花の香りにつつまれて しばし心は空に舞う ~国立劇場の桜~ [桜咲く国]
井の頭公園、池ノ上駅から駒場野公園へと散策した後、渋谷から半蔵門へ。国立劇場へと歩きます。
他の場所よりも咲き始めるのが早い、国立劇場の桜たち。もしかしたら、と思って訪れてみましたら…
ちょうど、満開でした!
国立劇場の正面に植えられているのは、「小松乙女(コマツオトメ)」と「神代曙(ジンダイアケボノ)」という品種。
こちらが「小松乙女」。
今が盛りとばかりに花々が咲き乱れていて、夢のような美しさです。
花弁の縁だけが、わずかに濃い薄紅色でなぞられています。
「乙女」の名前にふさわしく、まるで少女がほんのりと頬を染めたかのよう。
歌舞伎のお芝居で例えるなら・・・『鮨屋』のお里ちゃん、かな?
「神代曙」も、絢爛と咲き誇っています。
初々しい風情の「小松乙女」とは正反対に、こちらはまるで歌舞伎の立女方のように優美できらびやか。
その名の通り、アマテラスのように圧倒的な神々しさと存在感。『助六』の揚巻のような、他の追随を許さない艶やかさと華やかさも感じさせます。
花に顔を近づけて香りをかいでみると、意外にも清楚で爽やかな、上品な香りがします。
姿は艶麗なのに、香りは清楚で上品だなんて、人間で言えば「すっごくイイオンナ」じゃないですか~!!ずるい!ずるいぞ神代曙!!(笑)
そんな風に思わず嫉妬しちゃうくらい、本当に惚れ惚れするほど美しい瞬間を迎えています。
「夢見草(ゆめみぐさ)」という異称もある、桜の花。
桜の下で見る夢は、この季節にしか見られない夢。桜花爛漫の中でそっと目を閉じると、花と見る夢にしばし都会の喧噪を忘れて、ふわふわと自分の心も空を自由に舞い遊ぶようでした。