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二代目市川亀治郎大博覧会 [歌舞伎]

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2012年4月28日(土)~5月9日(水) 渋谷ヒカリエ9F ヒカリエホール

公式サイト:http://www.kamehaku.jp/


新橋演舞場の6月興行で四代目市川猿之助襲名が決まっている市川亀治郎。先週オープンしたばかりの渋谷の新しいランドマークで、その市川亀治郎のすべてが凝縮された展覧会が開催されています。その名も、「市川亀治郎大博覧会」。亀ちゃん・・・大きく出たな・・・( ̄∇ ̄)

ヒカリエホールには初めて足を運びましたが、天井が高いし、空間が広くとられているのが気持ち良いですね。

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会場入口の前にある柱には、こんな巨大ポスターが。


会場は4つのスペースで構成。

本名・喜熨斗孝彦として生を受けてから歌舞伎役者としての軌跡を写真や台本、本人思い出の品々で紹介する「市川亀治郎の軌跡」。

歌舞伎役者・亀治郎の気迫あふれる舞台姿を5年にかけて追い続けた写真家・斎藤芳弘による写真を特大パネルで展示した「市川亀治郎の肖像」。

本人コレクションの芝居絵や書などを通じて亀治郎の内面に迫る「市川亀治郎の宇宙」。

2010年に国立劇場で上演された「第8回市川亀治郎の会」から『義経千本桜 四ノ切』に初役で挑んだ亀治郎の姿を追ったドキュメンタリー・フィルムを上映する「亀治郎シアター」。

2500平方メートルの面積を誇るヒカリエホールの空間を最大限に利用して構成された展示は、どれも圧巻です。どの空間も亀治郎らしいこだわりが見られます。

「市川亀治郎の軌跡」では、本人が生まれてから初御目見得して、時に本名の自分で、時に歌舞伎役者として生きてきた半生が、いろいろな思い出の品とともに紹介されます。

亀ちゃんが小中学生の頃、学校のプリントの裏に描いていたのが、いわゆる「芝居絵」。

岩藤とか狐忠信とかの役者絵や隈取なんかを鉛筆で描いているのですが、これがまぁ緻密で隅々まで観察されていること!イラストなのに、伯父・猿之助の面影がきちんと出ているんですよね。学校の課題で「CD(レコード?)のジャケットデザイン考える」というのがあったそうなのですが、彼が選んだのは「黒塚」。渋い、渋いよ亀ちゃん・・・。

最初のスペースを見るだけで、亀治郎は本当に小さいころから「歌舞伎役者」になる事に一点の迷いもなく進み続けていたんだな、としみじみ実感します。

大学生の頃のノート類も見ることができます。これがまた、綺麗なんですよ!小さな字でビッシリと埋めながらも余白部分もきちんと残していて、すごく見やすいノートです。本人いわく、「講義を聴きながらなぐり書きした文言をノートに綺麗に書き移すことで、もう一度頭に入ってくるから・・・」とか言ってるけど、あの細かいノートは凄すぎる!

「市川亀治郎の宇宙」では、これまでの舞台写真が特大パネルとなって並んでいます。個人的には、舞踊の時の亀ちゃんがいちばん好きかな。並々ならぬ気迫を写真からも感じます。

実際に舞台で使用した衣裳や道具(扇)なども間近で見ることができます。特に衣裳は、屋号である「おもだか」がさりげなく刺繍されていたりして、そのさりげない技にも感嘆。

* * *

会場内には、「第8回亀治郎の会」で設営された『四ノ切』の舞台が実物大で再現されています。

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間近で見ると、やっぱり大がかりだし華やかだし、細部にわたるまで「桜尽くし」の意匠が心憎い!やっぱり歌舞伎は良いな~!

なんとこちらの舞台、履物を脱いで実際に上ることができます!

