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宝塚歌劇花組東京公演 『カノン』 感想 [宝塚歌劇]

レビュー・ファンタシーク 『カノン―Our Melody―』

作・演出/三木章雄
作曲・編曲/高橋城
作曲・編曲/吉田優子
作曲・編曲/太田健
作曲・編曲/高橋恵
音楽指揮/清川知己
装置/大橋泰弘
衣装/任田幾英
照明/勝柴次朗
音響/大坪正仁
小道具/市川ふみ
歌唱指導/楊淑美
演出助手/野口幸作
衣装補/河底美由紀
舞台進行/高橋絢子

『復活―恋が終わり、愛が残った―』と併演され、現在上演中の全国ツアーでも引き続き上演中の『カノン』。本公演で観た時は、色々と考え込むところがあり、純粋に楽しむことができなかったショーでした(遠い目)。

宝塚歌劇の公演プログラムには、演出家のあいさつが必ず掲載されるのですが、思えばこの時から何となくイヤ~な予感はしていたんですよねぇ・・・。ベテランとは思えないほどに軽くて浅い三木先生のあいさつ文に、幕間に「・・・・・・・・・(絶句)」となっていたことを思い出します。

一言で言えば、演出家の怠慢を蘭寿とむ&蘭乃はな率いる花組が意地と気迫と力技でねじ伏せ、生徒の力によって駄作から佳作にまで引っ張り上げられた作品です(生徒の力を引き出すのが演出家の仕事なのに、生徒が演出家の力を引き上げるなんて・・・皮肉なものですね)。

そしてその怠慢は、3月にリリースされた舞台のライブDVD&CDにまで影響が出ています。何ですか、あのヴォーカルカット&楽曲差し替えの嵐は!しかも、ショーで最も盛り上がる中詰でヴォーカルカットが集中しているし!座付きの演出家なのであれば、公演自体が終了した後でもファンが楽しめるように、作品をできるだけ完全な形で残せるように心を砕くことも仕事のうちだと思うのですが。

って、最初っから毒を吐いてしまっておりますけれども!らんとむはカッコ良かった!!花メンたちも、花娘たちも、めっちゃええ仕事してた!!ビバ花組!!なテンションでレポを進めてまいりたいと思います。(あ、随所でブルーになったりテンション落ちたりしてるかも知れませんが、その時は励ましてください)

そしてワタクシ、基本的にショーはらんとむロックオンですので、これ以後は「らんとむカッコイイ」しか書いてないと思います。ご容赦ください。( ̄∇ ̄*)ゞエヘヘ


第1景 Prologue ~永遠のカノン~
音楽/高橋城
振付/御織ゆみ乃

今回のショーでは、プロローグがいちばん好きでした。そう言えば・・・『ファンシー・ダンス』と言い、『Heat on Beat』と言い・・・ミキティー(三木先生)のショーは、なんだかんだ言ってプロローグがいちばん良いんだよな・・・で、後へ後へと続くほどに「え?」とか「は?」とか出て来ちゃうんだよな・・・(遠い目)(←早くも2度目)

紺青の光の中、舞台にそびえたつ3本の円筒状の柱。その柱が反回転すると、白いマントに身を包んだ壮一帆、続いて蘭乃はなが登場します。そして真ん中の柱が反回転すると・・・

我らがらんとむ、登場――――!!(゚∀゚)キタコレ!!

宙吊りから地上に降りてワンフレーズ歌い上げると、出ました舞台上生着替え!らんちゃんがらんとむの髪飾りを外すのを手伝い、壮さんがらんとむのマントをがっしとはぎ取るようにワイルドに脱がすと、ピンクスパンコールもまばゆいキラキラ燕尾服のらんとむに!!

このピンクスパンの燕尾服(襟やズボンのラインだけ黒スパン)、今回のショーでらんとむが着た衣裳の中でいっちばん大好きでした!!男役としてのキュートさやカッコよさ、愛嬌や色香、そしてらんとむが持つ天性の明るさが、この1着だけで存分に語り尽くされていて!

だから、思っていたより早い段階で銀スパンの燕尾服に変わっちゃって、この時点で私のテンションは若干下がりましたよ(苦笑)。プロローグの間ずっとあの衣裳で良かったのに!

