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長崎市 黒崎教会 [旅]


人間が こんなに 哀しいのに
主よ 海があまりに 碧いのです


―遠藤周作 『沈黙』より―

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長崎市北部・旧外海(そとめ)町にある黒崎教会。マルク・マリー・ド・ロ神父が設計に携わったと伝えられ、遠藤周作の小説『沈黙』にも登場します。

ド・ロ神父(1840‐1914)は、1868(明治12)年に外海地区の司教としてフランスから赴任。出津(しつ)教会を設計したり、困窮する信徒、特に海難事故で夫を失った女性の生活を改善するために多大な功績を残しました。ド・ロ神父の指導で生産されるようになったそうめんは、今でも「ド・ロ様そうめん」として、近くの道の駅等で販売されています。

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優しい面差しのマリア様が迎えてくださいます。

黒崎教会は、ド・ロ神父の指導のもと、1897年に建設が始まり、1920年に完成しました。教会は煉瓦造り・瓦葺き。施行したのは地元黒崎の大工棟梁・川原忠蔵父子。

この時代に建てられた教会は、西洋の建築様式と日本の建築様式が美しく調和していて、見飽きませんね。

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教会内部

過剰な装飾のない簡素な造りですが、いかにも教会らしい、ゴシック建築の伝統を忠実に受け継いだ、荘厳で静謐な空間です。

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内陣

突き抜けるように高いリブ・ヴォールト天井(別名「コウモリ天井」)はゴシック建築教会の特色のひとつ。これは、信者の心を天高く引き上げる、という意味が込められているのだそうです。

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両側に規則正しく並ぶステンドグラス。

当時は専門のステンドグラス職人が手配できず、地元の職人たちの手によって作られたのだとか。また煉瓦も、地元の信者たちの手によってひとつひとつ積み上げられたのだそうです。

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緑のガラス部分に残されている気泡。手づくりの温もりが伝わってきます。当時の日本人職人さん方の熱意と気魄を感じますね。

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瓦葺きの屋根。

この写真では見えないのですが、鬼瓦の紋がすべて十字架なのです。繊細な職人芸!

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質実な煉瓦造りの壁に映える、柔らかな水色の鎧戸。

今でも日常生活の中に信仰が深く深く溶け込んでいる長崎の地。これまでも多くの教会を訪れましたが、どの教会にうかがっても、心がふーっと解きほぐされるような感覚を覚えます。信仰に対する人々の一途な真心や感謝の気持ちが、建物全体を包み込んでいるのでしょうね。


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