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ハウステンボス歌劇団 [講座・現代演劇]

旅の道中ではありますが、興味深い記事を見つけたのでご紹介します。


ハウステンボスに歌劇団 劇場新設、宝塚OGら参加 -日本経済新聞-


ハウステンボス版「宝塚」 歌劇学院5月開校 -読売オンライン-


ハウステンボス歌劇団2014 1.11START -ハウステンボス公式HP-


長崎県佐世保市にあるリゾートテーマ―パーク「ハウステンボス」が、敷地内に専用劇場「ミューズホール」を新設、女性だけの劇団「ハウステンボス歌劇団」を結成して公演を開始するのだそうです。

メンバーは、宝塚OGの優雅(研ルイス)を中心に、元宝塚や元OSKメンバーを合わせてオーディションで選ばれた26名。新たな人材発掘と育成のために、今年5月には全寮制の養成学校「ハウステンボス歌劇学院」を開校することも決まったそうです。

1月11日よりこけら落とし公演スタート。1月11日(土)~25日(土)、2月13日(木)~28日(金)の期間中は、鳴海じゅんさんが特別出演。

今年は宝塚歌劇創立100年ですが、宝塚が黎明期を迎えた大正~昭和初期の頃は、「第二のタカラヅカ」を目標として、あるいはまちづくりの企画の一環として、全国各地で少女歌劇が数多く創設されました。詳しくは辻則彦 『少女歌劇の光芒 -ひとときの夢の跡-』で追跡されています。

地方におけるレビュー文化開花の魁となるか。ハウステンボスの新たな挑戦を、期待して見守っていきたいと思います。


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タンゴ・ミュージカル 『ロコへのバラード』 [講座・現代演劇]

2013年9月20日(金) 東京グローブ座 19:00開演

【キャスト】

彩吹真央

Claudio Villagra

Chizuko

石井一彰
大月さゆ
進藤学
Andres Gonzalez

西島千博(特別出演)

石井一孝


【スタッフ】

作・演出/小林香
音楽監督/小松亮太

振付/Claudio Villagra、Mario Morares、西島千博、港ゆりか、Andres Gonzalez

歌唱アレンジ/前嶋康明
美術/島川とおる
照明/中川隆一
音響/山本浩一
衣裳/屋島裕樹
ヘアメイク/宮内宏明
歌唱指導/船橋研二
演出助手/渡邉さつき
舞台監督/酒井健

プロデューサー/池田道彦


* * *


2011年11月に上演された『ロコへのバラード』の新バージョン。

4月に開催された『彩吹真央 20周年記念コンサート』で、彩吹が歌った「Yo soy Maria」がもう、衝撃的に素晴らしくて!!これが『ロコへのバラード』という舞台で歌われた楽曲だと知り、機会があればぜひ一度、観てみたいと思っていたのです。再演されると聞いて、喜び勇んでグローブ座へ駆けつけました。


【あらすじ】

アルゼンチンの首都、ブエノスアイレス。書店に勤めるマリア(彩吹)は姉を亡くし、天涯孤独の身となります。そんなマリアにとって唯一の心のよりどころは、勤務先の書店で毎週金曜日の夜に開催される朗読会で、本の朗読を行うこと。

店主のオラシオ(石井一孝)の呼びかけで始まった大人の朗読会。会場に集まった参加者-ハビエル(Claudio Villagra)とロミーナ(Chizuko)夫妻、ミゲル(石井一彰)とアメリータ(大月さゆ)のカップル、椅子職人のラロ(西島千博)-の前で、今夜もマリアは本を開き、朗読を始めます・・・。

ひとたび朗読を始めると、ふだん控え目なマリアは人が変わったように時に情熱的に、時に静謐に様々な登場人物を演じ分けていきます。マリアの朗読に耳を傾ける人々もまた、思い思いに本の世界と自分の抱える悩みを重ね合わせていき・・・。

現実と想像の世界が交錯し、アルゼンチン・タンゴのリズムとともに夜のブエノスアイレスの闇に絡まっていきます・・・。

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ミュージカル 『シルバースプーンに映る月』 [講座・現代演劇]

2013年6月15日(土) 東京グローブ座 18:00開演
公式サイト

【キャスト】

坂本昌行
新妻聖子
鈴木綜馬
戸田恵子

内田亜希子
上口耕平
青山 明
園山晴子

【ミュージシャン】

ピアノ/荻野清子
アコーディオン/佐藤史朗

【スタッフ】

作・演出/G2
音楽/荻野清子
美術/松井るみ
照明/高見和義
音響/井上正弘
衣裳/十川ヒロコ
ヘアメイク/田中エミ
振付/前田清実
歌唱指導/満田恵子
演出助手/田村由佳
舞台監督/榎 太郎


V6の坂本昌行さん主演のミュージカル『シルバースプーンに映る月』を観劇しました。作・演出を手掛けたG2さんは、『NO WORDS, NO TIME ~空に落ちた涙~』(感想はコチラから)の手掛けた方でもあります。


【あらすじ】

広大な森の広がる、瀟洒な大邸宅。そこに住むのは、大会社の御曹司である敷島綾佑(坂本昌行)と義兄の雅也(鈴木綜馬)。コンシェルジュの鶴田彩月(戸田恵子)をはじめとして、2名の使用人(青山明、園山晴子)がお屋敷のお世話を見ています。使用人たちのもっぱらの噂話のタネは、嵐の夜に必ず聞こえてくると言う謎の歌声のこと。それは3年前のある夜から続いていると言うのですが・・・。

綾佑は会社の経営を義兄の雅也に任せきりで、酒に浸り遊びまわる毎日。3年前のある日から、2人の間には修復しがたい亀裂が生じていたのでした。

ある日、雅也は一計を案じて、その計画を彩月に打ち明けます。ひそかに雅也を愛している彩月は、これぞチャンスとばかりに、雅也の計画に便乗して自分の企ても成功させようと決意します。ところがその時、生まれてすぐに手放した実の娘・美珠希から電話がかかってきて・・・。

さて、ついに決行の日になりましたが・・・?

 

【カンゲキレポはコチラから】


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OSK日本歌劇団 『春のおどり』@日生劇場 感想(2) [講座・現代演劇]

公演の出演者やスタッフについてと、第一部『桜絵草紙』の感想は、コチラへどうぞ☆


第二部『Catch a Chance Catch a Dream』も、OSKらしい、スタンダードながらエネルギッシュなレビュー。

古き佳きハリウッドの香りあふれるミュージカルナンバー、軽妙なジャズ、情熱的なタンゴ、そして優雅なフィナーレ…。OSKで90年間引き継がれてきたであろう、オーソドックスで優美な「ザ・王道レビュー」の世界でした。

こちらでも、印象に深く残った場面を書き留めておきます。


* * * * *


高世・牧名がメインの「追憶」(振付/名倉加代子)。年老いたかつてのショースター(高世麻央)が、若かりし頃の輝きに満ちた時代とパートナーであった恋人(牧名ことり)を回想する…という場面。

白を基調にしたタキシード&ドレスに、シルクハットとステッキを持ちながら軽妙洒脱に踊りぬける高世と牧名がとても素敵でした。名倉先生の振付は優美でスタイリッシュで、大好きです。

最後はほっこりと癒される結末で…。高世の(男役としての)高音がとても澄んでいて、耳に心地よく入ってきます。


「ピエロの恋」(振付/佐藤洋介)は、若手の真麻里都(まあさ りと)、舞美りらが中心の場面。

ピエロが人形に恋をして…というファンタジックなストーリー性のあるダンスシーンなのですが、ここで観客の度肝を抜いたのが、人形を演じた舞美の「人形ぶり」!!

