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歌舞伎座新開場杮葺落(こけらおとし) 二月花形歌舞伎 夜の部 二幕幕見 [歌舞伎]

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2014年2月16日(日) 歌舞伎座 18:11開演

『青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)

二幕目
雪の下浜松屋の場
同 蔵前の場
稲瀬川勢揃の場


弁天小僧菊之助/菊之助
南郷力丸/松緑
赤星十三郎/七之助
忠信利平/亀三郎
鳶頭清次/亀寿
浜松屋倅宗之助/尾上右近
丁稚長松/藤間大河
浜松屋幸兵衛/團蔵
日本駄右衛門/染五郎


歌舞伎座が新開場して、初めて幕見に行ってきました。

これまで歌舞伎座の幕見と言うと・・・先着順でチケットを1階の切符売り場で購入後、急な階段を4階まで駆け上り、良心の呵責を覚えつつも先に並んでいたご年配の皆さんを追い越していき、狩りをするような目つきで少しでも見やすい席を探し、息が上がったまま幕が開く・・・という感じでしたが(←記憶には個人差があります)、少しずつシステムが変わっていました。

まずは、入場券の販売開始時刻と、幕見席への入場開始時刻が別に設定されるようになったこと。

これまでは切符販売開始時刻=入場開始時刻、でしたが、まずは切符販売開始時刻までに一度並びます。ちなみに今回拝見した夜の部二幕目の幕見の入場券販売開始時刻は16時45分でした。

並んでいる間に座れるベンチなどは、おそらく以前と一緒。座っていると、係員さんが説明など書かれた用紙を見せてくれますので、不安な方は一度目を通しておくことをオススメします。

販売開始時刻5分前に係員さんから購入や入場の注意があり、いざ購入へ。希望の幕を伝えると、上記のような「入場番号」が入った用紙(名刺より一回りほど大きいサイズ?)を受け取ります。この用紙が実質的にチケットになります。1幕ごとに1枚発行されますので、複数の幕を幕見なさる方は失くさないようにご注意ください。

その入場券がトップページのもの。一幕目から幕見に入っている観客から通しで数えた順番です。

入場券を購入すると、ひとまず解散(?)。お目当ての幕の開演時刻20分前までに直接4階幕見入場口まで行くように指示されます。開演時刻は入場券に記載されているので、その20分前までに4階へ向かいます。

今回は、16:45に入場券を購入して、幕見入場口集合時間は17:50頃。Ken's珈琲店にて腹ごしらえ。合鴨のパストラミサンドとロイヤルミルクティーをいただきました。あ、そうそう、思わぬサプライズに奇声を連発したのもココでした(笑)。

17:45頃に、再び歌舞伎座へ。幕見、先代と比べて最大の相違点は、エレベーターがあることです!

4階までの移動手段は、基本的に幕見専用エレベーターのみ。これで、4階まで直行します。

4階まで上ると、以前よりは格段に広いホワイエが伸びており、そこでしばらく待機。やがて、係員さんから番号を呼ばれます。幕見入場券に記載されている番号ですね。その番号順にいったん列を作り、いちばん早い番号の人から入場していきます。

入場してしまえば後は以前と同じく、素早く全体を見渡す視力と脊髄反射的直感をもって観やすそうなお席を探し出し、座ります。


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こちらが、歌舞伎座の新しい幕見席。後ろ2列分です。

お席は、横幅は先代より若干広くなったように感じますが、足元はやっぱり窮屈です(^_^;)。ちなみにお手洗いは、個室が3つ・・・だったかな?私が入った時にはそれほど混雑していませんでした。


そんな、新生歌舞伎座、初めての幕見で拝見したのは、「白浪五人男」のタイトルでも知られている『青砥稿花紅彩画』、浜松屋~稲瀬川勢揃の場まで。

浜松屋の場と勢揃はこれまでも何度か拝見していますが、蔵前の場は初めて。この場面で弁天と浜松屋、日本駄右衛門と浜松屋倅宗之助の関係が明らかになるのですね。なぜか既にこの2組の「親子」の関係は歌舞伎関連の書籍などで知っておりましたが、改めてお芝居として見ると、「なるほどー!」と、納得感が増しますね。いや、設定自体が既にいろいろ超越していますけれどね(笑)。

弁天小僧を勤めた菊之助。もう、すっかりお役が手に入っていますね~。武家娘に化けた時の可憐さは言うまでもありませんが、見抜かれて自ら正体を明かす時の凄み。

「俺ぁもう、尻尾を」で一瞬息を詰め、吐き出した息のよどみない流れに沿って「出しちまうぜ」という台詞。その、呼吸の具合と間合いが絶妙!劇場中が固唾を呑んで彼の一挙手一投足を見守っていました。もう、彼を若手役者という肩書で呼ぶのはかえって失礼かもしれませんね。

そして今回、目が離せなかったのが松緑の南郷力丸!

