんさんの写真は、『これを撮りたい!』『この一瞬を伝えたい!』という気魄がものすごく感じられるものと、『まぁ一応、記録で残しとくかぁ~』という軽い気持ちで撮影したんだろうなと分かるものの落差が激しい」と言われたことがありまして・・・(汗)。

やっぱり、そう言う「気持ち」って他の人に伝わるものなのか!!と、ハッと思い当たる節があり、あらためて心が引き締まる思いでした。


* * * * *


「ねこ展」@渋谷ヒカリエの半券を提示すると入場料が20%割引になるという「ねこ割」も実施中(←逆パターンもOK☆)。この夏は、恵比寿と渋谷でネコとライオンに会いましょう♪

ネコライオン

ネコライオン

  • 作者: 岩合光昭
  • 出版社/メーカー: クレヴィス
  • 発売日: 2013/08/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


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岩合光昭写真展 「ねこ」 [展覧会]

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2013年8月1日(木)~25日(日) 渋谷ヒカリエ9階 ヒカリエホールA 10:00~20:00

詳細情報
http://www.hikarie.jp/event/detail.php/?id=1005

40年以上にわたって「ねこ」の写真を撮り続け、現在NHK-BSプレミアムで放映中の「世界ネコ歩き」で一躍その名が知られるようになった動物写真家・岩合光昭さんの写真展が、8月1日から渋谷ヒカリエで始まりました。

昨年、ひょんなことから「世界ネコ歩き」を見るようになって、そのゆったりとした世界観と愛くるしい猫の表情や優雅でのびやかなな動きにあっという間に魅了され、今では毎月1回の放映を心待ちにするように。それだけでは飽き足らず、岩合さんの写真集もせっせと集めてしまいました(←のめり込むと見境がなくなるタイプ)。

6月に日本橋三越で開催されていた「ねこ歩き」展は、都合が合わずに行けずじまい。なので、ヒカリエで「ねこ」展が開始されると聞いた時には嬉しくてたまりませんでした。さっそく、岩合さんの撮影した猫ちゃんたちに会いに行ってきましたよ~☆

「ねこ」展に合わせて、会場のある渋谷ヒカリエも、あらゆるところにネコが潜んでいます。

東急東横線・田園都市線、東京メトロ半蔵門線・副都心線「渋谷駅」15番出口と直結しているヒカリエB3階入口付近まで行くと、巨大ニャンコの可愛らしい足跡が、エレベーターまで誘導してくれます☆

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入口右手にある急行エレベーターをご利用ください☆


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ほら、エレベーターまで、足跡がご案内してくれます。

会場のヒカリエホールAは9階にあるのですが、この急行エレベーター(シャトルエレベーター)は9階には止まらず、B3階・1階・(7階)・11階までノンストップで向かいます。

ここで、「あれ、これ9階には止まらない・・・」と躊躇してしまいがちですが、迷わず乗って11階まで上昇しまーす!

11階まで来ると、そのまま道案内(掲示も出ていたと思います)にしたがって、今度は下りエスカレーターへ。このエスカレーターが、10階を通過して9階まで直行するのです。


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ほら、エスカレーターに乗ったら、もう愛らしい猫たちが見えてきます!


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うわ~ん、かわいい!!


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会場入口では、猫とパグのツーショットが、お出迎えしてくれます!

数え切れないほどたくさんある岩合さんの「ねこ写真」の中でも、とりわけこの写真と、メインヴィジュアルに使用されているトップ画像の写真がとても大好きなのです。これを見ただけで、テンションうなぎ上り!!

展示の様子は、岩合さんがこれまで発表されてきた写真集の中から厳選された240品がどどーんと集結。

だいたい、これまで集めた写真集で拝見したことのある作品ばかりでしたが、いつも文庫本やA3見開きサイズの大きさでしか見たことのなかった写真を、美しく引き伸ばされた大きなサイズで見ると、その感激はまた格別のもの。その鮮やかさと、猫の表情の濃やかな部分までクローズアップされて、あらたな感動でした。

本当に岩合さんは、猫の一瞬の表情やしぐさを切り取るのが巧くていらっしゃるなぁ~。写真の1枚1枚に、猫に対する愛情があふれています。

とりわけその愛情がダダ漏れなのが、岩合さんが初めて一緒に暮らしたという猫、「海(かい)ちゃん」の写真。海ちゃんの写真を見つめているだけで、こちらも愛されている幸福感に満たされるようです。


* * *


猫好きな方には、ぜひともご覧いただきたい写真展。8月10日(土)からは、恵比寿にある東京都写真美術館にて岩合さんのもうひとつの写真展、「ネコライオン」展も始まります。「ねこ」展@ヒカリエとハシゴすると、お得な割引もあるそうな。


東京都写真美術館 「ネコライオン」展
http://syabi.com/contents/exhibition/index-1935.html


この夏は、たくさんの猫たちに癒されてみませんか?