舞美は、ぜんまい仕掛けの人形のように両腕を上げて、頭から上体が不自然に傾いだ姿で椅子に座っています。

通常の人間ならばしんどい角度で傾いでいるのですが、これが身動きひとつ、瞬きひとつしないのです。

最初登場した時は、あまりにも身動きしないので、「あれは本当に人形が置いてあって、どこかのタイミングで舞美さんにチェンジするのかな?」と思っていたほど。2階席後方からの観劇だったので、ますますその思いを強くしてしまいました。そう思ってしまうほど、微動だにしない。

もっと言えば、「人間の空気」を見事なまでに消していたのです。

その無理な体勢のまま、ピエロたちに持ち上げられ、床に下ろされたところでパッと動きだして、真麻と踊りはじめるのです。そこでやっと「あ!本当に舞美さんが演じていたんだ!!」と思いなおして、さらに吃驚してしまいます。

真麻と舞美が楽しいダンスシーンを繰り広げた後、舞美は再び人形に戻って、他のピエロたちによって連れ帰られてしまいます。

激しく踊った後にも関わらず、スッと呼吸を鎮めて、再び上体が無理に傾いだ姿勢のまま、ピエロたちに持ち上げられていく舞美。ここもまたもや瞬きせず、身動きもせず。そして場面が終わると思われた瞬間に、真麻に向かって投げキッスを繰り出し、そこでまたピタッと身体を止めて、場面が終わります。

最初の人形ぶりにも驚きましたが、完全に消したはずの「人間の空気」を瞬間的に再生させ、再び一気に消してしまえる身体的能力の高さと間合いの巧さ。ダンスの基礎がきちんとできていて、鍛錬が正しく積み重ねられているからこそ出来る技です。そしてその技を、OSKでは若手である舞美が既に身に付けているということにも驚嘆しました。


「ラプソディ・イン・タンゴ」(振付/KAZUMI-BOY)は、トップスターの桜花昇ぼる・高世・牧名による、大人っぽくて耽美な、3人だけのダンスシーン。

最初は、ひとりの女(牧名)をふたりの男(桜花・高世)が争う…というありがち(でも大好き☆)な展開だとばかり思っていたのですが・・・

そのうち、男同士がお互い惹かれ始めたらしく…

…あれ?あれあれ?あれーーっ??(*ノ∀ノ)キャッ☆ な、展開に(笑)。

宝塚だと、こういった場面は冒頭から男役同士が絡むもの(むしろ、場面としては男役しか出てこないイメージ)。今回は、まずひとりの女に男たちが絡み、次第に男同士が絡み始め、それに嫉妬した女が男たちに絡んでいく…という倒錯的な展開が斬新で面白かったです。ダンスの中で変化していく心情すらもあぶり出されていくような……結末までドキドキして目が離せませんでした。

牧名のダンス、いつ観ても好きです。キビキビとした動きの中に娘役らしいしなやかさもやわらかさもあって、艶も色香もありながら、娘役としての品は決して失われない。素晴らしい娘役芸ですわ~☆


「バラ色の人生」(振付/名倉加代子)は、男役スターによる「La Vie en rose」の歌い継ぎが素敵で素敵で、胸がときめきます。

桜花は優しくて甘くて気品があって、あくまでも王道の王子様。ひたすら王子様。高世は端整なマスクに端正な歌声。そして桐生は、キリッと男らしくてイケメン☆

ものすごいマニアックなツボになりますが、私、桜花が歌や科白などで発する「さぁ」の、「ぁ」の部分がすごーく好きなんです!(←本当にマニアック過ぎ)。

というか、母音の「a」の発音にすっごくときめくのです(笑)。「さぁ」の「ぁ」とか、「ほら」の「a」とか。ちょっと吐息まじりで掠れたような声になるのがもう、なんか、たまらないのです(笑)。優しくて、包容力があって、大らかな、桜花の母音「a」の発音…思い出すだけで癒されてしまいます(笑)。

あれ?なんか、らんとむにも同じこと言っていたような…。そっか、私は母音「a」の発音が素敵な人にときめくのかな…。いや、たぶん吐息まじりのヒトが好きなんだな…(笑)。


「ジャスト・ダンス」(振付/名倉加代子)は、前景ので甘やかな薔薇色の世界から一転して、シックでスタイリッシュな世界へ。

男役は黒いスーツ(だったかな?)にソフト帽、娘役はひざ丈の黒いドレスにソフト帽で、ひたすらダンス、ダンス、ダンス!!まるでブロードウェイのショーを観ているかのような、スピーディーで華やかで、大迫力のダンスシーンでした!!舞台に立てる喜び、ダンスを力いっぱい踊ることのできる喜びが舞台中にはじけていて、すごく感動しました。


「レット・ミー・トライアゲイン」(振付/名倉加代子)は、「レット・ミー・トライアゲイン…」と繰り返される歌に、もう泣けて泣けて…。

この場面だけでなく、『桜絵草紙』でも、桜花が主題歌を歌う場面で、涙を流していたのが印象的でした。笑顔で歌っているのだけれど、頬を一筋の涙がスッと流れていて。ここまで来るのに、この東京公演まで来るのに、本当に色々と長い道のりだったんだなぁ・・・と思うと、ついついもらい泣きしてしまいそうでした(←感情移入しやすい)。

桜花だけでなく、舞台上に漲る気魄とか熱気が、もう全然違いました。ただ初日だから、というだけではない、言葉にならない思いがそのまま熱をもって昇華していくような。すごい興奮と高揚感でした。

また、この場面で歌われるのが「レッツ・トライアゲイン」ではなく、「レット・ミー・トライアゲイン」なのも、OSKらしい謙虚さと慎み深さがにじみ出ていて、何だかしみじみ。


ラストは勿論、OSK名物「桜パラソル」での「桜咲く国」~♪

この歌、ついつい口ずさんでしまいますよね~。さく~らさ~く~くにぃ~♪


* * * * *


アンコールのあいさつで、桜花が「まさか、宝塚さんのお隣で公演させてもらえるとは思ってもいませんでした…」と言っていて、思わず笑ってしまいました。

そうなんです、4月5日~8日の間、日生劇場では桜花昇ぼる率いるOSKが、そしてお隣の東京宝塚劇場では、私がこよなく愛する蘭寿とむ率いる宝塚花組が公演を実施。文字通り、"桜"と"蘭"が「花いくさ」を展開していたのです!それに気づいて、ひとりテンション上がりまくっていたのは、誰あろうこの私です(笑)。

この日は初日限定プレゼント企画がありまして、スター3名の直筆サイン入り「桜パラソル(レプリカ)」抽選会が舞台上で開催されました!

3名に当選…ということで、桜花→高世→桐生の順番に、1回ずつくじをひいていくことに(くじ箱ガールはことりちゃん☆)。

トップバッターの桜花がくじを引く時、「ガラガラガラガラ…ジャーン☆☆☆」と自分で擬音語を発しているのに気づいて、「可愛い、自分で言ってる☆」と大ウケだった高世と桐生。しかしこの2人も、自分たちの番ではしっかり擬音語を発していました(笑)。可愛い☆

「○階、△列、□番のお客さま!!」と声高らかに当選番号が発表され、当選した座席に座っていた観客の方は一応立つことになったのですが、いかんせん照明がきらびやか過ぎて、ステージ上の3名からはよく見えない様子。

「えーと、□番…どの辺?」「あの辺、あの辺」「あれ?お帰りになった?」「いや…」「いらっしゃる?」「う~ん…」とか言いながら、3人そろって額に手をかざして、必死で当選者の方を確認しようとするトップトリオ。その様子がお茶目で可愛らしくて、たまりませんでした(笑)。

ステージ上のわちゃわちゃ(笑)に照明さんが素早く対応して、当選者の方をピンスポットで照らしたので、その姿を確認できた様子。満面の笑顔で、「おめでとうございまーす!!」と声をそろえて祝福するトップトリオ。…素敵過ぎる…!!(そして照明さん、グッジョブ!)