だから、全国ツアーのプログラムスチールがコレだったと知った時は、もう喜びのあまり、震える手で写メって色々な人に送りつけました(笑)。職場でも見せびらかしました(笑)。

歌い継いでいく男役さんたちは、黒燕尾にピンクのベスト&タイで、甘さと色っぽさ抜群。娘役さんはピンクのタコ足ドレス。「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」のメロディーに乗って銀スパン燕尾服に着替えた蘭寿と銀スパンのタコ足ドレスの蘭乃、黒×ピンクの燕尾服の壮が登場して、軽快に踊ります。ここの空気感が、本当に幸せだったなぁ。

再び総踊りで決まった後、舞台はピンスポットだけを残して暗転。蘭寿と蘭乃だけが残り、ピンスポの中でひとさし踊ります。←その時間の短さと言い、印象的な振り付けと言い、文字通り「ひとさし」な感じ(笑)。

この場面、必要?暗転で音楽流すだけで良いんじゃないの?と思いつつも、片足上げてエビ反りというすんごいポージングを涼しい顔でこなしているらんちゃんと、そんならんちゃんの足を撫でまわす蘭寿さんのエロい手の動きとニヤリ笑いに毎回鼻血が止まりませんでした(笑)。


第2景 Nocturne ~ヴォヤージュ~
音楽/吉田優子
振付/若央りさ

濃青のシャツに真っ白なスーツ、ソフト帽を手にした壮さん登場。スラリとした身体にスーツが本当に映えます。カッコイイわぁ・・・。

この場面は、今回のショーの中でもストーリー性がはっきりとしている場面。大型客船に乗り合わせた男(壮)と令嬢(実咲凛音)が恋に落ち、結ばれるまでを、ドラマチックなシャンソンの名曲『群衆』に合わせて、美しいダンスで展開されます。

実咲は、腕の動きがもっとしなやかになるとより娘役らしい柔らかさが出るように感じます。壮が最後まで実咲を見つめてリードしているので、2人の雰囲気はとても素敵です。

令嬢の父親役の夏美ようと、執事役の悠真倫がとてもいい味を出しています。夏美はお芝居でも実咲の父親役を演じていますが、静かな中にも娘を見守る温かさがにじみ出ているし、悠真はこれ以上はない安定のポジション、という感じ。


第3景 Agitato ~タンゲーラ~
音楽/太田健
振付/KAZUMI-BOY

とある美術館に迷い込んだ男(蘭寿)がひとりの女(蘭乃)に魅入られ、女のコレクションのひとつに並べられる・・・という、ミステリアスで妖艶な美しさに満ちた場面。

ここはもう、全てにおいてらんとむ全開。下手花道からキメキメで登場する瞬間からして、腰砕け。「[るんるん]君を奪うダンスは燃え上がるエクスタシー[るんるん]」とか、もう奪って奪って、 らんとむアタシを奪ってーっ!!エクスタシー感じちゃってーっ!ヾ(≧∇≦*)〃キャー☆って、ひとりで火照ってしまって大変でした(爆)。

この場面の冒頭、照明の使い方も絶妙です。らんとむが熱くハレンチに歌っている間、本舞台に設置された巨大な絵画風の額縁のセットが上下に置かれています。2つの額縁には、カーテンのような薄い布が張ってあります。

まず、舞台奥から上手の額縁に光が当たり、妖しくうごめく影が。そこでパサッとカーテンが落ちて、愛音羽麗、華形ひかる、朝夏まなと、望海風斗が現れます。よっ、花組が誇るイケメン四天王!(←とろりん認定)

続いて下手の額縁にも光が当たり、艶めかしく揺れる影。カーテンが落ちて登場するのは、桜一花、華耀きらり、芽吹幸奈、遼かぐら。この娘役ちゃんのシルエットが本当に妖艶で美しくて、惚れ惚れとしてしまいます。さすが安定の宝塚ブランド、花組娘役!(←とろりん認定)

ここの場面は、蘭寿と蘭乃以外は人形で、すべて蘭乃のコレクション、という設定。本舞台に入ってくる蘭寿を、蘭乃にまとわりつく男役たちが一斉に見つめるシーンがあるのですが、この時の無機質で無表情な瞳が、もう、ゾクゾクしてしまうほどの色気!特にみわっち(愛音)が!みわっちが!!(←落ち着け)

ここから先は、KAZUMI-BOY先生の真骨頂!BOY先生振付の場面は後半の「パシオン・ネグロ」もあるのですが、個人的にはこのタンゲーラの場面が好きです。ワインレッドのスーツという蘭寿の衣裳、蘭乃のドレスも好きだし、音楽にタンゴを使用しながらもタンゴらしい振付がほとんどないのもカッコイイし!

