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『モディリアーニと妻ジャンヌの物語展』 [展覧会]

2007年4月7日~6月3日 Bunkamuraザ・ミュージアム 

この週末は都内の美術館を2つめぐってまいりました。まずは若者の街、渋谷の東急本店にありますBunkamuraザ・ミュージアムで開催されていた、『運命のアーティスト・カップル モディリアーニと妻ジャンヌの物語展』を鑑賞。

 

20世紀初頭のパリ・モンパルナスを拠点に活躍しながらも夭折した画家、アメデオ・モディリアーニ(1884ー1920)。数々の恋愛遍歴の末、彼が出逢ったのが14歳年下のジャンヌ・エビュテルヌ(1898ー1920)。しかし、2人の愛の生活はモディリアーニの早すぎる死と、ジャンヌの後追い自殺という悲劇的な結末で幕を閉じます。

近年、ジャンヌの遺族が彼女の残したデッサンや素描を多数保管していることがわかり、モディリアーニの最後の恋人というだけではない、ジャンヌの画家としての才能も注目され始めました。

彗星のようになきらめきと閃光を見せて消え去った、モディリアーニとジャンヌ。それぞれの生い立ちからふたりの出逢い、結末にいたるまでを作品ごとに追ったのが今回の展覧会です。なお、ジャンヌの遺族のもとで発見された作品は、今回が日本初公開だったとか。

***

もともとこの展覧会が開催されていたことは知っていたのですが、それほど興味はありませんでした。「モディリアーニかー。そういえば何年か前に宝塚でモンパルナスを舞台にした作品があったなあ、その時は誰がモディリアーニを演じたんやろー」と、相変わらず自分の趣味に結びつけてチラッと考えた程度。(ちなみにこの作品は、2004年星組公演『1914/愛』。私は転職&上京直後で、まだ東京でカンゲキ活動をする余裕がなかったため、この作品は観ておりません)

ところが先日、雑誌『MORE』を読んでいたところ、かの美輪明宏さんが「会ってみたい男性は」という問いに「モディリアーニ。ハンサムじゃない?悲しそうだし」とお答えになっていたのが目に留まりました。そんなにハンサムな人なら、いま渋谷で展覧会してるし、見に行ってみるかーと方向転換。不純な理由で渋谷までやってきました(笑)。

***

相変わらず絵画のことはよく分かりませんで、感じたままの印象を書き留めておきます。とんちんかんな事を言っていたらすみません。あくまでも私が受けた印象ですので。

美術館のゲートを抜けると、モディリアーニの肖像写真が大きく掲げられていました。おお、確かにハンサム…(笑)。「モンパルナスのプリンス」と呼ばれただけあって、憂いを秘めた甘いマスクが印象的です。

しかし、次のゲートに掲げられていた女性の写真を見た瞬間、思わず心を奪われました。まっすぐこちらを見据えるきらりとした瞳、きりっとひきしまった口元、白磁のように透き通った肌、その上で美しくたゆたう豊かな髪の毛・・・。

ジャンヌ・エビュテルヌです。このとき16歳。

自らの秘めた可能性と美貌を充分に知り、自分の持つ輝きを早く世界中に知らしめたい、という若さ特有の情熱を秘めている強い眼差しに、どんどん吸い込まれていきそうになりました。この写真が撮られてから2年後、18歳の時に彼女はモディリアーニと出逢うことになります。

今回はジャンヌの遺族により保管されてきた作品と資料が多数公開されているので、心持ち彼女の作品が多い印象を受けました。

いや〜、恋はいろいろな意味で人を変えますねえ−、というのが、見学してのいちばんの印象です。とても下世話な感想で申し訳ないのですが、やっぱり恋愛は人の生き方に少なからず影響を与えるものですね。特にこの2人は表現者ー画家同士でしたから、その傾向がより顕著に出たのかも知れません。