★おまけ★

JR渋谷駅からヒカリエを直結する2階連絡通路にも、猫が出没中!

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ヒカリエへ、急がニャイと~♪

ねこ

ねこ

  • 作者: 岩合光昭
  • 出版社/メーカー: クレヴィス
  • 発売日: 2010/03/03
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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更新情報 [展覧会]


・青森県立美術館の記事に、「奈良美智:君や 僕に ちょっと似ている a bit like you and me... 」の記事と写真を追加しました。コチラからご覧下さい

・浅虫水族館の記事をアップしました。コチラからご覧下さい。イルカくん達が可愛かったなぁ~☆

ほかにも超ミーハーな旅レポを2本書きましたので、よろしければ前の記事をご覧下さい↓↓。
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青森県立美術館 「奈良美智:君や 僕に ちょっと似ている a bit like you and me... 」 [展覧会]

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2012年10月6日(土)~2013年1月14日(月・祝)
青森県立美術館

展覧会情報はコチラ

今回の青森旅のメインイベントのひとつ、「奈良美智:君や 僕に ちょっと似ている」を鑑賞しました。

青森駅からバスで20分。車窓の風景が街並みから森の影が多くなってきた頃、県立美術館が見えてきます。

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雪のように無垢な建物です。

横浜の時とは違った感動や発見がたくさんあって、「ここで奈良さんの個展を見ることができて、本当に良かった!」と心の底から思いました。絵を見て泣きそうになるなんて、生まれて初めての体験かも。

ひとつの個展を違う場所で鑑賞するというのは初めての体験。同じ個展、同じ作品でも、展示構成や照明演出でこうも異なる感情が沸き起こってくるのかと感動しました。

横浜美術館でのレポはコチラへ


言い方に語弊があるかも知れませんが、やっぱり青森は奈良さんにとって「ホーム」なんだなと強く感じる展覧会でした。構成や展示順もガラリと変わり、照明に非常にこだわった演出でした。

まず、横浜の個展ではひとつの部屋にブロンズ作品のみが集められていましたが、青森では絵画とブロンズ像が一緒に展示されている部屋があり、また横浜とは違った空気感が空間を包み込んでいました。

「真夜中の巡礼者」では、三方から光を当てて、周囲の壁や床に浮かび上がる影の濃淡が、何とも言えない深さを出しています。「樅の子」はそのキュートな顔ではなくて特徴的な頭の部分に照明を当てて、その頭のモミの部分の凹凸の陰影が際立つような演出がされていました。

また、美術館の空間がとても落ち着いているというか、まるで土の洞の中にいるようなしっとりとした落ち着きを感じさせるのです。『ニッポンの嵐』でもふれられていましたが、青森県立美術館全体の建築コンセプトが「遺跡の発掘現場」を表現しているのだとか。そう、なんだか土のにおいが感じられる美術館だなぁと思ったのです(本当にそういうにおいがある、というわけでなく、建物を包んでいる空気感が、ということです)。

その建築コンセプトが最高の相乗効果をあげていたと思うのが、『Let's Talk About "Glory"』

地層のような不思議な落ち着きを感じさせるほの暗く、長く、そして高い吹き抜けの廊下の突き当りに、まるで闇の向こうに見えたトンネルの出口の光のように、ぼんやりと浮かび上がる本作品。

その照明の当て方も絶妙で、一瞬、遠目から浮かび上がる様子を見ると、「映像かな?」と思ってしまうほど。けれど近づいていくにつれて、絵だということがわかってきます。

長い、長い苦悩の闇の果てにようやく見えてきた光のように見える本作。その光に導かれて誘われるのは、、「Cosmic Eyes (未完)」、「春少女」、「夜まで待てない」3作品が展示されている、まるで青森の雪のように純白で無垢な白い壁の部屋。

このお部屋には、三面の壁にそれぞれ一面ずつ、作品が展示されているのです。ひとつの作品とじっくり時間をかけて向き合うことができて、とても贅沢で幸せな空間でした。

まるで苦悩の闇から解き放たれて、希望の光に包まれたような。その中に、ワタシがどうしても再会したかった、「Cosmic Eyes (未完)」の少女が静かにたたずんでいました。