蘭乃のドレスは、肩のあたりにラインストーンが垂れ下がっていて、踊るたびに腕や肩のあたりでシャラシャラと揺れるのが、すごく素敵なんですよ~。

蘭寿さんはね、もう、この場面の全てが大好き!!だってこの場面の全ての瞬間においてらんとむ全開なんだもん!!(←断言)

最初の瞬間からオトコマエだし、ハレンチだし、男の色気ダダ漏れだし、かと思うと蘭ちゃんに翻弄されまくってるし、らいらい(夕霧らい)にリフトされてぐるぐる回されちゃってるし、最後の最後に、謎の微笑みを残していくし・・・。

イイ!!何もかもが、イイッ!!ヾ(≧∇≦*)〃キャー☆(←恋は盲目)


第4景 Cantabile in Jazz
音楽/高橋城
振付/名倉加代子

中詰で~す。

冒頭にも怒りをぶつけてしまいましたが、ここは場面としては第10場から15場まであります。そのうち、著作権上の理由から、3月にリリースされたDVDとCDでは、第11場~14場で使用された楽曲はヴォーカルカットされているのです(音楽は流れているけれど歌声は全く入っていない状態)。

第14場なんて、らんとむ以下すべてのスターが銀橋に集結する、いわばショーの半ばでいちばん盛り上がる場面と言っても良いはずです。そこが、ヴォーカルカット・・・。ひどい、ひどすぎるよミキティー・・・。もうちょっと選曲にも責任持ってくださいよ・・・。

はっ、一気にブルーになってしまった・・・気を取り直して参りましょう!

最初に登場するのは花組が誇る名ダンサー、花野じゅりあ様!!金スパンのダルマ衣装に黒い羽根を背負って、銀橋でダイナミックに踊ります!これでじゅりあ様に惚れない者があろうか、否!!

本舞台にはロケットが登場し、そこにじゅりあ様も加わって、初姫さあやの歌う『雨』に乗ってラインダンスとなります。

じゅりあ様が背負っている羽根は、大劇場公演ではピンクだったそうですが、東京に来て黒に変更されたそうです。なんでかな~?他のロケットはピンクなので、真ん中に黒という強めの色がくると、ちょっとどぎつくなってしまうのですよね。じゅりあ様を特待するということなら、ピンク羽根のままでキジ羽根を追加する感じの方が、ちゃんと「別格感」は出るし、色彩的にも統一感が出たと思うのですけれど。

でも、じゅりあ様がカッコかわいかったので、いっか☆(←お約束の展開)

続いては、朝夏・望海・瀬戸かずやが『ヴォラーレ』を歌いながら銀橋を渡ります。いいわ~、若いって武器だわ~☆

若者トリオと入れ違いで銀橋に登場するのが、華形&華耀。若さはじける若者トリオとは違ったオトナの色気たっぷりに、「コメ・プリマ」を歌い踊ります。ここでのみつるきゅん(華形)が見せる昭和なノリ(←褒めてます)と、きらりちゃんの美女っぷりが最高!!

・・・と、ここまでは何となくエネルギッシュな若さ炸裂の場面が続きますが、ここで花組の最終兵器、キザリの貴公子みわっち登場!!いやっほう!!

薄パープルのスーツのみわっち・・・素敵だわ~・・・☆

ここで、赤いドレスに身を包んだ蘭ちゃんも登場。愛音と2人で『Al Di La』を歌います。こういう優雅な場面、みわっちに任せておいたら抜群の安定感ですね!

