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新春国立名人会 5日の部 [伝統芸能]


※戦利品の数々。席を手配してくれた友人殿、本当に感謝です!

2007年1月5日(金) 国立演芸場 13:00開演

【主 任】 桂 歌丸 

【出 演】 
松本源之助社中/春風亭昇太/おぼんこぼん/雷門助六/内海桂子/宝井馬琴
-仲入り-
国本武春/昔昔亭桃太郎/松旭斎すみえ/歌丸

*****

笑う門には福来たる!

というわけで、新年初カンゲキは歌舞伎でも宝塚でもなく、寄席。
国立演芸場で2~7日にかけて興行されました「新春国立名人会」、
5日(金)の部へ足を運びました。日替わりで出演者が登場するという
新春ならではの顔見世興行です。

この日はトリの歌丸師匠を筆頭に、内海桂子師匠や雷門助六師匠、
昇太師匠や浪曲の武春さん等、ベテランと若手がバランスよく配されていて、
立ち見が出るほどの盛況ぶりでした。

開演前、売店で偶然にも歌丸師匠の直筆サイン入り著書を発見。
これって、まさか本物…??と、ドキドキしながら店員さんに確認したところ、
「ええ、今日サインしてくださったんですよー」。
……迷わず購入っっ(笑)。
表紙のすぐ裏に力強くサインが入っています。きゃぴきゃぴ☆

友人殿の厚意により、今回は最前列センター通路寄りという、
これ以上にないくらい絶好のポジションでの見物。(感謝!!)

そして私、この日の演芸場できっといちばん幸せなお客になりました。
詳しくは後ほど…。

■ 松本源之助社中 獅子舞 ■

まずは新春らしく、獅子舞の勇壮な舞で華やかに晴れやかに幕が開きます。
ダイナミックな獅子舞、そしてちょっと可笑しい恵比寿様の踊りで、
客席は一気に和やかなお祝いモードへ。

獅子を遣われる方も恵比寿さんを踊られた源之助師も、かなりお年を召して
おられるのですが、そんな事は感じさせないハツラツとした踊り。
この、日本の古き佳き伝統の踊りを受け継いでいく若い力が生まれることを願います。

事前にカンゲキ仲間より「お獅子はお年玉が大好き」
という情報を入手していたので、ポチ袋にご祝儀を入れてひそかに準備。
踊りがひととおり終わった後、お獅子さんが客席へと降りてきました。
私はその階段すぐ横の席でしたので、1番乗りでお獅子さんに
ご祝儀をお渡しすることができました。

お獅子さんの口をむりやりこじ開けてご祝儀をねじ入れますと(笑)、
お返しにとお獅子さんがカチカチと歯を鳴らして頭をかみかみ☆してくれました。
獅子舞に頭をかみかみ☆してもらうと、1年を無病息災で過ごせると言われています。

「やったー、今年1年は健康☆」と喜んでいると、
後からついてきたお多福さんがお年玉をくれました!!
獅子頭の根付です。1つ目のラッキー☆
少し角度を変えると、獅子頭の目玉が飛び出る仕組みになっております。

思いがけないプレゼントに、のっけからホクホクのとろりん。
このお獅子さんの根付が、さらにたくさんのHappyを届けてくれます。

■ 春風亭昇太 「権助魚」 ■

続いて元気よく飛び出してきたのは、「笑点」のフレッシュマン、昇太師匠。

女将さんに旦那の浮気を確かめるように言われた権助。
ところが一枚上手の旦那は権助を丸め込み、
「旦那は隅田川で釣りをしていた」と女将さんに言うように命じます。
アリバイ作りのため、帰り道の魚屋で魚を買っていくように言われた権助。
ところが田舎の山奥育ちの彼は、魚を見たことがありません。
あれこれと魚屋さんを質問攻めにしたあげく、権助が持ち帰った魚は…!?