そして、桐生のひいたくじは、何と私が座っていたお席と、たったの5番違い!!うわー、凄いニアミス!!桜パラソル(レプリカ)、欲しかったなぁー!「さく~らさ~く~くにぃ~♪」ってやる気満々だったのに!!準備も万端だったのに!!(笑)。


* * * * *


圧倒的なスピード感とリズム感でひた走りながら、どの場面も非常に完成度が高く、最後の最後まで目が離せないOSKの舞台。何よりも、薫り高きレビューの世界観がしっかりと受け継がれているところが素晴らしいと思います。

東京では、9月に三越劇場公演が決まっているそうな。短い公演期間ですが、機会があれば足を運びたいと思います。


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OSK日本歌劇団 『レビュー 春のおどり ~桜咲く国』@日生劇場 感想(1) [講座・現代演劇]

2013年4月5日(金) 日生劇場 18:00開演

OSK日本歌劇団創立90周年記念公演
『レビュー 春のおどり ~桜咲く国』


第一部 『桜絵草紙(さくらえぞうし)
第二部 『Catch a Chance Catch a Dream』



【出演】


桜花昇ぼる、高世麻央、朝香櫻子、桐生麻耶、緋波亜紀、牧名ことり、折原有佐、平松沙理、真麻里都、恋羽みう

ほか OSK日本歌劇団


【スタッフ】

第一部構成・振付/山村若
第一部演出/吉峯暁子
第二部作・演出・振付/名倉加代子
音楽/中川昌、鞍富眞一、麻 吉文◇長谷川雅大
振付/西川箕乃助、花柳基、花柳寛十郎、山村若有子◇麻咲梨乃、KAZUMI-BOY、佐藤洋介
美術/倉田克己
装置/立田豊
照明/平木信二
音響/畑中富雄
衣装/宮川正明◇森津妙子


* * * * *


かつて「歌の宝塚、ダンスのOSK」と称され、宝塚と並んで西日本を代表する歌劇団のひとつでありながら、2003年に解散に追い込まれたOSK日本歌劇団。

その後、多くの人々の熱意によってその志は受け継がれ、試行錯誤を繰り返しながら、2009年から株式会社OSK日本歌劇団として運営開始。現在は大阪市内を本拠地にして、近畿圏を中心とした舞台活動を続けています。

OSKの存在を知ったのは、本格的に宝塚ファンになるちょっと前のこと。実は、光GENJIファンだった頃に買った、(「じゃがいも」という名の)某アイドル雑誌でOSKについて取り上げられていたページを読んだのが最初のきっかけです。けれどもその時は、「へぇ、宝塚のほかにも女性だけの劇団ってあるんやなぁ」という程度の印象でした。

その後、宝塚ファンになったわけですが、宝塚の本拠地が実家から行きやすい場所にあったのに対し、OSKは当時、奈良県にあった近鉄あやめ池公演内にある円形大劇場が本拠地でした。交通事情からして、興味はあっても気軽に「行こう」と思える距離ではありませんでしたので、たま~にテレビで放映される舞台中継を見るくらいでした。

ということで、初めてOSKの舞台を観ることが出来たのは、2011年9月の三越劇場公演『桜NIPPON・踊るOSK!』。この時に、個々のパフォーマンスの完成度に目を奪われ、牧名ことりちゃんの可憐な娘役芸に心を撃ち抜かれたのでした(笑)。

90周年記念の区切りとしてOSKが挑んだ、東京・日生劇場公演。劇団員フルメンバーで東京公演を行うのは再スタート後初めて、「春のおどり」を東京で上演するのは、実に73年ぶりとなるそうです。


* * * * *


「春のおどり」は、和物ショーと洋物レビューの2本立て。

OSKは組がなく、トップスターとして桜花昇ぼるが君臨しますが、他にも数名、スタークラスの男役・娘役が在籍しています。公演ごとにカンパニーが組まれ、その都度、主演を務める生徒も変動します。

今回の公演はスターも総動員ですので、桜花を中心に、いくつかの場面で男役スターの高世麻央や桐生麻耶がシンを張ります。また娘役も、朝香櫻子と牧名ことりが場面ごとに交互にヒロインを務めると言う豪華ぶり。朝香は主に和物ショーで、牧名は洋物レビューでの活躍が目立ちました。

どちらのショーでも言えることですが、とにかくテンポとリズム感がめちゃくちゃスピーディー!

特に和物ショーでもそのテンポとリズム感にメリハリがあり、非常に楽しく観劇しました。

まずは、第一部『桜絵草紙』について、特に印象に残った場面を書き留めておきます。


* * *


今回の舞台で最も度肝を抜かれ、感動したのは、「鏡の夢」(振付/山村若)。

舞台中央に設置された、三面鏡のセット。その鏡の前に、深紅の着物に銀色の帯を締め、銀色の扇を手にした娘(朝香)が立っています。三面の鏡それぞれにも、娘の姿が映っています。

やがて、「ビギン・ザ・ビギン」のメロディーに乗って、軽やかに小気味よく娘が舞い始めます。鏡に映る娘の姿も、もちろん娘の動きに合わせて、キビキビと動きます。

ところが、実はこれ・・・

鏡に映っていると思われた娘の姿は朝香ではなく、折原有佐・恋羽みう・白藤麗華。そう、この3名の娘役が、朝香の動きと寸分たがわぬ正確さで、まるで合わせ鏡のように舞っているのです。

ただ鏡合わせに舞うだけでなく、朝香が左側の鏡の前へ近づくと、右側の鏡に映っている娘役は朝香の動きと同じ速度で動いて姿を消します。そうした「合わせ鏡の習性」までも取り入れながら、朝香の舞を狂いなく再現する、鏡の向こうの娘役たち。

全体的な振りは勿論、扇をかざす角度、扇を捧げ持つ高さ、くるりと一回転する時の足のバネのタイミングも、回転する速度も、全て朝香の動きにぴったり!!「一糸乱れぬ」とは文字通りこの事か、と舌を巻きました。

連れ舞だけでも合わせるのに苦労するのに、その場面のシンを張る人とまったく同じタイミングで、まったく正反対の動きをしていく、しかも3名同時に、というのは、技量のみならず、並はずれた努力と集中力が必要です。

この場面は、本当に本当に素晴らしかったです!!これからも、1人でも多くの方に観ていただきたい!OSKの財産として、いつまでも受け継がれていって欲しいと思います。

ちなみにこちらの「鏡の夢」、4月19日~29日まで大阪・松竹座にて上演されていた「桜絵草紙 浪花バージョン」では、男役による三番叟バージョンにて披露されたのだとか。

詳しくはコチラへ→えりあさまのブログ「徒然なる戯言~観劇の記録~」

男役バージョンも、観てみたかったな~。というか、男役・娘役でバリエーションがちゃんと存在する「鏡の夢」って…す、凄すぎる…!!


