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成馬零一 『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』 [ARASHI]

TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ! (宝島社新書315)

TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ! (宝島社新書315)

  • 作者: 成馬 零一
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2010/07/09
  • メディア: 新書

先日のマツジュンまつりの記事にコメントをくださったひろゆきさまからご推薦を受けて、いそいそとゲットしてまいりました(笑)。

かなり本書から引用した部分が多いですので、ネタバレ警報が大々的に発令中です。「読んだ気」になりたい方は、「Step and Go」からお入り下さい。引用した言葉や文章は、基本的には斜体にして紹介しています。



「はじめに」では、2000年~09年、つまり「ゼロ年代」に発表されたドラマの特性に触れ、その中でジャニーズ事務所所属タレント(ジャニーズタレント)たちが占めてきた位置、果たしてきた役割について簡潔に延べられています。

この年代に発表されたドラマの特徴は、漫画やアニメを原作にしたドラマが多数作られたこと、そして若いクリエイターたち(堤幸彦、宮藤官九郎など)の感覚が浸透してきたこと。

そしてジャニーズ事務所所属のアイドル達はその漫画やアニメのエッセンスや若い感覚に順応し、汚れ役から影のある役まで、現代の世相を反映した役どころを引き受け、見事に演じきったことに著者は注目します。そ
の流れはキムタクを筆頭にしたSMAPから始まり、TOKIOの長瀬智也君やV6の岡田准一君を経て、そして今、その流れは嵐へと受け継がれている、と。

なるほど~。言われてみれば、そうかも。「木更津キャッツアイ」や「花男」とかは、今でも語り継がれて、DVDの売上げも伸びているそうですからね。

そのような前章から始まり、怒濤の嵐賛歌の第1章へ。

第1章のタイトルは、「嵐を見なくちゃ始まらない!」

実は、本書のほとんどが嵐メンバーについて言及されています。というか、全体の半分以上が、ひたすら嵐。(笑)

嵐メンバー(大野智、相葉雅紀、櫻井翔、二宮和也、松本潤)が出演したドラマの中から、代表的な14作を紹介しつつ、それぞれのメンバーの演技者としての性質や特徴を明快に説明しています。最近まで放映されていた『怪物くん』やもっとも新しい『夏の恋は虹色に輝く』の情報まで押さえてあるところがナイス。

イントロダクションでは、「嵐はなぜ、こんなにも無敵なのか?」と題し、熱く嵐への愛が叫ばれています(笑)。

嵐最大の強みは、「アナログとデジタル。普遍性と現代性。」、この両翼を兼ね備えているところだと著者は断言します。

喜怒哀楽に収まりきらない、感情の機微を捕らえるアナログな表現」に突出した才能を見せるニノくん。緻密で考え込まれた「記号的でフラットな演技」に「現代性」を感じさせる翔さん(著者はそれを「デジタルな演技」と評します)。両者の長所を合わせ持ち、「ニュートラル」な演技を見せるマツジュン。ダークな悪役を演じきれる技量を持つリーダー大野くん。無垢でピュアな役を演じても、違和感をまったく感じさせない相葉ちゃん。

この5人の、演技の特性を図式で表しますと、こんな風になります。(本書参考)


               相葉雅紀(ライト)
                 ↑
                 ↓
二宮和也(アナログ)⇔松本 潤(ニュートラル)⇔櫻井 翔(デジタル)
                 ↑
                 ↓
                大野 智(ダーク)
 (さりげなく、メンバーカラー>笑)


このように、あらゆる役柄の性質をひとつのグループの中で備えてしまっているところが、嵐最大の魅力であり、強みである、と著者は書いています。

これは納得。私が嵐を見るのはただいま放映中のバラエティー番組やPVくらいなのですが、その中でも、立ち位置や役割、そして個性が5人それぞれなんですよね。

著者はそのグループ内のメンバーの立ち位置を年齢順に兄弟に置き換えて、こう延べています。

「グループのまとめ役は末っ子の松本君で、ツッコミ役は二宮君となる。つまり、ふつうは年長になるほど「しっかり」するものなのに、嵐の場合、年齢が下がるほど「しっかり」し、年齢が上がるほど「おっとり」するのだ。だが、本質的な安定感は大野君や櫻井君が担っている。(中略)つまり必死でがんばる弟たちを、優しい目で見守る大野君や櫻井君がいて、真ん中の相葉君はマイペースという、絶妙なバランス感覚が嵐の面白さなのだ。