昇太師匠は藤色のお着物にクリーム地に茶色の縞が入った袴姿。
袖口からは鹿子の襦袢(?)がチラチラと見えて、とても華やかです。

元日からお仕事の掛け持ちで少々お疲れでしたでしょうか、それとも
マクラ(年末年始の混雑ぶりをネタにされていました)で飛ぶわ、蹴るわと
大ハッスルしすぎたのか(笑)、お声が少し出にくそうにお見受けしました。

でも噺へ入ると、田舎育ちで元気だけが取り柄の権助へスッと変身。
魚のことを全く知らない権助が、魚屋さんであれこれ言いながら
見当違いの魚を買い占めていくシーンはとっても面白かったです。

■ おぼんこぼん 漫才 ■

黒のいぶしラメラメのスーツ姿で登場したおぼんこぼんのおふたり。
「建前と本音」をテーマに、結婚式のスピーチをネタにした漫才。
瀬川瑛子や大川栄作など、モノマネもたっぷりの大サービスでした。

■ 雷門助六 「凝り相撲」~あやつり人形「かっぽれ」 ■

にっこりと笑顔を見せて登場したのは、助六師匠。
相撲の枡席で起こる、ちょっときわどい騒動を軽妙に話してくださいます。

お相撲見物に行ったことのある方はご存知かと思いますが、
相撲って、休憩なしで全ての取組が進められていくのですよね。
ですから、お手洗いに行きたいな…と思っても、この取組が終わってから、
土俵入りが終わってから…と伸ばし伸ばしにしていると、
とうとう抜き差しならない状況にまでいってしまいます。

その「限界」の状況から起こる悲喜劇ですが、
助六師匠がお話になると少しも下品に聞こえないのはさすがです。

そして噺のあとは、待ってました!助六師匠の持ち芸、「あやつり踊り」です!!

歌舞伎の人形振りのような感じで、上から糸に操られているような
動きを見せながら、踊りを踊って下さるのです。
これを見るのが、長年の夢でした…。「あやつり踊り」を見たいが為に、
落語に興味を持ち始めたと言っても過言ではありません。

初めて目の前で見た「操り踊り」は…もう、感動を超越して驚異的でした!!

特に足先の動き。つま先からかかとへ、そしてかかとからつま先へと自在に
移動していく筋力の流れといい、まるで体重を感じさせないカクカクとした動きと言い、
まさに操り人形以外の何者にも見えません。
そして、そんな驚愕の芸を見せながら、「かっぽれ」を踊って下さるんですよ!

ガクン、と足を割って床にヘナッと倒れ込んで、そこからまた
吊り上げられたように上体を起こし、くいっ、くいっと立ち上がっていく様子を
目のあたりにしたら、もう口をあんぐりと開けるしかありませんよ、旦那(笑)。

60歳を目前にされながら、あの筋力と柔軟性は驚異的です。
踊っていても、片足で回っても、全く軸が乱れないのですよ。凄い、凄すぎる…。
日々の鍛錬の積み重ねですよね。本当に恐れ入りました。
私もがんばります、師匠(笑)。

■ 内海桂子 三味線漫談 都々逸~「奴さん」「姐さん」■

続きましては内海桂子師匠による三味線漫談。
都々逸と「奴さん」「姐さん」を踊って下さいました。
時々、軽快ながらも毒舌な発言がポンポン飛び出します。

都々逸では、譜面台に直筆の作品を並べて、
客席のみんなと一緒に歌い上げていく形式。

「生命とは 粋なものだよ 色恋忘れ 
意地はりなくなりゃ 石と成る」

「石に成っても 俺らは違う 菜漬け 梅干 
沢庵石に 成って 百迄 生きてやる」

団塊世代の皆さんへのエールですね~。

本日の出番前に思いついたという作品も。
「猪突猛進 イノシシ男 なぜに私を 避(よ)けていく」

…身につまされる思いがいたします(苦笑)。

ここでとろりん、本日2度目のラッキー☆☆

この最後に紹介した都々逸、どうや本当に楽屋で急遽書き上げたらしく、
楽屋見舞いでいただいたと思われるお菓子の包装紙の裏紙(笑)。
譜面台に急ぎテープで留めたようで、都々逸をしている最中に落ちてしまいました。

そこで前座さんが袖から出てきて譜面台の角度を修正したのですが、
その最中、あれ、いま師匠と目があったかな…?と思った次の瞬間。
桂子師匠がつかつかと私の方へ歩いて来るではありませんか。
そして…

「おねーちゃん、これあげるから、都々逸勉強してみたら?頭の体操になるよ」
と、落ちてしまった都々逸の紙を、舞台の上から私に手渡して下さったのです!!