もう、隠しても隠しきれない悪党っぷりと色気がっ・・・!!!ヾ(≧∇≦)ノ"キャハー☆

終演後、幕見をご一緒したカンゲキ仲間と、「松緑さん、めっちゃカッコイイー!!ヾ(≧∇≦)ノ"」「何なのあの色気はーっっ!!ヾ(≧∇≦)ノ"」と、ひとしきり大騒ぎしてしまいました(笑)。

特に浜松屋の場後半。二十両では変えられないとごねる弁天小僧をなだめる時に言う台詞。

南郷と弁天小僧は店先の下手に座り、日本駄右衛門は店の帳場の上手に座っています。人目につかないよう、お腹の下あたりで手の甲を下にして、人差し指で駄右衛門の方を指しながら、

「今日のところは それをもらってけえった(帰った)ほうが、そおーれぇー、なあ、よ、か、ろう、ぜ」。

このっ!この「なあ、よ、か、ろう、ぜ」の言い方が!!言い方があぁぁぁ!!!何ですかあの色気はあぁぁあ!!ヾ(≧∇≦)ノ"イヤハー☆

本当は、日本駄右衛門の合図を弁天小僧に気づかせようとしてする仕草と台詞なのですが、弁手小僧に寄りかかって、濡れたような目で「よ、か、ろう、ぜ」とか囁くように語りかけている日にゃあ、なんかいろいろ想像しちゃいますよね!ね!(←意見には個人差がありまくりです)

あとは、丁稚長松として出演のご子息、大河くんとの共演にもニマニマ。

南郷「おい小坊主、茶を一ぺえくれ」
長松「はぁーーーーー・・・い」
南郷「べらぼうに長い返事だな」

とか、南郷に「こんな焦げくせえ茶が飲めるかっ」(だったかな?)と言ってお茶を吹っかけられて「わぁ~」と去っていく時の微笑ましさ、可愛さ!!ニマニマ(・∀・)。

あと、上手の端っこからでないと確認できないと思うのですが、大河くん、自分の出番以外もきちんと舞台の上に出ているんです。浜松屋の店先の、大きな看板幕(?)の陰にある床几に座って、次の出番までじっと待っているんですよ。

こうしてお父様の芝居を同じ舞台の上でじっくり見ていることが出来るのは、彼にとっては本当に勉強になりますよね。大河くん、いつかお父様のように、力強く剛健な役者さんになってくださいね!

勢揃の場は、役者さんの華を味わうひと幕。本当にみなさん、一等星のようにキラキラされている!美しくて華やかで歌舞伎味が充分で、心ゆくまで堪能しました。

終演後の退場は、専用の階段で1階まで下ります。


お正月以来の歌舞伎座でしたが、やっぱり歌舞伎座に来ると、わくわくします。宝塚や狂言やジャニーズの時とはまったく違うわくわく感。これからも忘れないようにしたいですね。


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歌舞伎座新開場杮葺落(こけらおとし) 壽初春大歌舞伎 夜の部 [歌舞伎]

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2014年1月2日(木) 歌舞伎座 16:30開演

新年の初観劇はやっぱり歌舞伎!新開場して初めてのお正月を迎えた歌舞伎座の初日に行ってまいりました。

とは言え、この日にいきなり首を痛めてしまい、お昼に予定していた初詣は行けず・・・お約束していた友達、ごめんね・・・(私信)。ギリギリの時間までベッドで安静にした後、そろり、そろり・・・と身支度を調え、極力首を動かさないよう、まるでロボットのようなカクカクした動きで歌舞伎座へ(-_-;)。

この日の歌舞伎座にはNHKの生中継のカメラが入っていました。ご覧になった方も多いと思います。ロビーをやたらロボットのような動きでそろ~りそろ~りと歩いていた不審な女性がいたら、それはきっと私です(笑)。

夜の部は、時代物に舞踊に新作歌舞伎と、バランスの取れた3本。めでたい焼きに舌鼓を打ってから(←負傷していてもめでたい焼きだけは絶対にゲットする執念)、晴れやかで華やかな舞台を楽しみました。


仮名手本忠臣蔵 九段目 山科閑居

戸無瀬/坂田藤十郎
大星由良之助/中村吉右衛門
お石/中村魁春
小浪/中村扇雀
大星力弥/中村梅玉
加古川本蔵/松本幸四郎

【あらすじ】

塩冶判官による松の廊下の刃傷。判官が高師直にとどめを刺すことが出来なかったのは、桃井若狭之助の家来、加古川本蔵が判官を阻止した為でした。その本蔵の娘、小浪と、塩冶判官に使える大星由良之助の息子、力弥は許嫁の間柄でしたが、お家取りつぶしとなったために立ち消えに。それでも力弥の嫁になりたいという小浪の訴えに、本蔵の後妻で小浪の継母でもある戸無瀬は彼女と共にに山科に蟄居している大星家を訪ね、力弥との祝言を頼みます。しかし、由良之助の妻であるお石は、浪人であることを理由にこれを拒否。絶望し、自害を決意する戸無瀬と小浪の前に、本蔵が現れます。

本蔵は塩冶判官が高師直を討とうするのを妨げたことを深く後悔し、わざと力弥に討たれます。由良之助は、わが身を犠牲にしても愛娘の婚礼を願う本蔵の心を汲み、力弥と小浪の祝言を許し、吉良仇討ちの意志を打ち明けます。すでに命尽きかけている本蔵が引き出物として由良之助に渡したのは、高師直邸の絵図面。ついに全ての手筈が整ったと感じた由良之助は、仇討に向けて出立するのでした。


【カンゲキレポ】

これぞ歌舞伎!!という感じの、大顔合わせの舞台。

雪の降る山科、新雪に囲まれた純白の舞台で、前半に藤十郎と魁春が静かで激しい火花を散らせば、後半は幸四郎と吉右衛門の兄弟競演に息をのみます。そして両親の葛藤とせめぎ合いの狭間に香る、若い恋人たちの初々しく無垢な恋心を梅玉と扇雀が表現。