横浜で見た時は、まるで目の前で起こった衝撃に堪えるかのように張り詰めたような瞳をしているように見えた「彼女」。

けれど、時間を経て、場所を変えて再会した「彼女」の瞳には、希望の光が満ち溢れているように感じました。

人の心に希望がある限り、希望の光は失われないんだな。そんなことを思いながら、時間が許す限り、「彼女」の瞳を、顔を見つめていました。

青森で、もういちどあなたの「瞳」に出逢えて、本当に良かった。あなたの瞳に宿る光が希望にあふれていて、良かった。

強くまっすぐ煌めいている「彼女」の瞳を見ているうちに、気が付けば涙が出てきました。なんというかな、うれし涙じゃなくて浄化の涙のような。このお部屋を出る時はなんとなくふっきれたような、スッキリした気持ちになれました。

ちなみに、横浜美術館では玄関を入ったところに設置されていた「White Ghost」は、展示会場の最も奥、最後の展示室に坐しています。

常設展示の奈良美智+grafによる「ニュー・ソウルハウス」は誰もがその中をぐるぐると遊べる作品。

そしてトップ画像の「あおもり犬」は、青森県美のシンボルともいえる作品。まるで5000年の眠りを越えて、三内丸山遺跡の発掘現場からむくりと起き上ってきたようにも思えます。

たくさんの感動とたくさんの発見に、身体中が幸福感で満たされたような、本当に素敵な展覧会でした。


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奈良美智スペシャルインタビュー@「ビッグイシュー日本版」 205号 [展覧会]

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「ビッグイシュー日本版」205号(12月15日発売)に、奈良美智さんのスペシャルインタビューが掲載されています。

通勤途中の道すがら、「夜まで待てない」のちょっと挑発的な少女の微笑みがパッと視野に入ってきて、さっそく購入しました。奈良さんの作品って、東京のような雑多な街の中でも全く埋もれない、すごく目を惹く引力があります。

現在、青森県立美術館にて「君や 僕に ちょっと似ている」、十和田市現代美術館にて「青い森の ちいさな ちいさな おうち」と、故郷である青森県内の2箇所で特別展を開催中の奈良さん。3ページにわたる誌面には、青森県美の展示室の様子と、十和田市現代美術館の展示の中でポーズをとる奈良さんの写真が掲載されています。

見開き2ページにわたって載っている青森県美の展示室は、本展の象徴とも言えるブロンズ作品が陳列されているお部屋。真っ白な壁と限りなく白に作られた照明、その光に浮かび上がる作品と部屋の陰影。白と黒、完全なるモノクロームの世界にふわっと浮かぶオアシスのように展示されているのは、「in the Milky Lake / Thinking One」(2011年)。

横浜美術館での展示では、ブロンズ作品と絵画作品は全く別の部屋に分けて展示されていたので、ちょっと新鮮な印象でした。

インタビューは、2006年に同じく青森県内で開催された「A to Z」展前後から2011年の東日本大震災を経て奈良さんご自身が経験した心象の変化について語られています。

爆発的な人気が出るきっかけとなった「A to Z」展の後、「一番のオーディエンス」でもある自分自身との対話が出来なくなった奈良さんは、その感覚を取り戻すためにセラミックアートに没頭します。そして、ようやくセラミックから絵を描く行為へ移行しようとした矢先に起きたのが、大震災でした。

震災後、好きな事をして、心を赴くままに生きてきた事への罪悪感から「おもしろいぐらいに絵が描けなくなった」(本文そのまま)と言う奈良さん。その奈良さんの苦悩を救ったのが、ブロンズ彫刻の制作だったそうです。

「(前略)被災地の人たちが泥かきから再生の一歩を踏み出したように、土は自分にとって震災を象徴する物質で、体当たりで向かっていきたかった。そのうち、だんだんとねじ伏せてやろうという強い気持ちも湧いてきて、いつもなら疲れて終わりにしようかという時でも、もう少しだよな、よしやるか!と取り組めた」

土との、そして自分の内面との格闘を経て、奈良さんは描けなかったなかった絵に再び取り組めるようになっただけでなく、新たな表現も生まれてきた、と。

「今までは描いているものの表層だけ見せていて、そこに至るプロセスは見える人にだけ見えればいいと思っていたんです。(中略)ブロンズ彫刻という立体を手がけることで、少女の後頭部だとか"後ろ"というのがすごく大事に思えてきて、絵のキャンバスでも見えていない部分が描けるのではないかと思えたことが大きかった。それと、今までは画面のいろんなものをそぎ落とす引き算で絵を描いていたけど、震災以降のさまざまな出来事を通じて、もっと世界は複雑だろう、絵は複雑だろうと思えたことも反映しているんです」

シンプルさの中に潜む複雑さ。それは確かに、夏に横浜美術館で特別展を鑑賞した時に感じた事です。少女の肌を透かして見える通う血の温かさ、せいいっぱいに目を張って何かを凝視する少女の瞳の奥・・・。今でも鮮やかに脳裏に浮かびます。