・・・と思っていたら、照明がまたも落ちて、黒らんとむ登場。ディアボロ(蘭寿)が蘭乃を翻弄し、蘭乃もその妖しさ墜ちていく・・・という場面。曲は『Fuego Cubano』。

ここからじわじわと思い始めるのですが、今回のショー、振付や衣裳が何となくワンパターンな印象を受けるんですよね。初見では、ディアボロとパシオン・ネグロの場面がごちゃまぜになってしまいました(汗)。

背中を反らせたり、リフトしたりされたり、色々な先生が振付を担当されているのに、ダンスがどれも同じような感じで・・・こういうのを気をつけてチェックして、必要があれば振りの手直しを要請するのも、演出家のお仕事だと思うのですが。

ここの蘭乃は、とても素晴らしいです!純白の衣裳に着替えて登場するのですが、その聖性が際立ちます。彼女の持ち味は、純白のようなピュアな部分と、時に驚くほどの妖艶な毒を感じさせる部分がその内面に同居していて、そのバランスが絶妙なんですよね。この場面のように、純粋さが毒へと染まっていくようなキャラクターだと、そのバランスの妙味を存分に味わえます。

思い切りよく踊りまくる蘭ちゃんを余裕のよっちゃん(←死語)で受け止める黒らんとむが、もうカッコよくて!今回のショー中では、蘭蘭のデュエットダンスとしてはいちばん好きだったかも。フィナーレの大階段は微妙だったし(後述)。

そして、暗く燃え上がった闇を浄化するような月光を浴びて登場するのが壮。静かにしっとりと『Da Troppo Tempo(愛はるかに)』を歌いあげます。

舞台に登場して優しく儚げに踊るのは、月野姫花を中心とした若手娘役。クリームイエローのドレスが美しく翻って、夢のような美しさです。やっぱり、こういうのが「タカラヅカの世界」だなぁ。

そして中詰のクライマックス、カルナバル!!もう、唐突にカルナバル!!この流れからどうやってカルナバル!!そう言やミキティー大好きだなカルナバル!!(←最早ヤケクソ)

でも、ここで『Quando, Quando, Quando』を歌いながら登場する蘭寿さんが、尋常ではないテンション&ノリノリで、もういいや、深いこと考えずに楽しんじゃえ☆ってなっちゃうのがらんとむクオリティ。いいわ~、あのラテンステップ!!

ここで主要メンバーが銀橋に繰り出して決まった後、いったん暗転すると、銀橋には蘭寿・壮・愛音の3人が残って、『あなたと夜と音楽と』を熱唱。

ここの3人の男役の空気が、今の花組だなぁ~って思いますよ!華やかで、明るくて、パワフルで、濃ゆくて(笑)。

1人ずつソロを歌う場面があるのですが、その間、他の2人はかなりフリーダムに客席に目線をバッシバシ投げてお客さんを釣りまくっているのが超好きです(笑)。


第5景 Vivace ~パシオン・ネグロ~
音楽/高橋恵
振付/KAZUMI-BOY

ディアボロに続いてまたもや始まる、ダークで激しい場面。似たような場面が続くなぁ・・・。

まずは朝夏まなとが銀橋に登場。並みいる若手男役(瀬戸かずや・鳳真由・大河凛・水美舞斗・柚香光・優波慧)を優悪しながら総なめにしていくという場面です(笑)。総なめにするかと見せかけて鳳くんだけスルーされるという小ネタ(?)も効いております。

本舞台の膜が開くと、黒のレザージャケットにターバンを着用してけだるく座っている蘭寿さん登場。ここまでほとんど出ずっぱりなので、だんだん心配になってきます・・・。

実は私、ここでちょっと集中力が切れてしまいまして・・・。というか、やっぱり同じような場面や同じような振りが続くと、さすがに頭がぼんやりとしてきます。

たぶんね・・・今にして思えば、この辺りで「ああ、このショーでは私が観たいらんとむは観られそうにないな」ってほのかな諦念が漂い始めたのではないかと思うのですよね。

熱苦しさとか濃ゆさがチャームポイントのように言われるらんとむですけれども、私自身としては、こういうダークな感じのダンスより、地髪でシンプルな燕尾服で、パーンってはじける太陽のような笑顔で正統派のダンスを踊るらんとむがいちばん好きなのです。というか、シンプルな衣裳とシンプルな装置でシンプルなダンスを踊るらんとむにこそ、本当の彼の魅力がいちばん素敵な形で現れると思っているのです。