藤十郎の戸無瀬は、自在。本当にこの方、年齢を重ねるにつれて若々しさと艶やかさが増していくような感じがします。

お石と対峙する時の張りつめた思い、小浪に涙ながらに祝言をせがまれ困惑する様子、思いを遂げられないのならいっそこの手で、と血の繋がっていない娘との自害を決意する表情・・・。そうした言動の中にもかすかに見え隠れする「若さ」ゆえの一途さが表現されていて、それが全くわざとらしくなくて・・・。「極められた芸」というのは、こういうことを言うのだと再実感しました。

お石を演じる魁春。良い意味での「決して邪魔にならない佇まい」が本当に好きです。芝居の中で決して出過ぎず、引き過ぎず、それでいて仕どころは充分に心得ている、ちょうど「良い加減」の芝居はいつ拝見しても心地良い。

幸四郎と吉右衛門の兄弟競演も見応えあります!特に吉右衛門の、登場しただけで舞台を、客席を一気に包みこむ包容力は流石です。

そして、そして、梅玉!!さすが永遠の前髪役者!!十代の力弥を軽やかに瑞々しく、情感深く演じていて、惚れ直しました!(*^_^*)

登場する時の機敏な動作、小浪から引き出物を手渡される際に見せる、気恥ずかしさと恋心。・・・もう、見ているこちらまで甘酸っぱい思いにとらわれてしまいました(笑)。梅玉さん、やっぱり大好きー!!

小浪を演じた扇雀。この顔合わせでは最年少で、お行儀よく演じていたのが印象的。若い娘らしい清潔感と透明感があり上々。

これぞ大歌舞伎!と満足感のある一幕でした。


乗合船惠方萬歳 常盤津連中

萬歳/中村梅玉
通人/中村翫雀
田舎侍/坂東彌十郎
芸者/中村児太郎
白酒売/片岡孝太郎
女船頭/中村扇雀
才造/中村又五郎

新年を迎えた隅田川のほとり、大ぜいの人が渡し船に乗ってやってきたところへ、萬歳(=新年を寿ぐ舞踊や話芸を職業とする伝統芸能)と才造(萬歳の相方)の2人がやってきます。そこに居合わせた人々も踊り始め、芸達者ぶりを披露。やがて萬歳と才造が新年を祝う三河萬蔵のご祝儀を軽妙に踊り始めます。やがてにわか雨が降り始めて、皆で船へと乗り込むのでした。

ご覧のように、出演者は7名。最後にこの7名が船に乗り合わせる姿を「宝船に乗った七福神」に見立てるという、いかにもお正月の舞台にぴったりの舞踊です。

こちらの幕では、又五郎の機敏で見事な踊りを満喫しました!軸が全然ブレなくて、軽妙洒脱で、お正月からこの方の舞踊を拝見できてのはすごーく縁起が良い感じです!ありがとう、又五郎さーん!!


東慶寺花だより

信次郎/市川染五郎
法秀尼/中村東蔵
柏屋主人源兵衛/坂東彌十郎
おぎん/市川笑也
堀切屋三郎衛門/片岡松之助
美代/中村虎之介
おせん/片岡孝太郎
惣右衛門/翫雀
お陸/片岡秀太郎


【あらすじ】

江戸時代、鎌倉にある東慶寺は幕府公認の駆け込み寺として知られていました。当時、女性からの離縁申し立ては不可能だった時代。女性はこの寺に駆け込み、2年の奉公を勤めたら離縁が許されるのでした。近くには、そういった女性たちを預かる御用宿が点在していたそうです。

物語は、そうした御用宿のひとつ、柏屋に間借りする居候、信次郎が主人公。夢と現実に迷い悩む信次郎ですが、宿や寺で出逢う人々との交流を通じて、少しずつ成長していくのでした。


【カンゲキレポ】

井上ひさしの同名小説が、今井豊茂の脚本、大場正昭の演出により新作歌舞伎として初登場。

新作歌舞伎ですし、今回が初演ですので、詳しいレポは控えますが、様々な境遇と性格の女性たちが、それぞれの理由で「駆け込み」を決意し、再出発していく様子が、信次郎の優しく温かな目線で描かれています。

初演で初日ということもあり、緊張もあったのでしょうが、いくつか目立つ台詞の言い間違いが気になりましたが(特に、役名を間違えるのはどうかと・・・)、全体的には穏やかで温かい空気感に満ちた舞台でした。

好演だったのが、女性陣!孝太郎のおせんは明朗活発ながら女性らしい気の濃やかさと賢さもにじみ出ていて、この方が舞台に出てくるだけでホッとしました。

おぎんを演じた笑也は、儚げな美しさが印象的。澤瀉屋一門の役者さんがお正月から歌舞伎座の舞台で活躍されているのは、本当にうれしいことです。

そしてこの方なくしてこの舞台の成功はなかったかも!?お陸を演じた秀太郎!

髪型の商家の女主人なのですが、これがまぁキャラクターがいろんな意味で強烈(笑)。そんな濃い~役柄を、決して嫌味にならず、下品にならずにあっけらかんと演じ切れてしまえるのは、この方をおいて他にはいらっしゃいません。楽しませていただきました!