「(前略)人間は思っているほど弱くないから、いつか必ず復興する。その10年後、20年後に美術館に求められる絵がなかったら困るから、自分はその時のためにも、しっかりと絵と向き合っていきたいと思います」という言葉で締めくくられるインタビュー。そうですね、「今、できること」を積み上げていくことが、「未来」になるんですよね。

あらためて、アートが未来に向けて抱く可能性について考えさせられたインタビューでした。

「ビッグイシュー(THE BIG ISSUE)」は、ホームレスの自立を支援するために1991年に英国で始まった活動で、売上金額の一部が販売者であるホームレスの収入になるのだそうです。

今回は奈良さんの絵に惹かれて購入しましたが、彼のインタビューの他にも、スコットランドの刑務所を題材にしたメンタルヘルス改善についての記事やエルサルバドルのウミガメの問題、興味深い特集(今号は「先住民の生き方」)など、取り上げているテーマはグローバルで多彩。へぇ、こんな話題があるんだぁ、こんな問題があるのかと興味深く読みました。

最新号は基本的に街頭販売のみですが、バックナンバーの購入はコチラから出来るそうです。興味のある方はのぞいてみてくださいね。


う~ん、このインタビューのおかげで、来月予定している青森旅行がますます楽しみになってきました!


・・・と、さらっと言ってみるテスト(笑)。


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箱根旅行 (3)箱根ラリック美術館 [展覧会]

星の王子さまミュージアム、ガラスの森美術館とめぐって、3番目に訪れたのは「箱根ラリック美術館」。

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(友情出演:リスのさとしくん)

アール・ヌーヴォーとアール・デコの時代に宝飾工芸家・ガラス工芸家として活躍したルネ・ラリック(1860-1945)の生涯の業績が、作品と共に紹介されています。

緑豊かな敷地内はミュージアム・ショップ・カフェレストランの建物に分かれています。

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こちらはショップ・カフェレストラン。

敷地のいちばん奥にあるミュージアムへ。ただいま開催中の企画展「ラリックの鳥の世界」展に合わせて、入口には白孔雀のはく製が。

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見事なまでの純白!

ルネ・ラリックの作品は、香水瓶やブローチ、ネックレスなど、女性が身につけるものがとても多いです。どの作品もダイナミックにして優美、華麗にして繊細。女性の心をとらえて離さないデザインばかり。


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ブローチ 「ラ・シルフィード」


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香水瓶 「ツバメ」


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櫛 「孔雀」

・・・はぁ~・・・。どの作品を見ても、感嘆のため息しか出てきません。

流れるような曲線、香水瓶や櫛など、制約された形を極限まで駆使してその中に究極の美を閉じ込める発想力と表現力・・・空前絶後のジュエリーデザイナーですね。


敷地内には、ラリックが内装や調度品をデザインしたオリエント急行「ル・トラン」も展示されています。

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2004年に、箱根の地へやってきたそうです。

ル・トランは、パリ―ニース間を走る「ル・トラン・ブルウ」として運行後、パリ―イスタンブール間を走るオリエント急行の車両として活躍。

「ル・トラン・ブルウ」と言えば、そう・・・「青列車」ですよ!宝塚歌劇屈指の名作(※とろりん認定)、『琥珀色の雨にぬれて』で重要な役割を果たす、「青列車」ですよ!発見した時、テンション上がって「♪あ~青い列車 ル・トラン・ブルウ~♪」って思わず口ずさんでました(笑)。

この「ル・トラン」内で、ラリックの手掛けた内装を見ながらお茶を楽しめるコースもあります(お茶&ケーキ付で45分2100円・要予約)。

せっかくなので、ワタシもシャロン(←言わずと知れた、『琥珀色~』のヒロイン)の気分を味わおうかしら・・・と思ったのですが、残念なことに予約がいっぱいで、断念しました。次回はぜひ乗ってみたいな。


朝早くから美術館を3つめぐって、さすがにお腹もペコペコ。お庭が見渡せるカフェ・レストラン「LYS(リス)」で、ランチセット(1900円)をいただきました。

箱根のレストランやカフェでは、西湘エリアで収穫される食材を使ったメニューに取り組む「箱根地産カフェプロジェクト」に参加しているので、新鮮な農産物を豊富に使ったメニューが登場します。

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朝どれ野菜のサラダと天然酵母のパン。

じゃがいも酵母を使って焼きあげたパンなのだとか。ふんわりとしながら、弾力のある食感。香草で香りをつけたオリーブオイルといただきますが、そのままでもパンの甘みが感じられて、とっても美味しい!

