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国立演芸場八月中席 [伝統芸能]


詳しくは、レポを読んでから♪(ひっぱるひっぱる>笑)

2007年8月17日(金) 国立演芸場 18:00開演

【出 演】
可龍/平治/歌助/Wモアモア/助六
(仲入り)
小南治/扇鶴/歌丸

仕事に追われる中、ふと「今の私には歌丸師匠の声が足りない」と思い立ち、むりやり定時退社して国立演芸場へ駆け込みました(笑)。8月の中席は歌丸師匠が主任(トリ)をとるのが恒例となっています。

この日の演芸場は満席で、立見券での入場となりましたが、仲入り後は空いているお席に座ることができ、歌丸師匠の高座はゆっくり聴くことができました。

今回は本当に、息も絶え絶えな状態ですべりこんだので、歌丸師匠以外はものすごい適当な感想になっております。すみません…。

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春風亭昇々 『子ほめ』

前座は春風亭昇太師匠のお弟子さん。お師匠さんに似て、無駄に元気(笑)。勢いに任せてしゃべろうとしてしまうからか、声がうわずってしまう時がありましたね。もう少し落ち着きがでるといいかも。でも、この勢いと元気の良さは前座さんの特権ですからね。

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三笑亭可龍 『宮戸川』

はじめて拝見する噺家さんでしたが、ちょっとイケメンな感じで、とろりんさんトキメキ☆(笑)

演目も、ひょんな事から一夜を共にする羽目になってしまった若い男女のちょっとドキドキな噺。ドキドキ最高潮の所でお開きになってしまい、欲求不満のお客さんもいたのではないでしょうか(笑)。

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桂平治 『善光寺の由来』

続いては、昨年から今年にかけてNHK教育テレビ『趣味悠々』に出演されていた桂平治さん。とにかく元気で明るい、大きなお声です。会場全体も明るい雰囲気に包まれました。

平治さんは噺ではなく、「牛にひかれて」でお馴染みの善光寺の由来を面白おかしく語って下さいました。

歌丸師匠の長時間の高座が控えているからか、他の方は軽めの噺が多かったですね。

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桂歌助 『金明竹』

次に登場されたのは、歌丸師匠のお弟子の歌助さん。

この噺は与太さんとお客さんのやりとりがホントに面白いですよね。そしてその後の上方弁を話すお遣いさんの見事な早口とお内儀さんの狼狽ぶりが楽しい。

歌助さんの口上もテンポよくて、3度目の口上が終わったときには拍手喝采でした。

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Wモアモア 漫才

黒と白の両極的なスーツで登場のWモアモアのお2人。結婚しての苦労話がネタになっていました。

ちなみに熊本県では結婚式の披露宴で、参列者におむすびをふるまうのがならわしなんだそうですよ。「えんむすび」ってね。

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雷門助六 『仕立おろし~あやつり』

中入り前に登場されたのは、助六師匠!今回はお客さんを相手に軽くおしゃべりする、という感じ。助六師匠のお話になぜか前の列のお客さんが異常に反応してしまい、逆に助六師匠が戸惑う場面も(笑)。

そんな助六師匠の新たな発見は、「歌丸師匠に似ている」事(笑)。特に斜め横から見た形が似ているとのことで、実際に座布団を斜めにして座ってくださると…似ている!!確かに似ている!!

背中を丸めてちょっと首を突きだしたようにすると、もう全体の感じがそこはかとなく歌丸師匠。機会があれば、ぜひ助六師匠にリクエストしてみてくださいね。

さて、いよいよお待たせしました、助六師匠にしかできない「あやつり踊り」です!!

ここで「待ってました!」と声がかかり、助六師匠、「高座じゃなくてこっち(あやつり)で声かけられても…」と若干戸惑っておいででした(笑)。でも、この芸をお出来になるのは日本広しと言えども助六師匠だけですもの、やっぱり皆さん心待ちにしているのですよね。

あやつり踊りをされる助六師匠、踊りやすくするために着物の裾を端折るのですが、ここで最前列にお座りの女性が思わず顔を伏せられてしまったようで…。「いや、あの、そんな顔を伏せなくって良いじゃありませんか」とここでも戸惑ってしまう助六師匠。ちなみにお着物の下にはちゃんとすててこ(?)を履いていらっしゃいますので、ご婦人の皆さまはご安心を~(笑)。

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桂小南治 『そば清』

仲入り後に登場した、ふっくらえびす顔の小南治さん。お蕎麦を賭けて一策案じるお噺。

にこやかな「どぉうもー♪」というユニークな口調と、お蕎麦を本当に美味しそうに(…徐々に苦しそうに>笑)召し上がる仕草が本当にお上手!ちょっとお腹が減っていたので、ある意味でとても辛い口座でした(笑)。

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松乃家扇鶴 音曲

膝がわりは扇鶴さん。三味線をつまびきながら歌を口ずさむ、というとてもシンプルな芸なのですが、…なぜか目を離せなくなる芸です(笑)。何なのかしら、あの人を引きつける力は…。「隅田川の夕暮れ」など歌ってくださいました。

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桂歌丸 『怪談乳房榎』

ついに登場の歌丸師匠!!夏風邪を召されたそうで少々お辛そうなお声でしたが、そんな事をまったく感じさせない口座でした!