* * * * *


初春らしい晴れやかで明るい中にも、大歌舞伎の醍醐味をじっくり味わえる今月の夜の歌舞伎座。大満足でした!


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圧巻!『娘二人道成寺』 [歌舞伎]

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あまりの素晴らしさに、感動が止まりません……。

観ることが出来て、本当に良かったです!!


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ただいま。そして、おかえりなさい!! [歌舞伎]

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新生・歌舞伎座!!

チケットを手に劇場玄関の前に立った時から、熱く込み上げるものが……(涙)。

これから第三部。菊・吉競演の『石切梶原』と、玉三郎・菊之助の『娘二人道成寺』を拝見します。想像を超えた感動が待っている予感……!!

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市川團十郎丈 [歌舞伎]

3年前、歌舞伎座最後の舞台を飾った『助六由縁江戸桜』。

大幹部から若手花形まで、文字通り綺羅星のごとく勢ぞろいした大舞台の中心で、一番星のようにひときわ強く優しい輝きを放っていたのは、十二世市川團十郎丈の助六でした。

3年後、新生・歌舞伎座でこの方の助六を拝見するのだろうな、と思っていました。早くその日が来ますようにと、願っていました。

團十郎丈の舞台は豪快で朗らかで愛嬌があって、どんなお役をお勤めになってもおっとりとした大らかな風情が失われることはなくて。「大歌舞伎」の香りを体現できる、貴重な存在でした。

まさか、こんなに早く旅立たれてしまわれるとは・・・言葉になりません。

謹んで御冥福をお祈り申し上げます。
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中村勘三郎丈 [歌舞伎]


2002年、1月。

私が初めて「歌舞伎座」で観た「歌舞伎」の舞台は、幕見席から拝見した中村勘九郎丈―後の十八世勘三郎丈による『鏡獅子』でした。

弥生の可憐さと愛らしさ。一転して、獅子の精の荒ぶる力強さと激しさ。

歌舞伎座独特の興奮と熱気に呑まれそうになりながら、たった1人の役者さんによってこうも違う世界が出現するのかと、初めて受ける衝撃に身も心も震えるようでした。


2009年、1月。

次男・七之助が初役で『京鹿子娘道成寺』を勤める浅草歌舞伎初日へと足を運ぶ道すがら、お正月で賑わう人ごみの中で勘三郎丈とすれ違いました。

ご本人も歌舞伎座での出番が迫っていたのに、ギリギリの時間まで息子の稽古を見守っていたのでしょう。慌てた様子で小走りで大通りへ向かいながらも、中村屋だと気づいて声をかけていく人々に「あ、どうも、どうもありがとうございます」と律儀に会釈を繰り返していた勘三郎丈の姿が、今でもまぶたの裏に焼き付いています。


あまりにも急な報せに、今はまだ心がついていけません。


心から、御冥福をお祈り申し上げます。


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新橋演舞場 七月大歌舞伎 昼の部 [歌舞伎]

二代目市川猿翁 四代目市川猿之助 九代目市川中車 襲名披露
五代目市川團子 初舞台
七月大歌舞伎 昼の部

2012年7月15日(日) 新橋演舞場 11:00開演
    
スーパー歌舞伎 『ヤマトタケル』 


作:梅原猛
監修:奈河彰輔
脚本・演出:市川猿翁

小碓命 後にヤマトタケル/大碓命:亀治郎改め 市川猿之助
帝:市川中車
タケヒコ:市川右近
ワカタケル:團子
兄橘姫/みやず姫:市川笑也
弟橘姫:市川春猿
老大臣:市川寿猿
ヘタルベ:市川弘太郎
帝の使者:市川月乃助
倭姫:市川笑三郎
熊襲弟タケル/ヤイラム:市川猿弥
尾張の国造:坂東竹三郎
皇后/姥神:市川門之助
熊襲兄タケル/山神:坂東彌十郎


6月・7月と2カ月続けて上演中の四代目市川猿之助はじめ3名の同時襲名興行。友人からお声がけいただいて、幸運にもその舞台を観ることができました!(機会を譲ってくださったT様、本当にありがとうございました!!)

観劇したのは昼の部、『ヤマトタケル』。

先月より二代目猿翁を名乗る三代目猿之助が初演し、歌舞伎界のみならず伝統芸能の世界に一石を投じた「スーパー歌舞伎」第一作目。その後、何度も繰り返して上演され、もはや澤瀉屋の「家の藝」といっても過言ではありません。

新・猿之助も「この名跡を受け継ぐからには避けては通れない」と、襲名興行でスーパー歌舞伎を上演。

すでに2ヶ月目に入った公演ですから、舞台全体に良い意味で落ち着きがあって、それでいて確かな熱意を感じさせる、良い舞台でした。


【あらすじ】

時は日本が国歌として成立する以前、小碓命は、双子の兄である大碓命が父帝へ叛逆の意思を抱いているのを見抜きますが、諭し諌めようと兄ともみ合いになり、謝って手にかけてしまいます。それがきっかけで帝に疎まれるようになった小碓命は九州の熊襲(クマソ)討伐の命を受けます。美女に変装して熊襲兄弟の隙を突き、彼らを倒した小碓命は、熊襲弟より「ヤマトタケル」を名を与えられます。