「鶴」(振付/花柳芳十郎、指導/花柳寛十郎)は、1963年に創作された場面。

桜花が親鶴となって、若い鶴たちを導くように、励ますように舞います。幽玄の中にも桜花のトップスターとしての気高さがひときわ際立つ場面でした。


「民謡メドレー」(振付/西川箕乃助)は、浪花小唄~金毘羅船ふね~ひえつき節~ちゃっきり節~佐渡おけさ~木曽節~会津磐梯山~お江戸日本橋~東京ブギウギを、息つく間もなくリズミカルに展開。

ちゃ~んと大坂(浪花)から出発して、お江戸(しかも、東京公演のホームとなりつつある三越劇場がある日本橋)がゴール地点なのがウマい!!「東京ブギウギ」は、OSKのOGでもある笠置シヅ子さんの代表曲ですしね~☆

男役は着流し、女役は浴衣。全員、手には団扇で素髪というシンプルな扮装なのですが、これがまたスピード感あふれる舞踊の連続で、くるくるとフォーメーションも変わっていって、すごく楽しかったです!!なのに出演者は歌も踊りも全くブレないし、息切れもしていないし、凄い!!


一転して「春の憂い」(振付/花柳基)は、「宵待草」のメロディーとともに、大正浪漫の香りあふれる、しっとりとした場面。

ひとりの女(牧名)と、彼女を慕う書生(高世)の、別離の前のひとときの逢瀬。切なくも美しい連れ舞に心奪われました。ストールを使う牧名の指先の動きが、相変わらず繊細で惚れ惚れしました。


最後の最後に身も心も震えたのは、桜花・高世・桐生による「三人連獅子」!!(振付/山村若有子)

親獅子の桜花に、子獅子の高世と桐生が控え、舞踊「連獅子」の、あの毛振りを見せてくれるのです!女性によるあそこまで本格的な毛振りを観たのは初めてだったので、その完成度と大迫力たるや、感動を通り越して愕然・・・!

あの時の劇場の興奮と高揚感はなんと表現したら良いのか、ちょっと言葉を思いつきません。

第一部はこの獅子の場面で幕が下りたのですが(演者の体力的な負担を考慮して、最後に持ってきたのでしょう)、休憩に入った後もしばらくの間、ものすごいどよめきと拍手が劇場内を揺るがしていました。


* * * * *


最近、宝塚歌劇では和物ショーが数年に一度の割合での上演になっていますが、OSKでは必ず1年に1度は和物ショーが開催されるのですよね。そのため、トップを筆頭に下級生にいたるまで、日本舞踊の基礎がしっかりと鍛錬されているように感じます。こういうところは、ぜひ宝塚も見習って欲しいなぁと思います。

日本舞踊をベースにしながら、これだけ疾走感あふれる和物ショーを創り上げられるなんて、本当に凄いことです!最後の最後まで、楽しんだり驚いたり、まるでおもちゃ箱のようにワクワクするショーでした。


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彩吹真央 20周年記念コンサート ―80seasons― [講座・現代演劇]

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2013年4月20日(土) Bunkamuraオーチャードホール 18:30開演

【出演】

彩吹真央

遠藤瑠美子、福田えり

井上芳雄(スペシャルゲスト)

【スタッフ】

演出・振付/港ゆりか
音楽監督/宮崎誠

* * *

2010年に宝塚を退団し、現在はミュージカル女優として活躍している彩吹真央の舞台生活20周年記念コンサートを聴いてきました。

2150席のオーチャードホールは、3階席までファンで埋め尽くされ、ほぼ満席という大盛況ぶり。ロビーには彩吹のオフィシャルファンクラブ有志から贈られた、薔薇の生花で造られた美しくてゴージャスなオブジェが飾られていました。

4月28日にはサンケイホールブリーゼで大阪公演がありますので、セットリストとコンサートの様子については「続きを読む」からお入りください。一部、紹介が聞きとれなかった曲については「・・・こ、これかな?」とドキドキしながら書いてあります。ご存知の方がいらっしゃったら、教えてくださると幸いです。

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『NO WORDS, NO TIME~空に落ちた涙~』 [講座・現代演劇]

2013年2月2日(土) 東京グローブ座 18:00開演
公式サイト

【キャスト】

東山紀之
田口淳之介
花總まり
黒田育世 ほか

【スタッフ】

作・演出/G2
振付/黒田育世
音楽/和田俊輔
美術/二村周作
照明/中川隆一
音響/井上正弘
音楽制作/飯塚章又
映像/奥秀太郎
衣裳/原まさみ
ヘアメイク/田中エミ
演出助手/髙野 玲

* * * * *

その比類なき経歴と存在感から、今でも宝塚ファンの間で「伝説の娘役」として語り継がれる元宙組トップ娘役・花總(はなふさ)まり。(彼女が「宝塚の伝説」たるゆえんは、コチラの記事をご覧ください)

花總の舞台を、8年ぶりに観劇しました。(※実際に花總が宝塚を退団したのは7年前ですが、ワタシは退団公演を観ることができなかった為、1年繰り上げて計算しています)

科白は一切なく、ダンスとパントマイムだけで進められていく濃密な舞台に、客席もかたずをのんで惹き込まれているようでした。

大まかなストーリーとしては・・・

ひとりの男(東山)がいます。男は愛する妻と息子を失くしたその日から、空虚な日々を送っています。職場では女性管理職(黒田)から熱烈なアプローチを受けているのですが、それを受け入れる気持ちは全くありません。妻や息子に逢いたいという思いは募るばかりです。

ひとりの青年(田口)がいます。青年はひとりの女(花總)と暮らしています。青年と女は、失くしてしまった「男」に逢いたいと願っています。

男の世界と青年の世界、2つの世界とそれぞれの想いが交錯した時、男は時空を超えてもうひとつの世界へ入りこみ、青年と女にめぐり逢います。女は男の妻、そして青年は成長した男の息子でした。

3人はつかの間の再会を喜び、その幸せをかみしめますが、世界を超えるというタブーをおかしてしまった男は時空管理局に捕えられてしまいます。男はすんでのところで息子に助けられますが、3人はそれぞれの世界で生きて行くことを決意し、再生の道を歩み始めるのでした・・・。

* * * * *

科白は一切なし、ダンスとパントマイムだけで1時間40分を創り上げるというこの舞台。

普段、コンテンポラリーダンスはめったに観る機会がないので相当な集中力を費やして、とても疲れる観劇でした。でも、なんだかとても心地よい疲労感と充実感。こういう感覚、好きだな。観劇の醍醐味ですね。

2つの世界が交錯するこの舞台では、ひとつの振りが何度もシンクロしたり、同じ振りが複数の人間によって繰り返されたりします。男は女であり、女は男であり、そして男は青年でもあり、青年は男でもある・・・。

共通点は、メインキャストの誰もが「失った者」であると同時に、「失われた者」でもある、ということ。

そして、「残された者」であると同時に、「残した者」でもある、ということ。

そのことを特徴的にとらえた振付やフラッシュバックのような演出が多用されていました。これは・・・一秒たりとも目を離せない!