サラダも、たっぷりと野菜をいただくことが出来て、満足、満足☆

メインディッシュはこちら。

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チキンのローストとマトウダイの黒胡麻フリット、じゃがいものマリネ。

じゃがいもは、ニョッキのようにもちもちした食感がやみつきになりそう!

チキンのローストは皮はパリパリ、でも中身はやわらかくてジューシー☆チキン大好きなので、パクパク食べちゃいました☆

黒胡麻フリットは、少々揚げ過ぎたかな?という感じで、ちょっと固くて、切り分ける時に黒ゴマが飛び散りそうになって苦労しました(苦笑)。でも、身はプリプリしていて美味しかったですよ~。

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企画展特別メニュー「ヒヨコ・グラッセ」(800円)。

頭と尾羽の部分はキャラメルのムース、胴体はマンゴーアイスクリームで、パッションフルーツのソースでコーティングされてます。下には緑茶のビスキュイが。お皿の上に乗せられているクローバーやテントウムシは、ホワイトチョコレートです。

このスイーツ・・・この日一番の出番だったのか、やたら胴体が硬かったんですよ(^_^;)。スプーンで結構な力を入れてみても、全然入らなくて・・・。コーヒーを飲みつつ、やわらかくなるまで15分くらい待ちました(苦笑)。

キャラメルのほろ苦さ、マンゴーの甘みに緑茶の苦み、パッションフルーツの酸味がバランス良くて、美味しくいただきました。

レストランの前には庭が広がっていて、何度も深呼吸したくなります。

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この後、お天気が急変して激しい豪雨に。山のお天気は変わりやすいですね~。


豊かな自然の空気に包まれて、美しいものだけに触れて、美味しいものをいただいて・・・最高の休日でした。


★箱根ラリック美術館★
開館時間:9:00~17:00(最終入館16:30)
入館料:大人1500円/大高生・シニア(65歳以上)1300円/小中生800円
住所:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原186-1
電話:0460-84-2255
ホームページ:http://www.lalique-museum.com/


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箱根旅行 (2)箱根ガラスの森美術館「―アドリア海の雫―煌めくヴェネチアン・ビーズ展」 [展覧会]

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「星の王子さま」ミュージアムを後にして、続いて向かったのは「箱根ガラスの森美術館」。日本でも有数のヴェネチアングラスの美術館なのだそうです。

現在は特別企画展「―アドリア海の雫―煌めくヴェネチアン・ビーズ展」を開催中。

こちらでも、ユニークで美しいチケットをもらいました。

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(友情出演:リスのさとしくん)(保護色)

材質がしっかりしているので、扇子としても活用できますよ。

こちらでは、世界中の女性を魅了したヴェネチアン・ビーズの繊細で優美な作品の数々と、ヴェネチアン・グラスの器を楽しむことができました。館内は写真撮影OK(フラッシュはNG)だったので、たくさん撮ってしまいました。


ビーズのネックレス1940~1945年ヴェネチアエルコレ・モレッティ工房 (2).JPG
ビーズのネックレス
1940~1945年 ヴェネチア
エルコレ・モレッティ工房


ビーズのネックレス 1940‐1945 ヴェネチア エルコレ・モレッティ工房.JPG
ビーズのネックレス 
1940‐1945年 ヴェネチア 
エルコレ・モレッティ工房


ビーズのネックレス 20世紀初頭 エルコレ・モレッティ工房.JPG
ビーズのネックレス 
20世紀初頭 ヴェネチア
エルコレ・モレッティ工房


ビーズのネックレス 1950-1960年頃 ヴェネチア エルコレ・モレッティ工房.JPG
ビーズのネックレス 
1950-1960年頃 ヴェネチア 
エルコレ・モレッティ工房


ビーズの装身具 20世紀 ヴェネチア.JPG
ビーズの装身具 
20世紀 ヴェネチア

こちらはピンクのビーズの表面にヴェッテ(極細のガラス棒)を巻きつけて溶着させ、糸玉のように見せる技術が使われています。


ローマ教皇(グレゴリオ16世)メダル付ビーズのロザリオ 1832年 ヴェネチア.JPG
ローマ教皇(グレゴリオ16世)メダル付ビーズのロザリオ 
1832年 ヴェネチア


ビーズのネックレス 15-17世紀 ヴェネチア.JPG
ビーズのネックレス 
15-17世紀 ヴェネチア


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モザイク・ガラスの大型ビーズ
1845年頃 ヴェネチア
ジョバンニ・バッティスタ・フランキーニ作

「GBF」(ジョバンニ・バッティスタ・フランキーニ)や「F」の文字、 ヴィットリオ・エマヌエレII世、ガリバルディ、カブールの3名の肖像画が見えるのだとか。サイズはとても大きいのですが、紋様はとても微細で、そこまで確認できませんでした・・・恐るべし職人芸!!


