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新春浅草歌舞伎 第一部 [歌舞伎]

2011年1月22日(土) 浅草公会堂 11:00開演

お正月気分もすっかり抜けましたが、休日の浅草はやっぱり活気がありますね~。この日は浅草歌舞伎の第一部を観劇してまいりました。


お年玉 お年始挨拶 片岡愛之助

体調不良による休演で心配された愛之助丈ですが、無事に復帰されて、そしてお元気そうで良かった!花道の方まで出てお話してくださいました。

お話の中で愛之助丈が拍手の仕方について説明をされて、観客でその練習などもしたのですが、ん~、あれは必要ないのではないかと。

歌舞伎初心者・初体験者が客席をほぼ独占している歌舞伎鑑賞教室などであれば、これは効果的だと思うのですが、歌舞伎愛好家が客席を占める率が高い浅草では、通の方が初心者の方を行動でリードすれば良いと思うんですね。

私も劇場に何度も通う中で、「あ、このタイミングで拍手したら良いんだな」とか「科白の科白の間の拍手は切り良くしないと役者さんが困ることもあるんだな」とか、経験で学びましたものね。ファンがファンを育てるというか、そういう土壌は残されていくと良いですね。



『三人吉三巴白浪』

序幕   大川端庚申塚の場
二幕目 巣鴨吉祥院本堂の場
      裏手墓地の場
      元の本堂の場
大詰    本郷火の見櫓の場

お嬢吉三/中村七之助
お坊吉三/市川亀治郎
伝吉娘おとせ/坂東新悟
手代十三郎/中村亀鶴
和尚吉三/片岡愛之助

第二部の感想で少しお話したのですが、浅草公会堂という劇場は、「歌舞伎としてのライブ感」をいちばん感じられる場所だと思います。何と言うか、客席の熱気がそのまま舞台に反映されるような。客席の熱気が、そのまま舞台に反応として表れるような。ある意味、「生の歌舞伎」の空気をいちばん強く感じられるのですね。

これはあくまでも個人的な意見ですが、今日は、1階席と3階席の客席の熱度の差が極端で、それで舞台も乗りきれていないような印象でした。1階席では大きな拍手が起きていても、3階席では誰ひとり拍手していなくてシーン、ということもありましたし。客席全体の集中力がまとまり切れなくて、その空気が舞台にも伝わったかな…という
印象です。

お芝居は、見どころを切り取ったダイジェスト版にしてあります。通しで三人吉三を観た経験がある人には、講談の起用や二幕目のまとめ方など巧いなぁ~と思え一方、初めて観る人には話が飛躍しすぎるような印象が強くて、舞台の世界に入りにくかったのかも知れません。

ただひとつ、今日はおそらくベテランの大向こうさんが1人いらっしゃっていて、抜群のタイミングで大向こうを掛けてくださったので、ここぞ、という場面の客席の集中度はそれで上がったのは救いでした。歌舞伎における大向こうさんの存在感と有難さをしみじみ実感しました。

大詰の、降りしきる雪の中での立ち廻りは圧巻です!真っ白な雪景色の中、七之助@お嬢吉三が着ている着物の緋色の袖が美しく翻る様子が、残像のようにまぶたの裏に焼きついています。


猿翁十種の内 
『独楽(こま)


独楽売萬作/市川亀治郎
後見/市川段之・市川段一郎

ご当地、浅草寺が登場する舞踊。短時間ながらもお正月らしい晴れやかな踊りです。

スッキリとオトコマエな亀ちゃんの踊りを、存分に堪能することができました!やっぱり、亀ちゃんの踊りは天下一品です!

後見さんのお名前も記載したのは、その素晴らしい動きの数々に心から感動したからです。

2006年の浅草歌舞伎のレポに、「後見をしている時の段之さんのファン」と書いているのですが、今回、その気持をより強く感じました。いや、「亀ちゃんの後見をする段之さん」と、「段之さんを後見にして踊る亀ちゃん」のファンです!この2つは、私にとってはもう、不可欠なもの。亀ちゃんが踊る時は、段之さんじゃなきゃ絶対に嫌だ!というくらいの勢いです(笑)。

段之さんの後見は何一つ無駄な動きがなく洗練されていて、それでいてどんな事にも素早く反応・対応されて、観ていて本当に気持ちが良いです。

今回は、亀治郎が舞台正面を向いたまま、後方に扇を放り投げ、それを後見の段之が受け取って引っ込む・・・というくだりがあるのですが、とても高い弧を描いて落ちてきた扇は、舞台奥に控えていた段之の手元に、まるで吸い込まれるように落ちて行きました。段之はただ、自分の胸の前で手を広げていただけ。

亀ちゃんのコントロールもさすがですが、扇が落ちてくる場所を見越して、そこに自然に待機している段之もお見事です。そしてそこには2人の、お互いに対する揺るぎない信頼感と安心感を感じることができます。

引き抜きの準備をする段之さんの、鮮やかな手さばきも必見です!そして引き抜きが成功した後、少しのあいだ舞台奥にとどまり、踊り続ける亀ちゃんに支障はないか確認してから、音もなく袖にはける姿が心に残りました。

「独りで楽しむ」と書く「独楽(こま)」。舞台でひとり踊る亀ちゃんは、本当に「楽」しんでいる様子がまっすぐに伝わってきました。

そして、彼の踊りには、「薫り」がにじみ出てきた気がします。

亀ちゃんはもともと踊り巧者として知られています。私がファンになった頃(2001年)もその実力は抜きんでていましたが、当時の亀ちゃんの踊りは、周囲の空気を拒絶し、切り裂くような鋭さ、孤高な存在感が印象的でした。

