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宝塚歌劇花組全国ツアー公演 江戸風土記『小さな花がひらいた』 [宝塚歌劇]

2011年11月3日(木・祝) グリーンホール相模大野 18:00開演

江戸風土記 『小さな花がひらいた』 -山本周五郎 作 「ちいさこべ」より-


脚本/柴田侑宏
演出/中村暁
作曲・編曲/寺田瀧雄


今回のツアー公演は、蘭寿とむがトップスターになって初めてのショーが上演されるということもありますが、加えて個人的にたくさんの思い出が詰まっている作品ぞろいでしたので、観劇するのが本当に楽しみでした。

先にご覧になった方のブログ等を拝見していると、もう皆さんが興奮されているのが伝わってきて、もうレポを読んでいるだけで自分も興奮しつつ、この日を待っておりました(笑)。

まずは日本物のお芝居、『小さな花がひらいた』。

山本周五郎の短編小説『ちいさこべ』を舞台化したもので、1971年初演。以後、1981年、1991年、1992年に再演され、今回は約19年ぶりの再演です。

実は、この作品を観劇するのは今回が初めて。でも、私の中では、歌劇ファン人生の中で、この作品はとっても重要な位置を占めているのです。

ここからは、ちょっと思い出話を・・・。(この辺りについては、カンゲキ☆バカ一代 その壱でも詳しく御覧いただけます)

私が宝塚歌劇の魅力に惹き込まれたのは、1990年のこと。そして初めて観劇したのは、花組公演『秋・・・冬への前奏曲(プレリュード)』と、『ザ・ショーケース』でした。この時の公演は鮮烈に記憶に残っていて、今でもお芝居の主題歌を暗唱できるほどです(笑)。

この舞台で私が夢中になった男役さんが、当時花組の準トップだった朝香じゅんさん。野心と愛に揺れるコマロフスキー伯爵を、それはそれは渋く演じていらっしゃいました・・・(←この頃から、既におっさん好きの片鱗あり)

この公演を観劇後、朝香さんファンになろう!と決意した私なのですが、何とその数日後、朝香さんの退団が発表されたのです。観劇後に初めて購入した『歌劇』を開いて、「あ、朝香さんの記事が載ってる☆」と思ってよく見たら、それが退団発表の記事だった、と。

その朝香さんのサヨナラ公演が、『小さな花がひらいた』(1991年、花組バウホール/日本青年館公演)だったのです。

しかし、この頃はまだファンになりたての私、バウホール公演のチケットをどうやって買うのかもわからず、そのまま舞台を観に行くことはできないまま、心の中でルコさんにお別れを告げたのでした・・・。(←その前に上演された大劇場公演は母にお願いして連れて行ってもらったのですけれどもね)

そんな、ちょっぴり甘酸っぱい思い出(爆)のある『小さな花がひらいた』が、約20年の時を経て、大好きならんとむ主演で蘇るということに、何とも言えない感慨を抱いての観劇となりました。

***

【あらすじ】

時は江戸文政末期。大火が襲い、焼け野原となった江戸の町へ、「大留」の若棟梁、茂次(蘭寿とむ)が戻ってきます。

川越の普請場に出ていた茂次は、店や両親が大火に巻き込まれたと知りながらも、すぐに江戸へ戻ることをせず、全ての仕事をやりとげてから、帰ってきたのでした。失ったものの大きさを噛みしめながら、茂次は「大留」を必ず立ち直らせてみせると決意します。

「大留」の仮小屋では、茂次の幼馴染のおりつ(蘭乃はな)が下働きとして住み込みで働くようになっていました。火事で母親を失くしたおりつは、同じく両親を失くした子どもたちを10人以上も引き取り、店の一角で面倒を見ていました。

仕事もままならない中、そんな大勢の子どもたちを養う余裕はないと茂次はおりつを叱り、お上へ預けるようにと厳しく言います。しかし、一人で両親の死を嘆き涙を流しているところを子どもたちに励まされ、心を通わせるようになります。

ある時、町役である「福田屋」のお久(京三紗)が、役人らを伴って「大留」を訪れます。役人たちは子どもたちをお上へ預けるように言いますが、茂次は子どもたちをここで預かると答えます。そこへ「福田屋」の娘、おゆう(花野じゅりあ)子どもたちの面倒を見る手伝いを申し出て、その場は収まります。しかし、おりつだけは不服そうに店の奥へと姿を消すのでした。

降りかかる困難に立ち向かいながら、「大留」の再建に奔走する茂次たち。ある時、茂次とおゆうが祝言をあげると聞いたおりつは、ひそかに「大留」を去る決意をします。おりつの気持ちを知っている大工のくろ(華形ひかる)は何とかして引き留めようとしますが、おりつの決意は変わりません。そこへ、茂次が普請場から戻ってきて・・・

【カンゲキレポ】

「俺の女房になるのかならねえのか、どっちだ!」

…はううっ
[黒ハート] (*ノ▽ノ)イヤン

はっ、いきなりクライマックスのキメ台詞から始まってしまいました☆ この瞬間、客席にいらっしゃったらんとむファンは一斉に「なる!なります!」って心の中で即答されてましたよね?ね?

