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宝塚歌劇宙組東京公演 『薔薇に降る雨』  [宝塚歌劇]

2009年6月14日(日) 東京宝塚劇場 15:30開演
2009年6月25日(木) 東京宝塚劇場 18:30開演
 
(なにげにリピート)

ミュージカル・ロマン『薔薇に降る雨』
 (脚本・演出/正塚晴彦)



宙組トップコンビ、大和悠河&陽月華のサヨナラ公演。

今回の公演で、10名の宙組生が宝塚を卒業します。(そのときの記事は、コチラ

各組とも、公演ごとに数名の卒業生がいるのは普通の事なのですが、トップコンビだけでなく、2番手娘役の美羽あさひ、男役スターの七帆ひかる、個性派娘役の華凛もゆる等、主要メンバーも多く卒業してしまうのは、とても寂しいですね~、。

今回の公演は、お芝居・ショー共にサヨナラを意識した演出はほとんどなく、どちらもサラリとした出来。

それがかえって、「タニ(大和の愛称)もウメちゃん(陽月の愛称)も、照れ屋だな~、でも、2人らしいな」と思わせられるような、すごくさりげないのに、心にじんわりと染みる公演です。

では、まずお芝居から感想を…。ネタバレ炸裂、妄想爆裂、暴走独壇場状態ですので、ご希望の方は「続きを読む」からお入り下さい。しかもお芝居を観ていない方にはよくわからない、支離滅裂な感想になっています。

では、どうぞ~。



『薔薇に降る雨』
脚本・演出/正塚晴彦

【物 語】

スポーツカーを作るという夢を持つ青年、ジャスティン(大和悠河)はある日、自分の開発した車をテスト走行中、山道を裸足で歩く少女、イヴェット (陽月 華)と出会います。2人はまたたく間に恋に落ち、楽しい時間を過ごします。

しかし、イヴェットは伯爵家の令嬢であり、身分の違うジャスティンとの恋がされるはずがありません。ジャスティンはイヴェットと共に駆け落ちしようとしますが、約束の場所にイヴェットが現れることはありませんでした。

7年後。ジャスティンは、今は調査会社を経営しています。ヘレン(美羽あさひ)という恋人もあり、会社も軌道に乗っていました。ある夜、事業の出資者であるヴィクトール・オーランジュ男爵(蘭寿とむ)に連れられて出かけた会員制のクラブで、ジャスティンは思いがけずイヴェットと再会します。

かつて「社交界の薔薇」とその美しさを讃えられたイヴェットですが、今は経済難に困窮した伯爵家を守るため、意に添わない結婚を受けざるを得ない状況に陥っていました。

引き裂かれたままに分かれてしまった男と女の、偶然の再会。かつての恋心が再燃するのに、時間はかかりませんでした。

ほどなくして、ジャスティンの会社にクリストフ(七帆ひかる)と名乗る会計士が調査を依頼にやってきます。それはイヴェットの実家である伯爵家の件。イヴェットの父親はとある会社の事業に出資しており、その事業が失敗したために多額の負債を背負い、没落することとなったのですが、その経過がどうも腑に落ちない、とクリストフは訴えるのです。

ジャスティンは、ヴィクトールとともに調査に乗り出します。調査の結果、浮上してきたのは、船舶会社を経営するグザヴィエ(悠未ひろ)と言う男、そして、ジャスティンが忘れるはずのない、ただひとつの名前でした…。

【カンゲキレポ】

フランス映画を観ているような、そんなしっとりと落ち着いた気持で観ることのできるお芝居です。

でもまぁ、冷静に振り返ってみると、突っ込みどころ満載・・・というか、ちょっと男性の意見を聞いてみたくなる作品です(苦笑)。

ミステリーを追う部分に時間がとられ、ラブロマンスの部分が性急になってしまった感も。ジャスティンとイヴェットの感情の流れをもう少し深く掘り下げてもらえると、ファンはもっと感情移入できたかもしれませんね。

正塚先生の脚本は、本当にナチュラルでシンプルな会話(「ああ」とか「うん」とか)が多く、今回も軽い調子の会話が多いです。でもそのひとつひとつが、とても共感できます。

大仰な決めぜりふは全くありません。その代わり、うっかりしていたら聞き逃しそうな言葉のひとつひとつに、その人物の深い思いが込められている。役の「科白」というよりは、登場人物自体の気持から自発的に発せられる「言葉」として紡ぎ出されているのですね。

