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「japan 蒔絵 -宮殿を飾る 東洋の燦めき-」展 [展覧会]

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2008年12月23日(火)~2009年1月26日(月) 
サントリー美術館 



近年、初売りがどんどん早くなっているように、美術館も年が明けて早くからオープンしています。サントリー美術館も、お正月2日からオープンしているとの事で、さっそく現在開催中の「japan 蒔絵」展を見てまいりました。

美術館は、通常通り午前10:00開場。先着100名にオリジナルポストカードを配布する、との事で、開館10分前に行ってみました。

時間になってゲートが開くと…幸運なことに今年1人目の入場者として入ることができました♪2009年のサントリー美術館、一番乗り~♪



さて、今回の企画展。会場は7つに分けられ、蒔絵の華やかな作品を満喫しながら、日本の漆工芸の成立、その技術と作品がどのようにしてヨーロッパへ伝わり、愛好されるようになったのか、そして日本の歴史と世界の歴史が蒔絵を通じてどのように交差したのかを知る事ができます。

当時、同じようにもてはやされた中国製の陶磁器が「china」と呼ばれたのに対して、日本が生んだ蒔絵の工芸品は、「japan」と呼ばれたのだそうです。まさに、日本文化を象徴する工芸技術だったのですね。

日本の漆工芸は長い歴史と日本独自の伝統を誇り、16世紀には既に国内でも高級工芸として認められていました。南蛮貿易が盛んになった17世紀から蒔絵の技法を使った品物はヨーロッパに向けて輸出されます。ヨーロッパの王侯貴族は競って蒔絵を集めるようになり、一大コレクションが形成されました。

この展覧会では、蒔絵工芸の誕生から南蛮貿易を通じた蒔絵と世界の出会い、そしてヨーロッパの貴族たちに愛された品々を展示しています。

蒔絵人気がいちばん高まったのは、17~18世紀頃。「東洋趣味(シノワズリ)」と呼ばれる東洋的な文化が珍重された時代です。蒔絵は高級品としてとても人気が高かったそうです。蒔絵の熱烈なファンだったとされているのが、「ロココの女王」として有名なポンパドゥール侯爵夫人や、ルイ16世の妃、マリー・アントワネットでした。当時の流行の最先端をゆく王侯貴族に愛されたことが、蒔絵の爆発的な人気を生んだのでしょうね。

会場には、マリー・アントワネットのコレクションも展示されています。母マリア・テレジアが漆器の愛好者だったそうで、彼女の死後、マリー・アントワネットがその品々を譲り受けたことから、自らも好んで収集するようになったそうです。

マリー・アントワネットのコレクションは、日本の古典作品や扇子を題材にしたものがとても多く見受けられました。彼女のコレクションの一部を少し紹介しますと…

◆黒主蒔絵香合 = 大伴黒主(六歌仙)
◆井筒蒔絵小箱 = 能「井筒」
◆古今集蒔絵小箱 = 古今集
◆源氏蒔絵硯箱 = 源氏物語
◆小督(こごう)蒔絵小厨子棚 = 平家物語

…と、箇条書きにしてみただけでもこれだけあります。

マリー・アントワネットは、小さくて可愛らしい、しかもきめ細やかな技を感じさせる作品が好きだったようです。例えば「小箱」でも、六角形の小箱を開けると、さらに小さな菱形の小箱が見事に組み合わさって入っていたり、扇形の小箱を開けると、さらに小さな扇形の小箱が入っていたり。

上述の「古今集蒔絵小箱」は、綴り本のデザインがほどこされた小箱を開けると、さらに小さな綴り本形の小箱が4つ、きちんとおさまって入っているのです。思わず、小さな歓声を上げてしまいました。

展示を拝見して実感したのが、「日本って、すごいっ!!」ということ。(おおざっぱな感想ですみません)

華やかで美しいデザインと知的好奇心をくすぐるデザインの緻密で豊かな想像力や構成力は言うまでもなく、それを完璧なまでに表現してしまう高度な技術ときめ細やかな観察眼は、素晴らしい!!決して主張はしていないのに、圧倒的に優美な存在感。これぞニッポンの美学!!と快哉を叫びたくなります。

日本の近代化を支えてきたのは、手から手へと伝わり、受け継がれてきた「人の力」なのだと、しみじみ感じました。

サントリー美術館

展覧会の概要については、コチラ → サントリー美術館 開催中の展覧会


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カオリ

お正月早々、眼福ですね。蒔絵展、ワタシも興味津々だったんですよ〜、これは観にいかねばっ!
とろりんさま、今年もパワフルな日本中からのレポートお待ちしております。
by カオリ (2009-01-05 19:18) 

★とろりん★

カオリさま、

nice!とコメント、ありがとうございます!!
本年もよろしくお願いいたします。

最近は美術館も夜まで開館していたり、このようにお正月から開けたりと、工夫をこらしていますね。嬉しい事です。

本展は、ぜひご覧になることをオススメいたします。マリー・アントワネットのコレクションを展示しているスペースは、展示品の下の敷物など、アントワネットらしい、キュートな色合いで統一されています。
by ★とろりん★ (2009-01-06 06:38) 

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