無事に熊襲討伐を果たしたヤマトタケルですが、父帝から許されることはなく、さらに困難な任務を次々と与えられます。自らの立場を嘆きながらも、ただ父に認めてもらいたい一心で戦いに出かけるヤマトタケル。

やがてタケルは、伊吹山の山神を退治することを命じられます。山神を倒しながら、自らも重傷を負ったタケル。やがて歩くこともままならなくなったタケルは、父を、子を、妻を、そして戻ることのできなかった故郷を夢見ながら、道半ばで力尽きてしまいます。しかし、彼の魂は尽きることなく、やがて真っ白な大きな鳥に姿を変えて、天高く羽ばたいていくのでした。

【カンゲキレポ】

・・・・・・どぼーっ。(←しょっぱなから手放しで号泣)

亀ちゃん・・・あっ違う、猿之助さん・・・本当に素敵でした・・・。

何ていうんでしょう。初めて、彼の舞台で「熱」を感じました。

これまでも何度も言っているのですが、亀治郎(あえて、ここでは「亀治郎」と書きます)の舞台は、踊りや身のこなしの完成度が高くて、技術力は満点に近い出来。ですがそこには役の熱、のようなものがなかなか感じられなかったのですね。いわば「研究論文」のような舞台。「感心はできても、感動はできない」舞台が続きました。

それでも、どうしても私は亀治郎から目を離すことはできませんでした。・・・今となっては、どうしてかな?と思うのですが。彼のとことん突き詰めていく姿とか、こだわり抜く姿に惹かれていたのかな?

それが近年、しばらくの間、猿之助(現・猿翁)一座を離れて、様々な劇団の役者さんと共演し、また映像や外部の舞台など、本人にとっては「異質の世界」に身を投じることで、ずいぶんと変わってきたように思います。型だけではなく、その役がまとう「生身の感情」が伝わってくるようになった、というか。

そして、四代目猿之助を継いだ今。明らかに彼の舞台にはこれまでとは違う「熱」を帯びていました。これが、芯を張る役者のオーラというものなのかしら。

それをいちばんに感じたのが、第二幕「走水(はしりみず)」の場面。

古事記など神話には必ず書かれている場面ですが、海路で東国へ向かっていたヤマトタケルの船は、走水(現在の神奈川県横須賀沖の付近、とされています)で嵐に巻き込まれ、進退きわまります。この時、タケルに同行していた弟橘姫(オトタチバナヒメ)が、タケルの身代わりとなって海に身を投じ、そのおかげで嵐はおさまり、タケルの乗った船は難を逃れる-という場面。

自らの命を差し出すことを既に決意している弟橘姫とは逆に、タケルは驚くほどに取り乱し、絶対に姫を手放すことはしないと固くその手を握りしめます。しかし、姫の告白を聞いて、初めて彼女の深い胸の内を知るタケル。

その時の、弟橘姫を見つめるヤマトタケルの瞳が、爛れるような熱と苦悶と哀しみに染まり切っていて・・・観ているこちらが狼狽してしまいました。

そして・・・

「あの瞳に、見つめられたい・・・」って思っている自分がいました(爆)。

亀治郎時代を含めても、新・猿之助に対して私がそんな風な思いを抱いたのは、実は初めて。これまではどちらかと言うと、指先のなめらかな動きとか、美しい身のこなしとか、絶対にブレない回転技(?)とか、「技量」の部分にうっとりしていましたから。まさかそんな風に思うとは自分でも予想外だったので、第二幕終了後は、ちょっと茫然自失でした(苦笑)。

すごくおこがましい言い方ですけれども、新・猿之助が「役の感情に染まる」という事ができるようになった証拠なのかな、と思います。

・・・どうしよう、惚れ直してしまいました(爆)。

あとは、折々の立ち廻りで見せるどや顔とか、美女に扮した時の踊りの美しさは必見!どや顔してる時とか、本当に楽しそうですからお見逃しなく。

***

ヤマトタケルを見守り、愛する女性陣についても。

いちばん好きだったのは、ヤマトタケルの伯母・倭姫を演じた笑三郎。

たおやかで慈しみ深くて、穏やかで。落ち着いた声音を聞いているだけでも心が安らぎました。笑三郎さんの舞台は、立居振舞と言い、せりふ回しと言い、空気感と言い、女方としてのアベレージが非常に高いと思います。もっともっと、いろんなお役がつけば良いのにな。

兄橘姫(エタチバナヒメ)とみやず姫を演じた笑也。

個人的には、兄橘姫を演じている時の方が好きだったなぁ~(夫の仇であるヤマトタケルにコロッと恋してしまう流れが急激過ぎると思いますが、まぁ置いておいて)。

タケルが死んで後の独白とか、ワカタケル(團子くん。超かわいかった!)に未来の日本について話して聞かせるところなど、落ち着きと風格があって素晴らしかったです。やはり笑也は「スーパー歌舞伎の申し子」ですね。スーパー歌舞伎という舞台での見せ方、立ち方をいちばん掌握しているように感じました。

弟橘姫を演じた春猿。

走水の場面では渾身の演技でしたが、感情が高ぶると声が甲高くなってしまって、科白が少し聞き取りにくくなったのが残念でした。けれども、いつもタケルの身を案じている様子が伝わってきて、可愛らしかったです。

