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八重山をめぐる旅 (3)竹富島 水牛車でのんびり散歩 [旅]

「水牛車」と言いますと、遠浅の海を渡る光景を想像されるかもしれません。実はあれは、西表島-由布(ゆぶ)島の間を渡る水牛車です。

竹富島では、重要伝統的建造物群保存地区に指定されている赤瓦の民家が建ち並ぶ町並みを、水牛車に乗って散策することが出来ます。

水牛車.JPG

水牛は、戦前から八重山では農作業の力仕事をさせるために飼われていました。当時の水牛は非常に価値が高く、「水牛2頭で家が建つ」と言われたほど。しかし機械化が進み、水牛の必要性は低下します。けれども、ずっと一緒に生活してきた水牛たちをむげにするわけにはいかず、活躍させる方法はないかと考えた結果、現在の水牛車観光が誕生したのだそうです。

島の人々の温かい気持ち、優しい心が伝わるエピソードですね。

水牛は頭が良く、記憶力がとても良いらしいので、観光ルートの道順やゴー&ストップの合図をすぐに覚えてしまうのだとか。だからこそ、農作業のお手伝いをできたのでしょうね。その分、どの角を曲がればお仕事終了、というのも覚えているので、そこを通過すると途端に動きが速くなるそうです(笑)。

まずは事務所で受け付け。「○号車に乗ってください」と指示されるので、事務所のすぐ向かいにある水牛車場で、その番号のついた車を探して乗り込みます。

車内は電車のように向かい合う形でシートが横並びに設置されています。トップ写真のように、正面から向かって右側の一番先頭に、水牛使い兼ガイドさんが乗り込み、水牛に指示をだしながら観光客に竹富島や名所の説明もしてくださいます。

今回、お世話になったのは女の子、わかちゃん。

わかちゃん、女の子、4歳(人間で言うと20歳くらい).JPG
「わかちゃんです。4歳です。人間で言うと20歳のピチピチギャルです。うふ☆」

右耳にお花を飾ってもらって、可愛い~☆

水牛車待機場の横では、出番待ちの水牛さんたちが、のんびり休息中。

出番を待つスターの皆さん.JPG
「今日は寒いけど、けっこうお客さん来るわね~」
「この寒いのに物好きよね~」

水牛の名前は、さぶちゃん、りゅうくん、なっちゃん、ゆうこ、等々。どのコがどの名前かは忘れてしまったのですが、隣り合わせた女性と、「きっと、ガイドさんの好みも入ってますよね・・・」とコソコソ話してました(笑)。


ちゅらさん.JPG

「どうも。水牛界きってのアイドル、ちゅらさんです☆」

竹富島水牛でいちばんの人気者、「ちゅらさん」。男の子なのでいつもはちゅらくん、ちゅら坊と呼ばれているみたい。

実は彼、その名前の通り、NHK朝の連続テレビ小説『ちゅらさん』に出演したそうで、NHKから許可を得て「ちゅらさん」の名前を名乗ることを許されたそうです。

水牛車の牽引は昨年引退したそうですが、それまでは「ちゅらくんに牽いて欲しい」と、指名率ナンバーワンだったんですって。落ち着いた様子と言い、りっぱな角といい、スターの風格十分!

ちゅらくんの後ろに見えている、小柄で少し薄い茶色の水牛さん。実はわかちゃんの子ども、「わかばちゃん」です!昨年の3月に生まれたばかりなんですって。

お母さんのわかちゃんがお仕事中は、ちゅらくんがわかばちゃんの親代わりとして、いつもそばにいるんですって。恥ずかしがり屋さんで、ちゅらくんの後ろに隠れちゃった。

ちゅらくんとわかばちゃんは、他の水牛さん達とは少し離れた場所で飼育されていて、その前がちょうど水牛車観光のルートになっているんです。いったんそこで停めて、ちゅらくんの紹介があったのですが、再び出発という時、ガイドのおじぃが何度合図をしても、なかなか動き出そうとしなかったわかちゃん。自分の子どもがそこにいるって、やっぱりわかるんでしょうね~。おお・・・リアルに「日本列島 いきものたちの物語」・・・(感涙)。

ではあらためて、出発~!