ただ、シリアスな場面が、突如としてコミカルな場面に急転換する演出は、個人的には違和感がありました。ジャスティンとイヴェットの再会直後、「どうなっていくんやろう…」と余韻に浸っているところに、急にロック調の音楽で「♪薔薇がバラバラ♪」みたいな歌詞の歌をうたわれても…。う~ん。

以後は、好きな場面と出演者についてちょろっと…いや、かなり暴走気味に書き留めておきます。



幕開けは、ジャスティン@大和がヴィクトール@蘭寿に連れられて会員制のクラブにやってくるところから始まります。

本舞台の紗幕が上がり、ジャスティン@大和にサスペンションライトが当たり、その姿が浮かび上がるのですが…スーツ姿の大和、文句なしに綺麗です。カッコイイです。

あのカッコ良さ、完全犯罪。[爆弾] 今さらですが、惚れました(爆)。

閑話休題。
宝塚に限らずミュージカルでは、お芝居の幕開きにちょっとしたショー場面があり、その中で主役や登場人物の関係性などを暗示させたりすることがありますが、この作品は一切無しで、いきなり芝居で開幕。映画の導入部分を見ているようで、ちょっと新鮮でした。

ところで、蘭寿とむさん。「ヴィクトール・オーランジュ男爵」って役名ですが…やっぱり、狙ってますか?>正塚先生。

思わぬ再会を果たすジャスティンとイヴェット。静かで、それでいて衝撃的な出会い。

ジャスティン@大和は驚きを隠しつつも冷静に彼女に接しようとし、イヴェット@陽月は気品のある優雅な物腰の中にも、どこか大和を拒絶するような空気を、巧みに醸し出します。

ここで舞台は、2人が初めて出会った7年前の夏の日へ。ホリゾントのスクリーンに青空と入道雲が映し出されます。夏の日の空…眩しくて、でもどこかきゅんとした気持ちを心の片隅に蘇らせます。

ひょんな偶然で出会った二人は週末の若者のパーティーで再会し、デートを重ねるようになります。

このパーティーの群舞は、圧巻。組生総出演では?と思わせる迫力と若さあふれるダンスナンバーです。衣装は淡いパープル、グリーン、オレンジブルーなどで統一されているので、2階席から見るととてもダイナミックで一体感があります。

夏の夕暮れ、ジャスティンとイヴェットは初めてキスを交わします。「私のこと、ずっと、ずーっと好きでいてくれる?」と無邪気にたずねるイヴェットに、ジャスティンはそっけなく「ん。」と答えます。

そこで照れたらあかんやろ、ジャスティン!!こっちが恥ずかしいわ!!(/ω\)

さてさて、この場面ではもうひとつ見どころがあります。ジャスティンとイヴェットが、恋の始まりにときめいているかたわらで、1組の恋人達が客席に背中を向けて座り、肩を寄せ合っています。悠未ひろと美羽あさひです。

ジャスティンとイヴェットが爽やかに、純粋に恋の始まりを予感してウキウキしているのに対して、悠未&美羽は、何やら会話を交わすような動きをしているのですが、ここで悠未が、美羽の髪を優しくなでてそっと自分の肩にもたせかけます。悠未の優しいしぐさに、自然に身をゆだねる美羽。

…オトコマエ過ぎるがな、悠未氏っっ。
(ひそかに鼻血)(美羽ちゃん、ええな~←羨望)

ジャスティンとイヴェットが上手へ退場した後、悠未&美羽は本舞台正面へ移動し、流れるように美しいデュエットダンスへ。何組かの男女も加わり、美しいのになぜか切なさがよぎるデュエットダンスにジャスティンのナレーションがかぶり、突然、イヴェットからの連絡が途絶えたことが分かります。

イヴェットが出席する夜会に忍び込んだジャスティン。この時のイヴェットはまだ18歳。白いドレスが初々しくて目も眩むほどですが、同時に無垢な幼さもよく出ていて、自分の置かれた境遇にどうすることも出来ない狼狽ぶりを体現。

取り乱してジャスティンにすがりつくイヴェットを心に留めておくと、7年後にジャスティンと再会した時の言動があまりにかけ離れていて、彼女が明らかに「大人の女性になってしまった」という事が明確になります。

ジャスティンはオロオロするだけのイヴェットに駆け落ちを提案しますが、翌日、彼女が現れることはありませんでした。

盆セリが回り、時は再びもとのクラブに戻ります。

そんな2人の過去をさりげな~く察した風のヴィクトール男爵は、またまたさりげな~~くジャスティンに、イヴェットが意に添わぬ結婚を迫られている事を教えます。泥酔したイヴェットにジャスティンは話しかけ、半ば強引にクラブから連れ出します。