舞台を観ながら、能『角田川』の母親を思い返していました。

大切なものを失った時、もうこれ以上はないという絶望に襲われた時、それでも「残された者」=「失った者」は生きていかなくてはいけない。「残した者」=「失われた者」もまた、別世界に隔てられた存在を慕い、想う気持ちは決して消えることはない・・・。そんな悲しみの「環」を断ち切り、新しい日々を生きていけるのかどうかは、当事者たちの意志に依るしかないのです。

『角田川』の母親も、この舞台に生きる「男」も、別世界との邂逅がきっかけとなって新しい道を生きる決意をします。母親は底知れぬ絶望から抜け出せないまま、男は闇の向こうに希望の光を見出して・・・。それぞれの心の出発点は正反対だけれども、それでも今日を、明日を生きるという選択をすることは同じ。

人間として当たり前のように思えるその選択は、時として苦しく辛いものです。だからこそ、感じる喜びも格別なのでしょうけれど。

・・・ああ、色々と考えていたら、何を伝えたいのか全く意味不明な文章になってしまいました・・・。カンゲキ通信おなじみ、「書いているうちに筆者も何が何だかわからなくなっている感じの文章」が久々に登場しましたね(苦笑)。

* * * * *

少しずつ、メインキャストの感想も。

東山さんのダンスを生で拝見したのは初めてですが、ひとつひとつの振りが明瞭なだけでなく、指先の動きやちょっとしたたたずまいにも彼独特の「余韻」があるのが流石です。

「黒田さんの振付は独特で、今まで僕が触れてこなかった部分であるのは間違いない」(公演プログラムより)と話しているので、こういった特殊な技法を伴うコンテンポラリーダンスに本格的に挑戦されるのは初めてだったようですが、それをまったく感じさせないほど。長年鍛えられてきたダンサーとしての感覚が活かされているのでしょうね。

* * *

KAT-TUNの田口くんのダンスを観るのも、もちろん初めて。東山さんのような「香気」を感じさせるにはまだまだかな・・・と思いましたが、とにかく思い切りが良くてキレがあって、ダイナミックなダンスは見ているだけでこちらのテンションも上がっていく感じ。

東山さんと向き合って同じ振りを踊る場面もまったく臆することなく東山さんに真っ直ぐ食らいついていって、観ていてとても気持ちの良い舞台でした。

終演後のカーテンコールでは「入口出口田口で~す!!」(←考案:横山裕氏)と、「まじまじ、あるまじ☆」のギャグを披露してくれました。「入口出口田口」を生で聞くことが出来て、感無量でした(笑)。

* * *

そして、花總まり。

もうね・・・ハナちゃん、凄すぎる!

公演プログラムに記載されているインタビューによると、「宝塚を退団して6~7年、その間に踊りを自分の生活の中に取り込んでいなくて(後略)」とのこと。

確かに現役時代に比べると少しふっくらとした(というかむしろ健康的な)体型になったと思いますが、儚い美しさと透明感、卓越した表現力と香り立つような品格はまったく衰えておらず、むしろ進化を遂げていることに瞠目しました。

ダンスは流れるようにしなやかで軽やかで、そして何より腕から手首、そして指先の表情が繊細かつ雄弁。

花總は「タカラジェンヌの最高傑作」だと思っていました。しかし、稀有な存在感を出せる舞台女優としても大きく花開いた彼女の姿を目の当たりにして、驚きと感動のあまり、終演後はちょっと言葉が見つかりませんでした。

花總まりの奇跡は、まだまだ終わらない・・・。

* * * * *

東京グローブ座は初めて足を運びましたが、3階席からでも舞台が近く感じられて、とても観やすかったです。劇場内カフェのアルコールメニューに「淡麗グリーンラベル」が置いてあったのは、流石だなと感心しました(笑)。


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ミュージカル 『道化の瞳』 主なキャストの感想 [講座・現代演劇]

全体の感想はコチラから。

【屋良朝幸】

ものすご~く曖昧な記憶で恐縮なのですが・・・私が嵐ファンになって間もない頃のこと。何かの雑誌(おそらくアイドル誌)で、「ジャニーズでいちばん○○が上手なのは?」というアンケートにジャニーズのアーティストが回答する、という特集がありました。その時、「いちばんダンスが上手だと思うのは?」という質問に、嵐の大野智くんは「屋良朝幸」と答えていたんですよ。(記憶違いでしたら、すみません)

抜群に美しいダンスで魅せる大野さんが「ダンスが上手い」と指名する「屋良くん」って、どんな人なんだろう・・・と思ったのが、私の屋良くんに対する最初の印象です。それからずっと、いつか屋良くんのダンスを観てみたいなぁという思いは何となく心の片隅にあったのですが、こんなに早く願いが叶う日が来るとは思っていませんでした。

そして、初めて観た屋良くんのダンスは・・・目が飛び出るくらいに仰天しました。

何なの、あの高速回転技!!あのジャンプの高さ!!動体視力も追いつけない動きのキレと素早さ!!

大野さんのダンスが「惹きつけて離さない」タイプなら、屋良くんのそれは「圧倒して釘付けにする」タイプだと思います。

運動神経めちゃくちゃ良いんだろうな~と感じさせる俊敏な身のこなしやバネのある動きに、一瞬たりとも目を離せなくなります。何ていうのでしょう、自分が目を離した瞬間にとんでもなくハイレベルな技を繰り出すのでは、と思うと、彼の一挙手一投足を見逃してはいけない!と、どうしても目が釘付けになってしまうんですよね。

第一部は病身の少年ということで、それほど激しく動くシーンはないのですが、第2部では水を得た魚のように、舞台を所狭しと駆け回り、踊りまくる屋良くん。イキイキとした小気味良いダンスがとにかく圧倒的で魅力的で、惚れ惚れしました。

これからも、屋良くんにはダンスアクト的な舞台にどんどん出演して欲しいなと思います。


【彩吹真央】

ユミコさん・・・・・・(←彩吹の宝塚時代のニックネーム)

ユミコさんに関しては・・・もう、何も言えねぇ・・・(号泣)。

という事で、彩吹真央さんに関してはコチラの記事でマニアックかつしっとりと語ってみました。興味のある方はご覧ください。

第1部では主人公・健一の母親で目の見えない明子役、第2部では健一が描く絵本の世界のヒロインで、やはり盲目の令嬢・チェリル役。どちらもさっぱりとしていて、心がとても純粋で美しい人です。特にチェリルのキャラクターは、母親に対する健一の愛がたっぷり詰まっています。

全幕通して目の見えない役というのはとても大変だったと思いますが、彩吹は難なくこなしていました。目の見えない追い目や健一の病気の事など、多くの悩みを抱えていても絶対に健一の前では見せない。でもやっぱり、ふと辛くなることもあって・・・母親だからこその強さと弱さを、絶妙のバランスで演じきっていました。

第1部、眠っている息子の傍で嗚咽をもらし、「この子の神様」を歌い上げるシーン。絶唱する彩吹の姿が本当に哀しくて、美しくて、儚くて・・・圧倒されました。劇場中が息をつめて、彼女の歌声に聴き入っていました。あれだけ舞台の空気をガラリと変えられるのは凄い!あの瞬間は、彼女が舞台を掌握していました。ユミコさん、さすが!!

