発表!! カンゲキ☆アワード2008 [アワード]
さてさて、今年もなんとかこぎつけました、「カンゲキ☆アワード2008」。ほとんどレポがあがってないのに恐縮ですが、謹んで発表させていただきます。
さて、とろりんさんが最もカンゲキしたステージ、役者さんは、いったい…!?
ちなみに、昨年度のアワードは、コチラです。
さぁ、今年はどうなったのでしょうか。「発表!!」からお入りください…。
☆カンゲキ作品賞☆
能 『三笑』 記事
こんなお能があるのか、と目から鱗がバリバリ落ちた作品。人間の業の深さを謡と舞で表現する能。題材もそのような作品ばかりだと思っておりました。
しかし、この作品はまことに晴れやか。数十年来の知己が再会を喜んで酒を酌み交わし、良い気分で舞い、酔った勢いでちょっとした失敗をして、その事にまた楽しくなって打ち笑う…という、とりとめのない内容と言ってしまえばそれまでですが、人生の全てを乗り越えたからこそある突き抜けた明るさ、者同士が分かり合える気持ち、みたいなものが3人の中に通じていて、清々しい人間賛歌へと昇華していました。
心が洗われる時間をありがとうございました。
☆主演女優賞☆
彩乃かなみ
前宝塚月組主演娘役。ミュージカル『ミーアンドマイガール』で宝塚を卒業しました。
宝塚最後の役は、主人公ビルの恋人、サリー。底抜けに明るく見えながら、どんどん変化していく恋人の様子、自分とは身分違いが歴然の、ビルの生家との確執に、密かに心を痛めていきます。
その痛みを吹き飛ばすかのように歌う「顎で 受け止めて」、恋人を見失ってしまいそうな不安や辛さを押し隠して歌う「一度ハートを失ったら」。彩乃の美しく完璧な歌声に乗って、サリーの気持ちがストレートに伝わってきました。
彩乃は、天性のシンガーであり、天性のショースターであったと思います。芝居ではどんな役でも同じような空気になり、そこに役がいる、というよりそこに彩乃がいる、という印象になってしまうことがよくありました。
しかし、ショーになるとガラリと一変。柔らかな歌声が、ファンを夢の世界に連れていってくれました。主演に昇格してからは、その美声に強さとたおやかさが加わり、「宝塚の歌神」と言っても過言ではないオーラを放つようになりました。
半年の充電を経て、いよいよ来年から新しい世界に足を踏み出すようです。これからの彩乃の活躍に期待を込めて…がんばれ、かなみちゃん!!
次点は、オペラ『イーゴリ公』で妻ヤロスラーヴナを演じたラリーサ・ゴゴレフスカヤ。劇中に歌われたアリアの数々が素晴らしく、ロシアの大地に生きる母性愛の深さ、強さを感じました。
☆主演男優賞☆
瀬奈じゅん
月組主演男役。今年は東京宝塚劇場『ミー&マイガール』、そして日生劇場『グレート・ギャツビー』を観劇しました。前者は底抜けに明るくてハートがたっぷり温かい青年、後者は愛する者の為にすべてを手に入れ、そしてすべてを失う男。まったく正反対の役ですが、非常に魅力的に演じていましたね。
『ミー&マイガール』で最強コンビと言われた相手役の彩乃が卒業。通常ならば次期主演娘役が決定されるのですが、月組では彩乃以降は主演娘役を固定しないことを決定。『グレート…』は瀬奈が「月組トップ」としての看板を1人で背負っての初めての公演でもありました。たった1人でトップを担うことの厳しさ、大変さは本人にしか図り知れませんが、どんなに明るい役でも、どこかに「蔭」を感じさせる瀬奈のその部分が、深くなったような気がします。
『グレート…』では、その「蔭」の色が、彼女の立ち姿をより美しく、より端正に際立たせていました。瀬奈の背中芸、あっぱれ。
「孤高」という言葉が何よりも似合う、今の瀬奈じゅん。次の舞台が楽しみです。
☆助演女優賞☆
涼城まりな
宝塚月組娘役。日生劇場公演『グレート・ギャツビー』で、準主役ニック(遼河はるひ)の恋人、ジョーダンを溌剌と演じました。
女性ゴルファーとして、勝利のためには手段を選ばないしたたかさ、ニックとの恋もスパッと断ち切ってしまう強さを持つ役なのですが、涼城のキビキビとした動きや大きな瞳をクリクリッと動かすコケティッシュな笑顔が、がジョーダンという役をキュートに、魅力的に見せていました。
残念ながら、次の東京公演で卒業が決まっている彼女。とっても残念なのですが、最後までキュートにがんばって欲しいですね。
☆助演男優賞☆
宝生閑
NHK能楽鑑賞会で演じられた富樫が、とにかく素晴らしかった!!お能というのは完成された様式美の連続だと思っていたのですが、実は心と心がせめぎ合う「人間ドラマ」なのだ、と実感しました。勧進帳を読み上げる弁慶を見つめる静謐な眼差しに込められた鋭い火花、今でも忘れることができません。今思い出しても、うっとり…☆
