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宝塚歌劇花組東京公演 『復活』 感想(2) [宝塚歌劇]

感想(1)はコチラ☆

弁論が行われる間、ネフリュードフ(蘭寿とむ)の回想は続きます。

8年前の春。

叔父コロソフ(浦輝ひろと)の所有するパノーヴァ村の山荘。使用人たちが民族衣装を身にまとってロシア民謡「カチューシャ」を歌い踊ります。

これまでの重苦しく暗い雰囲気とはガラリと変わって、この場面は遅く来たロシアの春を精いっぱい楽しむ村の人々の様子が躍動的に描かれます。白を基調にした民族衣装がとても爽やか。娘役は白のドレスに黒地に花柄のエプロンがとても可愛いです。

中でもひときわ可憐な輝きに満ち溢れているのが、カチューシャ(蘭乃はな)。法廷での荒れた姿とはうってかわって、その無垢で清純な空気感が舞台いっぱいに放出されていて、どうしても惹きつけられます。これこそトップ娘役のなせる芸と技。

村の男と娘の踊りがひと段落ついたところで、士官学校生のネフリュードフがシェンボック(壮一帆)と共に下手から登場します。

ネフリュードフったら、下手から出てきた瞬間から、カチューシャにロックオン。文字通り「カチューシャ」を口ずさみながら、彼女に歩み寄っていきます。さらに、見つめ返すカチューシャの瞳も恋の喜びにキラキラと輝いていて、まだ何も起きていないうちから、「いやん、ドミトリーったらっ(*ノ∇ノ)キャー☆」と観ているこちらが照れてしまうほど。

ちなみにドミトリーと言うのはネフリュードフの名前です。あたしもらんとむにロックオンされたいよー!(←結構早い段階でやってきた妄想特急)

シェンボックはネフリュードフの叔父や執事のユーリ(高翔みずき)らとコミカルなやり取りを交わしながらも、視界の片隅で2人の様子をしっかりと見ていて、「カチューシャは駄目だぞ。」と、密かにネフリュードフに忠告します。

「素人娘に手を出すんじゃない。遊ぶなら玄人のオンナにしておけ、玄人なら、別れる時に金でけりが付く」。遊び人らしいシェンボックの言葉ですが、実はその後のネフリュードフとカチューシャの関係がこの言葉通りに決定的なものになってしまうことを、観客は後に知ります。

今回の石田先生の脚本は、こういった何気ない台詞が実はその後の登場人物の運命や物語の展開をわかりやすく示唆する、という事がいくつかあり、もともと複雑な物語を明解にしていて、良かったと思います。

壮は、全体的に重く深い空気が流れる今回のお芝居の中で、キャンドルの灯りのように温かな存在でした。時に陽気にふるまってネフリュードフを元気づけたり周囲の者たちを盛り上げたり、時には厳しく的確な助言でネフリュードフのみならず観客もハッとさせたり、緩急自在な存在感で物語にアクセントをつけていました。

シェンボックがユーリ達と連れ立って去った後、舞台はネフリュードフとカチューシャの2人だけになります。

いやーもう、甘い!!すでに空気が甘い!!じたばた。そして、この時のらんとむ@ネフリュードフの視線がもう、らんとむ全開!!甘い~!!

「町に、君は・・・いない・・・」と言う時の言葉のため方とか、一瞬寂しそうな眼差しになるところとか、「ドミトリーで良いよ。それに・・・身分なんて」と言う時の掠れた感じの声とか、カチューシャを真剣に見つめる瞳とか、もう、あの瞬間の雰囲気全部が大好き!!ヾ(≧∇≦)ノ"キャアァァァ☆(←全力でファン馬鹿)