***

父帝を演じた、新・中車。

喉を痛めているのでしょうか、発声がざらついていて、科白もくぐもって聞こえにくかったような。けれど、舞台に登場するだけで観客の注目を集める存在感はさすがでした。

先月の舞台や夜の部は観ておりませんし、『ヤマトタケル』では出番も少ないので、新・中車の歌舞伎役者としての舞台については、まだ何も言えないな~というのが正直なところ。今月の舞台の筋書に文章を寄せられている蜷川幸雄さんが、「ぼくはただ、香川さんが歌舞伎をどのようにして自分のものにするのか息を詰めて見守るばかりである」と書き留めておられる通りだと思います。


他にも、きっぱりとした科白回しが相変わらず素敵だった右近、たった一場面の登場だけで観客の心を惹きつけた月乃助、豪快な舞台で楽しませくれた彌十郎&猿弥、「侵略する者と侵略される者」について考えるきっかけを作ってくれた猿四郎、国家権力乗っ取りを狙う皇后と伊吹山の姥神、いずれも素晴らしい怪演を見せた門之助などなど、久々に観劇した澤瀉屋一門総出の舞台は、隅から隅まで熱い思いを感じるものでした。

*****


「このひとは、どこまで翔んでいってしまうんだろう。」

クライマックス、白い鳥となり、劇場を宙乗りで飛び去っていく新・猿之助の姿を目で追いながら、ふとそんなことを思いました。このひとが翔んでいく未来には、どんな景色が見えているんだろう。・・・とか。まぁ、このひとの事ですから、「器が変わっただけで中身は変わらずやっていきます」とか言うのでしょうけれど(笑)。

それでも、あえてこの時に、あえて「猿之助」の名を継ぐことを決めた彼の決意や覚悟は、並々ならぬものがあると思います。

新・猿之助が、これからどのような「歌舞伎の未来」を見せてくれるのか。ワクワクしながら待っていようと思います。


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天翔けるひと [歌舞伎]

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思いがけず、お祝いに来ることができました!!

猿翁丈、中車丈、團子丈、そして猿之助丈!襲名、おめでとうございます!!!

祝幕は、歌手の福山雅治さんから贈られたもの。新・猿之助が、福山さんの大ファンなんですよね。初代からこのたび襲名する四代目まで、4人の「猿之助」の隈取を重ね合わせたのだそうです。

*****

「市川亀治郎」という役者に出逢ったのは、11年前の秋。スーパー歌舞伎『新・三国志Ⅱ』でした。

淡々とした表情と滑らかな指先の動きに静かな哀しみを秘めて、ただひたむきに舞う彼の姿に釘付けになった=「墜ちた」瞬間の事は、今でも昨日のことのように思い出されます。あの時、あの舞台で亀治郎に惚れなければ、私は歌舞伎を観続けることはなかったでしょうね。

そして、1年前の今頃は、「亀ちゃん」が「猿之助丈」になるなんて、想像すらしていなかったなぁ・・・。いつかは、という気はあったものの、まさかこんなに早くその時が来るとは思ってもいませんでした。

もう、劇場前に掲示されている巨大ポスターを見ただけでもウルウル、オロオロしてしまったのですが(苦笑)、幕が開いて口上が始まったら、「『猿之助』を襲名した亀ちゃん」という感じで、あまりにいつも通りの、そのままの飄々とした彼だったので、ホッとしたというか、ちょっと拍子抜けしたというか(笑)。先月はまた違った空気だったとは思いますけれどね。

「名跡が変わっても、責任や立場の大きさが変わっても、頭の回転が速くて何でもそつなくやってしまう、どんなに大変な事でも大変だと思わず涼しい顔してサラリと飛び越えてしまう、このひとはずっと、そのまんま、このひとなんだろうな」という思いを確かなものにしました。そのまま、このひとだからこそ立てる位置で、このひとにしか出来ないやり方で、「歌舞伎」という未来に向かってどこまでも突き詰めて、そしてどこまでも自由に翔けていくのだろうな、と。

猿之助丈が、これからどんな未来を、どんな進化を見せてくれるのか、一ファンとして楽しみに見守っていきたいと思います!

そして、彼のことを話す時に必ず叫んでいるこの言葉を、やはり叫びたいと思います。


猿之助さーん!あなた、ほんまにええオトコになったわーっっ!!ヾ(≧∇≦*)〃キャー☆


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二代目市川亀治郎大博覧会 [歌舞伎]

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2012年4月28日(土)~5月9日(水) 渋谷ヒカリエ9F ヒカリエホール

公式サイト:http://www.kamehaku.jp/


新橋演舞場の6月興行で四代目市川猿之助襲名が決まっている市川亀治郎。先週オープンしたばかりの渋谷の新しいランドマークで、その市川亀治郎のすべてが凝縮された展覧会が開催されています。その名も、「市川亀治郎大博覧会」。亀ちゃん・・・大きく出たな・・・( ̄∇ ̄)

ヒカリエホールには初めて足を運びましたが、天井が高いし、空間が広くとられているのが気持ち良いですね。

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会場入口の前にある柱には、こんな巨大ポスターが。


会場は4つのスペースで構成。

本名・喜熨斗孝彦として生を受けてから歌舞伎役者としての軌跡を写真や台本、本人思い出の品々で紹介する「市川亀治郎の軌跡」。

歌舞伎役者・亀治郎の気迫あふれる舞台姿を5年にかけて追い続けた写真家・斎藤芳弘による写真を特大パネルで展示した「市川亀治郎の肖像」。

本人コレクションの芝居絵や書などを通じて亀治郎の内面に迫る「市川亀治郎の宇宙」。

2010年に国立劇場で上演された「第8回市川亀治郎の会」から『義経千本桜 四ノ切』に初役で挑んだ亀治郎の姿を追ったドキュメンタリー・フィルムを上映する「亀治郎シアター」。