実は助演男優賞は、候補者がもっとも多かったんですよ~。宝塚月組公演『ミー&マイガール』でジョン卿を演じた霧矢大夢、雪組公演『マリポーサの花』で主人公の親友役を演じた彩吹真央、花組日本青年館公演『舞姫』でこれまた主人公の親友、相澤謙吉役を演じた未涼亜希…と、ほか全員宝塚ですが(苦笑)。
でもやっぱり、人間国宝にはかないませんでした(笑)。
☆ベストカップル賞☆
大和悠河&陽月華
宙組主演コンビ。主演娘役の陽月華が怪我のため今年上半期の公演をすべて休演し、今秋の本公演『パラダイスプリンス』からの復帰。それまで主演男役の大和悠河は代役を迎えての公演でした。この時期をきっかけに、大和のトップとしての自覚と責任感が飛躍的に伸び、舞台も大きくなりましたね。
代役を勤めた娘役さんたちも大健闘されたけれど、やっぱり大和の隣には陽月だな~、やっぱり宙組は、大和&陽月がそろってこそだな~と、『パラダイスプリンス』『ダンシング・フォー・ユー』を観ながら、しみじみ思いました。2人がそれぞれ放つ輝きがぶつかり合うと、それ以上に強い光芒が舞台を包むんですよね。宝塚が誇るゴールデンコンビだと思います。
ウメちゃん(陽月)、あらためてお帰りなさい!!戻ってきてくれて、ホントにほんとに本当にありがとう!!
☆敢闘賞☆
愛音羽麗 (あいね はれい)
宝塚花組日本青年館公演『舞姫』で、主役・太田豊太郎役を好演。これがもう、当たり役としか思えないほどのハマりぶり。相手役の野々すみ花ちゃんとのコンビも初々しくて瑞々しくて、久しぶりに綺麗な涙を流したように思います。
愛音が『舞姫』という作品に出逢えたことは、愛音にとっても、歌劇団にとっても幸福でしたね。みわっち、来年もがんばって~!!(突如ファンレター化)。
☆新人賞☆
中村七之助 記事
新春浅草歌舞伎『源氏店』のお富で見せたしなやかな色気が印象的でした。色々な事情をすり抜けてきたしたたかさ、みたいなものは薄かったのですが、大親分の女房として采配をふるう姿は堂々としており、度胸の良さはなかなか。
これから年齢を重ね、キャリアを重ねる中で役も深まっていくことでしょうが、今、この時に、七之助のお富を観ることができたのは、やはり幸せでした。
☆特別賞☆
坂東三津五郎
『京鹿子娘道成寺』の踊りが、とにかく印象的でした。
余分なものをすべてそぎ落とし、引き抜きや衣裳替えも最小限にとどめた踊りは、ともすれば物足りなさを感じてしまうかもしれませんが、実はこの舞踊の本質をもっとも深く突いたのは、三津五郎の道成寺ではなかったかと思います。
三津五郎の道成寺については、きちんと書き留めておきたい、という気持がとても強いのです。新年の宿題にさせてください…。
☆団体賞☆
『イーゴリ公』より「ポロヴェツ人の踊り」 記事
人生初のオペラ観劇を果たしたのも、今年でしたね~。圧巻だったのは第1幕ラストの「ポロヴェツ人(だったん人)の踊り」。
郷愁を誘うひそやかな音色で始まる音楽が徐々に激しさを増していき、最後は怒濤のような音の洪水へ。同時に展開される踊りも、情熱的で激しい民族舞踊で、聴衆を熱狂の渦に巻き込みました。
記事にも書いていますが、あの振付が100年も前のものとは思えないほど、現代的なのですよね。男性舞踊手はひたすらにワイルドにセクシーに、女性は美しく優雅に、そして激しく…圧巻の一大舞踊絵巻でした。
いかがでしたでしょうか?予想通りね~、という感じでしょうか。 今年はカンゲキが偏りがちでしたので、選出するのはかなり苦労しました…。
残るは、「スター☆オブ・ザ・イヤー」ですねっ。すでにもう、バレバレな予感ですが…(苦笑)。これも拙ブログの年中行事ですので、寛大にお待ち願えればと思います(笑)。
今年も、カンゲキ☆アワードの季節になったのかぁ…と紅白よりもしみじみします。
「三笑」、大阪でやらないでしょうか…。国立能楽堂の記念イベントだから、無理かなぁ。
by ラブ (2008-12-27 16:02)
ラブさま、
nice!とコメント、ありがとうございます!!
カンゲキ☆アワード、紅白を越えて年中行事に認定していただき、ありがたい限りです。今年は宝塚と能楽に偏りましたので、ちょっと面白くなかったかな…と思ったりもして(汗)
今年もたくさんお越しいただき、本当にありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします☆良いお年をお迎えください。
by ★とろりん★ (2008-12-27 23:42)