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映画 『武士の一分』 [映画]

【原 作】 藤沢修平

【監 督】 山田洋次

【出 演】 木村拓哉、檀れい、坂東三津五郎、笹野高史、
       小林稔侍、桃井かおり、緒方拳 ほか

皆さま、新年明けましておめでとうございます。
本年も皆さまにとって、たくさんのHappyがあふれる1年となりますように。

まだ2007年も空けて9日というのに、すでに今月のカンゲキ予定は終了(笑)。
松の内までに、映画→初寄席→初歌劇と、カンゲキを満喫してしまいました。

今回アップしますのは、映画『武士の一分』。
元タカラジェンヌの檀れいと三津五郎が出演するというので、行ってまいりました。

【物 語】
海坂(うなさか)藩に毒味役として仕える下級武士、
三村新之丞(木村拓哉)は、貧しいながらも妻・加世(檀れい)、
下男の徳兵衛(笹野高史)と三人、つつましくも明るく、
笑いの絶えない生活を送っていました。
しかしその幸せは、事故により新之丞が失明することによって
失意のどん底へと突き落とされます。

人に頼らなくては生きていけない境遇に絶望する新之丞。
夫と家を守ろうと奔走する加世に声をかけたのは、
藩の上士である島田藤弥(坂東三津五郎)。
しかしそれは、娘時分から加世に目をつけていた島田の罠でした。

罠に落ちて島田に身を捧げてしまった加世を、新之丞は離縁します。
そして、全ての真実を知った時、新之丞は自らの「武士の一分」を
かけた、ある闘いを決意します。

【カンゲキレポ】
藤沢修平の小説をお読みになったことがある方ならお分かりかと思いますが、
彼の時代小説は、読んだ後にどうしようもないやるせない気持ちになるものと、
清々しい展開で爽やかな読後感を残す作品に大きく分かれます。
今回の物語の結末がどちらだったのか、それはこれから
ご覧いただくお楽しみにしておきましょう。

一言で感想を言うと、構成やカット割りなど演出の不備やまずさを、
出演者の熱演が全てを打ち消してしまう、素晴らしい作品でした。

とにかく、配役陣が非常に贅沢で適材適所。
主要人物それぞれが主演映画を撮れるような俳優陣がズラリと並びます。
今回は脇に回ったこの配役陣の完成度の高さが、そのまま作品の
完成度の高さになったと言っても過言ではありません。

***

特筆すべきは、この作品で本格的に女優デビューを果たした、檀れい。
木村拓哉演じる主人公の妻・加世を演じました。

宝塚歌劇団ではその美貌と演技力で月組・星組でトップ娘役を勤めました。
2度にわたる中国公演では「楊貴妃の再来」とと現地で絶賛を浴びました。

在団中から、ダンスと歌があまり得意ではありませんでしたが、
際立った美貌と余韻を残す演技は際立っていました。
それで、檀ファンの友人と私の間では、早くから
「だんちゃん(檀のニックネーム)、絶対に舞台より映像で活きる人だよねー」
と話しておりました。

今回、その友人と一緒に映画を見たのですが、「我が目に狂いなし!」
とひそかにほくそえんでいたのは、この私です…(笑)。

だんちゃん(すみません、いつもこう呼んでいるので…)の加世は、
非常に情の細やかな女性として演じられています。
控えめながらもたおやかさ、凛とした優しさを感じさせる台詞はもちろん、
日本舞踊で鍛えた居ずまいの正しさ、立ち居振る舞いの美しさも見事。
映画の中でも、しっかりと自分の「居どころ」をわきまえた演技には脱帽です。

そして何よりも、劇中の折々で旦那様に見せる細やかな心遣いの数々。
非常に自然で愛情があふれていて、こちらまで優しい気持ちになります。

映画観賞後、カフェで一息つきながら、友人と時間の許す限り、
「いやー、だんちゃん、良かったねえ、本当に良かったねえ」
とほめたおし続けておりました。

***

もうひとり、だんちゃんと同じくらい注目していたのが、
敵役・島田藤弥を演じた坂東三津五郎。
今回は檀と三津五郎を楽しみに映画館に行ったのですが、いやはや、期待を超えました!
もう、予想以上の悪役っぷり。しかも極悪人だからこその危険な色気がむんむん(笑)。