桂子師匠の直筆!しかも直に手渡し!
おしいただきながら、感動のあまり思わず大きな声で
「ありがとうございますっ!勉強させていただきますっ!!」
と言ってしまい、客席の笑いをとってしまいました(笑)。

いやー、本当に嬉しいです。
これは84歳(←師匠の御年)まで長生きしなくては!
…まぁ…ちょっと…文句が乙女心には複雑なところですが…(苦笑)。

この後は「奴さん」「姐さん」をひと踊り。チラリとおみ足を見せたり、
投げキッスをされたり、大サービスの桂子師匠でした。

■ 宝井馬琴 講談 『伊達政宗』より ■

中入り前の最後に登場されたのは、講談の馬琴師匠。
「伊達政宗」より、真壁平四郎(?)のくだりを語って下さいました。

政宗の中間として働きながらも、ちょっとした誤解から政宗の怒りを買い、
その無念を晴らすために長い苦労の末に立派なお坊さんになる、というお話。

ここで凄かったのが、「往復五十三次」。
日本橋から京都まで東海道五十三次の地名を、その土地の名物や
名所を織り交ぜながら、立て板に水を流すようにスラスラと語り上げるのですが、
京都に着いたら、今度は瀬田から江戸まで、逆に五十三次を言い始めたのです。
いや、お見事!!

ある寄席で五十三次をやってみたら、その場にいたお客さんから
「逆もやってみてよ」と言われて始めたのがきっかけとか。
まだ特訓中だったようで、富士からは新幹線に乗って東京まで行っちゃいました(笑)。

-仲入り-

■ 国本武春 浪曲 『宮本武蔵 巌流島』 ■

中入りが終わって最初にパワフルに登場されたのは、浪曲の武春さん。
三味線をまるでエレキギターのようにストラップをかけての登場です。
どうやらこの方は「ロック浪曲」という新しいジャンルを開発中のご様子。

『宮本武蔵 巌流島』も、この方にかかると照明と音響バリバリの
ロック仕立てのショーになりました。

んー、こういうのがお好きな方もいらっしゃるのでしょうねぇ。
特に若者には、邦楽に興味を持ってもらうきっかけにはなるかも知れません。

しかしながら、こちらも連日の出番でお疲れの様子。
声がかすれてしまって、思うように声が出ていないようにお見受けしました。

曲の合いの手に入れるシャウトや台詞(「ウォオーッ」とか「イエェェイ」とか)
はしっかりとお腹に力が入って声が張るのですが、
歌になると声がほとんど聞こえず、音響にかき消されてしまいました。
最前列の私ですら聞き取るのに苦労したので、
後方のお席はもっと聞きづらかったでしょうね。

思えば、桂子師匠や馬琴師匠、トリの歌丸師匠も
お正月はいくつかの寄席を掛け持ちしていらっしゃいます。
若手もベテランも状況は同じ。けれど、ベテラン勢は
全く疲れが見えないのに、若手の方がヘロヘロって、どうしてでしょう……。

若手の噺家さん達はきっと、どの寄席でも全力で
高座をつとめるから体力の限界もすぐにやってきちゃうのでしょうか。
逆にベテランの師匠方はご自分の体力をよく知っているから、
どの高座でも一定のレベルの力を出せるように、
上手にペース配分されているのかもしれませんね。

ついついそんな事を考えながら拝見していた武春さんの高座ですが、
とってもエネルギッシュで元気いっぱい。楽しそうに勤めていらっしゃるのが
印象的でした。

■ 昔昔亭桃太郎 「結婚相談所」 ■

元気印の武春さんとは180度違って、気だるそうに登場された桃太郎師匠。
お正月早々、ご自宅で足を捻挫されたとかで、そんな自分が気にくわないご様子(笑)。

今回の寄席では唯一、新作の「結婚相談所」をなさいました。
木訥としながらも、ニヒルな感じのする一席でございました…。

■ 松旭斎すみえ 奇術 ■

膝送りは奇術の松旭斎すみえさん。
「ハンカチの紅白の縦縞模様を横縞に」したり、
「バラバラに切ったロープを一本に」したりとお手軽マジック満載。
中でも、新聞紙とトイレットペーパーを遣った奇術は
タネ明かしもしてくださり、客席からは「ほぉー」の連発でした。

■ 桂 歌丸 「つる」 ■

待ってました、本日のトリ、歌丸師匠!!
実際に拝見するのは2度目ですが、近くで見れば見るほど、
ほ、細くていらっしゃる…。

新春寄席は顔見世興行的なものですので、各師匠とも
持ち時間が15~20分ほど。ですから噺も軽いものになります。

この日、歌丸師匠がおやりになったのは、「つる」。
鳥類の「つる」の事です、念のため(笑)。

元日に生放送した「大笑点」で、TOKIOの国分太一くんが
昇太師匠、林家たい平師匠と組んだ「三人落語」でチャレンジした演目ですね。
歌丸師匠自らが登場した笑撃的、いや衝撃的な結末には度肝を抜かれました(笑)。

ご隠居が面白半分に教えた「つる」の名前の由来をどうしても友達に
教えたい八っつぁん。ところが、ご隠居のようにうまくはいかず…??