2500平方メートルの面積を誇るヒカリエホールの空間を最大限に利用して構成された展示は、どれも圧巻です。どの空間も亀治郎らしいこだわりが見られます。

「市川亀治郎の軌跡」では、本人が生まれてから初御目見得して、時に本名の自分で、時に歌舞伎役者として生きてきた半生が、いろいろな思い出の品とともに紹介されます。

亀ちゃんが小中学生の頃、学校のプリントの裏に描いていたのが、いわゆる「芝居絵」。

岩藤とか狐忠信とかの役者絵や隈取なんかを鉛筆で描いているのですが、これがまぁ緻密で隅々まで観察されていること!イラストなのに、伯父・猿之助の面影がきちんと出ているんですよね。学校の課題で「CD(レコード?)のジャケットデザイン考える」というのがあったそうなのですが、彼が選んだのは「黒塚」。渋い、渋いよ亀ちゃん・・・。

最初のスペースを見るだけで、亀治郎は本当に小さいころから「歌舞伎役者」になる事に一点の迷いもなく進み続けていたんだな、としみじみ実感します。

大学生の頃のノート類も見ることができます。これがまた、綺麗なんですよ!小さな字でビッシリと埋めながらも余白部分もきちんと残していて、すごく見やすいノートです。本人いわく、「講義を聴きながらなぐり書きした文言をノートに綺麗に書き移すことで、もう一度頭に入ってくるから・・・」とか言ってるけど、あの細かいノートは凄すぎる!

「市川亀治郎の宇宙」では、これまでの舞台写真が特大パネルとなって並んでいます。個人的には、舞踊の時の亀ちゃんがいちばん好きかな。並々ならぬ気迫を写真からも感じます。

実際に舞台で使用した衣裳や道具(扇)なども間近で見ることができます。特に衣裳は、屋号である「おもだか」がさりげなく刺繍されていたりして、そのさりげない技にも感嘆。

* * *

会場内には、「第8回亀治郎の会」で設営された『四ノ切』の舞台が実物大で再現されています。

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間近で見ると、やっぱり大がかりだし華やかだし、細部にわたるまで「桜尽くし」の意匠が心憎い!やっぱり歌舞伎は良いな~!

なんとこちらの舞台、履物を脱いで実際に上ることができます!

ここから先は、『四ノ切』のケレンで重要な役割を果たす装置の数々を写真でご紹介。(撮影の許可はいただきました)

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静御前に正体を見破られた源九郎狐は、ここから姿を消して・・・


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正体を顕して、右手に見える窓から再登場します。


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この階段の下から忽然と姿を現す階段。右手前のプレートにはその手法が説明されています。この階段の上に姿を見せるために、5人の裏方さんの力が必要なのだとか。


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「欄干渡り」。


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欄間へ通じる梯子。

これを上って・・・

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息つく間もなく、この板の上を滑り下りて行って・・・


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この小さな窓から、くるりと一回転しながら降りてくるんですね。


ドキュメンタリーフィルムの亀ちゃんによると、「欄間抜け」よりも、この後にスーッと舞台前方へ滑り出て行ってふっと急停止するところの方が、呼吸を詰めなくてはいけないので体力的にキツイそうです。あと、摩擦も結構な熱さみたいです。

書割の後ろには、こんな文字が書きつけてありました。

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* * *


ドキュメンタリーフィルムは約45分。亀ちゃんらしい凝った作り方です。舞台の場面はカラーで、逆にメイキングというか稽古や準備段階の場面はモノクロで表現されていたのが、いかにも亀ちゃんらしいこだわりだなと感じます。

稽古の場面では、ふだんの亀ちゃんとは思えない、真剣な中にも明るさが見えます。「欄干渡り」から舞台に飛び下りる時、「音させちゃいけないんだよね」と言いつつ飛び降りたら、「バッターン!」とビックリするくらい大きな音がして、思わず本人大爆笑。客席もつられて大爆笑(笑)。

それが本番では、舞台に足が吸い込まれるかのごとき美しく静かな着地を見せて、思わず客席からどよめきが。どんなに悪戦苦闘しても、いざという時には涼しい顔をしてサラッとこなしてしまうのが、亀ちゃんなんですよね。

亀治郎が初役で狐忠信を勤めた時、義経を勤めたのが市川染五郎。

最後、宙乗りで天高く去っていく源九郎狐=亀治郎を見送るのですが、その時の心境を語る言葉がとても胸に響きました。

「最後はね、とうとう上がっていったな、って。彼自身の心情はわかりませんけれど、ああ、飛んで行くんだなって。それをこうして舞台の上から見送る事が出来たのは、とても嬉しかったですね」。

これまでも様々な挑戦を越えて来た亀治郎。猿之助襲名をきっかけに、天翔る心を手に入れた時・・・彼はいったい、どこまで飛んで行ってしまうのだろう。思わずそんな風に考えてしまいました。