だから、らんとむの濃さとか熱さをここまで全面に押し出されてくると、ちょっと疲れてしまうというか・・・。「もっと別の顔を持つらんとむが観たいのになー」って。贅沢なわがままですが、これは明らかに全体的な場面構成のミスだと思います。

でも・・・踊り狂うらんとむは、それはそれは美しかったなぁ・・・(←お約束の結論)


第6景 Adagio ~祈り~
音楽/高橋城
振付/羽山紀代美

濃くてダークな場面から、清冽で透明な世界へ。水色の衣裳を着た壮と純白のドレスを着た蘭乃が登場し、『The Prayer』を高らかに歌い上げます。壮くんと蘭ちゃんの清々しい笑顔に癒され、心洗われる瞬間です。

そして本舞台のカーテンが開き、総踊りへ。

ここで、板付きになっている男役たちが前場のパシオン・ネグロ組だったのが、激しく謎です。他にもたくさん組子はいるのだから、前場に出ていない組子を先にスタンバイさせて、パシオン・ネグロ組は後から登場するという演出でも十分に良かったはずです。望海や朝夏とか、スタンバイしながら激しく肩を上下させているし、一息つかせてあげても良いのになぁ・・・。

そんな中、汗ひとつ見せずに涼しい顔で颯爽とする蘭寿さん。ここまでほとんど出ずっぱりなのに、純白の衣裳をひるがえして爽やかな笑顔を見せて踊りはじめる姿には、もう脱帽せずにはいられません。ちょっとらんとむ、もう常人には及ばない領域に行ってしまっているわ・・・。愛してるわ・・・。(←唐突に告白)

本当に、ここの場面の蘭寿とむは大好きです。タンゲーラ以来、ようやく「観たかったらんとむ」が観られたと言うか。一点の曇りもない笑顔で、声の限り歌い、踊るらんとむ。その姿を見ているだけで、胸がいっぱいになります。この時のらんとむを観ることができただけで、このショーを観た価値があったと言って良いかもしれません(とろりん比)。

さて、この場面で突然、扇めぐむ・月野姫花・真瀬はるかの3名がセンターで踊るという場面があります。ここでも頭の中を激しく「?」が飛び交ってしまいました。

今回の公演では、この3名を含んで計8名の退団が決まっていました。宝塚の公演では、退団者を見送るような演出や振付が定番となりつつあり、今回もそういった意味を汲んだ演出なのかと思います。ならば何故、他の5名は出さなかったのでしょう?

この第6景をそういった意味を汲んだ場面にしたかったのであれば、センターの演出は別としても、ここで8名全員をキャスティングするべきでした。けれども、他の退団者5名はこの場面にキャスティングすらされていませんでした。

ここまで観ていると、今回のショー、観ているコチラが心配になるほどに出ずっぱりの人と、そうでない人の差が激し過ぎて、演出家のキャスティング能力についても疑問が残りました。ミキティー・・・(ちーん)。

そしてじわじわ広がるモヤモヤを抱えたまま、フィナーレへ突入するのでした・・・。


第7景 CANON ~フィナーレ~
音楽/吉田優子
振付/羽山紀代美

まずは鳳真由・大河凛・優波慧の若手男役3名がスパニッシュ風のマントを翻して、『パッヘルベルのカノン』を歌いながら銀橋を渡ります。ショーのタイトルでもありますから、やっぱり使わない手はありませんよね。でも、もうちょっとメインの場面で持ってくるかと思っていました・・・(小声)。

若手男役さんはとってもエネルギッシュ。パッと雰囲気が明るくなるのが良いですね。でもここで被っているつば広帽子は必要ないかも、です。この場面は若手男役の顔見世的な意味合いも兼ねていると思うので、2階席からだと全くお顔が見えないような帽子はどうかな~と思います。

本舞台のカーテンが開いて登場するのは、黒い衣裳に身を包んだ愛音と華形。フラメンコのドレス姿の娘役に囲まれながら踊ります。

・・・この場面、どうして作られたのかな?(←全世界の愛音ファンと華形ファンを敵に回す発言)