個人的には歌丸師匠で廓噺、それでなくとも女性が出てくる噺を
聴きたかったので、「なんだ、”つる”かぁ…」と思ったのも束の間、
ぐいぐいと師匠の語り口に惹き込まれてしまいました。
三人分、いやそれ以上の力をお持ちですね…さすが歌丸師匠…。

昨年の六代目小さん襲名披露落語会レポでも申しあげましたが、
歌丸師匠の声は、何と言っても艶と張りが絶品。聞き惚れてしまいます。

そして声音ではなく、上下(かみしも)を切るだけで登場人物に
切り替わってしまう素早さ。上手を向いて八っつぁんになっていたかと思うと、
ふと下手を見た時にはもう八っつぁんを見つめるご隠居の表情になっているのです。

しかもしかも、ちょうどご隠居が八っつぁんに語りかける仕草になる時、
少し下手側を向かれるのですが、ちょうどその視線の延長線上に私が☆
おかげで、ご隠居の優しい表情で語りかける歌丸師匠のお顔を、
真っ正面から思いっきり拝見することができました♪

あの細い身体の、いったいどこにあれほどのエネルギーが潜んでいるのでしょう。
嘆息と爆笑で忙しい、トリの一席でした。

***

歌丸師匠の高座が終わった後、新春寄席吉例の手ぬぐい捲きがありました。
ここでも、手ぬぐいをゲットしました!!3つ目のラッキー☆☆☆

私の正面には桃太郎師匠がいらっしゃいました。
手を伸ばして「手ぬぐい欲しいー、くださーい」
とアピールする私には目もくれず、後方のお席へ投げられる師匠。

「いいもん、しゅ~ん…」と、アピールを止めて、
ちょっと上目遣いで桃太郎師匠を見てみたらふと目が合い、
「あっ、すねちまったぜ、しかたねーな」
という感じで、ひょいと手ぬぐいをこちらへ投げて下さいました!やったー!!
「押して駄目なら引いてみろ」の効果を実感しました(笑)。

*****

そんなわけで、ひたすらに大笑いした三時間でした。
本当に、笑うと幸福アドレナリンが放出しますね。
演芸場を出ても幸せすぎて気持ちが高揚していたので、
しばらく皇居周辺を歩いて胸の火照りを押さえなくてはいけませんでした。

実は、今回は寄席ソロデビューでした(笑)。
初めての寄席で、ここまで幸せな思いをさせていただいたからには、
私も精一杯恩返ししなくては!!…何をすれば良いのかしら(笑)。
まずは、寄席に通うことから…?

抱えきれないほどのお宝と幸せをもらった、初笑いでした。

ついでにコチラも、ぽちっとな☆


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はなみずき

昇太師匠、赤の鹿の子襦袢、お好きなんですよね。そういうところが、40台後半には見えない所以でしょうか…。
5日は武春さんもお出になったんですね~! いいな、見たかった! 武春さんのエネルギッシュな歌声と、古典もロックも根は一つなんだと思える魂が大好きです。
by はなみずき (2007-01-10 19:07) 

★とろりん★

はなみずき様、あけましておめでとうございます。
本年も引き続いての御贔屓とご鞭撻のほど、
よろしくお願い申しあげます。
昇太師匠の鹿の子襦袢、とっても若々しくて素敵でした!
確かに、40代後半には見えませんね~。
武春さんも、ありったけの力が入った魂のシャウトでした。
by ★とろりん★ (2007-01-11 10:37) 

ラブ

やりましたね! 春から縁起がいい!
しかし桂子師匠のコメント、粋ですね。
東京の芸は、「粋」の部分があるのが関西とは
違います。文化の違いですね。
by ラブ (2007-01-11 18:50) 

★とろりん★

上方はこってり、江戸はすっきりといった感じでしょうか。
どちらも味わい深いですね。都々逸はお家に飾っています(笑)。
by ★とろりん★ (2007-01-12 10:10) 

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