特にジャンヌは、描いている対象によって彼女の気持ちがどことなく伝わってくるような印象を受けました。

2人の住まいから見える景色を写しとることによって、育児と生活のために画業から距離をおいた寂しさを感じさせる「私の窓からの眺め」。悲劇の前夜、体調が悪化したモディリアーニの寝顔をデッサンした「眠るモディリアーニ」では、彼に対する深い愛情を感じると同時に、固く閉じられた瞼を見ていると「もう、この目が開くことはないのではないか」という強い不安をジャンヌが抱いていたような印象を受けます。

モディリアーニの作品は、彼がジャンヌと出逢った頃には名が知られ始めていたということもあるでしょうが、絵の特徴はそれほど変わらないように思います。しかし、彼が描いたジャンヌの肖像画を見ていると、恋するふたりにしか分からないような明るい爽やかな感情があふれています。「肩をあらわにしたジャンヌ・エビュテルヌの肖像」(トップの画像)は、恋する女性だけが持ちうる瑞々しい美しさにあふれていて、必見の一枚です。

***

いやー、この展覧会、美輪さんのナイスなコメントがなければ見逃していたところです(笑)。アーティストという同志の絆、そして恋人という男女の絆によって固く結ばれたふたり。彼らが駆け抜けた時間がよみがえったかのような、濃密な空気を感じる展覧会でした。

・渋谷の文化の発信地、東急Bunkamuraについては、コチラをご覧ください。 
Bunkamuraオフィシャルサイト
・展覧会については、コチラへ~。
モディリアーニと妻ジャンヌの物語展

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Bunkamura


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コメント 6

レイ

もう終わってしまったんですね。
最近キスリングを見て、思いのほか良かったので見たかった。
しかし、ジャンヌ、モディリアーニでなくてもほれちゃうかもね。
by レイ (2007-06-05 19:24) 

夜野愉美

とろりんさま
とてもすてきな企画展でしたね。
愛し合う二人の芸術家の息詰まるような生活が感じられて、言葉が出ませんでした。
TBさせていただきました。
by 夜野愉美 (2007-06-05 21:28) 

★とろりん★

レイさま
とてもミーハーな動機で見にいったのですが、
とっても良かったです。ジャンヌ、本当にキレイ!!
私も惚れました(笑)。

夜野さま
TBありがとうございました。
本当に、ミーハーな動機とはいえ素敵な展覧会でした。
愛というのは人の心を翻弄し、人を勇気づけるものですよね。
なんとも濃密な時間でした。
by ★とろりん★ (2007-06-06 11:20) 

はなみずき

20万ヒット達成、おめでとうございます!
ここ数日のとろりんさんは、美術館巡りでしたのね。気持ちよい日差しを浴びながらの都会散策も、きっと素敵でしょうね~。
音楽など聞いていると、思い出が蘇ったりしますが、とろりんさんのブログに貼られたモジリアーニの絵を見て、絵も、昔の懐かしい記憶が蘇るなぁ、と思いました。この絵、この作家さんの絵は、いつ、どんなときに見たな~、その時の自分は…とか。ちょっとノスタルジックになった、はなみずきでした~。
モジリアーニの画質はちょっと独特ですが、その世界観にはまると、深いものがありそうですね。
by はなみずき (2007-06-06 19:59) 

ayano

さすがとろりん…ぐんぐん読めてしまった。
by ayano (2007-06-06 21:00) 

★とろりん★

はなみずきさま
お祝いコメント、ありがとうございます!これからもよしなに宜しくおたのもうします。絵画の展覧会は、昨夏の「プライスコレクション 若冲と江戸絵画」以来、久しぶりに見ました。絵画や音楽、舞台の再演などを鑑賞すると、その頃の自分の姿を思い出すことがありますよね。その時の自分の気持ちとか…ううっ、私まで切なくなってきました(笑)。でも、こういう時間って、嫌いじゃないですよ。

ayanoさま
嬉しいお言葉、ありがとうございます!これからもぐんぐん読めるレポを目指してがんばりますので、ぐんぐん読んじゃって下さいね☆
by ★とろりん★ (2007-06-07 17:00) 

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