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国立新美術館「モディリアーニ展」 [展覧会]

先日、とろりんさんのうっかり勘違いで果たせなかった「モディリアーニ展」@国立新美術館。金曜日の夜は20時まで開館しているとの事で、無理やり定時退社して乃木坂まで行ってまいりました。

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まるで宇宙船の中にいるかのような、館内。


昨年のほぼ同じ頃、東急Bunkamuraザ・ミュージアムで開催された「モディリアーニと妻ジャンヌの物語展」を見ました。この時は、最後の妻となったジャンヌとの出会いとその後の作品、つまり彼自身の作風が確立された時期の作品を中心に展示されていたように思います。

今回は、「あの名作から、知られざる原点まで」というキャッチコピーの通り、モディリアーニが画家としてスタートを切った頃に書き付けていたスケッチなどが多数展示されるとのこと。

金曜日夜は、混雑しているかな…と思っていましたら、意外や意外、それほど人も多くなく、静かに鑑賞できました。有名な作品の前では少々混雑が生じていましたけれど、その他はのびのびと鑑賞することができました。

国立新美術館は天井も高いし、かなりゆったりとした空間で会場のデザインをしているようで、他の人気展覧会に比べると息苦しさや窮屈さを感じさせないなのがいちばんの魅力です。

モディリアーニと言えば、「細く引きのばされた首や身体、極端ななで肩、アーモンド型の目、無表情な顔…」(展覧会会場説明板より)が特徴的な作風で知られています。会場にも、「アーモンド型の目」をイメージしたデザインの仕切り板が設置されていて、ここにも主催者側の「遊び心」を感じます。

さて、今回は、オール・モディリアーニ作品による展覧会。

「肩をあらわにしたジャンヌ・エビュテルヌ」など、よく知られている名作はもちろん、50年ぶりに公開されたという「女の肖像(通称 マリー・ローランサン)」、彼が初期に傾倒していた「カリアスティッド」(古代ギリシャの建築様式で、女性の身体をモチーフにした柱。ふっくらと丸みのあるデザインが特徴)の下書きや、たくさんのデッサンが公開されています。

特に約50枚展示されているデッサンを見てみると、1人のモデルを実に様々な角度から観察しており、その緻密な描写には脱帽。ある1人のモデルのデッサンを数枚、スーッと目で追っていくと、まるでそのモデルが動いているような錯覚にとらわれます。

彼が熱中したという「カリアスティッド」の作品もかなりの枚数で展示されています。中にはパリの新聞「エコール・ド・パリ」に下書きされたままのデッサン(「カリアスティッド」1914年)もあったりして、一度心を惹きつけられると描かずにはいられない、モディリアーニの人柄が伝わってくるようです。

今回、私は惹かれた作品は、「女の肖像(通称 マリー・ローランサン)」。実際に公開されているマリーの写真の様子とはずいぶん印象が違うらしいのですが、金髪のショートヘアに勝ち気な目元、凛と引き締まった紅い口元のその女性は、自身と美しさに満ちあふれていて、ハッと惹きつけられる雰囲気を持っています。

いろいろな女性の絵とそのキャプションを読んでいて、「なるほど~」と思った事は、モディリアーニという人は、当時のフランスのモードをさりげなく描き出しているんですね。上述のマリー・ローランサンの肖像でもそうですが、ショートカットやボブスタイルの女性などの絵が多く見受けられます。

「肩をあらわにしたジャンヌ・エビュテルヌ」は、変わらぬ瑞々しさと初々しさ。この作品を見るたびに、「恋って、素敵だな」と思ってしまいます。

「大きな帽子をかぶったジャンヌ・エビュテルヌ」のキャプションには、「…大きな帽子のふちは聖母マリアの光輪のよう」で、ジャンヌの持つ母性愛を表現しているようだ、と書かれています。主催者側の、モディリアーニ作品に対する深い思い入れが伝わってきますね。

きっと、今回のキャプション制作を担当した方は、この作品がいちばん好きなんじゃないかなぁ。私もキャプション制作の仕事をした事がありますが、自分のお気に入りの作品については、どうしても熱く語りがちでした(苦笑)。

東京の中心で、優しい幸福感に包まれた週末の夜でした。

「モディリアーニ展」公式サイトは、→コチラから
国立新美術館の公式サイトは、→コチラから

国立新美術館


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コメント 8

echo

こんにちは。
金曜は8時まで開いているって、知りませんでした。
これなら休日に出かけるより、仕事帰りに立ち寄るのもいいかも。
空いていたのは、案外、知らない人が多いからかもしれませんね。

by echo (2008-05-26 11:35) 

★とろりん★

echoさま、
nice!とコメント、ありがとうございます☆
私も休日の美術館は混雑しているので、可能な時期には平日にお休みをもらって朝一番に行きますが、夜の美術館もとてもロマンチックでオススメです。
by ★とろりん★ (2008-05-26 19:40) 

mami

とろりんさん、こんばんは。
近頃は週末の夜開いている美術館も増えてきて、便利ですよね。休日はなかなかゆっくり見られませんものねえ。

モディリアーニ展、とても充実して見応えがありましたね。
妻のジャンヌを描いた絵は、本当に愛情が感じられて優しい気持ちになりました。
by mami (2008-05-27 22:33) 

★とろりん★

mamiさま、nice!とTBとコメント、ありがとうございます!
休日はどうしても人が多くなってしまって、そちらに気をとられがちになってしまいますよね。

ジャンヌを描いた作品は、目に見えない思いがあふれていて、本当に見ていて幸せになります。
by ★とろりん★ (2008-05-28 11:17) 

カオリ

だいぶ前に、新聞屋さんにチケットをもらっていたので、行かねば、行かねば!と思っていながらなかなか行けずにいました。もうすぐ終わってしまうので、明日行ってくるよていです。きっと混んでるんだろうな〜。
by カオリ (2008-05-30 16:58) 

★とろりん★

カオリさま、
コメントありがとうございます!
モディリアーニ展、行かれましたか?良かったでしょ?
国立新美術館は、空間演出が広々としているので
とても見やすいですよね。
by ★とろりん★ (2008-06-02 14:52) 

カオリ

実は、国立新美術館の前で、持っていた招待券の期限が切れていることが発覚、カレがそれほど美術に興味のあるヒトではないのでそのまますごすご帰って来てしまいました。残念。
by カオリ (2008-06-02 19:13) 

★とろりん★

カオリさま、
ふたたびのコメントありがとうございます☆
そうか…それは残念でしたね…。次は必ず!
それにしても、最近の美術館は素敵なデザインが
多いですよね。

次に興味があるのは、サントリー美術館の「小袖」展。
今、早稲田大学演劇博物館で開催中の「六世尾上梅幸展」
も見に行きたいのですが、出張が続くので、これは
あきらめなくてはいけないようです。しくしく。
by ★とろりん★ (2008-06-02 21:22) 

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