ここから先は、『四ノ切』のケレンで重要な役割を果たす装置の数々を写真でご紹介。(撮影の許可はいただきました)

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静御前に正体を見破られた源九郎狐は、ここから姿を消して・・・


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正体を顕して、右手に見える窓から再登場します。


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この階段の下から忽然と姿を現す階段。右手前のプレートにはその手法が説明されています。この階段の上に姿を見せるために、5人の裏方さんの力が必要なのだとか。


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「欄干渡り」。


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欄間へ通じる梯子。

これを上って・・・

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息つく間もなく、この板の上を滑り下りて行って・・・


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この小さな窓から、くるりと一回転しながら降りてくるんですね。


ドキュメンタリーフィルムの亀ちゃんによると、「欄間抜け」よりも、この後にスーッと舞台前方へ滑り出て行ってふっと急停止するところの方が、呼吸を詰めなくてはいけないので体力的にキツイそうです。あと、摩擦も結構な熱さみたいです。

書割の後ろには、こんな文字が書きつけてありました。

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* * *


ドキュメンタリーフィルムは約45分。亀ちゃんらしい凝った作り方です。舞台の場面はカラーで、逆にメイキングというか稽古や準備段階の場面はモノクロで表現されていたのが、いかにも亀ちゃんらしいこだわりだなと感じます。

稽古の場面では、ふだんの亀ちゃんとは思えない、真剣な中にも明るさが見えます。「欄干渡り」から舞台に飛び下りる時、「音させちゃいけないんだよね」と言いつつ飛び降りたら、「バッターン!」とビックリするくらい大きな音がして、思わず本人大爆笑。客席もつられて大爆笑(笑)。

それが本番では、舞台に足が吸い込まれるかのごとき美しく静かな着地を見せて、思わず客席からどよめきが。どんなに悪戦苦闘しても、いざという時には涼しい顔をしてサラッとこなしてしまうのが、亀ちゃんなんですよね。

亀治郎が初役で狐忠信を勤めた時、義経を勤めたのが市川染五郎。

最後、宙乗りで天高く去っていく源九郎狐=亀治郎を見送るのですが、その時の心境を語る言葉がとても胸に響きました。

「最後はね、とうとう上がっていったな、って。彼自身の心情はわかりませんけれど、ああ、飛んで行くんだなって。それをこうして舞台の上から見送る事が出来たのは、とても嬉しかったですね」。

これまでも様々な挑戦を越えて来た亀治郎。猿之助襲名をきっかけに、天翔る心を手に入れた時・・・彼はいったい、どこまで飛んで行ってしまうのだろう。思わずそんな風に考えてしまいました。

「市川亀治郎のすべて」がわかる博覧会。ぜひ足を運んでみてください。

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ガマちゃんも、お待ちしてますよ~☆

午前中(11:00まで)に来場予定の場合は、ヒカリエ内のエスカレーターは使用せず、エレベーターを利用された方がスムーズに会場へと向かうことができると思います。


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mami

とろりんさん、
亀博は期間が短く残念ながら行けそうにないのですが、とろりんさんの記事で見た気にさせていただきました。
猿之助を襲名してますますスケールの大きい役者になられるのは間違いないでしょう。楽しみですね。
by mami (2012-05-04 09:07) 

★とろりん★

mamiさま、

nice!とコメント、ありがとうございます!!

亀博、10日あまりしか開催しないなんて、期間が短すぎますよね~。
見た気になっていただけて、良かったです☆

会場へ入る前に掛かっていたパネルに亀ちゃんからのメッセージがありまして、
「一生、亀治郎でいたかった。けれど歌舞伎のために、未来のために、猿之助を襲名する。」
というような言葉に、感動というか、衝撃を受けました。
それだけの覚悟を背負って襲名を決意したのなら、ファンも「亀ちゃんのままが良かった~」とか、うだうだ言ってられないな、と。
襲名の舞台では、いったいどんな「新・猿之助」を見せてくれるのか、楽しみです!
by ★とろりん★ (2012-05-04 14:30) 

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