いや、みわっちとみつるきゅんのために作られた場面だと言う事は百も承知ですよ!なのですが・・・あまりにも前後の繋がりがなくて、唐突な印象がぬぐえないというか。もうちょっと次の場面に繋げるようなイメージの場面には出来なかったのかな?と・・・。

まぁしかし、ここは見悶えるみわっちとみつるきゅん、そしてオトコマエ過ぎる梅咲衣舞ねーさんのダンスに釘付けでした。

そしてようやく大階段←(ようやく言うな)。

裾にボリュームのあるドレスの娘役に囲まれて、蘭寿さんが大階段で、背中を大きく反らせるポーズをとっています。この反りが本当にすごくて、「らんとむの身体、どうなってるの!?」と思ってしまうほど。初見の時は唖然としちゃいました。

この場面の衣裳は、白~青のグラデーションが美しい変わり燕尾で、裾が長くて軽やかなのが本当に素敵でした。

蘭寿が大階段を降りると曲調が激しくなり、ここで朝夏と蘭寿の男役同士のデュエットダンス。そして大階段からは、愛音・華形を先頭に男役集団が降りてきます。

ここの演出もね、初めて見た時は衝撃でした。朝夏は6月に宙組への移籍が決まっています。次世代を担うホープとしては、確かに筆頭の存在ですけれども・・・。さすがに愛音・華形という明らかに学年も格も上の生徒を、その他大勢として大階段を降ろすという演出は考え直すべきだったと思います。(どうしても大階段で2人を降ろすならば、あの場面で蘭寿と組める男役は、壮一帆しかいません)

そして、トップコンビのデュエットダンス。ここでもらんとむの美しいダンスが見られる~、と思ったのもつかの間、展開されたのは蘭寿×蘭乃、そして壮×実咲というダブルデュエットダンス。これは・・・ダブルトップコンビという扱いなのでしょうか?

まぁ、あくまでもメインは蘭寿ですが、蘭寿を中心に蘭乃・実咲が両側から絡むという場面があったり、蘭乃と実咲がバックで踊りながら、蘭寿と壮が手を携えて踊るという場面もあり、それなりに素敵なのですが・・・。

お芝居でもショーでも強力プッシュのみりおんちゃん。何かあるのかな~と思っていたら、やっぱりこういうことだったんですね~。まぁくん(朝夏)と言い、みりおんと言い、あまりに強引で露骨な押しは本人にもプレッシャーを与えるだけだし、観客にも余計な深読みをさせてしまうだけですから、この辺りはもっとソフィスケイトされた演出を考えてあげるべきだったのになぁ、三木先生・・・。

大階段のパレード、エトワールは望海風斗。『オンブラ・マイ・フ』を晴れやかに朗らかに歌い上げます。もう、この歌声が、本当に癒される!!この歌声を聴けて良かった!!

お芝居の冒頭では『ともしび』を歌い、ショーのパレードで『オンブラ・マイ・フ』を歌う望海。本当に素晴らしい歌声です!!今回の花組公演、だいもんの歌声に始まり、だいもんの歌声に終わる・・・この事に、どれだけの安らぎと癒しと救いを感じた事でしょうか(笑)。

そして銀スパンの燕尾服に真っ白な羽根とキジ羽根を背負った蘭寿さんは、どこまでもキラキラしていて、どこまでも爽やかで、そしてどこまでも楽しそうでした。その笑顔を見られただけで、幸せ者です!

* * * * *

『カノン』レポ、一気に駆け抜けてみました。あくまでも個人の主観です。

きっと、今回のショーがあまり面白くないと思ってしまったいちばんの原因は、個人的に蘭寿さん萌えポイントが圧倒的に少なかったことにあるのではないかと思います。正統派ダンスもあまりなかったし、相手役とのデュエットダンスも少なかったし。

たぶん、私が好きならんとむ像と、三木先生がイメージするらんとむ像は、大きくかけ離れているのでしょう(苦笑)。でも全ては、パレードで見せるらんとむの突き抜けた笑顔が全てを払しょくしてくれるようで、毎回癒されておりました。もう、あの笑顔だけで全てが浄化される気がします(笑)。

と言うわけで、痛いテンションのまま終了します!ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございました!!


