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岩合光昭写真展 「ネコライオン」 [展覧会]

nekolion.jpg
2013年8月10日(土)~10月20日(日) 東京都写真美術館 B1F展示室

詳細情報
http://syabi.com/contents/exhibition/index-1935.html


渋谷ヒカリエにて開催中の「ねこ」展に続いて、東京都写真美術館でも岩合さんの写真展が始まりました~。

「ねこ」展の記事はコチラから☆

「ネコは小さなライオンだ。ライオンは大きなネコだ」。 (チラシより)

最近では「ネコ写真家」として一躍名を馳せるようになった岩合さんですが、40年以上にわたって地球上のあらゆる大自然と野生動物を撮影し続けている動物写真家でもあります。

人間の生活と共に共存するネコ、人間の世界とは遠く離れた野生の世界で生きるライオン。本展では、これまでに岩合さんが撮影したネコとライオンの写真を対比させることによって、共通点と差異を浮かび上がらせるという、意欲的な写真展です。

館内には、同じようなアングルで捉えられたネコとライオンの写真を2枚1組で展示されています。

美術館のHPに掲載されている写真をご覧いただくと一目瞭然ですが、本当に、場所も時間もまったく異なるのに、ネコとライオンの写真がほとんど同じアングルで撮影されているのに驚きます。

nekolion1.jpg 
上:宮城県 石巻市
下:タンザニア ンゴロンゴロ自然保護区


nekolion2.jpg
上:広島県 庄原市
下:タンザニア ンゴロンゴロ自然保護区

こういった、「どこか似ていて」ほっこりと和む写真がたくさん。下のあくびをしている写真は、本当に同じような表情をしているな~と感心しつつ、大きく開かれた口内に見える牙の鋭さに、ネコの内面に潜む、ライオンと同じ野性を感じることができます。犬歯が直角で長くて、ちゃんと獲物の頸椎に刺さるような構造になっているそうです。

一方で、両者の差異がはっきりと出ている写真もあります。そのいちばんの例が「食」の写真。この「食」こそが、ネコとライオンを隔てる最も大きな差異なのです。

基本的に、ネコは人間から餌を与えられて、それを食べて生きていきます。反対にライオンは、自分自身で獲物を狩らなくては食べることにありつけません。ここが人間との共生を選んだネコと、自然に生きることを宿命とされたライオンの、最も特徴的な違い。

中でも、展示室奥に展示されている1枚の写真に衝撃を受けました。

オスライオンがハイエナからヌーを奪って襲いかかる瞬間をとらえたショット。テレビの自然番組などでライオンが狩りをするシーンなどはこれまで何度も見たことがありますが、「自然の中で生きるというのは、こういうことか・・・」とまざまざと思い知らされる1枚です。

ヌ―の頸椎にライオンが牙をガッと突き刺す一瞬、カッと力強く見開かれた大きな眼。致命傷を受けたヌ―の、宙をさまよう何とも言えない眼。人間の世界では絶対に存在しえない、それぞれの「本能」がむき出しになった瞬間、「野生」の本当の姿を突き付けられて、写真の前で思わずたじろぎました。

おこがましい言い方で恐縮ですが、「動物写真家」としての岩合さんの真骨頂を感じる1枚です。


* * *


初日に観に行ったのですが、幸運にも、岩合さんによるアーティストトークも聴くことができました。

当初は展示されている写真を廻りながら、岩合さんによる説明を聞く・・・というスタイルで計画されていたそうなのですが、予想以上に人が集まったため、展示室の奥のスペースで写真パネルを掲げながら岩合さんのお話を聞くというスタイルに変更。

白地にオレンジと水色のストライプのシャツという爽やかな出で立ちで登場した岩合さん。第一印象は「うわぁ~、テレビで見るのと同じやぁ~☆」でした(笑)。

アーティストトークは20分前後で終了したのですが、撮影地や撮影したネコのウラ話も聞くことができて、とても楽しかったです。

広島県庄原市で撮影された、大きなアクビをするネコ(↑ 上記写真)の名前はガッチャン(オス)。ガッチャンはある日突然、裏山に「修行に行った」らしく、1年間戻ってこなかったそうです。そして1年後、戻ってきたガッチャン。何と、傍らに仔猫がいたそうです(笑)。お家に戻ってきたガッチャンは、それ以来、一歩も家から出なくなったんですって。

そう言うお話を聞いてからあらためてガッチャンの写真を見ると、より親しみがわきますよね。

写真撮影の方法についても少し言及されていたのですが、それも印象的でした。

「何か一点に自分の関心を集中させること。その写真で自分が何を伝えたいと思っているのかを、一点に絞ること。例えば、花畑を見て『わぁ、キレイだな』という気持ちだけで写真を撮ったのでは、それはその景色に呑まれたことになる。その花畑の何を撮りたいのか、何を伝えたいのか、一点絞って撮影するだけで、写真がぐっと引き締まります」。

上述の写真でもご覧の通り、アングルが本当に似ている作品が多くて、「時間軸も場所も全く違う場所で撮影しているのに、どうしてこんなに似たアングルが撮影できるのかなぁ・・・。」と不思議に思っていたのですが、このお話を聞いて納得。やはり、岩合さんの感性で、「こういう表情を撮りたい!」「この瞬間の動きを捉えたい!」と直感がはたらく瞬間は、いつどこにいても同じようなタイミングなのでしょうね。

岩合さんのようなプロのお話と一緒にするのもおこがましいことですが・・・。ある方に、「とろりんさんの写真は、『これを撮りたい!』『この一瞬を伝えたい!』という気魄がものすごく感じられるものと、『まぁ一応、記録で残しとくかぁ~』という軽い気持ちで撮影したんだろうなと分かるものの落差が激しい」と言われたことがありまして・・・(汗)。

やっぱり、そう言う「気持ち」って他の人に伝わるものなのか!!と、ハッと思い当たる節があり、あらためて心が引き締まる思いでした。


* * * * *


「ねこ展」@渋谷ヒカリエの半券を提示すると入場料が20%割引になるという「ねこ割」も実施中(←逆パターンもOK☆)。この夏は、恵比寿と渋谷でネコとライオンに会いましょう♪

ネコライオン

ネコライオン

  • 作者: 岩合光昭
  • 出版社/メーカー: クレヴィス
  • 発売日: 2013/08/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


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みく

☆とろりん☆サマこんばんは。 とけてしまいそうな猛暑が続きますネ、お元気ですか?
写真もやっぱり どこを切り取るかが大切なんだぁ、絵画と同じだな~っと思い・・・舞台芸術もナニを伝えようとするか~ってところが大切だとすれば TV番組だってそうだよな みな同じなんだとなんだか納得しました。

前の記事のツバサくん、わたしの大好きなNクンの弟みたいな親近感を勝手にもっていて(弟役やってたし)でも妙にオトコになったというかいつのまにかオッサン域になってて・・でも舞台で活躍されてるのですね、なんだか嬉しく感じました。


by みく (2013-08-11 20:42) 

★とろりん★

みくさま、

こんばんは、コメントありがとうございます。

そうですね、「何を伝えたいかを絞る」というのは、メディアや芸術だけではなく、全ての行動に当てはまるのかもしれませんね。

翼くん、ダンスや物腰が大人の色気にあふれていて、とても素敵でしたよ。

本当に、異常なほどの暑さが続きますね。おかげさまで夏バテもせず元気に過ごしております。みくさまもどうぞ、熱中症と食中毒にはお気をつけてお過ごしください。

by ★とろりん★ (2013-08-11 21:03) 

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