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『日本を祝う』 [展覧会]

2007年3月30日~6月3日 サントリー美術館

東京の新しいランドマークとして注目されている六本木の東京ミッドタウン。このスポットの出現とともに、「六本木アートトライアングル」という言葉も生まれました。六本木に3つの美術館が、三角形をなすような形でオープンしたのです。

「六本木アートトライアングル」を形成するのは、まずは六本木ヒルズの森美術館。そして1月にオープンした新国立美術館。そして最後の一辺が、赤坂見附から移転し3月30日にオープンしたサントリー美術館。そのお披露目の意味をかねたオープニング企画が、今回拝見した『開館記念展Ⅰ 日本を祝う』です

美術館は、東京ミッドタウンの「ガレリア」と名付けられたスペースの3・4階部分にあります。3階でチケットを購入し、4階までエレベーターで上がって4階の展示室を見てから3階に下りて残りの展示室を見る、というパターン。

ここで、ちょっとおもしろい工夫がされています。階段で4階から3階に下りると、ガラス張りの吹き抜けになった休憩スペースがあるのです。突然視界が広く明るくなってびっくりしますが、瞼の裏が真っ白になることで、頭の中もリフレッシュできていい感じです。ずーっと暗い部屋で目を凝らしていると、疲れますものね。この日はとてもよく晴れていて、青い空と新緑が目に染みるような鮮やかさでした。

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サントリー美術館のロゴマーク。美術館のメッセージ「美を結ぶ。美をひらく。」より、漢字の「美」から変化したひらがなの「み」をモチーフにしているそうです。この「み」の出典は、サントリー美術館が保有している室町時代の作品「浄瑠璃物語絵巻」の詞書より。

自分たちの「器(美術館)」と持っている「資質(作品)」に対する堂々とした自信と意気込みが感じられて、カッコイイですねえ。やっぱり男性だけじゃなくて、美術館も「外見よりも器と中味」ですよねえ~(ん?)。

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さてさて、さっそく展示を見て参りましょうか。今回はオープン記念という慶事にあやかり、「祥」・「花」・「祭」・「宴」・「調(しらべ)」というめでたい感じな5つのテーマで構成されています。それぞれの主題に添って、屏風や焼物、絵巻物などサントリー美術館が誇る上質な美術品が勢ぞろいしています。

焼物は肥前有田のものが多く、なんと今期出品されていた25点のうち、17点が肥前で作られたもの。プチ佐賀ファンとしては鼻高々な気分です(笑)。

もっとも印象に残ったのは、「瑠璃釉色絵唐花文四方向付(るりゆういろえからはなもん よほうむこうづけ)(鍋島藩窯)。ネーミング通り、淡い瑠璃色をした高さ8センチほどの四角い小さな筒状の器の4つの側面に、花を模した文様が細やかに描き込まれています。

その可憐さ、愛らしさといったら!!四方をぐるりと回って、それぞれの側面から見てみました。小ぶりの器の、きっちりとしたたたずまいに描かれた可愛らしい曲線の唐花文様。きっちりとした形の中の「抜け感」のバランスが見事です。

「色絵組紐文皿(いろえくみひももんさら)(鍋島藩窯)は、白地に丸のお皿を縁取るように、赤と青の組紐の文様が大きく描かれています。縁取りを大胆に巡るダイナミックさと、赤青2色のみという配色のシンプルさ。鍋島藩窯の作品としては珍しいハイカラな作品ですが、わずかの欠点もなく見事に仕上がっている点、職人のチャレンジ精神と熟達した技を感じます。

もうひとつ素敵だったのは「乳白ツイスト脚付杯」「ギヤマン彫り菊に蝶文脚付杯」のふたつ。どちらも硝子製で、食前酒をいただくグラスくらいの大きさです。小さいー。

「乳白ー」には、ミントグリーンのような色の脚がついているのですが、その中にちいさな渦巻きのような(どちらかというと「中尾彬巻き」に近い)文様が入っています。まさにツイスト♪「ギヤマンー」は、硝子の器の部分に、菊花に戯れる蝶が透かし彫りにされています。どちらも非常に繊細で、とても可愛らしい作品です。

サントリー美術館は屏風のコレクションが都内随一のようで、屏風の展示が非常に多かったです。一度の展覧会で、こんなに屏風が出るのも珍しいかも。

異国からやってきた外国人の姿がふんだんに描かれた『南蛮屏風』など、どれも当時の社会や世俗を描いている作品が目立ち、楽しく拝見しました。「この人たちが丸芳露を伝えてくれたんだなあー」とか思いながら(笑)。『阿国歌舞伎絵巻』を見られたのも、歌舞伎ファンとしては感慨深いものがありました。

今秋にはズバリ、『屏風』をテーマにした展覧会を企画している様子。これは見たいかも!!

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展覧会の後は、ミッドタウン内のショップスペース「ガレリア」をブラブラと散策。。吹き抜けの空間に作られた滝のようなオブジェに癒されます。この写真ではわかりませんが、休憩スペースがたくさんあって、心地よいソファも置いてあります。歩き疲れたときもゆっくり座ることができて、これはありがたい☆

いやー、まさに東京のど真ん中で「ビバ日本~~~っっ!!」と叫びたくなるような、おめでたい吉祥づくしの展覧会でした。こういうテーマのものは、見ているだけで自分の運もぐんぐん上がりそうな気がいたします。やっぱり日本人だなあ、と実感するひとときでした。

展示リストはコチラをご覧ください。(pdfファイル)

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 東京ミッドタウン


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コメント 2

ラブ

本当に東京のど真ん中ですね。
そういう所で和風の展示会をするなんて、
逆におしゃれです。
by ラブ (2007-06-09 11:11) 

★とろりん★

ラブさま
自らのオープニングだけでなく
日本まで祝っちゃうところに、
サントリーの太っ腹具合が現れていますね。
とても素敵な美術館なので、東京にお越しの際
お時間があればぜひ足を運んでみてくださいね。
by ★とろりん★ (2007-06-10 13:03) 

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