そこに銃声が響き、ネフリュードフの友人で革命家のシモンソン(愛音羽麗)とパーブロア(花野じゅりあ)が兵士に追われて屋敷に逃げ込んできます。

ここはもう、じゅりあ様の素晴らしい美脚に釘付けですよ先生!上はちょうどお尻が隠れるくらいの丈のワインレッドの上衣をベルトでキュッと絞め、下はピタッとした黒のパンツをブーツインしているのですが、何と言うスタイルの良さ!そんな方が華やかな微笑みを浮かべて「私は恋をしない女なの」ときっぱりと言い放つところなんて、素敵過ぎて惚けてしまいます(笑)。

そしてここでも、「恋をしない。だから人生男選びで失敗することはないわ」というパーブロアの言葉により、一人の男に酔って人生を狂わされることになる、その後のカチューシャの流転が際立つことになります。

愛音羽麗のシモンソンは、爽やか~☆彼もまた、「次に会う時は、敵味方に分かれているかも知れませんね」という言葉を残して去りますが、この言葉が、当事者たちも思いもよらぬ形で実現することになるのは、もう少し後のお話です。

自らの機転で兵士の追及をかわし、シモンソンとパーブロアが去った後、自分の隠れ家であるコテージに薪を持ってくるように言うネフリュードフ。ためらうカチューシャに、「君が嫌なら、ユーリに持って来させてくれ」と選択をゆだねます。・・・もう!来るってわかってるくせにっ!!何その確信犯っ!!ヾ(≧∇≦)ノ"キャアァァァ☆

夜、ひとりでくつろぐネフリュードフ。サモワールから紅茶を淹れ、一息つきます(←『ル・サンク』の脚本には「ウォトカをチビチビ」とト書きがあったのですが、あれは紅茶を飲んでいるように見えたのですが・・・)。

この時の座り方がね、もうらんとむ全開!!ヾ(≧∇≦)ノ"キャアァァァ☆

上手の方向に、身体の左側を客席に向けて座っているのですが、左足をスッと伸ばして、右足を曲げて座っているんですよね。この座り方が本当に綺麗で美しくて、毎回見るたびに「ヾ(≧∇≦)ノ"キャアァァァ☆」とテンション上がります(笑)。

そこへ、意を決してネフリュードフに逢いに来るカチューシャ。2人は愛を確かめ合い、結ばれます。この時の、らんとむがまた、オトコマエでセクシーですよ先生!(爆)

「僕のこと・・・嫌いなのかい?」の言い方とか、眼差しがね~、もう最高かつ最強!!そんな顔して「嫌いなのかい?」なんて、反則だわっネフリュードフ!!嫌いなわけないじゃないのネフリュードフ!!(←テレビの前で叫ぶタイプ)

「恋の喜びが愛の重荷に変わる日が来たとしても、僕は心を抑えられない」というネフリュードフの愛の告白(←この言葉も、後の展開を考えられた台詞だったりします)から舞台が開き、青と白のライトが幻想的なダンスの場面になります。

ここのデュエットダンスが本当に美しくて清々しくて、観ているだけでこちらまで夢見心地になります。特に2人が手をつないで、円を描くように足を上げる振りがとても滑らかで美しくて、すごく好きだったな~。

蘭乃がダンスの中で見せる「手の表情」も、とても素敵でした。蘭寿@ネフリュードフ背中にしがみつく時の、細く、白く、儚げな手。彼だけをまっすぐ見つめるカチューシャの一途さがそれだけで伝わってきます。

この時、2人を包んでいた圧倒的な幸福感。ネフリュードフもカチューシャも恋の喜びに輝いた笑顔で・・・8年後の2人の境遇をすでに知っているだけに、胸が締め付けられるように切なくなります。

ダンスが終わった後、ネフリュードフはカチューシャの髪にふれながら、肩を抱いて舞台奥へと消えて行き、照明が暗転します。この時の、蘭ちゃん@カチューシャの髪に触れる蘭寿さん@ネフリュードフの指先の動きが、ビックリするくらいに卑猥でした(爆)。しかも公演が進むにつれて、どんどん卑猥度がアップしていくというミラクル(笑)。前楽にはエラいことになってました(←赤面)。