1900年代に入ると、アクセサリーだけでなく、バッグやドレスにもビーズが多用されるようになります。裾が揺れる時のきらめき、バッグを手にした時に揺れる光のさざめき・・・繊細かつ上品な輝きが、世界中の女性の心を虜にしたのでしょうね。

イブニングドレス.JPG
どれもビーズ刺しゅうがゴージャスにリッチに施されています。


ビーズ装飾イブニングドレス 1920年頃 ユーゴスラビア・ベオグラード.JPG
ビーズ装飾イブニングドレス 
1920年頃 ユーゴスラビア/ベオグラード

前身ごろの中心は数色のビーズを使ってコントラストをつくり、その周囲にはビーズ刺しゅうが細かくほどこされています。シャンデリアの光を浴びると、華やかだろうな~。


ビーズ装飾バッグ 1912年 フランス コンテリエ.JPG
ビーズ装飾バッグ 
1912年 フランス 
コンテリエ


ビーズだけではなく、所蔵されているヴェネチアングラスの器もたくさん展示されています。

マーブル・グラス水差 1550-1560年頃 ヴェネチア.JPG
マーブル・グラス水差 
1550-1560年頃 ヴェネチア

マーブル・グラスの製法も、ヴェネチアで開発されたのだそうです。


レース・グラス白鳥形脚コンポート 19世紀 ヴェネチア.JPG
レース・グラス白鳥形脚コンポート 
19世紀 ヴェネチア

脚の部分が優雅な白鳥の姿をしています。こういうの、手に取るだけでも自ずと仕種やたたずまいが美しくなりそうですよね。


人物行列文壷 1500年頃 ヴェネチア.JPG
人物行列文壷 
1500年頃 ヴェネチア


ミルフォリ・グラス・ランプ フラッテリ・トーゾ工房 1890-1910年頃 ヴェネチア.JPG
ミルフィオリ・グラス・ランプ 
1890-1910年頃 ヴェネチア
フラッテリ・トーゾ工房 

「ミルフィオリ」というのは、花型の模様が規則的に浮かび上がる作品の事だそうで、「Millefiori」を直訳すると「千の花」という意味になるどそうです。色鮮やかな花々がランプにも台の部分にもたくさん浮かび上がっていて、すごく綺麗。
 

龍装飾水差 19世紀 ヴェネチア.JPG
龍装飾水差 
19世紀 ヴェネチア

ターコイズ・ブルーのガラスにアヴェンチュリン・グラスをレース模様がほどこされた龍装飾の持ち手がついた、見た目もインパクトのあるグラス。アヴェンチュリン・グラスには金属の微粒子が含まれており、様々な角度から受ける光を反射してキラキラと輝くような作りになっています。この水差を手にした女性が動くたびにまばゆい光を散らすようになっています。

身につける者がより美しく、より優美に見えるように・・・ドレスだけでなく、日常の生活用品にまでこのように隅々まで心の行き届いたデザインがされていたのですね。「アドリア海の王女」と称されたヴェネチアの街ですが、その優雅な名称の由来が少しわかるような気がします。


点彩花文蓋付ゴブレット 1500年頃 ヴェネチア.JPG
点彩花文蓋付ゴブレット 
1500年頃 ヴェネチア

ビザンチン様式の器形とイスラムの点彩文様がほどこされ、ヴェネチアの職人技で軽く薄く吹き上げられたガラス素地を合わせると、まさに東西の華が見事に融合した逸品と言っても過言ではありません。


ひとつひとつに細かな細工されているビーズ、優雅で繊細なデザインが光るガラス・・・気が遠くなるような作業の果てに生まれた、煌めきの世界。見ているだけで贅沢な、豊かな気持ちになれます。


★箱根ガラスの森美術館★
開館時間:9:00~17:30(最終入館は17:00まで)
入館料:大人1300円/大高生1100円/小中生800円
住所:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原940-48
電話:0460-86-3111 
公式ホームページ:http://www.ciao3.com/top.htm 


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渋谷ヒカリエ8/ ART GALLERY 「奈良美智版画展」 [展覧会]

2012年7月25日(水)~8月6日(月) ※会期は終了しています
渋谷ヒカリエ8階 8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Gallery

横浜美術館での個展に合わせて開催された、「奈良美智版画展」。最終日に行ってきました。

2011年から今年にかけて制作された版画19点が展示されています。

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「untitled」(2012年)