国立演芸場中席では怪談噺をかけるのが恒例となっている歌丸師匠。今回は三遊亭圓朝作の長編『怪談乳房榎』を、1時間にまとめて一気にかけてしまおうという試み。

***

絵師の菱川重信に、磯貝浪江という浪人が弟子入りします。ところが浪江は重信の妻、おきせに横恋慕。重信が泊まり込みで仕事に行っている隙をついて、重信とおきせのひとり息子、真与太郎の命を引き替えにおきせに言い寄ります。(おきせ口説)

やがて浪江は重信を殺すことを計画し、下男の正介(しょうすけ)を脅して殺人の手引きをさせます。協力しなければ殺すと言われ、正介は涙ながらに浪江の指示に従い、重信暗殺に手を貸してしまいます。息せききって仕事場に戻ってきた正介が目にしたのは、血まみれの顔のまま、完成した絵に落款を押そうとする重信の姿でした…。(重信落款)

重信を殺した浪江はおきせの婿となって菱川家を乗っ取ります。しばらくしておきせは懐妊。浪江は真与太郎の存在が疎ましくなり、またも正介を脅して、真与太郎を殺させることにします。

心ならずも主人を裏切ってしまった正介は、罪の重さをかみしめつつ、涙ながらに真与太郎を滝の中へ落とそうとしたその瞬間、死んだはずの重信が浮かび上がります。

改心した正介は真与太郎を連れて自分の故郷の練馬まで逃げ、ある寺に隠れ住みました。その寺には乳と同じ味のする樹液をだすという乳房榎があり、正介はそれで真与太郎を育て上げます。やがて成長した真与太郎は浪江を討ち、見事に父の無念を晴らすのでした。

***

…という長い噺を、1時間でまとめるわけです。ですから、端折る場面は気持ち良いほどすっぱりと端折られています。

よくかけられているらしい「おきせ口説」は口上程度。「重信落款」もサラリと流していらっしゃいました。(それでも迫力満点でゾクゾクしましたが)

歌丸師匠が今回重点を置いたのは、下男・正介の心理の動き。人が好く、脅されては何も言えなくなってしまう小者の姿を丁寧に演じあげていらっしゃいました。

何も知らないうちに浪江からお金を渡されてホクホクと喜ぶ素朴さ。一変して浪江の重信殺害計画を聞かされて飛び上がって驚き、お金を突き返す実直さ。聞かないならお前を殺すと脅されて、オロオロしながらも「おら、殺されるのは嫌だ…」と、しょんぼりと協力を引き受ける小心ぶりと哀れさが本当によく表現されていました。聴いているうちになんだか正介の気持ちが伝わってきて、こちらまでひどく哀しい気分になってしまいました。

個人的には、歌丸師匠の演じる女性が好きなので、「おきせ口説」をもうちょっとじっくり聴きたかったなぁ…と思ったのですが(笑)。こういう機会に、ふだんは注目されていない場面をじっくり聴かせるのが、歌丸師匠らしいこだわりですね。

「おきせ口説」のくだりまできた時に少し説明が入ったのですが、「この浪江の口説きからおきせ落城まで、ちゃんと話すと50分くらいかかっちまうんですよ」と歌丸師匠。この、「おきせ落城」という表現が、今回のとろりんさんのツボでした(笑)。

通の方にはちょっと物足りなさを感じられたかもしれませんが、乳房榎を初めて聴く私には、作品の全体像をつかめたのでとってもありがたかったです。そして1時間以上にわたって聴いていても、「まだ聴いていたい、もっと聴いていたい」と思わせるのは、やっぱり歌丸師匠の魅力がなせる技ですね。

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ということで、今回も歌丸師匠の高座に、とろりん落城(笑)。

この日、立ち見にある親子連れが来場していました。お子さんはまだ小学校低学年くらいの男の子。どうやら歌丸師匠がお目当てだった様子で、他の噺家さんの高座が終わるたびに「歌丸さんはまだ?」と母親に繰り返したずねていました。

他の方の高座の時はむずむずとしていたのですが(^^;)、歌丸師匠が出てきた瞬間にピタッとむずかりを止めて、真剣に師匠のお声に耳を傾けていたのが印象的でした。今、この時間に彼が聴いた歌丸師匠の声が、言葉が、そしてその姿が、成長してもこのお子さんのどこかに残っていくといいな…としみじみ思った八月の隼町でした。

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はなみずき

とろりんさん、お疲れさまでした。さすが芸協会長っ。小学生からとろりんさん、そして隼町に通うお通なお客さんまで惹き付けていらっしゃるのですね。生笑点では、お声も復活されてましたね!
私も助六師匠、好きです! 時々見せるひょうきんなお顔がまた…ネ(笑)。平治さんの元気な落語、また伺いたいな~。
by はなみずき (2007-08-20 22:12) 

★とろりん★

はなみずきさま
本当に、平治さんはいつ拝見しても元気ですよね~。いつもニコニコしてて、こっちまでニコニコ(^ー^)。歌丸師匠は、お声の辛そうな様子をみじんも見せない、さすがの風格でした。声だけでなく、あの仕種、あの表情…いやー、何回でも落城しちゃう(笑)
by ★とろりん★ (2007-08-21 16:32) 

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