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宝塚歌劇花組東京公演 『復活』 感想(3) [宝塚歌劇]

感想(1)はコチラ、感想(2)はコチラからどうぞ☆

かつて愛し合ったカチューシャ(蘭乃はな)と思いがけない形で再会したネフリュードフ(蘭寿とむ)。彼が過去の回想と現実のはざまで動揺している間にも、弁護士ファナーリン(華形ひかる)と検事マトヴェイ(鳳真由)の激しい弁論は続いています。

ここで舞台は8年後―裁判が行われている「現在」へ戻ります。ファナーリンが考えた事件の真相が舞台で再現されます。

「私の調べによると、事件の真相は、こうです。」と、書類をパタンと閉じて、指先をピッと伸ばして空を指し示すみつるくん(華形)@ファナーリンのどや顔が、超絶カッコよかったです!追々語っていくことと思いますが、このお芝居でのみつるくん、しぐさや表情がいちいち素敵でカッコよくて、ワタシのツボを刺激しまくりでした。

場面は、事件当日の日にさかのぼります。

モスクワ郊外にある「ホテル・マウレタニア」。先程までの清浄で素朴な空気とは一転、ピンクの照明がなんともいかがわしい空気を醸し出す中で、だらしなくもつれ合う男と女。そんな光景が浮かび上がる本舞台を背景に、カルチンキン(扇めぐむ)とボーチコワ(芽吹幸奈)が銀橋を渡りながら、貿易商のスメリコフの殺害と大金の強奪を企て、それにカチューシャを巻き込む計画を相談しています。

扇めぐむは、これが最後の舞台。花組男役らしい正統な空気をまとった端正な容姿でひときわ目を惹く存在だっただけに、卒業は残念。「男どもの相手、いつまでもお前にさせたくないのさ」と言いながら、ボーチコワを後ろ抱っこする姿に一瞬、らんとむを忘れてうっとりしちゃいました(笑)。芽吹は娼婦らしい崩れた色気の中にも品を残した演技で、さすがの手堅さです。

2人が、カチューシャを利用することを決めた後、本舞台に設えられた上手奥のドアから、変わり果てた姿のカチューシャが「モスクワ郊外の夕べ」を歌いながら登場します。今回の作品は、このように折々にロシア民謡や歌曲が散りばめられていて、それがまた物語の世界観を反映していて、良かったですね。

らんちゃん、8年前と現在の切り替えの鮮やかさが、お見事でした!「え・・・らんちゃん、さっきまであんなに清純派だったのにっ!」と驚いてしまうほど、その変貌ぶりには息をのみます。

恋しい人を映してキラキラと輝いていた瞳は光を失くし、見つめあうたびにキュッと横いっぱいに広がる満面の笑顔を浮かべていた愛らしい唇は重く閉ざされ、恋の喜びを知ってツヤツヤに輝いていた白い肌はそのままにせよ、どこか重く、暗く、くすんだように見えて・・・。この8年で彼女が体験した絶望と困窮がそのたたずまいから立ち上ってくるようで、胸を衝かれます。

出番と出番のわずかな時間の中で、同じ人物がまとう空気をこれだけガラリと変えてくることができるというのは、蘭乃の役に入り込む集中力がものすごく高いからできるのだと思います。

暗い表情をしたカチューシャにすり寄ってきたのは、彼女に執心する貿易商、スメリコフ(紫峰七海)。ここはもう、紫峰のカチューシャへの迫りっぷりが破廉恥すぎて、もう・・・!(←卒倒)そんな役どころでも演じる時は徹底して演じる、そんな花メンが大好き☆

やっとの思いでスメリコフから逃れ、うんざりした様子のカチューシャにカルチンキンがワインの瓶を持って近づき、これをスメリコフの部屋へ持っていくよう持ちかけます。一度は渋るカチューシャですが、「このウォトカには睡眠薬が入っている。これを飲めばスメリコフは寝てしまう。そうしたらお前も相手をせずにゆっくり休める」というカルチンキンとボーチコワの言葉に酒瓶を受け取り、スメリコフの部屋へと向かいます。ウォトカに入っているのは睡眠薬ではなく、ヒ素だということを知らず・・・。

女の絶叫で、スメリコフの死が明らかになります。そして舞台は再び、裁判の場へ。ネフリュードフらの座る陪審員席は舞台下手に、カチューシャのいる被告席は上手に設置されています。

1回目の裁判では、陪審員席は上下左右にあって、陪審員も3:3で座っていたのですが、下手に寄せられた2回目の裁判では、1つのテーブルに6人の陪審員(ネフリュードフ含む)が押し込められていて、その手ぜま感が若干ツボでした(笑)。

ここでも、裁判の時間をひたすら動揺しながら過ごすらんとむ@ネフリュードフの細かい芝居に釘付け。本当にあのカチューシャなのか確かめたい、けれでも自分だと気付かれるのが怖い、そんな逡巡がおろおろと惑う瞳と顔の動きに表れていました。おずおずと顔を上げようとしたら弁論をするために陪審員席に歩み寄って来たファナーリンにビクッとし慌てて目を伏せるところは、彼の内面の葛藤が目に見えるよう。こういう細かい心情表現が、本当にらんとむは巧いな~と思います。