いくつも色を重ねられたやわらかいトーンに、一面に散りばめられた雲母がキラキラと繊細な輝きを放っています。その場から離れがたい魅力を持つ作品。

女の子の左目の絆創膏は、版画の上からガーゼとテープが実際に貼られているのですよ。ちょっとしたこだわりで、作品により一層立体感が出ています。ほっぺたの赤みといい、まっすぐこちらを見据える瞳の美しさと言い、幼いもののもつ無垢さが際立って表現されています。


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「Contry Home」(2012年)

ドローイングのひとつ。お家の中に犬がきちんと描き込まれているのが、技アリ!という感じです。

先月見た横浜美術館の個展と言い、今回の版画展と言い、奈良さんの作品は輪郭を描く線が印象的です。色の重なりだけで線を描いている作品もあるし、しっかりとした太い線で輪郭を描いている時もあるし。その線も力強さとか色の淡さとかが作品によって異なるのですよね。その作品だからこそ、その作品でしか出せない「線」にこだわっていらっしゃるんだろうなぁと感じます。

ギャラリーの奥には白いソファが置いてあって、そこに座ると十数点のドローイングを眺めることができます。どの作品も楽しかったけれど、「Don't Cry」が心に残りました。ポロッと涙を流す女の子。サラッとした構成と線なのに、ぎゅっと胸をつかんできます。

8月4日から6日まで、「DOGGY RADIO」の展示販売もされていました。奈良さんのモチーフでもある犬を立体化し、内部にラジオ機能が内蔵されたもの。

詳しくはコチラから

一見すると真っ白な犬の置物と思うほど、ラジオとは思えない外見が素晴らしい!お腹の部分にスピーカーが見えないように内蔵されています。お部屋のインテリアにもとても可愛いのに、ラジオにもなるなんて、素敵ですね~!まぁしかし、大層なお値段でしたので、じっくりじっくり眺めるだけにとどまりましたけれども・・・。

* * *

横浜美術館の個展の図録が届きました☆

君や 僕に ちょっと似ている

君や 僕に ちょっと似ている

  • 作者: 奈良美智
  • 出版社/メーカー: フォイル
  • 発売日: 2012/08/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

ページをめくると、あの空間の記憶が甦ります。もう一度、会いに行きたいなぁ・・・。

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横浜美術館 「奈良美智:君や 僕に ちょっと似ている a bit like you and me... 」 [展覧会]

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2012年7月14日(土)~9月23日(日・祝) 横浜美術館
展覧会情報はコチラから 

嵐の大野智くんが尊敬する現代美術家・奈良美智さんの個展を見に行ってきました。

奈良さんと言えば、陶器のようになめらかな肌に様々な感情を秘めた瞳が印象的な子どもの絵が特徴的ですが、今回は初挑戦となったブロンズ作品も展覧。

まずはこのチラシからして凝っています。「夜まで待てない」(2012年)が採用されているのですが、B4サイズで、ちょうど顔の半分でB5に折り曲げる事が出来るのです。そうすると、右半分の顔と左半分の顔の表情の違いがより際立って見えるのです。1枚の絵で、こ~んなに表情や醸し出す空気が違って見えるなんて!面白いな~。

当日は、嵐道の師匠・チャミさんとみなとみらい駅から出発。横浜美術館前のエリアにはただいま大規模な建設工事中で白いパネルでぐるりと周りを取り囲んでいます。そのパネルのところどころに、色々な芸術家の言葉が学にはめ込まれてあります。勿論、奈良さんのも発見。

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「子どもの絵とか描いていると、誰かに似ていたりする。
たとえば、君や僕にちょっと似ている時もあるし、
めっちゃ似ていたりもする。
そんなことを思うのが、楽しいんだ。」


混雑を避けて、10時の開館と同時に入場~。

館内に入った瞬間から、奈良ワールドが広がっています。

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「White Ghost」(2010年)

今回の展覧会では、109点の作品のうち「White Ghost」を除いて、全てが2011年から2012年に制作されたもの。ブロンズ作品の鋳造でも時間が必要だし、2012年はまだ半分ちょっとしか過ぎてないんですよ?それなのに100点以上もの作品を創り上げることができるなんて!奈良さんの飽くなき創作意欲と集中力、発信力には脱帽です。

最初の展示スペース(第4展示室)には、初挑戦したというブロンズ作品が展示。どの作品も、360度ぐるりと観察することができます。

好きだったのは、「ちょっと意地悪」かな。見れば見るほど愛おしくなる不思議な空気感をまとった子です。

あと、目を開けているブロンズ作品のほとんどがそうなのですが、よ~く見ると、目の「水晶体」の部分がきちんと作ってあるのが印象的でした。

次の会場からは、絵画作品がズラリと展示されています。いちばん最初に目に入ってきた「in the Milky Lake / Thinking One」(2011年)は、乳白色に塗られた色の中に静かの佇む子どもの姿が描かれています。優しいミルク色の世界と、瞼を閉じている子どもの表情が何とも言えず切ない1枚。