「市川亀治郎のすべて」がわかる博覧会。ぜひ足を運んでみてください。

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ガマちゃんも、お待ちしてますよ~☆

午前中(11:00まで)に来場予定の場合は、ヒカリエ内のエスカレーターは使用せず、エレベーターを利用された方がスムーズに会場へと向かうことができると思います。


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新橋演舞場 三月大歌舞伎 夜の部 [歌舞伎]

2012年3月25日(日) 新橋演舞場

約2カ月ぶりの歌舞伎見物。直前まで予定が入ってしまい、『唐相撲』と『小さん金五郎』だけ拝見しました。

唐相撲

日本人/尾上菊五郎
通辞/市川團蔵
皇后/中村梅枝
通辞夫人/市村萬次郎
皇帝/市川左團次


【あらすじ】

唐の皇帝に長くお仕えしてきた日本人相撲取りは、望郷の念から皇帝にいとまごいを願い出ます。皇帝は見おさめにと相撲を所望。臣下たちがあの手この手で挑みますが、日本人にかなう者はありません。そこで皇帝自ら、日本人と相撲をとって勝負することになるのですが・・・!?

【カンゲキレポ】

狂言の曲を歌舞伎にアレンジした松羽目物。(狂言で拝見した時レポは、
コチラから☆

配役も狂言とはかなり違っていて、それをく比べてみるのも楽しいです。いちばんの違いは、女性が出てくることでしょうね。皇后と通辞夫人は、歌舞伎オリジナルの役どころです。

皇后の梅枝が、もうびっくりするくらいの気品と美しさで、釘付けでしたわ~。通辞夫人の萬次郎はさすがの手堅さと安定感。相撲に勝った日本人に酒をすすめるくだりなど、何とも言えない朗らかさと色香があって良かったです。

狂言では、ひたすら取組が続いていくのですが、歌舞伎では勝負がつくたびに酒をふるまわれたり皇后の舞が披露されたりと、場面がいくつか変更されていますね。意外にも歌舞伎の方が、アクロバティックな取組は少なかったように思います。その代わり、舞やお酒をふるまったりと華やかで陽気な場面が増えていて、それぞれに、それぞれの良さを活かしているのだなぁと感心しました。


小さん金五郎

金屋橋の金五郎/中村梅玉
芸妓額の小さん/中村時蔵
太鼓持六ツ八 実は木津屋六三郎/中村松江
芸妓大村屋お糸/中村梅枝
千草屋娘お崎/尾上右近
千草屋女房お縫/中村歌江
奈良権左衛門/中村錦吾
広瀬屋新十郎/市川團蔵
女髪結お鶴/片岡秀太郎


【あらすじ】

大阪・安井天満宮。木津屋六三郎は芸妓のお糸に入れ上げて家宝を質入れしてしまい、今では太鼓持ちになっています。六三郎の許嫁・千草屋のお崎から相談を受けた金五郎は、お糸と六三郎を別れさせることを請け合います。金五郎の説得により、実家に帰ってお崎と結婚することを承諾する六三郎。しかしそれでお糸が納得するわけがありません。お糸は小さんに加勢を頼みます。質入れされた家宝を救うための五十両を用立てるため、金五郎と小さんは意地を張り合いますが・・・?

【カンゲキレポ】

梅玉さん・・・やっぱり、愛人になっても良いっ!!(爆)

「上方の芝居なんだから上方の役者がそろった時にかけた方が良いんじゃないのか」とか、「上方言葉ってやっぱり難しいのね」とか、「最後はまさかのおなじみのその展開ですか!この配役でその展開だったら、『毛谷村』で良かったのでは?」などなど、独り言は尽きませんが(苦笑)、素敵な梅玉さんと気風の良い時蔵姐さんを見られたから、まいっか☆

やわらかい空気の中にも愛きょうあふれる梅玉さん。「任せとけ!」と言ったものの、五十両をどう用立てるか困っちゃう梅玉さん。お互いに憎からず思っているのに、ついつい小さんと張り合っちゃう梅玉さん。全ての問題がクリアになって、パァァッと明るい表情が輝く梅玉さん。

いやー・・・ウハウハでしたな☆(←浅過ぎる感想)

小さんを演じた時蔵。やっぱり時蔵さんは芸妓の役がよくお似合いです!!(←とろりん比)。粋でキリッとオトコマエで、でも女の可愛らしさもにじみ出てて、広瀬屋さんでなくても、あんな可愛い時蔵さんを目の前で見てしまったら、「五十両、使ってくだせぇ!」って差し出しそうになっちゃいます(笑)。

お糸役の梅枝。時蔵の子息ですが、お父様ゆずりの美貌がにわかに色付き始めましたね。そっくりの面差しに切れ長の目が本当にキレイ!劇中、時蔵@小さんと2人で床几に腰かけて話をする場面があるのですが、時蔵の芳醇な色香と梅枝のすっきりと爽やかな色香が匂い立つよう。美しい2人の姿に息をのみました。

秀太郎さんは、さすがの存在感!あの方が舞台に出るだけで、上方の香りがぐっと濃くなります。役どころとしてはちょっと可哀相でしたけれども、役者としては実はとてもおいしくて演じがいのあるお役なのではないかな。

* * * * *

明日から、もう4月ですね。東京では桜の開花宣言もありました。ようやく、待ち望んでいた春が間近にやってきたかな・・・?でも、まだまだ冷える日もありそうなので、体調管理には十分お気をつけてお過ごしくださいね。


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