SSブログ

「宮廷のみやび 近衞家1000年の名宝」展 [展覧会]



2008年1月2日(水)~2月24日(日) 東京国立博物館 平成館

久しぶりに、展覧会に足を運びました。(ちなみに前回うかがった展覧会は、コチラ。)五摂家のひとつ、近衞家が管理している「陽明文庫」に収蔵されている古文書や書籍などの貴重な史料が、一挙に公開されています。

いちばんの楽しみは、藤原道長自筆の日記「御堂関白記(みどうかんぱくき)」(国宝)と、「藤原鎌足像」。歴史の教科書の中でしか出逢ったことのない人物の生きた証にふれられる、またとない機会です!!



 

 


 

博物館には14時過ぎに到着したのですが、結構たくさんの人でにぎわっておりました。

まず最初の展示室に入室した途端に目に入ったのは第2の目的、「中臣鎌足像」!!うおおおお、歴史の本でしか見たことのない絵が、目の前に~~~~っっっ!!!!とろりんさん、のっけからテンションアップ。針がすでに振り切れております。

「おお…おおおおお…」などと1人つぶやきながら、ガラスケースに張り付いて離れない女子…どこから見ても怪しすぎる…。

思う存分、鎌足像を見尽くして、さて、次の展示ガラスへ…。清和天皇のお后となった藤原高子(たかいこ)による写経に心惹かれました。

藤原高子と言えば、「伊勢物語」で描かれた在原業平との悲恋で有名な方ですね。とてもきっちりとした字でした。高子も、藤原家の権力闘争の波に巻き込まれて人生を送った女性ですよね。一画一画、くっきりした強い字は、それでも心は折れない、という彼女の強い意思表示だったのかもしれません。

…などと思いながら、ふと横の展示物に目を移すと…。

いきなり第1の目的、「御堂関白記」があぁぁぁぁ!!!はい、もうテンションフル回転(←おそらく、間違った表現だと思われます)。展覧会に入場してわずか10分で、目的を全て達成してしまいました…(苦笑)。

道長の日記は、奈良時代から陰陽寮によって作成されていたとされる「具注暦(ぐちゅうれき)」に記入されています。

平安時代は吉凶判断が生活の中に根付いていましたが、具注暦にはその吉凶判断のための様々な暦注が書き込まれています。ちゃんと、巻物自体が表のようになっていて、道長はいちばん下の最も余白の多い欄にその日の出来事を書き留めています。(時々、表を無視した大きな筆遣いになっている日記もあります。)

驚いた!!すでに奈良時代には既に「ダイアリー帳」が存在していたのですね!よくよく見ると、ちゃんと曜日は書かれているし、「沐浴」とかその日しなくてはいけないこと(おそらく暦注)が書かれてあります。いやいや、現代の我々が日常的に使っているダイアリー帳となんら変わりませんね。

道長の字は、なんとなく大らかと言いましょうか、豪胆と言いましょうか、表の枠からはみ出るほどの勢いのある字。私はよくわかりませんでしたが、誤字・脱字も結構あるそうです。高子の明確な字体を見た後に「御堂関白記」なので、道長の大らかさが際立って見えました…。

藤原道長と言うと、我々は日本史の授業や歴史の本でその情報を得るだけ。しかし今回、実際に道長の日記を見たことによって、「道長の証」を強く感じました。「道長、ほんまに生きてたんやぁ~…」と、なんだか感慨深いものがありました(笑)。


 

陽明文庫には、「書」に関する史料が中心に収蔵されているようで、展覧作品のほとんどが「書」によるもの。「三蹟(さんせき)」と称された小野道風や藤原佐理などの手蹟によるものや、歴代天皇の和歌を書き付けた紙や写経、書状を集めて貼付した「大手鑑」(国宝)、「花木書写」(近衞家熙筆)など、図鑑的な史料をたくさん見ることができました。

もちろん、「春日権現霊験記絵巻(かすがごんげんれいげんきえまき)」や、「春日鹿曼荼羅図(かすがしかまんだらず)」(重要文化財)などの絵画的史料、御所人形や内裏びなの展示も楽しめます。(コチラで、少しだけ作品を見る事ができます)。御所人形、かわいかったなぁー♪

しかし、今回しみじみと実感したのが、「紙と墨って、すごい。」という事。

多少色が黄ばんでいたり、端が欠けていたりしても、墨で書かれたものは、全てしっかりと残っています。1000年前の人々文字にした思いや考え、言葉が、1000年後の我々の前によみがえる…。本当に、すごい奇跡です。1000年後、私たちの言葉は、ちゃんと文字になって残っているのかな…。



鎌倉時代に作成されたとされる「源氏物語」の写本も印象的でした。平安時代~鎌倉時代というのは、当然に印刷技術がありませんから、原本を書き写し、そしてその書き写された写本をまた書き写し…という究極の人海戦術で物語を広めていったわけですよね。う~ん、現代では考えられない…。

第一巻「桐壺」と言えば…学生時代、誰もが必ず必死に暗記した記憶があるはずの、「いづれの御時にか、女御更衣あまたさぶらひたまひけるなかに、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めきたまふありけり。」という冒頭の文章。最初のページが開けられて展示されていましたので、ガラスケースに低い鼻をひっつけてにらめっこすること、数分。「いとやむごとなき」が読み取れて、ちょっと興奮(笑)。



もうひとつ、面白いなあと思ったのは、とある天皇が書かれた「これを読んだら、焚火にくべてしまってね」という一言が書き込まれている書状。…焚火にくべられるどころか、1000年の時を経て、しっかり表装されて万民の目にふれるところとなっております…。(内容はそれほど過激なものではなかったようですけれどね)



もうひとつ、とても印象に残ったのが、書を飾るときに使用する表具類(いわゆる額縁)の数々。近衞家の当主で、装束や衣裳に造詣の深い人物がいらっしゃったようで、表具にも非常に優美で壮麗な裂地(きれじ)が使われています。

これ、こんなに使ってもいいの!?と思ってしまうほどに立派で贅沢な裂(きれ)を使っていたり。でもこうすることによって、着られずに蔵にしまわれっぱなしよりも良いことなのかな~、とも思ってみたり(リユースの精神?)。でもでも、どの表具もうっとりするくらいに優美でした…。(ちゃんと書蹟も見ていた、はず>笑)



いつもとはひと味もふた味も違った、とても興味深い展覧会でした。今週の日曜日までですので、ご興味のある方はお急ぎください!


 

東京国立博物館


nice!(1)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

nice! 1

コメント 2

ラブ

近衛家! すごいですね。ザクザクお宝が出てきそうです。
by ラブ (2008-02-29 16:36) 

★とろりん★

ラブさま、
ええ、ええ、本当~に国宝だらけでしたよ!!贅沢な時間を過ごしました~~~♪
by ★とろりん★ (2008-03-03 14:22) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。