わかちゃんと行く竹富島.JPG
わかちゃんの背中越しに、竹富の町並みを見物。

この付近の道はアスファルト舗装ではなく、海岸に打ち上げられたサンゴを打ち砕いたものが敷かれています。そして、住民の方達は毎朝道路を掃き清めているそうです。

石垣の道2.JPG

こんな道が、ずっと続きます。ゴトゴトと動く震動が心地よくて、その揺れに身を任せていると、心が和やかになっていくようです。

クヤマ生誕の地.JPG
こちらは、八重山三大美女のひとり「クヤマ」の生誕地。

沖縄民謡の代表曲「安里屋ユンタ」はクヤマさんをめぐる伝説をもとに作られたので、「安里屋ユンタ発祥の地」の案内が立てられています。

伝説によると、クヤマは18世紀初めに実在した人物。八重山には首里王府から役人が派遣され、島を治めていました。役人は家族の同道が許されなかったため、身の回りの世話をさせる女性を現地から選んだのだそうです。

クヤマもある役人から現地妻になるよう請われましたが、それをきっぱりと断りました。その気丈さと気高さを謡ったのが、「安里屋ユンタ」です。

ガイドのおじぃの説明によると、今でもこの家にはクヤマさんの子孫「安里さん」がお住まいになっているとか。そして、やっぱり美男美女が多いとか。某航空会社のCAさんになられた方もいるそうですよ。美のDNAは、300年近く経っても続くのですね・・・。

ちなみにオリジナルの「安里屋ユンタ」は、八重山方言が多用されていて謡うのが大変難しいそうです。そのため、1934年に、星 克(ほし・かつ、1905-1977)の作詞と、「沖縄音楽界の父」と呼ばれた宮良長包(1883-1939)の作曲で「新安里屋ユンタ」が発表されました。現在、ポピュラーなのはこちらの「新安里屋ユンタ」なのだそうです。

新安里屋ユンタを熱唱するガイドさん.JPG
マイ三線(さんしん)をつまびきながら、新安里屋ユンタを熱唱するおじぃ。

♪ サー 君は野中の茨の花か
サーユイユイ
暮れて帰れば ヤレホンニ 引き止める
マタハーリヌ チンダラ カヌシャマヨ ♪

(「新安里屋ユンタ」)

う~ん、三線のゆるやかな音色とハリのあるおじぃの歌声が、とても素敵でした!一気に「八重山を旅している感」が上昇して、テンション上がりました☆


「マタハーリヌ チンダラ カヌシャマヨ
」とは、「また逢いましょう、美しい人よ」という意味だそうで、オリジナルの歌詞にも出てきます。

おじぃが良い喉を披露している間も、水牛わかちゃんはゴトゴトと車を引っ張って歩きます。

竹富の道4.JPG

竹富の町はこのようにサンゴで出来た道の両側に住居の石垣が築かれています。

けっこう大きな水牛車が角を曲がるときには、下手すると曲がりきれずに車の後部が石垣に衝突したり、横を擦ったりするらしいのですが、さすがわかちゃん、ギリギリのところでスムーズに角を曲がっていきます。角を曲がるたびに、乗客は大歓声(←ワタシ含む)。

これも教え方にコツがあって、この角を曲がる時は斜め右の電柱目指して進む、とか、あの角は左に見えるポストを目指して進む、等々、訓練時におじぃたちが水牛に教えて覚え込ませるそうです。それを水牛達はちゃんと覚えているのだから、やっぱり賢いんですねー。


水牛車は、赤瓦の屋根の間をゆっくり進んでいきます。

シーサーの場所にも意味があります.JPG
屋根の上にはシーサー。

さて、シーサーと言うと、門柱の上に向かい合って飾ってあったり、屋根のバランスがよく見えそうな位置に作られてあるもの、というイメージが定着しているのではないでしょうか。ところがこのシーサー、真ん中でもないし、もう1匹と対になっているわけでもないし、不思議な位置にあると思いません?

ところがこれが、本来のシーサーの位置なんですって。ガイドのおじぃの言葉を借りると、「家の中でいちばん大事なものの上にシーサーが置いてある」のだそうです。

お家の中でいちばん大切なもの-それは、ご先祖の魂が安らぐ場所。そう、シーサーはお仏壇の真上に来る位置に置かれるのが、もっとも伝統的なのです。ですから竹富島の民家を見ていると、シーサーが置かれている場所はそれぞれ、顔やデザインも家によって違っていて、見飽きません。

竹富の道.JPG

ブーゲンビリアの咲き乱れる道を、の~んびり。

ブーゲンビリア2.JPG
手を伸ばせばすぐにふれることのできる、ブーゲンビリアの花。

おじぃの語り口軽快なガイドとツヤのある三線、ハリのある歌声、ゴトゴトと優しく揺れる心地よい振動、ゆったり流れる穏やかな時間。すっかり水牛車がお気に入りになってしまいました。また乗りたいな。

わかちゃん、おじぃ、素敵な時間を、ありがとね~!!


水牛車観光は、コチラへ☆
新田観光


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