変わって第2部では、金髪姿も麗しい美しい令嬢チェリルの姿に。細い~・・・。誰からも愛される心の美しい女性。舞台中央に設置された窓を開いて登場するのですが、そのたびに優しい光がパーっと舞台に満ちるようでした。ユミコさん、ほんまにええ舞台人になったわ・・・(感涙)。


【保坂知寿】

第1部では効率性と利益を追求して安藤(小堺一機)と対立する副院長・五十嵐役。第2部では、安藤先生がモデルのキャラクター・アルバート(小堺)と対立するとあるレビュー小屋のオーナー・ローガン役。

劇団四季時代から独特のハスキーな声とオーラが印象的だった保坂ですが、今回の舞台でもその特徴が活かされた舞台だったと思います。彩吹が「陽」の空気を持つキャラクターなら、保坂は見事に「陰」の空気を持つキャラクターを手堅く演じきっていました。

保坂にしかない「オトコマエなオンナ」の魅力が炸裂するのは、第2部のショー場面。ギラギラしてどぎついデザインの衣装に身を包み、桐生園加・美羽あさひ・佐藤洋介を従えて歌い踊る姿は、圧倒的なド迫力!!歌の中で「この世は金が全て」と断言する保坂ねーさんに、「はいっ、おっしゃるとーりですっ!」と思わず平伏しそうになりました(笑)。


【桐生園加】

宝塚時代からダンスの名手としてその実力を高く評価されてきた桐生。今回は後輩の美羽と共に病院に務める看護師の役を演じました。

スカートをはいているからか、持ち前のダイナミックなダンスがもっと観られるかと思っていた身としては物足りない部分もありましたが、「ナチュラルキラーマン」の善玉菌(だったっけ?)のダンスは必見&必笑!!振りもキビキビこなしてめちゃくちゃカッコイイのに、設定が設定だけに半笑いしかできない、というのが非常に辛かったです・・・(笑)。

第2部では、ローガンの店でダンサーとして踊っているグリゼルダ役。階段に片足をかけてポーズしているのが何ともいえずハンサムでした・・・(うっとり)。ダンスもめちゃくちゃパワフルかつ繊細で、綺麗な円を描くダンス。そのかのダンスは、やっぱり観ていて気持ちが良い!!


【美羽あさひ】

まさみちゃん・・・・・・(←宝塚時代の美羽のニックネーム)

まさみちゃん・・・元気そうで良かった・・・(号泣)(←彩吹さんと同じパターン)

彩吹同様、美羽もすごく思い入れのある宝塚の卒業生です。

元宙組の2番手娘役スターとして活躍していた美羽。らんとむの主演作『NEVER SLEEP』や『逆転裁判』、本公演でもショーでよく相手役として組んでくれました。らんとむの男前度が宙組でガツンと急上昇したのは、まさみちゃんがらんとむを巧く立ててくれていたからだと思います。「宙組娘役の"マスターピース"」だったと、今でも個人的にそう思っています。

今回は桐生と同様、病院の看護師役。ちょっと普通のシンプルなナース服ではなく、ラインや襟もとに色が入っているちょっと変わったデザインのナース服だったのですが、可愛く着こなしていました。「ナチュラルキラーマン」の場面では、ナチュラルキラーマンを誘惑する悪玉菌を熱演。色っぽい身のこなしと美しい流し目でヒーローを翻弄する様子は、宝塚で培われた「娘役芸」の賜物。

第2部では、ローガンの店で働くダンサー・ベデリア役。ここでも大人っぽい色香を振りまいて、キュートでコケティッシュな魅力炸裂。ひとつひとつの仕草にも、女性らしい曲線や柔らかい雰囲気が出るように、身体の隅々にまで神経が配っているのがよくわかります。まさみちゃん、全然変わってなくて、本当に嬉しかったよー!!(←やっぱりファンレター化)


【小堺一機】

第1部では、主人公・健一の主治医を務める安藤医師役。第2部では、イギリスの下町で活動する道化師グループのリーダー・アルバート役。

いやもう、その芸達者ぶりには脱帽ですっっ!!芝居の空気を自由自在に操る天才です!

舞台の空気をガラリと変えることも出来るし、その空気感により深みをあたえる芝居もできる。この方が起爆剤となってどんどん舞台も勢いが乗ってくるし、落ち着いたペースに戻る、舞台の掌握ぶり。決して芝居の流れを途切れさせたり雰囲気を壊すことなく、ポンポンとアドリブを投げ出してくる頭の回転の速さ。ひたすら凄いな~と感心しながら拝見していました。


【玉野和紀】

今回のオリジナル・ミュージカルを手掛け、作・作詞・演出・振付の4役をこなす多才ぶり。

やっぱり、タップダンスが凄かった~!!目にもとまらぬ速さで踏み続けているのに、ひとつひとつの音がきっちり聞こえてきて、軽快で柔らかで。もう、凄い!という言葉しか思い浮かばないくらい、凄い!!(←わかりやすく貧相な語彙力)

よくマンガなどで、人物がダッシュしている様子を表現するために、足がいくつも描かれている描写がありますよね。まさにあのような現象が!!玉野さんがタップを踏み出した瞬間、ホントに足が何本もあるように見えましたもの。「え、実写でそんなことある?」って、一瞬、目をこすって見直しちゃいましたよ(笑)。


* * * * *


他にも、華のある容姿で目を惹いた小西遼生、手堅い芝居とダンスで舞台を盛り上げた原田優一と佐々木喜英、ナチュラルキラーマンがどうにもこうにも強烈な印象だった佐藤洋介、俳優陣も素晴らしい方たちばかりでした。適材適所というか、パズルのピースがピタリと当てはまるように絶妙なキャスティングで、心から楽しめる舞台でした。

『道化の瞳』は、本日シアタークリエで千秋楽を迎え、5月1日まで名古屋・金沢・大阪公演が続きます。これから御覧になる皆さま、どうぞお楽しみに!そしてキャスト&スタッフの皆さん、素敵な舞台をありがとうございました!大千秋楽まで頑張ってくださーい!!


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ミュージカル 『道化の瞳』 [講座・現代演劇]

2012年4月12日(木) シアタークリエ 19:00開演

作・作詞・演出・振付:玉野和紀
音楽・歌唱指導:NASA
ヴォーカルアレンジ・稽古ピアノ:松井トモコ
装置:升平香織
照明:高見和義
音響:戸田雄樹
衣裳:十川ヒロ子
ヘアメイク:福島久実子
クラウニング・ジャグリング指導:ダンディGO
振付助手:大畑浩恵
舞台監督:小谷武
演出助手:渡辺光喜

【キャスト】
宮岸健一/クーガン:屋良朝幸
宮岸明子/チェリル:彩吹真央
里見貴行/ハリー:小西遼生
鈴木淳/カール:原田優一
高橋修司/フラット:佐々木喜英
矢口舞/グリゼルダ:桐生園加
桜井美穂/ベデリア:美羽あさひ
黒崎哲也/ダリウス:佐藤洋介
五十嵐敬子/ローガン:保坂知寿
安藤進/アルバート:小堺一機
チャーリー:玉野和紀

ピアノ:荻野清子
ヴァイオリン:岸倫仔
リード:坂川諄
パーカッション&ドラム:東佳樹、秋田孝訓


* * * * *


彩吹真央さん。私が蘭寿とむのファンになるきっかけとなった、元宝塚の男役スターさん。2人がダブル主演した『月の燈影(ほかげ)』は、今でも思い出がいっぱい詰まった大切な作品です。

美羽あさひさん。らんとむの宙組2番手時代によく相手役を務めてくれた、元娘役スター。宙組に来てらんとむの男っぷり&包容力が一段と上がったのは、彼女のお陰だと思い込んでおります。

桐生園加さん。らんとむの花組時代の後輩としてパーソナルブックの対談にも登場し、ダンスの場面でもよく共演しました。(久々に、蘭寿とむパーソナルブック2007を引っ張り出してきました。らんとむ、若いわ~っ!!)

保坂知寿さん。私が劇団四季に興味を持つきっかけとなった方。『ミュージカル李香蘭』の川島芳子役で、スタイル抜群で軍服を着こなす姿に憧れました。


私のカンゲキ人生にとって、思い入れの深い女優陣がこれだけ集結することなんて、これからあるだろうか!?

否!たぶん、否!!

これは観ておいた方が良いんでない!?

よっしゃ、GO!!

という、謎のテンションでチケットを入手したこの舞台。改めてクリエのホームページで公演詳細を観て、初めてジャニーズの屋良朝幸くん主演だという事を知りました。ごごご、ごめんね、屋良くん!!