「本当に踊りが綺麗だなぁ~」とうっとりする反面、「この人は、何に抗っているんだろう…?」と漠然とした疑問を感じながら、彼の踊りを観ていた記憶があります。

それが最近は、まわりの空気を自分の内にふわりと受け入れ、包み込んで、ゆったりと遊ばせるような雰囲気が出てきたなぁ、と。踊りに余裕が出てきたというか、動きのキレの良さと鋭さは残したまま、ふくよかさとまろやかさが加わったように思います。

ああ、亀ちゃん、本当に良い役者になってきたな、と素直に思いました。そしてやっぱり、ええ男になったな、と(笑)。

亀ちゃんへの10年愛を、しみじみを実感した「独楽」でした。



まーったくの余談ですが、亀ちゃんのお誕生日は、11月26日。なんと、嵐リーダー・大野さんと一緒なんですよー!!先日気づいて、思いがけない偶然に驚きました。ちなみに本命の蘭寿とむ(らんとむ)さんの誕生日は8月12日なんですけれども(余談パート2)。

あくまでもこの3人が大好きなわたしの戯言ですけれど、亀ちゃん・大野さん・らんとむって、共通点があるように思います。ダンスや踊りなどで見せる身体能力と、ひとつひとつの動作の表現力が半端ない。中でも指先の動きがとても綺麗。そして、ライブ空間における自分の「魅せ方」を心得ていて、それを完全に自分のものにしてしまっている。

そっかぁ、お正月からやみくもに「大好き」を連呼してたけど、わたしが好きになるスターさんて共通点があるんだなぁ、きっと指先の動きが綺麗な人が好きなんだなぁと思って、ひとり納得しちゃいました(笑)。

今回も迷走しがちな結末のレポになってしまいましたが、観に行けて本当に良かったです。今月は歌舞伎をたくさん観ることができて、幸せだなぁ・・・☆

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カオリ

浅草歌舞伎、10年くらい前に1度行ったっきりなんですよね。でもあの浅草の雰囲気と活気のある若手のみなさんの舞台がすごくマッチしてるなぁといつも思い出します。
by カオリ (2011-01-23 12:03) 

★とろりん★

カオリさま、

nice!とコメント、ありがとうございます!!

初めて歌舞伎のために遠征をしたのが浅草歌舞伎でして(亀ちゃんの『野崎村』と『棒しばり』をどうしても見たかったのです)、私にとってはとても思い入れのある舞台です。

以来、浅草で亀ちゃんを見るたびに「あの頃の亀ちゃん」とか「あの頃の私」をついつい思い出しては感慨にふけってしまいます(笑)。
by ★とろりん★ (2011-01-23 20:22) 

mami

歌舞伎には大向こうさんと後見は大事ですね。鑑賞教室などでたまに大向こうがかからない日はとても物足りなく感じます。
滅多に筋書きを買わないので後見の方の名前まで把握できないのですが、上手い人は存在を感じさせません。文字通り黒衣。

亀ちゃんは、私は女形の方が好きなので、今月はちょっと残念ですが、来月のルテアトル銀座公演ではたっぷり観られそうでこちらも楽しみです。ほんとに指先が綺麗ですよね!玉様に匹敵するくらいだと思います。
by mami (2011-01-23 23:37) 

★とろりん★

mamiさま、

nice!とコメント、ありがとうございます!!

やっぱり、大向こうがかかると、歌舞伎のお芝居を観ている!というテンションが上がりますよね。色々な方の色々な働きがってこその総合芸術なのだな、と実感します。

>>亀ちゃんは、私は女形の方が好きなので、今月はちょっと残念ですが、来月のルテアトル銀座公演ではたっぷり観られそうでこちらも楽しみです。

今月の亀ちゃんは全て立役ですものね。『独楽』は最初から最後まで1人で踊りますし、股引(?)なので、足さばきや膝下の動きをじっくりと楽しむことができました。

ル・テアトルの二月公演、私もすっごく楽しみです!でもチケットをまだ確保できていません(汗)。頑張ります!
by ★とろりん★ (2011-01-24 11:13) 

bonyarihitsuji

詳しい解説ありがとうございます。1月はじめに見た舞台がありありとよみがえってきました。
亀治郎さんの「独楽」の踊り、ほんとに綺麗で素敵でした。一本杉の通った切れのある力強さも感じました。
そして、そんなところが大ちゃんのダンスともつながるなあと・・・。
私の大ちゃんのツボはゆるいかんじで「わが道を行く」ところと、歌声です。また、そこが本命の堂本剛君との共通点です。(笑)好きになるスターさんの共通点ってあると思います。ひとそれぞれで面白いなあとおもいました。
by bonyarihitsuji (2011-01-26 22:05) 

bonyarihitsuji

すみません・・・一本杉ではなく、一本筋です。(大汗)

by bonyarihitsuji (2011-01-26 22:06) 

★とろりん★

bonyarihitsuji さま、

こちらの記事にもコメント、ありがとうございます!!

「一本筋の通った切れのある力強さ」。うんうん、亀ちゃんの踊りはまさにそのお言葉通りだと思います。稽古を積み重ねてきた、揺るぎのない自信ああるからこそ、ですよね。

やっぱり、好きになる人って、どこか共通するところがあるのでしょうねぇ・・・。理想のタイプというか(笑)。


by ★とろりん★ (2011-01-27 13:01) 

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