マトヴェイとファナーリンの激しい舌戦、そして無実を訴えるカチューシャの叫びが頂点に達した時、判決が言い渡されます。カチューシャに言い渡された刑罰は、「公民権剥奪、シベリア流刑10年」という、大変に重いものでした。カチューシャが「アタイは何もしちゃいなんだ!」と絶叫する中、法廷は幕を閉じます。

このわずかな時間で、この場面に出ているすべての登場人物が色々と小芝居をしていて、もう目が足りないくらい!結果的にネフリュードフとカチューシャとファナーリンしか見られなかったのですが(苦笑)、一斉に全員が芝居することによって、判決に騒然となる法廷内の混沌とした空気が伝わってくるようでした。判決を聞いた瞬間、すごい勢いで裁判長に詰め寄るみつるくん@ファナーリンの男前っぷりにドキドキしました☆(←どんなにシリアスな場面でも萌えポイントは見逃さない)

呆然としたまま裁判所を出たネフリュードフを友人シェンボック(壮一帆)が見つけ、声をかけます。カチューシャのことを打ち明け、知らないうちに自分がおかした罪の重さをかみしめるネフリュードフ。「彼女のシベリア行きが決まった時、僕は一瞬ホッとしたんだ」という台詞は、人間なら誰もが一度は抱いたことがあるに違いない感情を言い当てているようで、ギクッとします。

自分の罪を激しく悔いるネフリュードフに、シェンボックは力を貸すことを告げます。その言葉に力づけられ、ネフリュードフはカチューシャの無罪を証明することを決意します。

銀橋での芝居が終わった後、らんとむ@ネフリュードフと壮くん@シェンボックは長いコートを裾をなびかせながらダッシュで上手袖にはけていきます。また走っていく姿が超カッコイイんですよ~!!久しぶりのらんとむダッシュに感慨深いものを感じた、2012年・冬・・・。

(※らんとむダッシュ・・・芝居の折々で袖にはける時に蘭寿とむさんが見せる、キレ味鋭い猛ダッシュ。『カサブランカ』の辺りから注目を集め始める。芝居とは思えない俊足ぶりと機敏なフォームが一部らんとむファンの間で密かに話題となり、現在に至る)

カチューシャの無罪を証明するために動き始めたネフリュードフとシェンボック。まずは、カチューシャが使用人として屋敷で働いていた頃を知っている執事のユーリ(高翔みずき)の独白が始まります。決して目立たず、それでいて無駄のない動きと朴訥とした語りは、まさに執事の風情。もともとダンサーの高翔さんだからこその物腰だなぁと毎回感心しておりました。

ユーリの話を聞いた後、ネフリュードフの婚約者ミッシィ(実咲凛音)が彼のもとを訪れます。約束していた来訪なのに、明らかに動揺するネフリュードフ。動揺しすぎだぞネフリュードフ!

新人公演やドラマシティ公演、バウホール公演などのヒロインとして抜擢が続いている実咲。台詞の「間」の取り方が性急に感じます。体調が悪いというネフリュードフの額に手をかざそうとして拒否される場面の台詞運びは、もう少し間をとった方が緊迫感や台詞の重みが出たと思います。

ミッシィが帰った後、ネフリュードフはシェンボックと相談し、カチューシャに面会に行くことを決めます。弁護士のファナーリンを訪れる途中、シェンボックは恋人アニエス(月野姫花)と行き当たります。

パリ・オペラ座バレエ団のコールドだったというアニエス。シェンボックと出逢い、彼についてロシアにやってきたフランス人という設定だからでしょうか、言葉づかいがやたらとくだけた調子だったのが気になりました(←これは脚本の問題)。「いいけどさ」とか、「いいかい?」とか。

アニエス以外の登場人物がロシア人という設定で、区別をつけるためにそういった言葉づかいになったのでしょうが、オペラ座バレエ団のダンサーであればそれなりの教養も必要だった事でしょうし、それほどくだけた言葉づかいにしなくても良かったのでは?と思いました。(当時のロシア貴族界は、フランス語が公用語だったわけですし)

でも、壮くんとひめかちゃんのコンビ感、すっごい良かったなぁ~☆めっちゃ可愛い恋人にデレデレする壮くん、という図がたまらんかったです(笑)。陽気なシェンボックに、ちょこんと寄り添うアニエス。重く深い芝居の中で、このカップルの存在が色々な意味で「救い」となっていました。

ファナーリンの協力を得て、いよいよカチューシャと再会することになったネフリュードフですが・・・長くなってきたので、今回はここまで。

・・・・・・ちょっと感想レポの書き方を考え直さないといけないですね。時系列にレポを書いていたら、どんどん長くなってしまう!『カノン』の記憶がどんどん薄まっている!!月組公演のレポも書かないといけないのに!!

・・・という、自らへの戒めと叱責と突っ込みで毎回終わる花組(らんとむ)レポでした・・・。


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