公開前のインタビューで、三津五郎はこう述べています。
「原作を読んでみると、島田という人物は救いようなないほどの悪役。
なぜ監督が自分にこの役を依頼したのか、意図がわからなかった。(中略)
島田には抗いきれないような色気もあったのではないか、監督はそのあたりの
空気を出せるように、自分に役を依頼したのではないか、そう思って役作りしました」。

「抗いきれない色気」…。とろりんのツボです(笑)。

はたして、もう、これ以上にない!というくらいの色悪っぷり。
加世に迫るシーンなど、思わずゾッとするような色気です。
ワタクシ、何度失神していたことか(笑)。

三津五郎の凄いところは、出番ごとにその役の空気をガラリと変えてくるところ。
前半は、藩の官僚として仕事がよく出来て、不遇の出来事に失意している加世に
旧知の間柄として声をかける親切な微笑み。…すでに、観客も騙されています。

そして、だんだんと悪役の姿をあらわしていく過程での、ひとつひとつの
表情の変化…。もう、ゾクゾクします。
スクリーンからあふれ出る危険な悪の魅力に、クラクラしっぱなし。
丸の内ピカデリーの2階席最前列で観賞していたのですが、
三津五郎の表情がアップになるたびに、即死してました(笑)。

特にクライマックス。
剣の修行をおさめた侍にしては卑怯すぎる手段を使おうとする
三津五郎のかすかな表情の動きにはご注目!!です。
もう、「色悪万歳!」と叫びたくなるほど、性悪なのに色気むんむんな表情を
存分にご堪能ください(笑)。

***

三村家の下男・徳兵衛を演じた笹野高史さんも素晴らしい助演。
いつの間にか、メインでないシーンでも、後ろに控えている徳兵衛の
動きをずーっと目で追ってしまいました。それほどの存在感。

先代から三村家に仕える下男として、四六時中、新之丞と加世の
そばにいるのですが、そのつかず離れず、決して出しゃばらず、
常に絶妙の間合いをとっているその距離感が何とも言えない味わいです。

***

小林稔侍、桃井かおり等、脇を固めるベテラン俳優陣の巧さ、手堅さは言うまでもなし。
特に緒方拳は、
「そ、それだけですかご師匠っっ!?」
と思わず叫んでしまいそうな短い出番の中で、圧倒的な存在感を見せつけています。

*****

檀れいの新しい門出に心から拍手を送り、三津五郎の抗いきれない
悪役の色気に思いっきり興奮し、ベテラン俳優陣の文句なしの実力に
感服する一本です。

『武士の一分』 公式サイト: http://www.ichibun.jp/

ついでにコチラも、ぽちっとな☆


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コメント 4

ラブ

わぁ〜、見たくなってきた!
私も、悪〜い男、好きなんです(笑)。
絶対映画館で、見るぞ。
by ラブ (2007-01-11 18:41) 

★とろりん★

ぜひぜひ、映画館で見て下さい!!
あ、キムタクも結構よかったですよ(今さらフォロー)。
by ★とろりん★ (2007-01-12 10:09) 

りょう

とろりんさんへ
檀れいさんって本当にお綺麗だね~。あこがれますぅ。
何も知らない私は
「こんなに綺麗な人、芸能人でいたっけ??新人かな?」
と思っていたのですが。。。
やはり宝塚ご出身でしたか。奥が深いです。
by りょう (2007-01-12 21:49) 

★とろりん★

りょうさま、コメントありがとうございます☆
だんちゃんは宝塚時代から圧倒的な
美しさでした。いちばん良い形で再スタートを
切ることができて、ヅカファンとしては嬉しいです。
これからも応援してやってください(親心全開)
by ★とろりん★ (2007-01-12 23:06) 

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