復活祭を終えて、士官学校へ戻る日。風邪のために隔離されてしまったシェンボックとは対照的に、恋する輝きがそのままお肌にもツヤツヤ現れているようなネフリュードフ。2人の表情の落差がとっても好きです。シェンボックに口紅を指摘されて(←もちろん、からかってるだけ)、「え、どこどこ?」とうろたえるネフリュードフと、その後ろであたふたするカチューシャが、とっても可愛い☆

そして別れの時。2人きりになって、カチューシャを呼ぶネフリュードフ。愛の言葉を期待して駆け寄るカチューシャ。しかしネフリュードフが彼女に贈ったのは、一生の愛を誓う言葉ではなく、優しいキスでもなく、100ルーブルの紙幣。

諸説ありますが、19世紀末における1ルーブルの貨幣価値は、約1000円。とすると、100ルーブルは約10万円です。「あって困るものじゃないだろ」と屈託のない笑顔を残して立ち去るネフリュードフ。けれど、カチューシャの心は深く深く傷つけられます。

ここで思いだされるのは、シェンボックの「玄人のオンナなら金でけりが付く」という言葉。

ネフリュードフの行動は、ひとり残していくカチューシャを思っての気遣いのつもりだったのでしょう。しかし、結局その行為は、彼がカチューシャを「玄人」-一夜の気まぐれの相手-としてしか見ていなかった、という誤解を彼女に与えてしまったのです。

育ちの良い貴族のお坊ちゃんの天然過ぎる所業、というにはあまりにもあまりな仕打ちですよね・・・。いやぁ、そりゃあかん、そりゃあかんわネフリュードフ・・・。

・・・という、関西弁丸出しのツッコミで感想レポ2回目はこれにて終了。

良いのかこれ、(1)から話が15分くらいしか進んでないぞ!大丈夫かこれ!!(←自らを叱責)


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みく

初コメントにお返事いただきありがとうございます、嬉しかったです。
いやぁ長編大作・・毎回楽しませていただきます・・っていうか読ませていただいてからDVDで再確認いたします、浅~い見方しかできていませんので。
ダンス好きの私としては実はカノンを凄く楽しみにしていたのですがちょっと流れが悪いような・・期待が大きすぎたような・・蘭寿さんのはじめてのオリジナルショーなんだから素敵にキマッテルはず~という期待が・・期待はずれ感満載で・・でもDVD(購入までかなり悩みましたし、ヴォーカルカット・楽曲差し替えが多すぎですよね)でリピートしてみると結構いい感じ、やっぱり蘭寿さんのダンス、スゴすぎ~惚れますネ!!
カノンの感想も記事にしていただけるのかなぁと・・・
by みく (2012-03-26 22:00) 

★とろりん★

みくさま、

コメント、ありがとうございます!!

みくさまはDVDをご購入されたのですね。ファンの鑑です!(←実は買ってないヒト)ヴォーカルカットとか楽曲差し替えが多いんですか~。場面まるごとカットされるよりはマシですけれど、実際に観劇した舞台で「この曲で、このダンスを踊るのが、良かった!」という感動の記憶が塗り替えられてしまうようで、ちょっと残念な思いがしますよね。

やっぱりらんとむはショースターですものね。昨秋の全国ツアー『ル・ポァゾン』が本当に最高かつ最強に素敵だったものですから、ワタシも『カノン』を楽しみにしていましたが、公演が終わってみれば、らんとむが持つ天性の演技力と芝居心が活かされた『復活』の方が思い出深く残りました。

『カノン』は構成力に難ありだったと思います。そのあたりのことはまたショーの感想レポで書き留めておこうと思うのですが・・・いつになるんだろう・・・(一抹の不安)。あまり期待せず、気長にお待ちくだされば幸いです・・・。
by ★とろりん★ (2012-03-27 09:09) 

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