そうです、そうです!まさに私が「嵐、良いな~♪」と思う理由がズバリと書いてあります☆(個人的には、リーダー=お父さん、翔さん=お母さん、相葉ちゃん+ニノくん+マツジュン=やんちゃ息子たち、みたいなイメージですけども)

あまりたくさん書いてしまうとアレですので(すでに書きすぎ)、あとはそれぞれのメンバーの章のタイトルと、取り上げられている出演作品を挙げておきます。(登場順)

二宮和也
「文芸、アニメ、何でも来い!全方位型の天才登場」

・『ハンドク!!!』(2001年)
・『優しい時間』(2005年)
・『山田太郎ものがたり』(2007年)
・『流星の絆』(2008年)

個人的にニノくんに注目したのは、映画『硫黄島からの手紙』(2006年)。

苛烈極まりない戦地で、折にふれて、ひとりで残してきた身重の妻に宛てて手紙を書くのですが、その時の表情が戦地にいる時とは別人のように、何とも言えず優しくて穏やかで…。「眼差しや瞳の動きだけで、『芝居の行間』をこれだけ豊かに表現できる若い役者さんが、日本にいたのか!!」と驚嘆しました。その後さらに、彼が二宮和也というジャニーズ所属のアイドルと知って、驚き5倍増しになった事を覚えています。

櫻井 翔
「デジタル時代を先取り!キャラクタードラマ界一の名優」

・『木更津キャッツアイ』(2002年)
・『山田太郎ものがたり』(2007年)
・『ザ・クイズショウ』(2009年)
・『特上カバチ!!』(2010年)

『ザ・クイズショウ』は、翔さんの演技が楽しみで見ていました。劇中にいきなり展開される、テンションの振り切れたような過剰な動きと科白回しが忘れられず。演技のスイッチをこれだけ急激に切り替えられる役者さんて、そういないよな~、すごいな~と思いながら毎回見ていました。

そのあまりにも大げさでわざとらしい演技が、記憶を喪失し、ディレクターの本間(横山裕)に運命を握られた神山(翔さん)の「操られている感」「動かされている感」につながっていて、目が離せませんでしたね。

松本 潤
「負けず嫌いで仕切り屋で、末っ子王子は魅力爆発!」

・『きみはペット』(2003年)
・『花より男子』(2005年)
・『バンビ~ノ!!』(2007年)
・『花より男子2(リターンズ)』(2007年)

……どれも見てません……。マツジュン出演のドラマで見ていたのは、『ごくせん』第1シリーズ(2002年)。しかもこの時は、成宮寛貴くんにばかり注目していたという、今ではありえない非国民ぶり。(というよりむしろ、ここ3ヶ月の私の豹変ぶりがありえない)

大野 智
「遅咲きゆえに要注目!この時代を捕らえるコクと深み」

・『歌のおにいさん』(2009年)

この春に放映された『怪物くん』は、ほとんど見ていました。ふてくされながらも周囲の人の思いやりに応えようと奮闘する怪物くん、すっごく可愛かったし、純粋に元気をもらえましたね~。デモリーナ様も好きでした(微妙な告白)。本書でも、『怪物くん』については言及されていますよ~。

相葉雅紀
「ピュアな演技に胸キュン!パーフェクトな善玉役者」

・『マイガール』(2009年)

…………。
(見ていないどころか「そんなドラマも、あったんだぁ…」という感じらしい)。

先日、ネット上に残っている『マイガール』公式サイトであらすじを読んで、仕事中なのにうっかり泣きそうになりました(仕事しよーぜ)。いやほんと、相葉ちゃんはそこにいるだけで良いからっ(迷走)。


*****

はっ、いかんいかん、また嵐について語り始めてしまいました(あせあせ)。

第2章では、嵐が飛躍する礎を築いた90年代後半からゼロ年前半に活躍したジャニーズアイドルたちをピックアップし、その出演作品とともに解説を加えています。

第1章の嵐語りに紙数を割き過ぎたのか、第2章はものすごい駆け足です(笑)。ここも、登場するジャニーズアイドルのそれぞれの項のタイトルと挙げられている出演作品を。

木村拓哉
「復活を待つ!90年代最大の功労者の哀しみ」

・『ロングバケーション』(1996年)
・『HERO』(2001年)
・『華麗なる一族』(2007年)

私が初めて初回から最終回まできっちり見た連続ドラマは、キムタクドラマ初出演の『あすなろ白書』(1993年)。懐かしい~!!主題歌「TRUE LOVE」は名曲ですよね~。取手君@キムタクの「…俺じゃダメか?」にはキュンキュンきましたな☆