この時の2人の会話を、ヴィクトール@蘭寿は別のテーブルにゆったり座って見て見ぬふりをしておきながら、、しっかり聞き耳を立てているのが、密かなツボ(笑)。

それにしても、蘭寿は座っている時の型が、非常に美しい。足の組み方、腕の組み方、手の置きどころ、どこをとっても完璧で、その姿は芸術的です。客席からどう見えるかを追求した上で練り上げられた型でしょうね~。いや~、素敵。ひいき目を外してみても、しみじみそう思います。(だからそれがひいき目)

イヴェットを半ば強引に連れだしたジャスティンですが、イヴェットはなかなか家に帰ろうとはしません。そのうち、2人は7年前の事、これまでの出来事を打ち明けます。

イヴェットが約束の場所に来なかったのは、彼女の意思ではありませんでした。しかし、7年の月日は彼女に自分のルーツ(伯爵家の人間)や立場をいやでも実感させるには充分な時間でした。

かつての溌剌と健康的な美しさに輝いていたイヴェットの面影は、どこにもありません。7年間、心の片隅のどこかにあり続けたイヴェットに対する想い、自らを押し殺して生きようとする彼女の姿に対するもどかしさ、様々な想いがあふれて、ついイヴェットを抱きしめてしまうジャスティン…。

タニちゃん(大和)…いつからそんなオトナになっちゃったのー!!!(芝居前半で、すでに血まみれ)

7年越しの恋心が再燃した2人の想いを、オフホワイトの衣装に身を包んだ1組の男女(春風弥里、大海亜呼)がダンスで表現するのですが、これが結構、いやかなり濃厚。濃厚を通り越してもはや18禁です。すみれコードは大丈夫なのか!?と思いつつも、オペラグラスは下がりません(爆)。

そしてその翌朝、ホテルのロビーでのジャスティンとイヴェットの会話が、リアル過ぎです(爆)。

ジャスティン「イヴェット、大丈夫か?」
イヴェット  「何が?」
ジャスティン「…いや…(照)

照れるなジャスティン!!観てるこっちが照れてまうやろ!!(爆)

この「何が?」という科白、陽月はすごく上手く言っていたと思います。決してぶっきらぼうにならず、優しく問い返していて。戸惑いを隠しながらも冷静さを保とうとしつつ、でもジャスティンを傷つけないように…という気持が込められていました。

そのままジャスティンは出社。ヴィクトール男爵@蘭寿がやってきたと言うので、会社でお着替え。

昨夜のこと(ジャスティンとイヴェットのその後)が気になって気になってしょうがない男爵は、秘書のモニーク@華凛もゆるにさりげなーく探りを入れ、どうやら「そうなったらしい」(爆)と察すると、「あ、そう。そうか、そういうことか」と1人で納得。

男爵…めっちゃカッコつけてソファに座っているのですが、そのポーカーフェイスには明らかに「そっか~、そうなんだ~、むふ~ん[黒ハート]」みたいな含み笑いが見てとれます(笑)。さすが、元情報部将校(←という設定)。

その後、「すみません、お待たせして」と足早に登場したジャスティンに向かって「い~~~えっっっ、お気になさらず(ははっ)[黒ハート]」という感じの間合いもたまりません。

ここで、クリストフ@七帆が登場し、ジャスティンに調査の依頼をします。ひょんなことから共同経営者となったヴィクトールと真相の究明に乗り出すジャスティン。

ここまでの流れが、結構好きでしたので、がっつり説明させていただきました(長)。

この後、ジャスティンとヴィクトールは素敵な連携プレーで見事に陰謀を暴き、イヴェットを救います。
(↑身も蓋もない省略っぷり)
(グザヴィエ氏@悠未、エロエロな潤んだ眼差しが素敵でした~。プレゼントした指輪をつけるイヴェットを見つめるその視線が!うさんくさすぎる~>爆)

(フランシス@北翔海莉の役づくりが、ちょっと謎でした…。みっちゃん、無駄にコミカル路線に走っている気がするのですが…)



違う意味ですごく心に残ったのが、ジャスティンと現在の恋人、ヘレン@美羽とのシーン。

おつき合いが長くなって、両親にも紹介していて、お互いが空気みたいな存在になっていて…。でも、この「空気のような関係」は、実はとても不安なものなんだろうな、と感じました。(それだけ、「愛」の実感が薄くなっていくわけですから)