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みく

カノンレポありがとうございます、久しぶりにDVD早送りなしで鑑賞してみました。
まず、あのピンク総スパンキラッキラのお衣装を確認・・だって黒い部分があるなんて気付いてなかったんですもん!ホントだ、全国ツアーパンフレットのだ!カノンを見ているときはキラキラピンクの蘭寿さんとしか認識できていなかったので。私もプロローグはよかったのですが・・ウワァ~っと盛り上がったところでフニュア~っと終わってしまう感じがなんか『はしごを外された』感でしてせめて3曲くらいガンガン手拍子する場面を繋げてほしいなぁ~と、物足りなさ満載でした。もうそこでアレレってなってしまったまま ロケット早くないですか?とか なんかブツブツ切れ切れな感じだなぁとか で、やっぱり蘭寿さんの端正なダンスをもっと見せてほしいなぁと私も思いました。
なんだか長くなりました・・では。
by みく (2012-05-05 16:15) 

★とろりん★

みくさま、

コメント、ありがとうございます!!

プロローグのピンクスパンはですね、あのちょこっと黒部分が効いてるんですよ!(力説)ピンクでらんとむの甘さと明るさと華やかさを、そしてちょこっと効かせた黒が、大人っぽさや男らしさを見事に表現しているんです!・・・と、個人的には思っています(笑)。

みくさまの仰る「はしごを外された感」やブツ切れ感、わかります。私は特に、中詰でそれを感じましたね。『歌劇』座談会を読むと、三木先生的には一貫性や統一性を持たせているおつもりのようですが、色彩的にも構成的にも衣裳的にも、それらは感じられませんでした。きっと、それぞれの場面を担った出演者たちの個性とオーラが想像以上に爆発して、演出家の予想以上にひとつひとつの場面のイメージが際立ってしまったんじゃないかと思い込んでいます。

端正ならんとむのダンス、次回のショーで楽しめると良いですね~☆藤井先生なら、きっと間違いない!(はず)
by ★とろりん★ (2012-05-05 23:55) 

tomfan

とろりん様

こんばんは!
カノンレポありがとうございます!
そしてお疲れ様でした~

そう、なんかカノンはね、観ていて疲れましたね~
ダークな濃い場面が確かに多くてお腹いっぱいな感じで。
でも蘭とむは頑張って踊っていて。。
何より怪我などが無くてよかったというか、蘭とむさすが!でした。

私もあのピンクスパンの衣装が大好きです☆
引き抜きだったし、キラキラ蘭とむ素敵!っと
堪能する間もなく引っ込んじゃうのがもったいないですよね~
全ツのプログラムはどの写真も素敵ですね!
併演が明るい「長春」と、重い「復活」というのも
全ツの方が楽しく観られた気がします。
やっぱり蘭とむの持ち味は「明るさ」「笑顔」だと思う私です。

次の公演はどうかな??
端正な蘭とむのダンス、私も期待したいです!
ではでは!
by tomfan (2012-05-06 22:53) 

★とろりん★

tomfanさま、

コメント、ありがとうございます!!

tomfanさまのおっしゃる通り、『カノン』は観ていて疲れるショーでしたね・・・(←思い出しただけでちょっと疲れている)。濃くてダークなシーンばかりですと、観ているこちらまで気分が重くなってきますものね。

全国ツアーでは、かなり落ち着いた気持ちで観ることができるようになりました。確かに、併演がハッピーエンドの『長い春~』ということは影響してますね。後は、全国ツアーで出演者の人数が少ない分、下級生にもまんべんなく出番が回ってきたことで、キャスティングや演出に余計な深読みをせずに観られるというのも大きいと思います。東京公演で感じていたストレスがどれだけ大きいものだったのか、全ツを観てあらためて実感しました。

そう、らんとむのいちばんの魅力は、太陽のように一点の曇りもない強くて優しい笑顔だと、私も思います!次の公演では、そんならんとむの持ち味を200%爆発させられるショーになりますように!
by ★とろりん★ (2012-05-07 00:53) 

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