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青森県立美術館 「奈良美智:君や 僕に ちょっと似ている a bit like you and me... 」 [展覧会]

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2012年10月6日(土)~2013年1月14日(月・祝)
青森県立美術館

展覧会情報はコチラ

今回の青森旅のメインイベントのひとつ、「奈良美智:君や 僕に ちょっと似ている」を鑑賞しました。

青森駅からバスで20分。車窓の風景が街並みから森の影が多くなってきた頃、県立美術館が見えてきます。

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雪のように無垢な建物です。

横浜の時とは違った感動や発見がたくさんあって、「ここで奈良さんの個展を見ることができて、本当に良かった!」と心の底から思いました。絵を見て泣きそうになるなんて、生まれて初めての体験かも。

ひとつの個展を違う場所で鑑賞するというのは初めての体験。同じ個展、同じ作品でも、展示構成や照明演出でこうも異なる感情が沸き起こってくるのかと感動しました。

横浜美術館でのレポはコチラへ


言い方に語弊があるかも知れませんが、やっぱり青森は奈良さんにとって「ホーム」なんだなと強く感じる展覧会でした。構成や展示順もガラリと変わり、照明に非常にこだわった演出でした。

まず、横浜の個展ではひとつの部屋にブロンズ作品のみが集められていましたが、青森では絵画とブロンズ像が一緒に展示されている部屋があり、また横浜とは違った空気感が空間を包み込んでいました。

「真夜中の巡礼者」では、三方から光を当てて、周囲の壁や床に浮かび上がる影の濃淡が、何とも言えない深さを出しています。「樅の子」はそのキュートな顔ではなくて特徴的な頭の部分に照明を当てて、その頭のモミの部分の凹凸の陰影が際立つような演出がされていました。

また、美術館の空間がとても落ち着いているというか、まるで土の洞の中にいるようなしっとりとした落ち着きを感じさせるのです。『ニッポンの嵐』でもふれられていましたが、青森県立美術館全体の建築コンセプトが「遺跡の発掘現場」を表現しているのだとか。そう、なんだか土のにおいが感じられる美術館だなぁと思ったのです(本当にそういうにおいがある、というわけでなく、建物を包んでいる空気感が、ということです)。

その建築コンセプトが最高の相乗効果をあげていたと思うのが、『Let's Talk About "Glory"』

地層のような不思議な落ち着きを感じさせるほの暗く、長く、そして高い吹き抜けの廊下の突き当りに、まるで闇の向こうに見えたトンネルの出口の光のように、ぼんやりと浮かび上がる本作品。

その照明の当て方も絶妙で、一瞬、遠目から浮かび上がる様子を見ると、「映像かな?」と思ってしまうほど。けれど近づいていくにつれて、絵だということがわかってきます。

長い、長い苦悩の闇の果てにようやく見えてきた光のように見える本作。その光に導かれて誘われるのは、、「Cosmic Eyes (未完)」、「春少女」、「夜まで待てない」3作品が展示されている、まるで青森の雪のように純白で無垢な白い壁の部屋。

このお部屋には、三面の壁にそれぞれ一面ずつ、作品が展示されているのです。ひとつの作品とじっくり時間をかけて向き合うことができて、とても贅沢で幸せな空間でした。

まるで苦悩の闇から解き放たれて、希望の光に包まれたような。その中に、ワタシがどうしても再会したかった、「Cosmic Eyes (未完)」の少女が静かにたたずんでいました。

横浜で見た時は、まるで目の前で起こった衝撃に堪えるかのように張り詰めたような瞳をしているように見えた「彼女」。

けれど、時間を経て、場所を変えて再会した「彼女」の瞳には、希望の光が満ち溢れているように感じました。

人の心に希望がある限り、希望の光は失われないんだな。そんなことを思いながら、時間が許す限り、「彼女」の瞳を、顔を見つめていました。

青森で、もういちどあなたの「瞳」に出逢えて、本当に良かった。あなたの瞳に宿る光が希望にあふれていて、良かった。

強くまっすぐ煌めいている「彼女」の瞳を見ているうちに、気が付けば涙が出てきました。なんというかな、うれし涙じゃなくて浄化の涙のような。このお部屋を出る時はなんとなくふっきれたような、スッキリした気持ちになれました。

ちなみに、横浜美術館では玄関を入ったところに設置されていた「White Ghost」は、展示会場の最も奥、最後の展示室に坐しています。

常設展示の奈良美智+grafによる「ニュー・ソウルハウス」は誰もがその中をぐるぐると遊べる作品。

そしてトップ画像の「あおもり犬」は、青森県美のシンボルともいえる作品。まるで5000年の眠りを越えて、三内丸山遺跡の発掘現場からむくりと起き上ってきたようにも思えます。

たくさんの感動とたくさんの発見に、身体中が幸福感で満たされたような、本当に素敵な展覧会でした。


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