あることがきっかけで、ジャスティンとの心のすれ違いがどうにもならないところまで来ていると自覚したヘレンは、「一緒にアメリカへ行こう」というジャスティンのプロポーズを断り、別れを告げます。

この場面が、本当に切なくて、女性としてはすごく共感できます。美羽、最後の舞台で有終の美。(もうちょっと出番が多かったらもっと良かったのにな)

ここで、「正塚先生、やるな」と思ったのは、2人が離れることになる原因を、イヴェットの事とは全く違う理由にしていたこと。(まぁ…元をたどればイヴェットとの思い出にもつながるのですが…直接的に彼女が関係してくることではありません)

ジャスティンにとって、イヴェットの問題とヘレンとの事は全くの別次元で存在していて、それぞれに出来ることをきっちりしようとしているのです。それが交差しなかった(ヘレンがイヴェットとの事を知る)のは、ジャスティンの運が良かったとも言えるのですが(苦笑)、安直なメロドラマにはしなかったところに正塚先生の気概を感じました。(だからこそ、イヴェットの問題を解決できて、1人で吹っ切れちゃったジャスティンが、唐突にプロポーズしちゃって、ヘレンがとまどうのですが)

男性の皆さん、夢を追いすぎて、大切な人の心を置いてけぼりにしないようにしましょうっっ。
(何が言いたいのか、まとまりがなくなったため強制終了)



ラストシーンも、情感あふれる素敵な時間です。

アメリカへ渡航する為、港へやってきたジャスティン@大和。当然、一緒についてくるだろうと思っていたヘレンの姿はなく、代わりに男爵@蘭寿だけ。「見送りは、私ひとりか」とつぶやく男爵。

ここでのジャスティンと男爵のやり取りも、何気ないのですが、それがすごく素敵。

ジャスティンと男爵の関係って、何だかとても心地よいのです。

つかず離れずの距離を保っていて、いざとなったら力を合わせるようなところが。もともと事業主と出資者という関係から始まっている二人ですものね。固い友情で結ばれているというよりは、お互いがお互いをリスペクトし合っているような。信頼し、尊敬し合っているというのが伝わってきます。

本舞台には大和と蘭寿の2人だけ。たわいない会話がふと途切れて、2人は客席に背を向ける格好で、たたずみます。

この、2人の背中が、とにかく泣けました…。旅立つ者と残る者。一瞬、この場面だけが、大和のサヨナラを感じさせます。

初舞台直後から、あまりにも大きすぎる抜擢を受け続けてきた大和。その細い背中に、どれほどの責任と苦悩と葛藤がのしかかったことか…と思うと、胸がいっぱいになりました。

船が出航し、甲板で1人物思いにふけるジャスティンの前に現れるのは、イヴェット。「1人でアメリカに行っちゃうらしい」と、男爵が教えたそうです。ぐっじょぶ、男爵。(だから、「見送りは~」という言葉が出ちゃったのね)

とってつけたようなハッピーエンドなので、「アメリカで、2人はどうなるのかしら?うまくやっていけるのかな?」と心配になります(苦笑)。でも、共に旅立つ恋人達…という図は、そのまま大和と陽月のサヨナラにも重なってくるので、これもアリかな、と。

銀橋を渡っていく2人の清々しい笑顔が、心から離れません。

言っても仕方のないことですが…2人の笑顔を、もう少し、宝塚の舞台で観ていたかったな。



何だか、とても不親切なレポになってしまいました。ごめんなさい。大和&陽月の卒業に関しては、実は私の中で踏ん切りが付いていないところがあり、その迷いのような部分がそのまま文章に出ているように思います。

次は、ショー『Amour それは…』のレポを書きまーす。(来週はまた出張ですので、ショーの記事がアップされるのは千秋楽以降になるかも…です[あせあせ(飛び散る汗)]
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dora

ども、国営放送の歌舞伎座俳優祭の録画を
忘れて、現在凹み中のどらです(-_-;)

めっさ、凹んでます。

宝塚・・・
最近見に行っておりません。
御友達から「顔ださんかい」と常に怒られて
おります。
久々に、阪急のっていこうかしら(苦笑
by dora (2009-06-27 00:15) 

★とろりん★

doraさま、

nice!とコメント、ありがとうございます!!

doraさまからいただいたコメントを拝見して、録画予約を忘れたことに気づきました…凹

久しぶりの宝塚、ぜひ足をお運びください☆今は星組で韓流ドラマ原作の「太王四神記」を上演中です!宝塚大劇場、行きたいなぁ~。
by ★とろりん★ (2009-06-27 19:04) 

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