らんとむにそんな風に言われちゃったら、そりゃあ女房になりますよね~、むふ☆(←変態)

日本物の、江戸市井に活生きる人間を、ここまでイキイキと息づかせることのできる役者は、そういないと思います。

そして、大好きな青天らんとむ!!らんとむは鼻筋がスッと通っているので、本当に青天が似合うんですよね~☆久しぶりに青天らんとむを見て、思わず目頭が熱くなりましたもの(笑)。

青天のらんとむを見ていると、自分がらんとむファンになった頃を思い出して、すごく懐かしかったです。あの夏・・・楽しかったなぁ・・・(←思い出に浸っている)(←というか青天言い過ぎ)。

ここで、またまた思い出話を・・・。

私がらんとむに陥落したのは、やはり江戸物のお芝居『月の燈影(ほかげ)』(2002年、花組バウホール公演)でした。この時、「若いのに、芝居の"間"をここまで的確につかめる事ができるなんて!」と、舌を巻いた記憶があります。

今でこそ、華々しく熱苦しいパフォーマンスで客席を総赤面させるショースターぶりに定評あるらんとむですが、下級生の頃は、お芝居の巧さが際立っていたのですよ。芝居の勘の良さ、間のつかみ方、ため方の巧さは宝塚随一だと、今でも思っています。(←ファン馬鹿☆)

らんとむの演じる茂次。いや、本当にイイ男!男気があって、決断力と行動力があって、でもさりげない優しさと包容力があって。悲しみや苦しみを背負ってもこらえて、黙って自分がするべき仕事をこなして。子どもたちに向けるまなざしは誰よりも温かくて。

男が惚れる男、ですよね。

そんな男気あふれる茂次が、おりつちゃんの前では超ツンデレなのが、もうたまりません!!ヾ(≧∇≦*)〃キャー☆

いやぁ、「ツンデレ」は、日本が誇る伝統的恋愛要素なのですね!(←迷走中)

仲間や大工たちにはキビキビと指図できるのに、おりつちゃんとの会話になるとちょっとぶっきらぼうになってしまう茂次。でも、おりつの気持ちの揺れや不安を見抜きながら、じっと見守る茂次「あそこで俺がなんか言ってたら、あいつは泣きだしちまう」とか、超絶カッコいいんですけどー!

なのに、おりつと2人きりになると、ついつい秘めている胸の内がダダ漏れそうになる茂次。

・・・らんとむーっ!!ヾ(*≧∇≦)〃(←フライングでダダ漏れ)

はっ、失礼しました、ぜいぜい。

今、これだけ人情味あふれる江戸っ子気質を演じられる役者さんて、なかなかいないと思います。(←ひいき目)

作品も役者も熟成されて、良いタイミングで巡り合う事が出来たのだなぁ、としみじみ思いました。久しぶりに日本物のお芝居をするらんとむをじっくりと堪能することができて、本当に本当に嬉しかったし幸せでした☆

* * *

おりつを演じた、蘭乃はな。

まずは、日本物のお化粧が、とても綺麗。

子どもたちの中ではきちんと「お姉ちゃん」として立っていながら、茂次やおゆうのの前に立つと、ついつい「オンナ」の部分が出てしまう。けれどもその根本にある一途で健気な部分はきちんと感じられて、ともすれば「感じ悪い娘」になってしまいそうになる印象になる役を、そうならずに観客の共感をえられるように演じられていたのは立派です。

らんちゃんも、とても良いお芝居をするんですよね。これから、らんとむとの芝居の中で、どんな化学反応を見せてくれるのか、すごくすごく楽しみです。

* * *

茂次のもとで働く大工・くろを演じた、華形ひかる。

配役が発表された時から「みつるくんならきっと似合うだろうな~」と思っていたのですが、予想を裏切らない、いや予想以上の好演でした!

若棟梁が大好きでたまらないくろ。おりつちゃんも大好きなくろ。自分の気持ちよりも、大好きな人たちが結ばれることを願って奔走するくろ。もう、愛しくてたまりません!道灌山の紅葉狩りの場面では、子どもたちよりもはしゃいじゃって、可愛い~☆

ラストシーン、茂次とおりつがようやく向き合う場面での、くろの可愛いこと!その時の「ひと仕事」が、個人的には超ツボでした☆

* * *

そしてこの物語で重要な位置を占める-14人の子どもたち。

この子どもたちがねー、自然に違和感なく舞台に存在していて、泣けました!

特に、あつを演じた月野姫花ちゃん!観劇前から各方面のブログで「ひめかのあつが凄いらしい」と聞いて(見て)はいたのですが、彼女の子役スキル、ハンパねぇ!

お芝居の幕開きの第一声「あたい、あっちゃん。」は、この芝居に観客を惹き込めるかどうか、この一言にかかっていると言っても良いほど重要な科白だと思うのですが、これがもう、幼子の声にしか聞こえない!思わずのけぞってしまうほどの演技力でした。

* * *

お芝居だけでなく、「小さな花がひらいた」、「もう涙とはおさらばさ」など、名曲も多く、ついつい口ずさんでしまいます。

困難に涙をこらえながら、それでも立ち上がろうとする人々の不屈の思いを描いた秀作。心に灯りがともるような、じんわりとした温かさに包まれます。


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コメント 2

夜野愉美

もう、すべてに同感でございます!
この演目をよくやってくださいました!と感謝感激の公演でした。ショーのレポもお待ちしています!
by 夜野愉美 (2011-11-10 22:29) 

★とろりん★

夜野さま、

コメント、ありがとうございます!!

お返事が遅くなってしまって、大変失礼しました。そして、今日でいよいよ花組全国ツアーも千秋楽・・・早いものですね。もうあのオトコマエらんとむならびにパッション全開らんとむに会えないのかと思うと、切なくて切なくて・・・DVDを予約しました(笑)。

ショーのレポは千秋楽に間に合いそうにありませんが、必ずアップしますので!それまで気長にお待ちいただければ幸いです・・・。

あー、そんなこんなで、いよいよ宙組さんも東京に来てしまう!あたふた。
by ★とろりん★ (2011-11-13 12:40) 

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