屋良くんはジャニーズ事務所きってのダンサーとして知られ、嵐の「ワイルド アット ハート」や「Crazy Moon」、「One love」などの振付も手掛けています。単独でミュージカルに主演するのは、今回が初めて。そして私にとっても、ジャニーズ所属アーティストの舞台をこの目で実際に観るのは、今回が初めて。

ドキドキ、ワクワクしながらの観劇でしたが、とことんエンターティメントにこだわった姿勢と、その中に込められたメッセージがまっすぐに伝わってきて、とても切なく、とても温かい物語でした。


【あらすじ】


現代。白血病を患う少年・健一(屋良)は、長い入院生活の中で出会った医師(小堺、保坂、小西)や看護師(原田、佐々木、桐生、美羽、佐藤)、そして盲目の母親(彩吹)をモデルに絵本を書いています。そんな彼の唯一の友達が、燕尾服を着た「チャーリー」という名前の人形でした。ある日、母親と医師たちの会話から、自分の余命がわずかだと知った健一は衝撃を受け、意識を失ってしまいます。健一が目を覚ますと、どこか知っている世界が・・・それは、彼が描いた絵本の世界だったのです。

1931年のイギリス。靴磨きの少年クーガン(屋良)は道化屋のアルバート(小堺)達と一緒に、貧しいながらも楽しく毎日を過ごしていました。タップダンスの得意な道化のチャーリー(玉野)は、チェリル(彩吹)という盲目の令嬢に恋をしていました。ある晩の舞踏会で、貴族の青年ハリー(小西)がチェリルに一目ぼれしますが、目の見えないチェりルは素直に想いを受け入れることができません。ある日、チェリルの目の治療法をハリーから聞いたチャーリーは、あることを決心します。

大切な人のために、自分に何ができるのか。大切な人に、自分は何を与えられるのか。健一とチャーリーの思いが交錯する時、絵本の物語は終わりを迎えます。


【カンゲキレポ】

シアタークリエには初めて入りました。あれほどお向かいの東宝劇場には入り浸っているのに・・・ね(笑)。1階は受付のみで地階にある劇場には階段かエレベーターで移動。ホワイエが結構狭いので、幕間にはトイレに並ぶ列と売店に並ぶ列でものすごい混雑になりますが、劇場係の方の誘導が的確かつ迅速で、余計なストレスを感じることなく過ごすことができました。

プログラムを読んで驚いたのですが、今回、演出・振付を担当し、出演もされている玉野和紀さんは、『雨に唄えば』や『ロシアン・ブルー』など、宝塚の舞台でも何度かタップの振付をなさっているのだとか(←うう・・・どちらも観てないから知らなかったや・・・)。彩吹さんは『ロシアン・ブルー』に出演していたし、美羽あさひちゃんも『雨に唄えば』に出演していましたから、ご縁があったのですね~。

・・・ということで、今回はほとんど、OGさん、モトシキさんとの思い出メインに感想レポを書きすすめていく気配です。屋良くんファンの方、小堺さんはじめ素敵な俳優さんファンの方、本当にすみません・・・。

第1部では、白血病の少年、健一と周囲を取り巻く人間関係が描かれます。

人形チャーリーに話しかけ、絵本を描くことで病気への不安、死への恐怖に打ち克とうとする健一。そんな健一を明るく、優しく見守る医師・安藤(小堺)。治療方針をめぐって安藤と対立する五十嵐(保坂)と里見(小西)、光を失いながらも、健一の前では決して明るさを失わない母・明子(彩吹)。そして楽しく、朗らかに病院を盛り立てる医師や看護師たち。

五十嵐と里見以外が登場する「戦え!ナチュラル・キラーマン」は、抱腹絶倒の可笑しさです!病室内でいきなり展開される戦隊ショー!!五十嵐が真顔で登場した瞬間の、あの気まずい間とたちこめる恐怖感といったら(笑)。

第2部では、健一が描く絵本の世界が再現されます。

最初、現実世界の健一と絵本の世界のチャーリーは同じような立場だから、屋良くんが2役演じるのかと思っていました。すると、チャーリー役は玉野さん。2つの役が重なりあっているのだったら、屋良くんがすべきなのでは?と思ったのですが、物語が進むにつれて、その意味がわかったような気がします。せめて絵本の中では、健康に、自由に好きなダンスを踊っていたいよね、健一くん・・・。

クライマックスで、チャーリーの思いと健一の思いが重なった時、絵本に込められたメッセージも解き明かされます。

母親のために、健一だけができる、愛情と幸せの込められたプレゼント。それは、あまりにも悲しくて、あまりにも必死なプレゼントで・・・あまりにも切ない、世界でいちばん愛する人との絆。それは、健一が少年だったからこそ、純粋に決意できたことなのかもしれません。ここまで、愛する人に与えることができるだろうかと、心を激しく揺さぶられました。

物語のテーマはとても切なく重いものですが、随所に入るショーシーンはさすがの手堅さ。

前述の「ナチュラルキラーマン」の意外性と言い、第2部の道化師達によるストリートジャグリングでの一体感と言い、ローガン(保坂)による気だるさ全開の肉食系ショーの迫力と言い、わずか11名によるカンパニーで創り上げているとは思えない完成度の高さです。それぞれがそれぞれの個性をいかんなく発揮できているのが、気持ち良いですね。

長くなってしまったので、キャストの感想は次回のお楽しみに。(←ひええ、またやっちゃったよー!!)


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OSK日本歌劇団 東京三越劇場公演 『桜NIPPON・踊るOSK!』 [講座・現代演劇]

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2011年9月15日(木) 三越劇場 16:00開演

名橋「日本橋」架橋100周年記念 
『桜NIPPON・踊るOSK!-Revue, the Classic-』

【出演】
OSK日本歌劇団

高世麻央、桐生麻耶、牧名ことり、平松沙理

恋羽みう、楊琳、悠浦あやと、愛瀬光、舞美りら、柑奈めい、妃那マリカ、城月れい、麗羅リコ、由萌ななほ

* * *

宝塚歌劇団と双璧をなす実力と歴史を持ちながら解散の憂き目に遭い、それでも不死鳥のようによみがえったOSK日本歌劇団。8年ぶりに東京公演があると聞き、このチャンスを逃してはなるまい!と駆けつけました。

OSK日本歌劇団は1922年、松竹楽劇部を前身として発足。宝塚歌劇団、松竹歌劇団(SKD)とならぶ日本の三大歌劇団として名をはせました。

大正~昭和初期にかけて、全国各地で少女歌劇の誕生が一大ブームを巻き起こしていたことは(書籍) 少女歌劇の光芒でもご紹介しましたが、戦後も長きにわたって活動したのはこの3つの劇団のみです。

宝塚ファミリーランドに隣接する宝塚大劇場と同じく、OSK歌劇団も奈良市内にあったあやめ池遊園地内の円形大劇場を本拠地として多くのレビュー作品を上演していました。しかし、2003年に親会社の近鉄グループから支援を打ち切られ、いったん解散。その後は市民劇団として再結成され、現在は株式会社OSK日本歌劇団として、大阪を中心に舞台活動を継続しています。

現在は、35名が在籍。トップスター桜花昇ぼるを中心に、高世麻央・桐生麻耶(あさや)・緋波亜紀ら男役スターが並び、朝香櫻子・牧名ことりが娘役トップ的な位置についています。公演やイベント内容で、座長(主演)やヒロインが柔軟に変わるようです。

OSKの存在は、高校生くらいの頃から知ってはいて、時々関西ローカルで放映されていた舞台中継は見ていたのですが、実家からあやめ池はかなり行きにくいところにあり、本物の舞台を観たことはなかったのですよ。けれど、宝塚と同じレビューの歴史を背負う劇団として、その変遷は気にかけておりました。

新しいOSK歌劇団としては、初めての東京公演。そしてワタシにとっても、初めてのOSKの舞台。宝塚とはまた違った、「味わい深いレビュー」でした!