奈良さんの作品をじっくり見るのは初めてだったのですが、本当にたくさんの色を使っているんですね。特に「in the Milky Lake~」でも、キャンバスをただ真っ白に染めるのではなくピンクやオレンジやグレーなどの色が塗り重ねられて、最終的に「白」が全体を包む、という感じになっています。だから、ひたすら無垢な「白」ではなくて、まろやかで陰のある「白」に見えるのですね。

それから、肌色が本当に素敵です。本当にね、めちゃくちゃいろんな色を使っているんだろうなーって思います。

一言で「肌色」と言っても、静脈が透けて見える「肌色」だったり、血の気が引いて青ざめる「肌色」だったり、色素が沈着したような「肌色」だったり、頬の赤みにうっすらと染まる「肌色」だったり。こんな色、どうやって作っているんだろう・・・って、いつまでも見つめていたくなります。

24時間テレビで奈良さんと大野さんがコラボしたチャリTシャツには、番組テーマである「未来」をイメージした双葉のイラストが描かれています。本展でも、「双葉」をモチーフにした作品が何点かありました。

ボール紙に描かれた何十点というドローイングも圧巻。奈良さんという方は、「描きたい!」と思った次の瞬間には筆が走りはじめるのでしょうね。

封筒の裏に描かれた作品も数点、展示されていました。「マラカス」(2012年)という作品は、モスクワにある美術機関の封筒の上に描かれています。冬の国というイメージがあるロシアからの封筒に、南国の楽器というイメージのあるマラカスを描くあたり、奈良さん素敵・・・(笑)。

無数に展示されたドローイングの中でも、「Stand Up Again」(2012年)という作品は強烈に心惹かれました。

ドローイングには色々なメッセージや文字も一緒に描き込まれていることが多いのですが、この作品だけは文字が何も入っておらず、ただ両手をついてひざをついた子どもが、じっと地面を見つめています。

前を見るでもなく、空を見上げるでもなく、ただ、目の前の地面を見つめている。その瞳には悔しさとか辛さとか、でも次に向かわなくてはいけないと自分を奮い立たせるような強い気持ちとかがにじみ出ていて。人間だったら誰もが体験するであろう「挫折」や「失敗」の瞬間が、ものの見事に切り取られています。


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「山少女」(2011年)

きゅるんとした瞳が可愛い。ランダムに描かれている瞳の中の枡のひとつひとつに全く違う色が描き込まれています。奈良さんの内に無限に広がる興味への探求心を表現しているかのよう。


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「夜まで待てない」

ちょっとわかりにくいのですが、向かって右側のお顔にだけ、お口からにょっと可愛らしいキバが見えているんですよ。右側の方がより目もすがめていて、より悪だくみしてる感じ(笑)。昼と夜の二面性を表現しているのかしら?


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「春少女」(2012年)

やわらかいパステル調のバックに、これまたいろんな色を重ねてあります。左右の瞳の色が違っているのが印象的。

いちばん心に残ったのは、「Cosmic Eyes (未完)」(2012年)。

「春少女」のように、髪の長い子どもが淡く優しい色調で描かれているのですが、涙を堪えるように張り詰めた左右の瞳の中には、それぞれ「OH MY GOD」「I Miss You」という文字が、うっすら白い色で描き込まれています。彼女の瞳には、いったいどんな景色が映っているのか、そしてその景色を前に彼女はいったい何を思うのか・・・様々な想像をかきたてられ、様々な感情を呼び起こされる作品です。

* * * * *

奈良さんの作品には、甘さと毒、不安と安息、挫折と不屈、光と陰など、表裏一体となったものが偽りなく率直に、誠実に描かれているように思います。それゆえに、その作品に向き合う人々は自分の内なる「生身の思い」にも気づき、対峙させられるような居心地の悪さを一瞬感じるかも知れません。

けれども、その感情は人間であれば誰しも持ち合わせているもの。やがて、安心してその世界に身をゆだねて、ゆりかごのような安らぎを感じるように作品と対話する自分に気づきます。

そうそう、美術館に併設されているカフェ「Café 小倉山」にも奈良さんの作品が展示されてありますので、お見逃しなく!また、同時期に開催されている「横浜美術館コレクション展」では、奈良さんの初期の作品が展示されていますので、ぜひ足を伸ばしてみてください。新たな発見があるかも知れませんよ。


【今後の巡回予定】

横浜美術館 
2012年7月14日(土)~9月23日(日)

青森県立美術館 
2012年10月6日(土)~2013年1月14日(月・祝)

熊本市現代美術館 
2013年1月26日(土)~4月14日(日)


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