劇団四季『夢から醒めた夢』 [劇団四季]
◆◆◆ 劇団四季 『夢から醒めた夢』 ◆◆◆
2005年4月15日(金) 四季劇場「秋」 13:30開演
原作 赤川次郎『夢から醒めた夢』
出演 ピコ:吉沢梨絵 マコ:紗乃めぐみ 夢の配達人:北澤裕輔 ほか
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今や海外ミュージカルの上演で有名な四季ですが、実は親子で楽しめる
オリジナルの「ファミリーミュージカル」の制作・上演も、
全国ツアーをメインに手がけています。
この作品は赤川次郎の原作をベースに制作され、
「四季ファミリーミュージカルの最高傑作」と、大人ファンの間でも
広く支持されている作品で、一度は観てみたいとずっと思っていました。
【物語】
ピコは元気いっぱいでいつも明るさを失わない少女。そして不思議な事が大好き。
ある時、真夜中の遊園地で1人遊んでいたピコは、淋しげな少女マコと出逢います。
実はマコは、突然の交通事故に遭って死んでしまった幽霊。
お母さんにちゃんとサヨナラを言いたいと、マコは1日だけ、
幽霊である自分と入れ替わってくれるよう、ピコに頼みます。
ピコはマコの頼みを引き受け、死者が天国・地獄に行く前にまず連れてこられる
「霊界空港」で1日を過ごすこととなります。
ここで死者達は生前のデータチェックを受け、天国行きの者は白いパスポートを持って天国へ、
天国行きが許されなかった者は黒いパスポートを与えられ、地獄へ。
生前、悪いことをしなくても自殺や家族を顧みなかった人などは
グレーのパスポートを与えられ、恩赦が出るまで霊界空港で労働に従事しなくてはいけません。
ピコは死出の旅に赴く多くの人々との巡り会いを通じ、生と死について深く考えるようになります。
そして約束の期限の1日が終わろうとする頃、ピコに、そしてマコにも事件が起こります…。
【カンゲキレポ】
まずは開演前のロビー・パフォーマンスが、とっても楽しい!!
劇場のあちこちで、ピエロなどに扮した出演者たちが観客を出迎え、
色々なパフォーマンスを見せてくれるのです。
これは、物語の幕が「夜の遊園地」から始まるところから、
観客の皆さんに、劇場の開場から遊園地の世界へ入って行って欲しい、
という演出のねらいから考え出されたものだそうです。
それにしても、本当に楽しいパフォーマンスでした♪
詳しくは番外編でレポします。乞うご期待。
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では、舞台の感想へとまいりましょう。
ファミリーミュージカルというだけに、上演時間も
子どもがお尻の痛さを我慢できる位に設定してあるので
展開がちょっと駆け足だな…と言う事と、
物語の展開でちょっと腑に落ちない点がいくつかあるのですが、
そこを差し引いても、非常に見応えのある舞台でした。
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あえて1つだけ言わせてもらうとすれば、映像処理の事。
四季のオリジナルミュージカルでは時折、舞台上で映像を使うことがあります。
私個人の意見としては、基本的にナマの空気感が一番の醍醐味である舞台で
映像を使うことは、あまり好きではありません。
特に四季の場合、映像処理を使用するのは戦争資料だったりするので、
劇場の空気が一気に現実に引き戻されたような気がして、白けてしまいます。
今回も、幼い子どもたちの命が戦争や飢餓で奪われてしまった、という
場面で映像を使用しており、「ああ、やっぱりな…」という印象だったのですが…。
そこで使われている資料映像が、ベトナム戦争や
1970-80年代に問題となったアフリカ飢餓の資料映像だったんですね。
ここは考えるべきだったのではないかと。
イラク問題など、現在進行形の紛争は生々しいのでボツでしょうが、
今の子どもたちのお母さんの年代が、ちゃんと子どもたちに説明できるような
出来事の写真を使った方が、観劇後も家族で話し合える良い材料になると思います。
「子どもにはどの映像を見せても、同じように『戦争』の映像に見えるんだから」
という理由で変えなかったのであれば、それは子どもに対する怠慢ですね。
映像を使うのであれば、より真摯な見直しと改正が必要だったと思います。
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と、小姑な意見を言いながらも、
結果的には感動でウルウルしてたんですけどね(笑)。
今回、とても実感させられたのが、「命の意味」という事でしょうか。
「あなたの命は、あなた1人のものじゃないのよ」。
クライマックスで、幽霊であるマコがピコに向かって叫ぶ言葉です。
この台詞が、このミュージカルが観客に伝えたかった一番のメッセージではないかと。
当然すぎて、誰もが生きていく上で忘れかけている事だと思います。
そして、この言葉を、もう「生きていく」事すら許されないマコが叫ぶからこそ、
その重さ、深さが伝わってきます。
そして、このメッセージを伝える役目を担ったのが、
マコを演じた紗乃めぐみ。
今回のベストアクトは、誰が何と言おうとこの人↑です!
非常に素晴らしい舞台でした。
ピコほど出番は多くありませんでしたが、彼女の完成度の高い演技と歌声が、
ともすれば「霊界空港で起こったドタバタ活劇」に終わりかねない
作品の主題を明確にして、そして見事に観客の心へ伝えてくれました。
プログラムで確認してみると、四季劇場での大きな役は今回が初めて。
これをきっかけに、更なるステップアップを期待しております。
目指せ、『キャッツ』のシラバブ!!(ものすごい個人的希望>笑)
マコのお母さんを演じた早水小夜子も、さすがに心迫る演技でした。
『キャッツ』ではグリザベラを演じていらっしゃいます。
マコとお母さんのクライマックスの二重唱、悲しくも美しく、心に響きました。
『夢から醒めた夢』は、6月中旬まで公演中。
四季オリジナルミュージカルとして、初めてのロングランに挑戦中です。
ピエロさんと遊びたい人、ぜひ行ってみてください(笑)。
今日のお星様…★★★☆☆ (母娘に乾杯♪)
とろりん師匠、ありがとうございます。
「読者」その1、でございます(笑)。
とろりん師匠のレポ読んで、もうウルウルしちゃいましたよ~(ToT)。
マコーーーっ (>o<)/~、って。
「ゆめさめ」って、赤川先生の作品だったんですね、知りませんでした。
原作も読んでみたいと思いました。
命の意味かぁ。
ほんと、考えちゃうなー。
うるうる。
by お富 (2005-04-18 21:44)
このレポは頭が飽和状態の中で強引にまとめたので、
なかなか伝えたいことが上手く表現できていないのですが、
各論には課題が多いけど、総論としては非常に良い作品だと思います。
自分が今、生きていることを実感し、感謝させられる内容です。
さあお富さんえ、海を渡る前にぜひ!!(笑)
by ★とろりん★ (2005-04-21 11:01)
はじめまして
素敵なレポートですね(番外編も含めて)
うーん、僕は、ちょうど紗乃嬢が終わった直後の観劇だったみたいです
今後注目していきたいと思いました♪
by machio (2005-04-24 11:21)
まちおさん、コメントありがとうございます。
またお越しくださいね~☆
by ★とろりん★ (2005-05-10 16:59)