構成は、日舞ショーが30分、休憩をはさんで洋物レビューが60分の、約2時間。横浜出身の高世麻央をトップに、関東出身者を中心としたメンバー14名での公演でした。

* * *

日舞ショーは、チョンパ(暗転中に幕が上がり、一気に照明が当たると出演者が板付でスタンバイしている演出)でスタート!華やかで綺麗~!!

プロローグは艶やかな元禄踊り風の若衆姿と娘姿。音楽は洋楽です。ここで面白かったのが、タンゴを使った場面で、タンゴそっくりの振りがあったこと。

洋楽で日舞を踊るのは、レビューの醍醐味のひとつでもあり、宝塚の日舞ショーでも定番ですが、振りは日舞の動きを基本にしたものなのですね。けれどOSKの舞台では、タンゴでよく見るような振りを、そのまま取り入れていました。美しい若衆と娘が和装で舞うタンゴ、新鮮でしたわ~。

OSKのステージは、とにかくスピード感がすごい!その中で粋でイナセな男たちのキビキビした踊りが素敵な「木遣りくずし」、しっとりとした秋風の風情が漂う「荒城の月」、桜をテーマにした、はんなりと晴れやかな空気に満たされる「桜NIPPON」、「戻り橋」を題材にしたストーリー性のある「橋幻想」など、盛りだくさん。

特に印象的だったのは、「橋幻想」でしょうか。最初は「戻り橋」っぽいイメージの始まりに、「日本橋架橋100周年だったら、日本橋をテーマにした場面にしたら良かったのに・・・」と思ってしまったのですが、公達を演じる高世の気品と、彼を翻弄する妖かしの美女(牧名)の妖艶さがとても印象的で、息をのんで見入ってしまいました。

特に牧名は、ひとりの女性として登場する時と、魔性のものとして姿を顕す時の、指先の使い方がとても特徴的で、かつとても美しかったです。本性を隠している時は、手の甲をひらめかせ、指先の動きもやわらかいのですが、魔性を顕した後は折り曲げた指先にまでに力がみなぎり、「爪」を表現しているようでした。

日舞ショーのエピローグは、二枚扇での群舞。これがまたスピーディーでキレがあって、とっても揃っていました!すごーい!!

* * *

洋物ショーは、プロローグからスピーディーで軽快なダンスでスタート!黒燕尾の男役と、白いドレスの娘役がキビキビと踊る姿は本当に素敵。

かつては「歌の宝塚、ダンスのOSK」という言葉があったそうなのですが、確かにOSKのダンスは凄い!どんなダンスでもワンカウントの振りが細かいし多いし、しかも曲のテンポもかなり早いのですが、誰1人として振りがズレることもなく、難なく踊りこなしているんです。研修生の時代に基礎をみっちりたたき込まれているのでしょうね。

高世は客席から登場!高世の客席巡りは、3回くらいあったかな?2階席から羨ましく観ていました~。三越劇場は客席が千鳥配列ではないので、全体を観るには2階席の最前列がオススメですけれども、この時ばかりは良いな~って思っていました。

プロローグの後は、楊琳・悠浦あやと・愛瀬光の若手スター3名による場面「Pop&Beat」。

ここで、やや強い地震が起きました。ざわつき、ガヤガヤしはじめる客席の意識を舞台に戻そうと手拍子をかけてみましたが、2階席後方列からではたいしたエールにもならず・・・それでも最後まで満開の笑顔と軽快なダンスで場面を務めあげた3人、さすがでした!

続く「バーレスク」は、牧名ことりを中心に、娘役6名による色っぽい場面。

牧名さん、本当に素敵な娘役さんです。プロローグでは可憐で美しい高音を聴かせたと思うと、こういう大人っぽい場面では艶のある低音を響かせて、全然イメージを変えてきます。ダンスも歌も抜群の実力。

「スパニッシュ」では、まず桐生による切れ味鋭いダンスを堪能。そして高世が加わり、迫力あるダンスシーンへ。続いて牧名が「アルゼンチンよ泣かないで」を歌い、デュエットダンスへ。

いや~、牧名さん、ええわ~、ええ娘役さんやわ~・・・(←橋幻想あたりから牧名さんに釘付け)

中詰は、「ミュージカルメドレー」。「あなたと夜と音楽と」「ザッツ・エンターティメント」などなど、おなじみの名曲とともに華やかに軽やかに展開されるダンスシーンです。

「スウィングストリート」では、カッコいいスーツでのダンス!はあぁ、やっぱ男役のスーツって素敵だわ~(目がハート)。

ここで印象的だったのは、最後の場面。高世・桐生・牧名のいわゆるトップトリオが絡みながら、ちょっと気だるいジャズを歌うのですが、牧名が真ん中に、高世と桐生と並んで腕を組みながら歩く、という振りがありまして。トップスターがちょっと脇によけて、代わりに娘役トップがセンターに立つ場面って、なかなか最近の宝塚ではないから、ああ、OSKはこういう事もできるんだ、良いなぁと思いました。

フィナーレは、ラインダンスから始まります!これがまたまた、素晴らしかった!度肝抜かれました。

もう何度も言ってますけど、テンポが早くて細かい振付と、めまぐるしく展開される隊形移動。足を上げる角度もタイミングも完璧!!完成度の高い充実したラインダンス。見ごたえありました。

ブルーと白を基調とした、爽やかなフィナーレでも美しいダンスで魅せるOSK。日舞ショーも含めて約90分、皆さん出ずっぱりで踊りっぱなしです!それでも正確な振りとダンスのキレ、舞台の端々まで清々しいほどに揃った群舞は、最後になってもやはり乱れることはありませんでした。

アンコールは、OSK名物「さくらパラソル」を手にして劇団のテーマソングでもある「桜咲く国」を。ああ、この場面、絶対に生で観てみたい!って思っていたんですよ~!夢がかないました☆

今こそ白状しますが、実は当ブログの記事カテゴリーのひとつ「桜咲く国」は、ここから拝借したのです。てへ☆(←笑ってごまかす作戦)ということで、今回は特別にこちらのカテゴリーに入れてみました。

* * *

いや~、初めてのOSKでしたが、本当に面白かったです。カテゴリーとしては宝塚と一緒だよなぁと思っていたのですが、やっぱり個性やカラーは全く異なりますね。

いちばんに思ったのは、「OSKは少数精鋭主義、実力主義が徹底しているんだなぁ」ということ。

この公演でトップを張った高世、桐生、牧名はダンスも歌も抜群の安定感があります。ですから、観ているこちらも安心して、ゆったりとレビューの世界に浸れます。

他の出演者たちも、ベテランから若手まで、特にダンスに関しては高い技術力が備わっています。

どの場面か失念してしまいましたが、4組のカップルがデュエットダンスの中で一斉にリフトを行う場面がありました。それが、タイミングも回転も、全組きっちりとそろっているんですよ!!これには舌を巻きました。素晴らしき職人芸の世界です・・・。(←基本性格:職人芸に弱すぎ)

来年、創設90周年を迎えるOSK日本歌劇団。その節目の年にもぜひ、東京で公演してください。待っています!!


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