閑話休題。この項では、月9(『月の恋人』も含めて)とキムタクについて、視聴者やファンが感じながらもどう言葉にして良いのかわからなかった、もどかしくてはがゆい思いをガツンと書いてくれています。

長瀬智也
「ゼロ年代を切り開いた、でっかい器の野蛮なタイガー!」

・『池袋ウエストゲートパーク』(2000年)
・『タイガー&ドラゴン』(2005年)
・『マイ☆ボス マイ☆ヒーロー』(2006年)

……私って、本当に連ドラ見てないんだなぁ……(汗)。大河ドラマと土曜時代劇はだいたい見ていたんですけど(若い時から渋好み)。心のどこかで「ジャニーズものかぁ」と思っていた部分があったのは事実ですね。長瀬くん、今季は『うぬぼれ刑事』で大活躍☆


亀梨和也
「悩める『ポスト木村君』は、この時代を映し出す!」

・『野ブタ。をプロデュース』(2005年)
・『たったひとつの恋』(2006年)
・『ヤマトナデシコ七変化♥』(2010年)

残念ながら、亀梨くんが出演していたドラマはまったく見たことがありません。なので、かえって「ほおお~」と興味深く読みました。カッコよさがトラウマになってしまうキャラって、すごいですよね。

錦戸亮
「モノトーンの寡黙さ。真実を背負い続ける10年代の新星!」

・『ラスト・フレンズ』(2008年)
・『流星の絆』(2008年)

錦戸くんが『ラスト・フレンズ』で演じた及川は、本当にすごかった。優しい笑顔が印象的な青年である反面、恋人(長澤まさみ)を愛するあまり、恋人だけでなくその友人たちにまで暴力をふるうという壮絶な役どころ。男前の若手
俳優が引き受けるにはリスクの高い役です。それをあえて引き受け、演じきった錦戸くん。ここにも、「性や暴力と隣り合わせ」の役をためらわずに受けて演じるジャニーズアイドルの気概が垣間見えます。

『ラスト・フレンズ』は、あまりドラマを見ることのなかった私が、久しぶりに頑張って続けて見たドラマ(ちなみに当時は、尚五郎さん@『篤姫』、もとい瑛太くん見たさでした>ミーハー魂炸裂)。ですが、あまりにありえない、違和感ありありのぶっ飛んだ最終回に、開いた口がふさがらなかったという、苦い思い出があります(苦笑)。

*****

…と、ここまでノンストップで語ってしまいました。ひとつだけ注文するとすれば、第2章には岡田准一くんも入れて欲しかったなぁ。「SP」、超カッコ良かったもん♥(祝・映画化♪)(で、いつ公開ですかね)

この本を読むと、ジャニーズアイドルの出演したドラマに対するイメージがガラリと変わるかも。ゼロ年代のドラマをたくさんご覧になっていた方にも「こうした見方もできるのか」と新鮮な感覚を得られることと思います。


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ひろゆき

ここまで熱い同意と解説もすごいっすね・・・
しかも、先に読んだ僕くより、深く読み込んでそうな。

そうそう、うちの母が嵐のファンですが、マイガールは泣きながら見てましたよ。演技自体は?でしたが、伝えようとするのが見えて(いいのか悪いのかは別として)感動していたようです。(子役もすごかったけど)
by ひろゆき (2010-08-01 00:55) 

★とろりん★

ひろゆきさま、

コメント、ありがとうございます!!

>>ここまで熱い同意と解説もすごいっすね・・・

ええ、熱いのがうちのブログのウリなものですから、ついつい(笑)。

ジャニーズ初心者ファン(小学生の時は光GENJI好きだったけど)としては、面白く読めましたよ~。90~ゼロ年代のジャニーズと連続ドラマ界の潮流が少しだけ見えたような気がします。

『マイガール』の子役ちゃんは石井萌々果ちゃんですよね。『怪物くんスペシャル』にも出演してましたけど、上手いコですよね~!何て言うんでしょう、甘えたい気持ちを押し殺して健気に笑う姿がたまりません(爆)。

コメントレスまで熱くなってしまって、すみません(笑)。

ところで、ひろゆきさまのお母様は、嵐の中では誰がいちばん好きなのですか?今度、お茶でもいたしませんか?とお伝え下さいませ★(笑)
by ★とろりん★ (2010-08-01 11:05) 

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